株式会社鳥取テレトピア 様

手話通訳者の身長差をAIが自動調整 議会中継のアクセシビリティ向上に貢献するPTZオートフレーミングカメラ

私たち鳥取テレトピアは、鳥取市内を放送エリアとするケーブルテレビ事業者です。「いなばぴょんぴょんネット」の愛称で親しまれ、ケーブルテレビやインターネットサービスを通じて地域に密着した情報発信を行っています。行政情報や地域イベント、タイムリーな農業情報、小学校や公民館の活動紹介など、地域の暮らしに役立つコミュニティ番組を自社で制作・放送しています。また、手話ニュースや医療講演会の放送など、多様な世代のみなさまが安心して情報に触れられるコンテンツづくりにも力を入れています。2000年の開局以来、「地域の人が登場し、地域の人が主役になり、地域の人が情報を発信する」を番組づくりの柱として、地域の活性化と豊かな暮らしの実現に貢献しています。

株式会社鳥取テレトピア
制作部 次長
松尾 一郎 様

議会中継現場と手話通訳者の負担を軽減するPTZオートフレーミング機能

鳥取県は、全国で初めて手話を一つの言語として認める独自の「鳥取県手話言語条例」を制定した、いわば“手話の聖地”です。鳥取市も同様に手話の普及や障がい者福祉に力を入れており、弊社も開局から25年以上にわたり、手話番組を継続して制作し続けてきました。そうした土壌がある中、鳥取市議会では2022年(令和4年)より、議会中継画面への手話通訳のワイプ表示をスタートさせ、「よりひらかれた議会」の実現に向けたさらなるアクセシビリティの向上とバリアフリー化に力を注いでいます。

この手話通訳者の撮影も私たちが手掛けており、従来はハンドヘルドカメラを三脚で固定して使用していました。ここで課題となっていたのが、通訳者の身長差です。議会中継での手話通訳は、通常3名の通訳者が約15分おきに交代しながらローテーションで行っています。通訳者の中には小柄な女性がいる一方、180cmを超える男性もいて、その身長差は30センチ以上に及ぶこともあります。これまでは、遠近法を使って背の高い方が後ろに下がり、背の低い方は前に出てもらうことで画面上の高さを合わせたり、通訳者全員にカメラの前に並んでもらい、それぞれの頭が切れないような画角を探ったりするなど手間のかかる準備を行っていました。

こうした撮影現場での対応に加えて、通訳者のみなさまが抱える負担も大きな課題でした。通訳者は、難解な専門用語が飛び交う議会での発言を瞬時に聞き取り、リアルタイムで手話に翻訳するという高度で緊張感のある業務に従事されています。そのような状況の中で、交代のたびに「立ち位置はここで合っているだろうか」、「画角からはみ出していないだろうか」などと気を遣わせてしまうことは、番組を制作する側として非常に申し訳なく、なんとか解決したいと以前から頭を悩ませていました。また、手話の撮影現場によっては、踏み台を使って高さを調整するところもあり、交代する際に足を踏み外す不安があったり、台の上で手話をすることに気疲れを感じたりするという話も聞いています。そこで、撮影スタッフと通訳者双方の負担を軽減すべく、画面内に常に最適な位置に人物を収めてくれるカメラの選定を進める中で、ソニーのPTZオートフレーミングカメラ『SRG-A40』を知りました。早速デモ機を借り、通訳者の方々にもご協力いただきながらシミュレーションを重ねた結果、「この精度なら現場の負担を軽減できる」と確信し、正式な導入へと踏み切りました。

議会中継の手話通訳者を撮影するために導入された『SRG-A40』

手話通訳者がカメラや立ち位置を意識せず集中できる環境を実現

SRG-A40は、被写体の顔や骨格を高い精度で認識し、画面内の常に最適な位置に被写体を収めてくれるPTZオートフレーミング機能を搭載しています。さらに、手話通訳者の移動スペースに合わせて「追尾範囲」機能を設定することで、交代時の通訳者の入れ替わりをオペレーションなしでもスムーズに捕捉してくれます。手話通訳者が15分おきに入れ替わる際、前の人がフレームアウトして次の人が入ってくるまでのわずかな時間にも、カメラが急激に動くことなく、非常になめらかに次の通訳者を捉え直します。長身の男性から小柄な女性に交代しても、手話を行うのに適した胸元から頭の上までのゆとりを持った画角に自動でアジャストしています。視聴者の方々が中継映像を見たときに、身長差がある通訳者同士が入れ替わっても大きな違和感がない自然なフレーミングが実現できています。

