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商品情報・ストアヘッドホンスペシャルコンテンツ XB 開発者インタビュー

誰も体感したことのないような、本物の重低音がここにある。

低音のビートや音圧の気持ち良さを表現するためにこだわり抜いたテクノロジー

松尾 このヘッドホンで一番重要なのが低音の再生能力です。通常のヘッドホンの場合、演奏者と聴衆との間に有る程度の距離があるコンサートホールのような状況を想定して音作りを行っていますが、クラブのフロアでは密閉された小さな室内で大音量で聴きますから、かなり低い帯域の音がダイレクトに耳というか体に響いてくる。コンサートホールなどは、演奏者と聴衆の距離があるので、距離が遠くなるほど低音は減衰していく。それが実際の音に近いと考えていたんですが 、密閉された小さな室内で、音楽を爆音で聴くクラブのフロアでは、音の減衰が非常に少なくて、かなり低い帯域の音がダイレクトに、耳というかカラダに響いてくる。

小宮山 そういう低音のビート感や、直接肌で感じる音圧の気持ち良さを、ヘッドホンで表現したかったんですよね。

松尾 それを実現するためのテクノロジーが“ダイレクトバイブストラクチャー”なんですけど、これは“振動板で直接鼓膜を揺るがす”といった意味合いなんですね。先程も触れましたが、非常に低い帯域の音を出すには、ドライバーユニットから鼓膜までの気密を高める必要があるんですが、今まではヘッドホンと耳の間で空気の通気が大きかったので、ヘッドホン自体の気密性はあまり気にしなくて良かった。ところが、ヘッドホンと耳の間の気密を高めると、部品間の気密を高める必要が出てきた。そこで、部品の接合部を気密するために、“密閉ボンディング”という工程や“密閉リング”という部品を追加して、密閉度を高めているんです。

小宮山 こういった手法は、防水用の機器などで使われるものなので、本来ならそこまでやる必要はないんですね。でも、今回は音質のために、ここまで徹底してやっている。

松尾 もう一つは、このヘッドホンのために専用のドライバーユニットを新たに開発しているんです。低音の再生には、どういった振動板の形状がいいか、どんな材質がいいのかといったことを、これまでの蓄積を元にシミュレーションして、低音再生に特化した振動板をつくったんです。でも、密閉度が高いので、振動板が弱いとヘッドホンを装着したときの空気圧で、振動板が変形したまま戻らなくなるんですよ。そうなると使い物にならないから、変形に強い振動板を考えなければならない。

小宮山 でも、低音を出すには振動板の可動域を幅広くして、なおかつクイックに動かす必要があるから、しなやかじゃないといけないんですね。“強くて、しなやか”という矛盾したものをつくるには、ゼロから起こす以外なかったんです。

松尾 ヘッドホンメーカーは数多くあれども、ドライバーユニットをゼロからつくれる会社は少ない。ソニーは、これまでにもドライバーユニットをたくさんつくっているので、そこで培った技術、材質に関する高い知識、製造現場での高度なスキルなどがある。長いヘッドホンの歴史のなかで培ったテクノロジーの粋を集めて、このヘッドホンにつぎ込んでいるんですね。もちろん、低音をしっかり出すのも重要ですけど、だからといって高音域に対して無頓着でもない。クラブという場所は、音の拡がりや奥行き、動きなども同時に感じられる場所なので、高音域の聴こえ方や感じ方もすごく重要だと思っているんです。そういう意味では、バランスの取れた音づくりができたと思ってます。

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