登壇者の紹介
大阪工業大学 情報科学部 情報知能学科
越智 徹 准教授
専門は情報工学、情報教育、オンライン授業、情報倫理。情報処理学会の会誌編集教育分野主査、論文誌編集委員なども務められています。近年は、社会不安下における善意型誤情報拡散のAI分析にも取り組まれています。
ソニーマーケティング株式会社主催のセミナーにおいて、大阪工業大学 情報科学部 情報知能学科の越智徹准教授をお招きし、大学における講義の録画、オンライン授業用の動画制作、そしてA2 Production講義映像解析エンジンの活用についてご講演いただきました。本記事では、越智准教授の講演をもとに、教育現場で実践されている“無理なく続けられる”動画活用の考え方と、A2 Productionが講義動画の見やすさ・使いやすさを高めるポイントをレポートします。
AI映像解析を中心としたクラウドサービスです。映像制作、企業セミナー、教育分野など、幅広い映像活用のシーンで煩雑な編集作業を支援します。
A2 Productionの機能の一つである講義映像解析エンジンは、大学の授業や企業研修などでの長尺動画を、学習者が見返しやすいコンテンツへ整えるための機能です。講義内容に応じたチャプター分割、要約テキスト生成、フィラーワード除去、ダイジェスト編集などにより、長い講義動画を「見やすく、振り返りやすい」コンテンツへ変換します。
越智准教授は、2025年夏の学会でA2 Productionを知り、大学での説明会・試験導入を経て、2026年4月から大阪工業大学で活用を開始しました。現在は、対面授業の録画公開や今後のフルオンデマンド講義に向けた準備を進めています。
主に活用されている「講義チャプタリング」機能では、授業録画をAI解析し、チャプター分割、要約テキスト、学習問題を自動生成します。実際に、雑談や演習時間を整理することで動画尺が元の3分の2程度に圧縮される効果も確認されています。詳しくは導入事例をご覧ください。
講演の最後には、A2 Productionへの率直なご要望として、再エンコードによる画質劣化の改善、分割動画のYouTubeプレイリスト作成の自動化、要約テキストのYouTube動画概要への自動反映、カットされたシーンをテキストで確認できる機能などが挙げられました。こうした教育現場ならではの声を真摯に受け止め、今後の機能改善やサービス開発に活かしていくことで、より実践的で使いやすい講義動画活用サービスを目指していきます。
越智准教授の実践から見えてきたのは、オンライン授業や授業動画制作を「大がかりなプロジェクト」として構えすぎないことの大切さです。まずは手元のPCで録画し、教材の種類に応じて文書と動画を使い分け、編集に時間をかけすぎず、継続できる運用をつくる。その積み重ねが、学生にとって復習しやすく、教員にとっても無理なく続けられる学習環境につながります。
A2 Production講義映像解析エンジンは、授業録画を学びに活きるコンテンツへ変えるAI解析ツールです。講義動画をより見やすく、探しやすく、活用しやすい形に整えることで、教育現場の動画活用を支援します。
ここでは、実際のセミナー録画をA2 Productionで解析したチャプター要約を紹介します。長時間の動画でも、全体像や各チャプターのポイントを短時間で確認できます。
| No. | チャプタータイトル | 要約 |
|---|---|---|
| 1 | オンライン授業への取り組みの背景 | 本講義では、オンライン授業への過度な身構えを解消することを目的とする。担当教員は2020年のコロナ禍を機にオンライン授業を開始し、約2年間のリアルタイム形式授業を経験した。2023年以降は対面授業に移行しつつも全授業を録画し、近年はオンデマンドと対面を組み合わせたハイブリッド型を実施。本年度は初の完全オンデマンド形式で行う。 |
| 2 | オンライン授業設計の考え方 | 対面授業とオンライン授業は設計が異なり、100分の授業をそのままオンデマンド動画にする必要はなく、60〜70分程度が適切である。機材はノートパソコン1台から始められ、音質改善のため数千円のUSBマイク導入が有効である。また、学生のカメラ強制オンは通信回線を圧迫するため不要との見解も示された。 |
| 3 | コロナ禍以降の授業方針 | コロナ禍以降、授業運営方針を大幅に見直し、口頭指示を廃止して資料のPDF配布へ移行した。また授業を収録し、欠席者や復習を希望する学生への対応に活用している。教材の形式については、コマンドや数式など文書で伝わる内容はテキスト、操作手順やグラフィカルな説明など視覚的理解が必要な内容は動画と、メディアの特性に応じて使い分けている。 |
| 4 | オンデマンド授業の実践 | 本講義では、動画収録の実践的手法について解説する。収録にはPowerPoint、Zoom、OBSを活用し、一時停止や分割機能を駆使して効率的に制作する。授業はGoogle ClassroomとZoomを併用し、対面とオンデマンドを組み合わせた形式で実施する。オンデマンド動画はYouTubeの限定URLで配信し、Googleフォームで学習状況を確認する。編集の手間を軽減するツールの活用も検討している。 |
| 5 | A2 Production導入の経緯 | 講師は1年前の学会でソニーのブースにて本システムを知り、大学上層部に導入を働きかけた。大学のオンデマンド授業推進方針とも合致し、試験導入を経て今年4月に大阪工業大学で正式採用された。現在は対面授業の録画を復習・欠席者向けに公開しており、後期のフルオンデマンド講義にも活用予定である。 |
| 6 | A2 Productionの機能と活用事例 | 本講義では、A2Pのチャプター分割・雑談カットを活用した講義動画の編集事例を紹介する。言語論やオートマトン等の授業動画に適用した結果、雑談などの不要部分が適切にカットされ、動画の再生時間が元の約3分の2になった。また、要約テキストや学習問題の自動生成機能も備えており、今後の活用が期待される。 |
| 7 | まとめと今後の要望 | 本講義では、授業動画の編集・活用についての課題と要望が述べられている。A2Pを活用した動画処理により、テキストや字幕データを蓄積し、授業の振り返りや次年度以降の活用を目指している。一方、再エンコードによる画質劣化、YouTubeへの手動アップロードの煩雑さ、処理時間の増加といった課題も指摘されており、自動化による改善が期待されている。 |