法人のお客様Networked Liveスペシャルレポート 北海道文化放送株式会社様

スペシャルレポート

※本ページは2019年5月時点での情報を基に作成しています

事例紹介
北海道文化放送株式会社様

局内基幹ルーティングを将来を見据えIP化 ファイルベース統合と4Kへの備えも実現

北海道文化放送株式会社様は、国内地上波テレビ放送局として初めて、基幹系映像信号のルーティング設備を、NMI (Network Media Interface)によるIP Liveプロダクションシステムをベースに構築され、2019年4月より運用を開始されました。

  • 真崎 晋哉様
    技術局 映像ソフト部
    部長
    神尾 旨且様
  • 真崎 晋哉様
    技術局 映像ソフト部
    チームリーダー
    山崎 弘貴様

将来10年以上を見据え4K対応ルーティングに

当社では、地上波デジタル放送対応のため、2004年に更新をしたマスター設備が15年を経過することから、2019年2月に更新を図る計画を立てていました。これまでの基幹ルーティング設備はHD-SDIベースでしたが、この先10年、15年といった期間の運用を見据えた場合、どのようなインターフェースで整備を図るのがいいのかが、悩みどころでした。4Kについては、まだ具体的な部分は見通せている状況ではありません。しかし、4Kに対応しておかないと将来困るかも知れない、というのが共通認識でした。

将来性、柔軟性、通線スペースからIP化を決断

4K対応を考えた場合、検討を開始した2018年の時点では3つの選択肢がありました。3G-SDIのクアッドリンクと12G-SDI、さらにIPです。局舎は本館と新館に分かれていますが、本館にマスタールーム、回線設備、報道サブがあり、新館には制作サブと編集室があります。本館と新館の間の通線容量には大きな制約があり、現状でもいっぱいの状況でした。このことから、通線本数が4倍となる3G-SDIの選択は現実的に不可能でした。一方で当時12G-SDIはこれからと言う印象でした。そこで、通線本数も節約でき、将来的に柔軟な拡張や4K化が図れるIPで進めていこうという方向性になりました。

今回の更新では、局内回線ルーター、回線収録、ENG素材のインポート、編集などをネットワーク化しました。LLVC(Law Latency Video Codec)を使用したNMIによる映像のリアルタイム伝送と共に、編集の素材やサブ出し完パケのファイルベース転送などもこのネットワークに一元化しています。基本的に40Gbpsと10Gbpsの二層のネットワークで構成しています。編集室は17あり、内10室がオンライン、7室がオフラインになっています。従来の編集室は制作と報道で分かれていましたが、今回は統合を図りました。


回線収録のスペースの卓上に設置されたコントロール端末。どの回線を何時から、どの系統で収録するかをGUI操作で設定。右は接続の切り換えを行うリモートコントロールパネルMKS-R1620

更新のタイミングで順次IPへの統合を目指す

素材取り込み用のXDCAMStation。一番下に2式見えるのは4chインジェストサーバーPWS-110INGT

新規導入をしたIPベースの局内回線ルーターは既設のHD-SDIベースのルーターと当面の間、併用します。まだ、報道サブや制作サブがHD-SDIベースのためです。現状IPに収容している入出力は、情報カメラ、FPU、SNGなどの外線系と各サブとのインターフェース、回線収録レコーダーへの出力などです。来年度以降に控える制作サブの更新の際に、各サブのIP化を図り、スタジオカメラなども含めて、IPへの段階的な統合を目指していきます。

基幹系へのIP導入は地上波初ということで、不安がなかったわけではありませんが、XDCAMの導入でもローカルでは他局に先んじて行うなど、当社の社風には、新しいものを積極的に取り入れる文化がありますので、IP化は自然な流れでした。

IP化とファイルベース化で格段に便利に楽に

IPは今までのSDIと比べると、途中で信号を抜いて確認することができなかったり、経路が二重化されていたり、など、使い勝手の違いは感じます。一方で、ディスクなどの物理メディアを介したオペレーションに比べるとIPやファイルベースはとても楽になったと思います。特に回線収録については端末でスケジュールの設定や管理ができ、手作業や待機が不要になり、格段に便利になりました。まだ運用し始めたばかりではありますが、現時点ではIP化とファイルベース化は間違っていなかったと思います。


ラック室のNXL-FR316とその背面。NXLK-FR40F/1でSDI-IP変換

ファイルベースで収録・編集・送出、さらにアーカイブまで

今回、システムのIP化と同時に行った、ファイルベースワークフローの統合を受けて、今期は、オプティカルディスク・アーカイブ(以下ODA)によるアーカイブシステムの導入も計画しています。ODAは、テープアーカイブメディアに対して、保存性や信頼性の高さがあり、副本を用意する必要もなく、定期的なメディアのマイグレーションも不要であることが強みに感じています。「Media Backbone報道ソリューション」として、撮影・収録後の素材からアーカイブまで統合的に管理できることも魅力的に感じています。

IPをシステムで提案できるのはソニーだけだった

今回の更新に関する検討を開始する前からIPに関する情報収集は進めていました。Inter BEEなどの展示会においても「これからはIPかな」と感じていました。しかし、実際の導入となって検討を始めてみると、個別の製品としてはともかく、システムとして提案できるのはソニーしかありませんでした。


IP LiveシステムマネージャーPWS-110NM1を2式設置

ソニーには、これまでも制作サブや大型中継車、編集室などのシステムインテグレ―ションをお願いしてきていますし、社内のENGカメラやシステムカメラも全てソニーです。そのため、今までの実績からソニーには高い信頼を置いてきました。札幌にもサービスエンジニアの方がおり、素早くサポートをしてくれている印象がありました。IPには未知数の部分も多くありましたが、ソニーから具体的な提案を受けて、導入後のイメージがしやすく、スムーズに導入検討ができました。ソニーには、今後も引き続き、良いご提案と優れたサポートを期待しています。

主な導入機器

・16ボタンLCDリモートパネル MKS-R1620
・XDCAM Station XDS-PD1000/A
・4CHインジェストサーバ PWS-100/INGT

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