テレビ朝日が運営する『TOKYO DREAM PARK』は、2026年3月、東京・有明に誕生した次世代の複合型エンターテインメント施設です。「夢中から、はじまる。」をコンセプトに、エンターテインメントとテクノロジーを融合させ、訪れる皆さま一人ひとりの「夢中」から新たな感動や体験が生まれる場所をめざしています。地上9階・地下1階、敷地面積約12,900㎡の施設には、高品位な音響を備えた多目的ホール『SGC HALL ARIAKE』、劇場『EX THEATER ARIAKE』をはじめ、イベントスペース、開放的な屋上広場、レストランなど、フロアごとに異なる体験価値を提供する設備を備えています。さらに、最新の映像・音響技術を活用したコンテンツや、テレビ朝日ならではの番組やIPを生かしたイベントも展開。有明から新たなエンターテインメントの可能性と街のにぎわいを創出し、子どもから大人まで幅広いお客さまに「ここでしか味わえない驚きと感動」をお届けしてまいります。
株式会社テレビ朝日
技術局 コンテンツ技術センター
報道技術グループ
長谷川 正和 様
株式会社放送技術社
事業本部
東京第2事業部 マネジャー
開作 浩治 様
長谷川:着席時は最大約3,700人、スタンディング時は5,000人超を収容可能なSGC HALL ARIAKEにおいて、本格的な音楽ライブや大型イベントの収録では、中継車を設置し、複数台のシステムカメラと多数の撮影スタッフを配置した体制で撮影を行います。それとは別に、施設内の収録室から少人数のスタッフで簡便かつ高品質に映像を収録・配信できる常設の簡易収録システムも構築したいという構想がありました。ホール内には常設4台、舞台上1台の計5台のカメラを配置する計画でしたが、この複数台のカメラを効率よく運用するには、高精度なオートフレーミング機能を備えたリモートカメラの導入が不可欠だと考えました。
長谷川:機種の選定にあたっては、主要メーカーのPTZカメラで詳細な比較検討を重ねました。SGC HALL ARIAKEという広大な空間での運用を想定し、2階の客席中央に設置したカメラからステージ上の演者のバストサイズやウエストサイズまでしっかり寄って捉えられる高いズーム性能が必須でした。さらに複雑な動きのあるステージ撮影にも対応できるスムーズな追随性能、ホール内の複数個所から離れた収録室までの長距離伝送への対応、イベント進行中の設置でも鑑賞を妨げない静穏性、そしてテレビ朝日の既存システムとの親和性といった複数の要件を満たすことが求められていました。ちょうどその検討段階で、ソニーのPTZオートフレーミングカメラ『BRC-AM7』が発売されることを知りました。実際にデモを行い検証したところ、搭載されている「全画素超解像ズーム」を使用することで、解像感をほとんど落とさずに狙ったウエストサイズまで寄れることが確認でき、これが大きな選定ポイントとなりました。
開作:実機の検証やデモの際にも、『BRC-AM7』のスムーズな追随性能や、高い人物検出精度には目を見張るものがありました。他社製品と比較してフレーミングの安定感が非常に優れており、動きのあるステージ撮影でも自然でプロフェッショナルな映像表現が可能になるだろうと感じました。
長谷川:ホールから収録室までの伝送距離が長いため、SFPモジュールを装着して光伝送に対応できる点。さらに、客席のすぐ近くに設置しても演目やお客さまの鑑賞を妨げない高い静音性能を備えていることも決定打となりました。そして、テレビ朝日の中継車や番組制作現場で広く稼働しているソニー製システムカメラと色合わせがしやすく、既存のRCP(リモートコントロールパネル)による統括制御や操作性の親和性が高いことが、『BRC-AM7』を選んだ大きな理由です。
長谷川:現在、SGC HALL ARIAKE内には、左右の客席付近に1台ずつ、2階客席中央に2台、計4台の『BRC-AM7』を常設配置しています。さらに6階に構えるスタジオにも少人数運用を目的として2台の『BRC-AM7』を配置し、リモートコントローラー『RM-IP500』やWeb RCPを活用して制御を行っています。あわせて、屋上庭園を臨む位置にはソニーの旋回型4Kカラービデオカメラ『BRC-X400』を屋外定点カメラとして設置し、施設周辺の景観描写や屋外イベントの撮影の際に活用しています。
長谷川:開業前に行われたお披露目イベントでは、実際にオペレーター1名とスイッチャー1名という少人数の体制で、全5台のカメラを用いたテスト収録を実施しました。実際に運用したカメラマンからは、「1人で5台ものカメラを同時にコントロールしながら画角を作り込む際、『BRC-AM7』があれば強力なサポートになる」という高い評価を得ました。画質面においても、4KやHDといった各種フォーマット、24pをはじめとする多様なフレームレートに対応しているだけでなく、照明を落とした暗いホール内でもノイズが少なくSN比に優れた鮮明な映像が得られることを確認できました。テレビ朝日の中継車へ信号を引き込んで運用する際にも、普段使い慣れたRCPで違和感なく色調整や制御が行えるため、制作現場の技術スタッフからも好評です。
開作:施設のオープンから数カ月、本格的な運用はまだこれからですが、テレビ朝日のイベントや配信番組ではすでに『BRC-AM7』を一部で活用しています。人気バラエティー番組の公開イベントでは複数台の『BRC-AM7』を稼働させたほか、1台をステージ上に設置して客席側を臨む逆打ちのカメラとして活用するなど、多様なアングルからの撮影を行いました。人手を大幅に省力化しながらも、従来の有人カメラと遜色のない高品質な映像表現を実現できており、導入による業務効率化と高いクオリティー維持の両立を強く実感しています。
開作:今後は、ホール常設の大型LEDビジョンと連携したダイナミックな映像演出をはじめ、『BRC-AM7』の特長を生かして来場者や視聴者のイベント体験をより豊かにするさまざまな施策を検討していきたいと考えています。
長谷川:実際のエンターテインメントの現場では、たとえば多人数のアイドルグループの複雑なフォーメーション移動やキレのあるダンスなど、非常に難度の高い撮影条件が存在します。ソニーには、今後のファームウェアアップデートを通じて、オートフレーミングにおける複数人の識別精度や追随性能が一段と向上すること、そしてプリセットポジションへの移動完了後に即座に自動フレーミングを開始する機能などの追加を期待しています。
TOKYO DREAM PARKは、多様なエンターテインメントコンテンツを発信する最先端の拠点です。今後も『BRC-AM7』をはじめとするソニーのリモートカメラシステムをフルに活用し、少人数で持続可能な制作ワークフローをさらに進化させながら、これまでにない魅力的な映像体験を提供し続けていきたいと思っています。
※ 本記事は2026年8月に行った取材を基に作成しています
リモートカメラシステムは、カメラ操作をリモートコントローラーで行うカメラシステムです。少人数でのオペレーションを可能にし、カメラ設置が困難な場所でも効果的に利用できます。特に、ホールや会議室などの広範囲を撮影する際に適しています。オンライン講義やオンラインセミナーの重要性が増している中、リモートカメラシステムは従来の放送設備や映像制作用途にとどまらず、教育設備や各種ホール、会議室、Web会議システム、さらにはライブ動画配信や動画コンテンツ制作など、さまざまな用途での活用が期待されています。