株式会社キュー・テック様では、北海道・札幌のアニメ制作会社と赤坂スタジオ、杉並スタジオの3拠点にPDW-1500を配備。この3拠点間で素材を MXFファイル転送することで、2005年4月から放送中のアニメ番組「創聖のアクエリオン」(河森正治監督作品、制作元:株式会社サテライト、毎週月曜日 深夜 1時〜 テレビ東京系列)の制作作業を飛躍的に効率化し、高品質に制作されています。
- 株式会社キュー・テック
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DATAテレシネ、HDテレシネ
CG、DATA変換、アップ・ダウンコンバート、TV方式変換
PAL方式変換、テレシネ、MA
映像、サウンドコーディネート、機器、企画制作

東京・赤坂で使用されているPDW-1500
幅広い番組、CMなどの映像制作に活躍する株式会社キュー・テック様は、アニメ番組制作の分野でも現在、週に10本以上の番組を担当するなど、豊富な経験と実績を持っておられます。札幌を拠点に活躍するアニメ制作会社 株式会社サテライト様(http://www.satelight.co.jp/)の作品も担当しておられますが、やはり東京と札幌という距離の壁が制作にも大きな影響を及ぼしていました。アナログベータカムで作られた素材テープを、その日の最終便の飛行機で東京まで送り、夜に編集作業を行っていましたが、最終便に間に合わず翌朝送られてくることもあり、週1回放送のレギュラー番組制作では、この時間のロスが大きかったといいます。
そこでキュー・テック様では、2001年にネットワークを使った素材伝送を提案し、具体化されました。その方法を技術部 部長青貫幹夫様に説明いただきました。「クリップメールという画像転送装置を使う方法で、シーンごとの素材を一度アナログベータカムに収録し、それをクリップメールに取り込んでMPEG4:2:2で伝送する仕組みを作りました。」これで素材を早く、確実に送れるようになるなど、格段に柔軟な制作体制が整ったということです。
しかし、テープの基準フォーマットがアナログベータカムからデジタルベータカムに代わるとともに、この方法ではクオリティの面で限界が出てきたといいます。また、VTRを介在させる必要があることなど、効率性の点でも改善したい部分があったようです。
そうしたタイミングにXDCAMが発表されました。青貫様は、XDCAMを見たときの印象を「表面はVTRの顔をしていますが、後ろはコンピューターネットワークで、中身はコンピュータファイルという非常におもしろいマシンだと思いました。MPEG IMX 50Mbpsが使え、それをMXFファイルで転送することで画質的にも格段に改善できることが期待できましたし、カートリッジで素材管理がしやすい点も従来の方法にはない大きな魅力でした。」と、語っておられます。早速、画質評価などの技術的な検証が行われ、これまでの方法より画質を確実に向上できる点が確認されました。また、PDW-1500単体を購入するだけで運用できるという優れたコストパフォーマンスも評価され、導入が決定しました。

XDCAMを使用した伝送についてお話しいただいた伊藤様
札幌にある株式会社サテライト様のCGスタジオ、東京・杉並のオフライン編集室、そして赤坂のオンライン編集室にPDW-1500が配備され、2004年 11月から、XDCAMによるMXFファイル転送が開始されました。アニメファンに人気の河森正治監督のオリジナル作品で、2005年4月からテレビ東京系列(毎週月曜日 深夜 1時〜)で放送されている「創聖のアクエリオン」の制作です。札幌で制作された素材は、まずオフライン編集を行う杉並スタジオに送られ、その後、赤坂スタジオでオンライン編集を行い、番組として仕上げられています。
営業部 次長伊藤暢啓様は、この新しい伝送システムが非常に順調に稼働していると高く評価されていました。「トラブルなく、非常に安定した状態で運用できています。当初の目的でしたクオリティーについても高い評価をいただいています。記録レート50Mbpsのハイクオリティで伝送しており、しかもオフラインでもオンラインでもMXFファイルのまま一度も解凍することなく作業できていることが大きく貢献していると思います。オンエアの画を見ても特に映像SN比の良さがはっきり出ていると感じています。」

制作過程の完全テープレス化についてお話しいただいた中村様
また、伝送スピードについても、「東京・札幌間のネットワーク環境は平均すると10Mbpsぐらいになってしまいますが、記録レート50Mbpsのクオリティーで送っても、従来とほとんど変わらないスピードになっています。」XDCAMを使った今回の伝送システムは、アニメ制作のワークフローも大きく改善してくれたと評価されていました。技術部 次長中村一成様も、「従来は、システム的に双方でVTRを介在させていましたが、今回はPCでレンダリングしたものをSDIボードでXDCAMに取り込むだけで済みます。制作会社さんにとって、PCだけで完結できるメリットは大きいと思いますし、当社にとっても編集時にテープに起こす必要がありませんので、その手間と時間を本来の業務である編集作業に活かすことができます。最終的にはデジタルベータカムで納品されますが、制作過程は完全にテープレス化されており、コーデックも1回しか行われませんから、クオリティーの劣化も最大限抑えられることになります。」と評価しています。
ベータカムテープに記録する工程がそれぞれでなくなった分、効率性が格段に良くなったことになります。監督の意向でリテイクカットが入るといった場合でも、より柔軟な対応が可能になっているため、作品の質の向上にも貢献しているようです。さらに、XDCAMはリムーバブルディスクですから保存が容易にできる上に、3拠点で同じディスクを持つことができるメリット、すなわちアーカイブにもなり、相互のバックアップにもなる点が高く評価されています。青貫様も、「これでワークフロー的にほとんど完璧に近い状態になりました。」と、語っておられます。
株式会社キュー・テック様では、XDCAMによるMXFファイル転送の今後の運用に大きな期待を寄せられています。遠隔地だけでなく、東京近郊の制作会社との間でもファイル転送のメリットは大きいと考えられています。青貫様は、「MXFファイル転送を活用することで、お客様に杉並スタジオで気軽に試写や内容確認を簡単にしていただくことも可能になります。」と、今後の本格運用に期待感を示されております。
また伊藤様も、他の業務でのMXFファイル転送の可能性に注目しておられます。「当社はヨーロッパや北米とコンテンツ供給に関する業務を行っていますし、海外との合作もあります。こうした業務でもMXFファイル転送を使えれば、素材のやりとりや納品もスムーズに行えます。XDCAMがかなり普及していると聞きますので、検討してみる価値はあると思います。今回のシステム構築で、受け入れ体制は整いましたので、営業的にアプローチしていきたいと考えています。」
XDCAMの特長の一つであるプロキシAVデータについては、あくまで制作会社の意向次第ということを前提としながらも、プロキシAVデータの可能性には伊藤様も注目されています。「今回のサテライト様のケースでは、制作スタジオとXDCAMが設置されているオフラインが距離的に近いこともあり使っていませんが、プロキシAVデータは素材の確認や試写などに非常に便利に使えると思っています。ほかの伝送方式を採用してアニメ制作を行っているところでは、監督さんの試写用にわざわざMPEGのファイルを作っているケースもあります。XDCAMのプロキシAVデータを使えば、そういった手間と時間がまったくかかりません。」
アニメ番組制作のワークフローの改善に貢献したXDCAMのMXFファイル転送が、株式会社キュー・テック様の幅広い業務の中で活用されるようになるのも、そう遠くないかもしれません。