ご担当者の紹介
株式会社瀬戸内海放送
報道クリエイティブユニット マネジャー
伊藤 佑将 様
技術ユニット兼 報道クリエイティブユニット グループリーダー
浜辺 亮介 様
報道クリエイティブユニット
庵原 昭悟 様
株式会社瀬戸内海放送は、岡山・香川を放送エリア、営業エリアとするテレビ朝日系列の民間放送局です。1969年の開局以来、地域のブランドメディアとして役に立つ情報や楽しいコンテンツを提供し、コミュニケーション文化を通して生活者の今を支援すると共に、メディアを活用したマーケティングソリューションを提供し、地域経済と文化の発展に貢献しています。
瀬戸内海放送は、瀬戸内海をはさんだ香川県と岡山県の両県にまたがって放送をしており、広い範囲の報道を担っています。
即時性の高いニュースを放送するために、現場に赴き情報収集し、撮影した映像をなるべく早く本社に届けるよう努力しています。そのような状況の中で、各地の通信員からの素材伝送をより効率化するために、クラウドを利用した『C3 Portal』の活用を検討しました。『C3 Portal』であれば、簡易中継機のような高価な機材や専用回線を用意する必要がなく、場所を選ばず遠隔地に映像を早く伝送できるため、われわれが求めているワークフローを実現できると考えました。
『C3 Portal』は技術のメンバーが数年前のInter BEEで情報収集していたことに加え、ソニーの製品担当者の方がクラウド製品の紹介の際に弊社に来社され『C3 Portal』のデモンストレーションをしてくださり、実際のサービスを見てさらに興味を持ちました。簡易中継機の台数が限られているなかで、遠隔地から本社に映像を届ける方法を検討していたタイミングだったのですが、『C3 Potal』であればスマートフォンで簡単に伝送ができるとのことで、まずは実際に活用できるかを検証してみることにしました。
検証期間中は、いろいろな条件で『C3 Portal』を利用してみました。使用するカメラを、所有していた『PXW-X500』や『PXW-Z450』、『PXW-Z90』で検討したり、当時まだ持っていなかった『PXW-Z280』のデモ機をお借りしたりしながら、それぞれの使い勝手を比較していきました。さらに、Creator’s Cloud for Enterpriseのアプリの使い方の試行錯誤や、どのUSBルーターを使うか、転送方法はストリーミングにするのかチャンク転送にするのか、など最適解を見出すために、詳細までトライアルをさせていただきました。途中には、製品担当者やカスタマーサポート窓口に相談に乗っていただき、疑問点を一つずつ解決し、最も良い使い方法を検討することができました。
結果的には新しく『PXW-Z280』のカメラを購入し『C3 Portal』を利用することに決めました。簡易中継機を買い足すことに比べると費用を抑えることができますし、現状は通信員の自宅に回線を引いていますが、そのランニングコストや回線工事などのことを考えると、LTEの回線で伝送ができるというのはより簡単に導入できかつ業務も効率的になると考えたからです。伝送方法はチャンク転送で利用することにし、伝送するプロキシ映像は6Mbpsと9Mbpsから選択できますが、通信状況をテストした結果、私たちは9Mbpsを利用しています。
『C3 Portal』を現在最も利用しているのは、岡山側にいる通信員です。通信員は、居住地域を中心に各地に出向き撮影、取材をしているメンバーです。
通信員は、『PXW-280』にUSBルーターを接続し、取材をしながらその最中にチャンク転送で映像素材のファイルを本社に伝送します。撮影をしている間に素材は社内のサーバーに届いているため、届いた映像から編集を効率的に始めることができますし、撮影後に改めて伝送する時間を取る必要がありません。また、車で移動をしている間も伝送を続けることによって、時間を効率的に使うことができます。以前は、夕方のニュースに間に合わせるために取材後に急いで自宅に戻り伝送作業をしたり、もっと早く必要な時には現場から本社にわざわざメディアを持って行くこともありましたが、『C3 Portal』を活用するようになってからは車で数十分の移動がなくなり、時間を確保することができるようになりました。取材するエリアや時間帯の守備範囲が拡がったことで、より多くのニュースを届けることができるようになったと思っています。
瀬戸内海放送では、テレビ放送におけるニュースだけではなく、WebニュースやYouTubeでの配信にも力を入れています。多くのニュースを、より早く視聴者の方、地域の方に伝える必要があると考えているからです。以前はテレビで放送をしてからアップロードしていたWebニュースやYouTube動画ですが、ニュースの鮮度を重視するため、最近は放送より先に掲載することも多くなっています。即時性がより重視されるWebニュースにおいても、われわれ放送局としては、現場の様子をわかりやすくかつ臨場感をもって伝えるためにも、映像を重視しており、そんな時にも素早い映像伝送ができる『C3 Portal』は重要だと思っています。
また、私たちは『XDCAM Pocket』(モバイルアプリ)も活用しています。事件や事故が起きたときにカメラを持っているとは限りませんが、スマートフォンはたいてい持っています。スマートフォンの内蔵カメラを使って撮影し、そのままアプリから『C3 Portal』を利用して会社のサーバーに伝送できるので、出先で事件・事故などに出くわした際の映像もニュースに活用することができるようになりました。また、大きなカメラを設置して撮影ができないような場所、例えば道路に近い場所などでも、スマホで撮影をしてアプリからそのまま伝送ができるので、素早く現場の情報を伝えることができました。

『C3 Portal』の画面
現在は一部の通信員が『C3 Portal』を利用していますが、今後はその利用人数を増やしていきたいと考えています。放送局としては、ニュースのライブ配信や速報が求められていると思っていますが、Webニュースや自社のホームページ、YouTubeなどプラットフォームが多様になっているため、求められる映像も変わってきています。『C3 Portal』を活用してより早く映像を集め、どこよりも早くニュースを出していけるようにしたいと考えています。