法人のお客様デジタルペーパー デジタルペーパー DPT-RP1

DIGITAL PAPER

「デジタル時代の紙」
をつくる

デザイナーインタビュー

紙の使い心地を受け継ぎながら、デジタルならではの機能を融合させ、効率化が求められる現代にふさわしい読み書きのための道具を目指した
DPT-RP1。
デザイナーにそのコンセプトやデザインの試行錯誤について聞いた。

使い手の創造性を引き出すシンプルな道具

荻下 直樹
ソニー株式会社 クリエイティブセンター デザイナー
B2B領域のインダストリアルデザインを手掛けている。
布施 基雄
ソニー株式会社 クリエイティブセンター アートディレクター
B2B領域のコミュニケーションデザインを手掛けている。

「PCやタブレットなどのデジタル機器は便利な一方で、長時間使用していると目が疲れたり、姿勢が固定されたりなどストレスが溜まりがちです。本当に必要な機能に絞り込むことで、その人の一部になるようなシンプルな“道具”を目指しました。

良い“道具”とは、使う人の力を最大限に引き出せるよう、徹底的に機能を研ぎ澄ませていった結果、生まれるものだと思います。この道具を使いこなすプロフェッショナルが何を求めているかを考え、ひとつひとつ形にしていきました。DPT-RP1では“読む” と“書く”ことに特化し徹底的にこだわっています。

人は“道具”を上手く使いこなすことで個人の持つ可能性を拡げていきます。手で書いた時の紙の感触や音、自分だけの筆跡は、無意識に創造性を高めてくれるものだと思います。漠然と多くの人たちにミートするものではなく、“書くこと”“読むこと”を大事にする人にとって、唯一無二の存在でありたいと思いました。」

人になじむ心地よい素材

「目指したのはまさに紙のような質感です。紙特有のわずかに繊維感のある優しい手触りは、人肌に近く心を落ち着かせてくれます。持つとすっと手に馴染み、ストレスなく読み書きに集中できる、そんな存在を目指しました。

紙に近いさまざまな素材を検証し辿り着いたのが、特殊な塗装による質感表現です。塗料に含まれる粒子サイズや、吹き方、艶加減、塗膜の厚み、全ての要素を微調整しながら試行錯誤を繰り返し、まるで紙でできているかのような肌触りの質感が生まれました。A4サイズという広い面積をムラなく塗装し、プラスティック素材を感じさせない手触りを出すために、製造ラインにも工夫をこらしています。」

紙の折り目から生まれた機能的な形

「最初はタブレットのようにフラットなリアパネルも選択肢に入っていました。しかし完全にフラットだと、机の上に置いた時に掴みにくくなります。また、背面を薄く削いでいくと、手に持った時に滑りやすくなってしまいます。使いやすい道具として成立させるために、プロダクトデザインで解決できないか考えました。

自然な造形でグリップできる要素を入れられないか? 色々考えている中で、一枚の厚紙にカッターで切れ目を入れて立体化すると、しっくりきたのです。さまざまな形状の折り目を試し、縦方向でも横方向でも、どんな持ち方でも手になじむ造型としてこの形状が生まれました。

リアパネルの稜線部分の出っ張りはわずか0.2mmです。1mm程度から試作をはじめ、コンマ数ミリ単位の調整をし、厚みを犠牲にしない機能的な指がかりを実現しました。また、稜線部分を脚として機能させることで、リアパネル全体に汚れや傷がつかない構造にしています。

わずかな稜線と陰影だけを用いて商品にキャラクター付けをし、主張しすぎずとも一目でデジタルペーパーとわかってもらえる点も大切にしています。」

読み書きのための“紙”の佇まい

「普段、読み書きのために紙を使うときは、ペラペラな1枚で使うのではなく、クリップボードなどを活用して使うことが多いと思います。そのイメージから、ベースになるボードの上に1枚の紙がクリップされたような佇まいを目指しました。
DPT-RP1は、フロント全面がフラットなシートで構成されているので、端から端までストレスなく書き込むことができます。またフロント面も紙の質感を徹底して再現しており、鉛筆やボールペンで紙に書いているような感覚を感じていただけると思います。

パッケージでは商品性を直感的に感じとっていただけるように、クラフト系の質感を活かして段ボール素材を化粧することなく用い、家電製品を想起させがちな黒の印刷ではなく、白の印刷を施すことで文房具に近い印象を与えました。さらに自宅の本棚に入れても違和感のないサイズを複数の候補から選択しています。製品を取り出したら捨てられるものではありますが、パッケージも道具を使うという体験の一部として愛着を持っていただければ、という想いを込めています。」

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