 |  | ロボットが人間の形をする必要がないことはAIBOを見ても明らかだが、日本で開発されるロボットには「人型(ヒューマノイド)ロボット」が多いという。それは、原作のアトムと最初のモノクロ版アニメのアトムの影響が大きいことは確かなことだ。20世紀の日本に「アトム」という人型ロボットのイメージが浸透していたからこそ、21世紀になって人型のロボットが開発されるに至っているのだ。 では、ロボットを人型にする必要性はどこにあるかと考えると、その形態をした対象に“感情移入”できるかどうかということに答えの一つがあるのではないかと考えられる。 AIBOは犬のようなペットの形態をしているからこそ可愛がられるのであって、ゴキブリやクモのような形態をしていれば、今ほどのオーナーは存在しなかっただろう。
映画『ブレードランナー』の原作となったSF小説の名作『アンドロイドは電気羊の夢を見るか?』(フィリップ・K・ディック作)のなかでは、アンドロイドが感情移入できるか否かが大きな意味を成すと提唱されている。著者のディックは「感情(親切心)」があるからこそ人間なのであって、そうでないのはアンドロイドである、と当時の殺伐とした人間社会を諷刺している。感情のなかったはずのアンドロイドの方が本来の人間らしい振る舞いをするのはおかしいと、人間の精神の崩壊に警鐘を鳴らしているのだ。 AIBOは自律しているために、人間の言うことをきかないことも多い。その自分勝手な態度が逆に感情移入できる要素にもなっているというAIBOオーナーの声をよく聞く。実際、自分の思い通りにならないAIBOに触れていると、「機嫌が悪いのかな?」とか「仕方がないか‥‥」とか、生き物としてへの感情移入が生まれてくる。 AIBO開発者の一人である、ソニーR&Dラボラトリーズの藤田雅博氏によると「AIBOと人間が経験を共有することで生まれるインタラクション(相互作用)を知ることは、人間の脳の働きを研究することに繋がる」そうだ。つまり、AIBOというロボットは人間の感情を含めた脳の研究に貢献し、延いてはより高性能の人工知能を開発する手がかりになっているわけだ。そして、その対象が「QRIO」のような人型になると、違った反応が得られるだろうと藤田氏は続けた。 | |
第36話『恋するロボット』のなかで、アトムは「恋」という新しい感情に目覚める。宇宙開発を目指す学生のキャンパス「スペースキャンプ」にやってきたアトムは「ロクサーヌ」という女学生と出会い、恋をしてしまうのだ。アトムの体は熱を上げ、経験したことのない感覚に調子を狂わす。だが、アトムと同室になった「アントン」もロクサーヌのことが好きで、アトムは恋の橋渡しを頼まれる。ロクサーヌのことを想いながらアントンの名前で手紙を書くアトム。その手紙に感動したロクサーヌはアントンに魅かれ始めるのだが‥‥。 ロクサーヌは初対面のアトムが宇宙ロケット「ホルス2」を設計すると知って好意を抱くのだが、そのシーンはロボットとの対話を越えた尊敬を示していた。人間からロボットへ好意の感情が渡され、その感情を受け止めたアトムのなかで変化が起きたのだ。だが、アトムは困っている人を見れば、自分を犠牲にしてでも助けに行く。問題が「恋」の場合でもそれは同じだった。
誤解を恐れずに言えば、アトムには「心」があると言うより「道徳」があると言ったほうが相応しいかも知れない。ロボットの姿をした道徳の象徴だ。 人は本当は、アトムのように私利私欲を差し置いて振る舞いたいと思う気持ちが潜在的にあるのではないか。それは日本人特有の(遺伝的な)感覚かも知れないが、現在の資本主義の社会に対応するために、自ら道徳に対する壁を作ってしまっているのではないか。 江戸時代には「思いやり」の道徳教育が根付いていたといわれている。親が子を思う気持ちのように、相手の幸せを考えて接せよということだ。その教育は今の日本人の根底にもきっと受け継がれているはずだ。 アトムは人間の根底にある純粋な部分を体現しているため、その姿を自分に照らし合わせたときに「愛」を感じる。道徳観のなくなったニュースばかりが目立つ現代に、アトムの存在は安らぎを与えてくれるのだ。 人間とは何者であるかを正確に答えることは難しい。ただ、1+1=2という理論が正しいとするならば、科学のなかで万国共通の答えがある程度導けるはずだ。だとしたら、ロボットを造ることは人間にとって必要な作業なのかも知れない。人間同士が争わずに共存できる世界を見出すことに繋がるのかも知れない。そして、アトムやAIBOは既に我々に何かを示しているのかも知れない。‥‥アトムもAIBOも“科学の子”なのだから。 |
   |  |  |  | アトムの恋愛遍歴 アトムはこれまでにも何度か恋愛をしています。原作の『海蛇島』の巻では、ポチョムポチョム島からボトルメッセージを流したルミコを助けようと毎夜通ううちにアトムは恋心を抱きます。また、『アトム今昔物語』のなかでは、アトムを蘇らせた信ちゃんの娘であるスルメに愛を告白されます。でも、ロボットであるアトムの恋は実りませんでした。アトムの恋が実ったのは、1981年放送のカラー版アニメの最終回『アトムの初恋』のときです。アトムの試作品の設計図から造られたニョーカに恋をするのですが、爆弾が組み込まれていたために分解されてしまいます。ただ、両足だけが残り、それを自分の足と取り換えてもらって一緒になることができたのです。
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