また、以前は中継が始まる前に、手話通訳者のみなさまにカメラの前に並んでもらい、画角調整とリハーサルを繰り返していましたが、導入後はこの一連の準備作業がほぼ不要になりました。通訳者の方々からは「本当に楽になった」、「カメラを一切気にせずに自分の通訳だけに集中できる」と喜ぶ声が聞かれています。立ち位置を気にしなくてよくなったことで、通訳業務そのもののパフォーマンス向上に大きく寄与していると感じられます。中には、「本当に素晴らしいシステムなので、他の自治体にも薦めて普及させてほしい」と話す通訳者もいるほどです。

議場内の映像に手話通訳の映像を組み合わせて作成・放映する様子

ローカルメディアの持続可能な撮影環境の構築に貢献

鳥取市議会のアクセシビリティ向上をめざすこうした取り組みは、全国の自治体の議員や事務局の担当者からも注目されており、毎年多くの方が視察のために鳥取まで足を運んでくださっています。その中には、「自動でここまで認識してスムーズに動くのか」と、SRG-A40の性能の高さに驚いて帰られる方も少なくありません。すでに、他の自治体からも具体的な問い合わせや相談が届き始めています。どのような機材構成で運用しているのか、導入に必要な期間や工事規模はどの程度か、保守体制をどのように構築しているかといった実装面での質問に加えて、議会中継以外の他の用途での活用可能性についても尋ねられることが増えています。行政職員や撮影スタッフ、手話通訳者といった専門人材はリソースが限られており、撮影現場での負担軽減は、鳥取県全体にとどまらず、全国の自治体が直面する共通の課題となっています。SRG-A40のようなPTZオートフレーミングカメラを取り入れることで、カメラの操作に人員を割いたり、通訳者に負担をかけたりすることなく、クオリティーの高い議会中継を放送することが可能になると思います。

今後は議会中継だけにとどまらず、私たちが手掛けている地域の音楽イベントや合唱コンクールなどの収録でも、このカメラを積極的に活用していきたいと考えています。特に指揮者を捉えるカメラとしては、立ち位置が固定されていながらも指揮者によって身長差や動きに違いがあるため、そうしたシーンでもPTZオートフレーミング機能の力が発揮されると思います。これからもさまざまな制作現場でSRG-A40の活用を進めることで、撮影環境のさらなる改善につなげ、少人数で多様なコンテンツを届ける持続可能なローカルメディアの未来を切り拓いていきたいと考えています。

[手話通訳ワイプ用カメラによるイメージ動画]

右画像のように身長差のある人物が交代しても、PTZオートフレーミング機能により、被写体の身長に合わせて自動的に適した構図に調整される様子をご覧ください。

手話通訳者の交代の様子が分かるように撮影いただいたサンプル動画

システム概要

PTZオートフレーミングカメラ
SRG-A40 × 1台

※ 本記事は2026年7月に行った取材を基に作成しています

リモートカメラシステム

リモートカメラシステムは、カメラ操作をリモートコントローラーで行うカメラシステムです。少人数でのオペレーションを可能にし、カメラ設置が困難な場所でも効果的に利用できます。特に、ホールや会議室などの広範囲を撮影する際に適しています。オンライン講義やオンラインセミナーの重要性が増している中、リモートカメラシステムは従来の放送設備や映像制作用途にとどまらず、教育設備や各種ホール、会議室、Web会議システム、さらにはライブ動画配信や動画コンテンツ制作など、さまざまな用途での活用が期待されています。

PTZオートフレーミングカメラ
SRG-A40

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