ケーブルテレビ徳島株式会社 様
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設営・撤収の迅速化と人員配置の柔軟性により大型番組中継を少人数で可能にする
ソニーの「Networked Live」によるIP中継車

徳島県徳島市に本社を置き、ケーブルテレビサービスとインターネット接続サービスを提供するケーブルテレビ徳島株式会社(愛称:テレビトクシマ) 様。2025年3月にソニーの「Networked Live」によるIP中継車を導入され、5月より本運用を開始されました。ケーブルテレビ徳島株式会社 取締役コンテンツ事業部長 中山 哲也 様ならびに技術本部 ネットワーク技術部長 岩佐 達矢 様に、IP中継車導入の経緯や決め手、実際にお使いになられてのご感想や、今後の展望についてお伺いしました。

ケーブルテレビ徳島株式会社
取締役コンテンツ事業部長
中山 哲也 様

技術本部
ネットワーク技術部長
岩佐 達矢 様

中継番組を得意とするテレビトクシマ

−4チャンネルの自主放送チャンネルを擁するテレビトクシマ

中山様:当社の自主放送チャンネルはメインチャンネル2つ、サブチャンネル2つの計4つがあり、メインチャンネルの1つは地域情報番組の生放送を柱とした独自編成のチャンネル、もう1つは県内16ケーブルテレビ局の共通編成のチャンネルです。サブチャンネルの1つは県内の定点カメラのライブ映像を常時放送、もう1つは市町村議会中継やショッピング番組を放送しています。

岩佐様:徳島市は、全国的に有名な「阿波踊り」が開催される場所で、当社の看板コンテンツにもなっています。これまで、その生中継に力を注いできた結果、中継の設備や人材などが充実し、今ではスポーツやイベントの中継・収録番組が当社の番組編成の目玉となっています。

リモートやリソースシェアによる省力化がIP導入の決め手に

−3チャンネルの同時生中継に対応する、3つのサブと1台の中継車

中山様:以前のサブ・中継車設備は地上波デジタル放送が開始した時期に導入したもので、更新の時期を迎えていました。今回のIP中継車は、2022年に導入した本社のIPサブと一体化した計画の中で導入を図ったものです。当社には、生放送の地域情報番組を主に制作しているスタジオが1つと、サブが3つ、中継車が1台あります。4つの自主放送チャンネルのうち、地域情報番組とスポーツやイベント中継、さらに市町村議会中継など3つの生中継が同じ時間帯に重なることがあり、3つのサブと中継車が必要でした。

先行して2022年に更新導入を図ったIPサブ

岩佐様:ケーブルテレビ局である当社は地上波の放送局などと比べて、人員の数にも制約があります。当社には専任の制作技術スタッフはおりません。私は、中継の際に計画や技術管理を担当していますが、メイン業務はネットワークであり、放送はあくまで応援の形です。しかし、大規模な中継などの際は、機材の仮設などが多く、設営やトラブルシューティングのために現場に出向かざるを得ないなど、準備・設営から撤収までの間に大きな負荷がかかっていました。IPならば、リモートセッティング・リモートメンテナンスが可能になり、負荷を軽減できるのではないかと考えていました。

−サブと中継車、一体でのIP化提案ができたのはソニーだけ

中山様:サブと中継車を合わせてIP化すれば、スタジオサブとも一体化したリソースシェアや、リモートプロダクションを行うことができると考えました。岩佐をはじめとするネットワークに詳しい人材が社内に充実していた点も、IP化推進の1つの動機でした。

岩佐様:「サブと中継車を一体でIP化更新する」という提案を数社にお願いしましたが、計画をスタートした2019年当時、その要望にお応えいただけたのはソニーだけでした。当初は費用面の課題もありましたが、仕様の精査などを進めることで、最終的には費用面でも納得できるものになり、システムの連携性や共通性、使い勝手、この先10年以上使う将来性を見据えて、ソニーの「Networked Live」によるIPサブとIP中継車の導入を決めました。

IP化が実現した、これまでにないオペレーションの迅速・柔軟性

−先行したサブのIP化で、中継車のIP化にも自信

岩佐様:先行したサブのIP化更新を終え、スタッフが問題なく使いこなせている様子を見て、「中継車もIP化でいける」という自信を得ました。

中山様:サブのIP化更新の前には若干の不安もありましたが、使い勝手は今までと変わらず、設定変更などもソフトウェアで簡単に変更でき、何か間違えても元の設定を読み込み直せば済むため、制作スタッフも怖がらずに使用していました。

