
歌川廣重「名所江戸百景 浅草金龍山」
公益財団法人似鳥文化財団(小樽芸術村)所蔵
* 掲載内容は2025年12月時点のものです
小樽芸術村 浮世絵美術館 様
北海道小樽市は明治時代初期以降、物流で発展しました。似鳥文化財団が運営する小樽芸術村は、その時代に建造された歴史的建造物などを改修し、ミュージアムとして活用しています。ステンドグラス美術館や西洋美術館などがある中で、2025年7月に小樽芸術村5館目となる浮世絵美術館が開館。高精細レプリカや道具見本なども活用し、来館者が楽しめるよう工夫されています。
■導入目的
■法人向けブラビアで実現


杉本氏:一般的にレプリカは芸術作品のオリジナルを保護するために、あるいはより多くの人が鑑賞できるように製作されます。当財団では過去4年間、文化庁からの補助金を利用しながら、所有する浮世絵のレプリカ製作に取り組んできました。レプリカ製作には作品をデジタルデータ化する方法もあり、その取り組みを当初からご支援くださっているのがNTT ArtTechnology 様です。浮世絵美術館のオープンにあたり、スキャンした浮世絵の画像データを館内で上映展示したいと考え相談したところ、ご紹介いただいたのが「ArtTechView」でした。


戸高氏:NTT東日本グループは、地域の価値ある文化や芸術をデジタル化して「守り」、先進テクノロジーを用いて発信することで「活かし」、地域と地域、地域と世界を「つなぐ」ことを目指しています。高度なデジタル化技術(国内外で特許取得済)を有する株式会社アルステクネと連携し、原画の質感までを再現した高精細デジタルデータを制作して保存。原作品と見分けがつかないほどの高精細デジタルデータを、NTT東日本グループの通信セキュリティ技術を活かして配信することで、生活者にとって身近な場所での本格的な鑑賞体験を提供できることが当社の強みです。今回似鳥文化財団様にご紹介したArtTechViewはその代表で、美術館などの所蔵元が公認する高精細なデジタル芸術作品を配信し、額装付きディスプレイで遠隔鑑賞いただけるサービスです。病院・介護施設やオフィスなどで導入いただいています。今年の4月からはアルステクネと連携し高精細にデジタル化を行った似鳥文化財団様の所蔵作品のうち、喜多川歌麿の美人画、東洲斎写楽の役者絵、歌川廣重の名所絵などを配信する、日本画縦型プランもリリースしました。私はこのサービスによる収益が所蔵元への還元や、地域活性化などに貢献するものとなるよう、仕組みづくりから携わってきました。


杉本氏:館内で浮世絵をデジタル展示したいと考えたのは、実物を思う存分に見ていただくことが難しいからです。作品は紫外線などに弱いため、どうしても少しずつ劣化します。そのため当館2階の展示室では実物を飾ってはいますが、照明をかなり落としています。でも、明るい展示環境だと見えることが、もっとたくさんあります。例えば、細かく彫られた人の髪一本一本などは、暗い展示環境ではよくわかりません。また、照明でダメージを受けるため長期間の展示が難しく、たくさんの所蔵品のうち、展示しているのは一部です。
戸高氏:多くの美術館や博物館で同じ悩みを抱えておられ、「保存」と「公開」のジレンマがあると聞きます。しかし、単にデジタルで見せればいいわけではありません。浮世絵版画であれば、和紙の繊維感や刷ったときにできる微細な凹凸などを表現できなければ意味がない。そのためArtTechViewの開発を進めながら、作品がもつ特徴をくまなく表現できるディスプレイを探しました。複数社のディスプレイを比較する中で法人向けブラビアに出会い、作品の色表現を最も忠実に再現できていたことから採用を決めました。


杉本氏:デジタル展示は、来場者に大変好評です。まずは皆様、実物だと一瞬思われるようで、画面に表示される展示が切り替わることでディスプレイであると初めて気づいて驚かれます。額縁に納めることで実物感を高めた演出も、STBレスによる運用で周辺機器がないことでより効果的になっていて、私たちも感心しました。そして逆にディスプレイだと知ると、自分の姿や照明が映り込まないことに驚く来場者も少なくありません。また広視野角であるため角度のないところからもしっかり見えており、団体客は横に広がりながらも落ち着いて鑑賞されています。
そして、映像の美しさはとても魅力です。当館2階に展示している実物を1階の法人向けブラビアでも見られるのですが、照度を抑えた2階の展示ではわからない、細かな髪の表現まで鮮明です。私も来場者に作品解説をする際、細部も理解していただきやすいため助かっています。
戸高氏:オンラインで芸術作品を楽しめるサービスはさまざまあるものの、当社のサービスでこだわっているのは、実際に美術館を訪れているような本格的な鑑賞体験です。色の高い再現性や、低反射により実物のように見える点で、法人向けブラビアは本当に助かります。当社としては、遠く離れた地でArtTechViewで芸術作品をご覧になったかたが「実物を見てみたい」と興味をふくらませ、実際に美術館を訪れてくださる動機になってほしいと考えています。
杉本氏:当館ではもう1台、法人向けブラビアをエントランスに設置しています。小樽芸術村の他館でもエントランスにサイネージを設置していますが、用途はインフォメーションに特化しています。一方、当館では収蔵作品のダイジェスト映像を流すことで興味を喚起し、入館を促す目的で設置しています。浮世絵に詳しくないかたや言葉が通じない外国人観光客にも、映像ならその世界観や雰囲気が伝わるのではないでしょうか。興味をもっていただくには、やはり作品をきれいに映す必要があります。そして、75V型という大画面モデルを選び、外からよく見えるようにしています。エントランスが朝日の当たる向きにあるため、明るい環境でもはっきり見える輝度と、外光の映り込みを抑える低反射の画面も大変効果的です。また、USBメモリーを使って簡単に配信できるため、利便性の面でも助かっています。

杉本氏:館内では、市民向け講演会から国際的な学会まで、イベントも開催しています。その際、作品をより美しく見せられるディスプレイがあればと思っており、スタンド設置型の可動式の法人向けブラビアを導入できればと考えています。また、多くの所蔵作品をデータ化できましたので、今後はこれらを当館へ足を運んでいただくことが難しいかたたちへ、積極的にお届けしていきたい。どこかへ訪問し「出前美術館」といった趣向で展示してもよいかもしれません。
戸高氏:当社では、お客様が開催する展覧会に、高精細レプリカやArtTechViewを活用してご協力している実績があります。先日もある自治体が運営する郷土資料館で、似鳥文化財団 様が所蔵される作品を中心に展示協力させていただきました。会期中は多くのかたに、小樽から遠く離れた地で作品をご鑑賞いただくことができました。今後も似鳥文化財団様が所蔵される作品の魅力をさまざまな場所で伝え、小樽へ多くのかたが訪れ地域活性化へとつながる流れを生みだしていければと思っています。

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