北海道文化放送株式会社様は、報道のHDフォーマットにXDCAM HDを採用されました。第一段階として3式のXDCAM HDカムコーダーPDW-F355L、17式のXDCAM HDレコーダーPDW-F75、2式のノンリニアHD編集システムXPRI NSを導入し、2008年4月より報道・情報番組やスポーツ番組で運用されています。
映像局長 兼 映像ソフト部長 兼 放送ライブラリー長 原田靖雄様に、XDCAM HD採用の決め手や運用状況、今後のシステム拡張などについて伺いました。また、株式会社オーテック 報道編集センター・編集グループ 濱潟 淳様には、ファイルオペレーションのメリットや効果などを伺いました。
- 北海道文化放送株式会社
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1972年に開局、通称uhbで北海道の視聴者に親しまれているFNN/FNS系列のテレビ局。2005年に東北以北では初となる大型ハイビジョン中継車、制作のHDフォーマットにHDCAMを採用するなどHD化に積極的に取り組み、2006年6月に地上デジタル放送・サイマル放送を開始されています。今回のXDCAM HD採用により、自社制作の番組に加え、ニュース・情報系でもピュアHD信号によるハイビジョン放送が本格化することになります。

映像局長 兼 映像ソフト部長 兼 放送ライブラリー長
原田靖雄様
当社の報道部門では、これまでベータカムSPやベータカムSXといったテープフォーマットを採用したオペレーションを行ってきましたが、すでに更新時期を過ぎた機器も増えており、本格的な地上デジタル放送時代に対応するためにも機器やシステムのHD化が急務となっていました。そこで、取材・編集・送出・アーカイブに至るトータルの見直し・検討を行った結果、報道のHDフォーマットにXDCAM HDを採用することを決定しました。
XDCAM HD採用の決め手の1つは、優れたコストパフォーマンスにあります。ピュアHD化を行う上で、当社の報道部門にある機材のうち、少なくともカムコーダー約20台、VTR約40台を更新する必要があります。これを同じテープフォーマットでHD化するとなると、かなりの投資が必要ですが、XDCAM HDなら約1/2の投資で可能だと計算できました。こうした更新時のイニシャルコストだけでなく、メディア・伝送・アーカイブなどランニングコストの点でもXDCAM HDはメリットが大きいと判断しました。
決め手のもう1つは、ファイルベースのオペレーションによる効率的なワークフローへの期待です。これは当社だけでなく、系列局を含めたテープレス化構想でもあります。報道の取材・編集・送出・アーカイブまでのワークフローをMXFファイルで一貫すれば、画質劣化といった不安もなく効率的なオペレーションを実現できます。また、XDCAM HDのメタデータを活用すれば、系列局間での素材交換などもより確実で迅速に行えるようになると思います。さらに、これからはインターネット系の伝送路も使えるようになってくるでしょうから、ファイルベースのオペレーションは良いこと尽くめであろうと考えています。
ファイルベースのオペレーションを実現するということだけ考えれば、確かにメモリーメディアという選択肢もあります。ですが、報道では最低でも2週間から1ヶ月、大きな事件・事故やスポーツなどでは1年以上素材を保管することもあり、このような場合、メモリーだと一度吸い上げて大きなサーバーに保管しなければならず、登録や整理、吐き出し、管理、アーカイブにおいて煩雑な作業とコストが発生します。その点、ディスクであれば現在のテープと同じような運用が可能です。素材の1次保管メディアとしての役割も考慮してXDCAM HDを選びました。

XDCAMで報道部門の素材を保管。
1次保管メディアとしてディスクシステムXDCAM HDを評価
2008年4月に取材機として3式のカムコーダーPDW-F355Lを導入し、現在稼動中です。同時に導入した17式のレコーダーPDW-F75は、編集機用、報道サブの送出用、収録用に配備しました。今後、ヘリコプターやSNG車などにも配備していく予定です。
XDCAM HDはディスクシステムとして非常に好評で、取材時や編集時の頭出しなどはファイルを呼び出すだけで済み、確実でスピーディーです。また、ファイル記録ですから基本的にダビングによる画質劣化といった不安が無く、画質確保の点でも安心して使うことができています。稼働中のXDCAM HDの記録ビットレートは35Mbpsを採用していますが、これはファイルサイズと記録・収録時間を考慮して有効と判断しました。ハイビジョン画質として申し分ない高画質ですし、2層ディスクであれば高画質の映像を1枚のディスクに約150分の長時間記録ができる、これは大きなメリットです。