−『MLS-X1』と『HDC-3500』を中心に据えた中継車

中山様:IP化した中継車には、ライブプロダクションスイッチャー『MLS-X1』をハーフプロセッサー構成で導入しました。HD時に2M/E、32入力・32出力の構成です。コントロールパネルは、2M/E・12XPTボタンのラックマウントサイズの一体型パネルを採用しました。カメラはマルチフォーマットポータブルカメラ『HDC-3500』を5式、大型レンズアダプター『HLDA-3505』もあわせて導入しています。『HDC-3500』はCCUに代わり、IPエクステンションアダプター『HDCE-TX30』と組み合わせています。

中継車のスイッチャー卓、ワンマンオペレーションに対応できる配置が特徴

2M/E・12XPTボタンのラックマウントサイズの一体型パネルを採用

中継車とあわせて導入されたマルチフォーマットポータブルカメラ『HDC-3500』

ライブプロダクションスイッチャー
MLS-X1

製品情報 >

マルチフォーマットポータブルカメラ
HDC-3500

製品情報 >

−中継車と本社は光ケーブル1本、「リソースシェア」で機材・映像も共用可能に

中山様:中継車と本社は、光ケーブル1本で接続でき、機材・映像・音声・インカム全てのリソースが共用できます。本社サブのコントロールパネルから中継車のスイッチャー本体のオペレーションも可能ですし、本社サブから中継車側カメラのリモートコントロールもできます。

岩佐様:スポーツ中継用のスローサーバーは本社のマシンルーム内に設置しており、中継車側でも本社サブでもオペレーションできます。IPならではの、人員配置の面でとても柔軟な構成を取れるシステムとすることができました。

中継車背面のジープ盤、黄色い光ケーブル1本で本社と全てを接続できる

−IP化で設営・撤収もリモート化、短時間で終わるようになり、スピーディに

岩佐様:以前の中継車では、スローサーバーは都度、中継車外に仮設をしていました。そのため、設営や撤収に手間や時間がかかり、人員が取られていたのも悩みでした。IPの良いところは、中継車と本社の全ての機材が相互にフル結線されているような状態のため、設定変更だけでシステムを瞬時に自由に構築できることです。ベースバンドでは、力仕事による物理的な運搬・設置やパッチ上げなどが必要でした。仮設機材の多い大規模な中継では、これが大きな違いになります。

中山様:これまで、平日のレギュラーの生放送が終わって、日曜に大きな中継、月曜日にレギュラーの生放送となると、設営・撤収の時間が足りず大変でした。

岩佐様:例えば、IP化を行ってからはLSM(ライブシステムマネージャー)でセッティングを読み込むだけでシステム構成をリモートで瞬時に変更できるようになりました。これまで、私が中継現場に出向かなければならなかったような場面でも、出向かずに済むようになりました。

中継車側のリモートセッティングも行える、本社サブ内のLSM(ライブシステムマネージャー)

−受けサブでも現場に出向いているかのような状況確認が可能に

中山様:IP中継車の導入で、制作スタッフのオペレーションにも変化が生まれました。本社の受けサブで中継車側の映像ソースが全て確認できるようになり、受けサブスタッフも現場に出向いているかのように状況確認が行えるようになりました。例えば野球中継では、タリーが来ていないカメラ映像からバッターチェンジの動きなどを素早く把握し、先回りしてテロップを仕込んだりすることも可能になりました。

岩佐様:中継車とサブでそれぞれのオペレーションのバックアップもできるようにもなりました。中継車側でPinPを入れようとして手間取ってしまった場面で、受けサブ側のスイッチャーでPinPを入れるフォローをした事例がありました。全ての映像ソースを受けサブのスイッチャーでも取ることができる、IP中継車導入ならではのオペレーションだと思いました。

IP化での生産性向上を番組のクオリティーアップへ

−今後は、本格的なリモートプロダクションや最適な人員配置の模索へ

岩佐様:今回導入したシステムは、今のところ運用はHDですが、システム的には4K にも対応可能です。この先10年を見据えた柔軟性の高いシステムを導入することができたと思います。

中山様:中継での人員配置は、今のところスローオペレーターのみ中継車から受けサブ側に引っ越しただけです。しかし、少しずつ本格的なリモートプロダクションや、当社に合った人員配置の模索をしていきたいと思っています。決して人員削減が目的なわけではありません。生産性向上を図った上で、今後はその余力を、さらなる個々の番組のクオリティーアップや、番組本数の充実につなげていきたいと思っています。

納入特約店: 株式会社レスター

※本ページ内の記事・画像は2025年7月に行った取材を元に作成しています

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