本文へ

商品情報・ストアデジタル一眼カメラ α映像作家 貫井勇志の語るオートHDR

映像作家 貫井勇志の語る
オートHDR

CMや映画の世界で多用されてきたHDRの原理

01
オート HDR 撮影手順

これまで私たちが当たり前だと思っていた映像は、
実は人間が見やすいよう人為的に加工された映像だった。

多くの人は、写真というものは観たままの映像をそのまま再現したものだと思っているかもしれません。でも、本来、写真は人が観たままの映像を再現することはできないんです。写真は普通に撮影すると、白とびや黒つぶれが発生します。例えば、空などのハイライト部に露出を合わせれば地上部分のシャドウ部が黒つぶれしてしまったり、また逆に、暗い部分に露出を合わせれば空が白とびしてしまったりします。シャドウ部にしてもハイライト部にしても、どちらかのディティールが消えてしまうわけなんですね。

一方で、人間の目はそうではありません。ハイライト部とシャドウ部の双方を別々に認識し、総合的にひとつのイメージとして把握することができます。ですからシャドウ部にしてもハイライト部にしても、ディティールがしっかりと見えているのです。これが人間の目と写真との違いです。

白とび、黒つぶれした写真

白とび、黒つぶれした写真

日頃みなさんが目にしておられるCMや映画においては、ハイライト部もシャドウ部もくっきり見えていることがよくありますから、それが当たり前だと思っているかも知れませんが、実はあれらの映像は、人間の肉眼映像に近づけるために人為的に加工されているものなのです。

もうかなり前になりますが、1990年代の前半、私がアメリカに住んでいた頃の話です。ビールのコマーシャルフィルムの撮影に携わったことがあります。その頃の私はまだスチルを担当していたのですが、荷物運搬車の荷台からビールのケースを下ろすシーンを、何回も何回も撮影する場面に出会いました。このようななんでもないシーンで、なぜ何度も撮影するのか当時はとても不思議に思ったものです。

現場のスタッフに理由を尋ねてみたところ、日陰になっている演技者の部分ではなく、空など、照明コントロールが効かない明るい背景部分を1回ごとに露出を変えて撮影し、手前のトラックや演技者の主要部分と合成して、1本のフィルムを作り出すとのこと。こうしないと、車の影になっている荷下ろしの部分と、トラックの後ろに見える町の風景の両方を再現することができないということなんですね。つまり、ハイライト部とシャドウ部を同時にくっきり見せるためということです。

映画においても同じことが言えます。映画のロケ撮影に出くわすと、よく真昼間でもライトを当てて撮影している場面を目にします。これは太陽の影になる部分にライトを当てているわけですが、こうすることで映像全体の中のハイライト部とシャドウ部のコントラストを低くし、影になっている部分が黒つぶれしないようにしているわけです。ただ、この方法にも限界がありますので、先述したような露光の異なるフィルムを合成するという方法が採られるわけです。最近は、CG(コンピューターグラフィックス)を使って、コントラストが高くて同時に写せない部分を補うという手法も取られます。

また、スチル写真の世界でもこれらの手法は古くから使われています。街角でよく見かける商品広告のポスターなどがそうですね。昼間に室内でリビングを撮影したものを例に挙げましょう。そのリビングには大きな窓があり、窓の外の景色が写っています。室内の様子も出窓の外の様子も実に鮮やかに写っているわけですが、こういった映像は普通に撮影しただけでは写し得ないシーンです。

リビング

CMの世界、映画の世界、広告写真の世界と事例を出して説明してきましたが、これらはすべて人間の肉眼映像に近づけるために人為的に加工されているものなのです。

α550

肉眼映像に近い写真が簡単に撮れる機能、
それが「オートHDR」。

先述したように、私たちが日ごろ目にする多くの映像は、人間の肉眼映像に近づけるために人為的に加工されています。このような映像は普通に撮影しては撮り得ない映像であって、これをするためにはたいへんな労力とお金が必要でした。

しかし、今回登場したオートHDR機能というのは、この肉眼映像に近づけるということがなんとボタン一つでできてしまうのです。これは本当にすごいことです。

Top of This Page

αはソニー株式会社の登録商標です。