取材機として導入されたPDW-F355L

編集機用、報道サブの送出用に配備されたPDW-F75
今回、XDCAM HDに加えて報道編集に2式のノンリニアHD編集システムXPRI NSも導入しています。現状、XPRI NSはスタンドアローンでの運用ではありますが、取材から、編集、そして送出までをMXFファイルで一貫させることで素材転送にトランスコーディングなどの必要がなくなり、迅速で且つ取材時の高品質のままオンエアが可能になります。

報道編集室のXPRI NS
これらの設備により、取材から編集、送出まで一貫したファイルベースのオペレーションが可能となりました。まだ運用を開始して間もないですし、運用しながら各種の実証テストを行っている段階なので総合的な評価はできませんが、ファイルベースの迅速な素材確認・頭出し、転送スピードの速さ、あるいはHDならではの高画質などXDCAM HDの魅力と大きな可能性は実感しています。想定や期待を含んでの評価になりますが、今回のXDCAM HD導入は報道部門にとってメリットが多く満足しています。
ファイルベースの効率的なオペレーションを実現するためには、ネットワーク化が欠かせません。当社でも、2009年春には編集・送出・共有サーバー的なもの、そして支局間をネットワーク化する計画です。これで、素材の共有化による効率的な編集、そしてファイル転送による送出が可能になります。支局からの素材転送も、ブロードバンドを使ってマザーを転送する感覚で行なえるので、ベースバンドの放送回線より安い伝送費で、より高品質の伝送が可能になると期待できます。伝送時間も短くなりますから、カメラマンが慣れてくれば、取材先から不要なカットを除いて必要な部分だけを伝送基地から送るということも可能になると思います。
新しくラインアップされたXDCAM HD422シリーズにも期待しています。カムコーダー、レコーダーともに一層進化して使い勝手も良くなっていますから、増設については、このシリーズを導入することになるかと思います。系列局での50Mbpsでのオペレーションにも対応可能になりますし、フレキシブルに対応できるようになる点は大きなメリットです。
まずはファイルベースのオペレーションに早く慣れて、XDCAM HDの特長であるプロキシAVデータやメタデータなどの使い方を研究しながら、今後のネットワーク化によりさらなる効率化を実現していきたいと思っています。
ファイルベースで迅速な素材確認、頭出し、編集が可能
スピードが求められる報道編集では最大の魅力

株式会社オーテック
報道編集センター・編集グループ 濱潟 淳様
XDCAM HDとXPRI NSを使った編集の最大の特長は、スピードです。高速ファイル転送による取り込み、吐き出し、素材の確認や頭出しの速さはテープでは真似ができません。また、ボタン1つですぐに頭出しができるので、素材が長いプロ野球などでは編集のスピードが格段に速くなりました。現在は、XPRI NSがスタンドアローンで運用されていることや、まだ機器に使い慣れていないということもあり、その特長をフルに発揮しているとは言えないかもしれませんが、可能性の大きさは実感しています。
画質的にもメリットを感じでいます。基本的にハイビジョンの高画質である上、テープのようなダビングによる映像劣化の心配もありません。編集する上で、編集による画質劣化が大きな制限条件になるのですが、ファイルベースの編集であれば、それらのストレスがまったく無いので、よりスピーディーな編集が可能になると思います。
PDW-F75のダウンコンバート機能も有効に使っています。現在、報道編集7式のうち、4式はSDリニア編集システムですが、そのプレーヤーとしてPDW-F75を使うことができます。HD編集システムに空きがない時や緊急時には、リニアで編集することができます。まだ混在期・移行期なので、非常に便利に活用しています。
XPRI NSは、習熟度を上げる狙いもあって、現状、主に時間に余裕のある企画物や特集の編集に運用し、オンエアにも使っています。そのほか、収録中にプロキシAVデータで編集をはじめバックグランドで高解像度データに置き換えていくといったオペレーションのテスト・検証も並行して行っています。プロ野球などの長時間の素材を編集する場合はもちろん、使い慣れればストレート系のニュース編集でも有効に使えるのではないかと期待しています。
今後、ネットワーク化によって素材の共有化などが実現すれば、より効率的な編集が可能になると思いますし、ワークフロー全体のスピードも一層上がります。報道編集ではスピードが最優先事項ですから、ネットワーク化は非常に有効だと思いますし、大いに期待しています。