 |  | 脳に重傷を負った科学者を救うため、選ばれた5人の医師が潜水艦に乗ったままミクロ化され、科学者の体内に入って治療に向かう。与えられた時間は60分。レーザー光線で患部を焼き払ったのち、制限時間ぎりぎりになって眼から飛び出し、危機一髪を回避する‥‥。1966年にSF映画の金字塔を建てた『ミクロの決死圏』という映画のあらすじだが、実はその2年前、1964年にモノクロ版アトムの第88話で同じようなあらすじの『細菌部隊』がテレビ放映されていた。 これは、アトムとヒゲオヤジが70時間だけ縮小して人体に入って体内に生息する微小な宇宙人を退治したのち、時間切れ寸前で体外に脱出するという話であった。また、この『細菌部隊』の話は原作のアトムにはなく、手塚治虫が1948年に書き下ろした単行本『吸血魔団』(のちに『38度線上の怪物』と改作)が元ネタになっている。当時、まだ医学生だった手塚治虫ならではの発想だったのである。
新作アニメーション第14話『ミクロの大冒険』に、このエッセンスが再び盛り込まれた。ウランの耳から忍び込んだ「マイクロロボ」がウランの内部を破壊し始めた。ウランを傷つけないようにマイクロロボを退治するため、アトムはミニミニ博士が開発した「エクスプロータンク」でミクロの分身を作って、ウランの体の中に入る。無事マイクロロボを倒して元の姿に戻ったアトムだったが、事件はすべて、アトムの体を兵器に使うために盗もうとしたミニミニ博士が仕組んだことだった。 これは、アトムの物語で描かれたミクロの世界だが、「マイクロロボット」の開発は実際に取り組まれている。現在、世界最小ロボットとされているのがセイコーエプソンが開発した「ムッシュ」というロボットだ。ムッシュは約1立方センチ角のロボットで、光センサーで光を感知しながら自律走行する。 このようなマイクロロボットは単体で働くのではなく、1つの細胞として考えられ、群体で働くような構想がなされているようだ。『鉄腕アトムのロボット学』(集英社)の著者である名古屋大学の福田敏男教授はマイクロロボットの研究者であり、著書のなかで「私としては2015年には、アリ程度の大きさで、群行動をしながら環境に応じて隊形を組み換え、多用な作業をする『マイクロ群ロボット』を完成させたいと思っています」と語っている。 | |
画一化した機能を一斉に制御し、群体で大きな力を発揮させるやり方は(命令に忠実な)ロボットにこそ与えられる優れた手法かも知れない。 第10話『金星ロボット襲来!』では、冷凍能力を持つ金星改造用のロボットが使用されることなく海底で繁殖し、自分たちを指揮する「キャプテン」を待っていた。天馬博士がキャプテンとなったために、メトロシティに約2万体の金星ロボットが現れる。メトロシティを救うために立ち上ったアトムだが‥‥。 不要になった金星ロボットを海底に沈めた人間の身勝手さが引き起した事件だが、そもそものロボットの使い方としては間違っていなかったはずだ。人間の踏み込めない危険な場所で、環境に応じて集団で作業を進めさせるという目的なのだから。ただ、人間に危害を加える命令も執行しようとする制御部分に欠陥があった。 実は、AIBOも群行動を果たす。無線LANカードを挿入すれば、1台のPCから同時に10体のAIBOを操作できるようになるのだ。この機能を使って、「ROBODEX」などで『AIBOミュージカル』という集団パフォーマンスが実演されている。
18世紀の紡績機械や蒸気機関から始まった機械文明は、20世紀前半の兵器開発で発展した時期を経て、テレビや洗濯機などの家電製品へと遷移し、内蔵される機械はどんどん小型で高性能になって行った。21世紀になった今、それら家庭に存在する機械類はネットワークで統合され、すべてを一元管理できるところまで発展している。これから、個々に性能が満たされた機械製品は「組織化」して操られる段階になったということだろうか。 実際、音声認識と画像認識の機能を持つAIBOのようなロボットがネットワークの中心になって、人間と機械の間に立ち、お年寄りや身体の不自由な人のインターフェイスの役割を担うことは構想されているようだ。古くからSF映画の中で描かれているような、家の中のシステム(機械類)を声や身振りだけで操れるようになる時代はすぐそこまで来ていると言えるだろう。 さらに、“ナノテクノロジー”と呼ばれる分子・原子レベルの研究が盛んになり、機械類がどんどん微細化されてそれらを組織化できる技術が整えば、ロボット開発は新たなフェイズに差し掛かるだろう。アトムのような人間に近いロボットは、そのような新しい段階を経ないと決して生まれることはないだろうと考える。 |
   |  |  |  | 7つの威力は変わってきた? アトムの7つの威力は時代と共に変わっています。最初の頃の原作では、10万馬力/空を飛べる/60カ国語を話す/人の善悪を見分ける/耳がよく聞こえる/目がライトになる/どんな計算も1秒でできるでした。アニメが始まると、10万馬力/ジェット&ロケットエンジン/60カ国語を話す(カラー版で160カ国語)/人間の心の善悪を感じとる/1千倍の聴力/サーチライト/マシンガンに変わりました。現在のアニメでは、10万馬力/高度な人工頭脳/空・宇宙・海の中も進む推進力/透視能力を持つ目/1万倍の聴力/フィンガービーム/アームキャノン砲の7つです。 |  |
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