暗闇でホタルが飛び交う風景の中に身を置くと、思わず時間を忘れます。幻想的な風景を記憶に留めるだけでなく、写真に残してみませんか?
ここでは、ホタルを撮影し、記憶に残る光景により近い写真に仕上げる方法を紹介します。

ホタルを撮影する準備

明るいうちに準備

ホタルが棲む里山はとても暗い場所です。夕暮れなど少し明るい時間に行って、辺りの状況を確認しておきましょう。道が細いことも多いので、三脚を立てる位置など他の人の迷惑にならない場所をあらかじめ検討しておきます。

ブレを防ぐために用意するもの

ホタルの撮影は長時間シャッターを開ける必要があるため、星空の撮影や夜景撮影などと同じく三脚でカメラを固定して撮影をします。三脚を使った撮影ではリモートコマンダーがあると便利です。これにより、シャッターを押し込んだ際の振動によるブレを防ぐことができます。また、三脚を使用する際は、誤作動を防ぐため手ブレ補正機能をオフにしておきましょう。

明かりに注意

ホタルは光ることによって、オスとメスがコミュニケーションを図って子孫を残しています。フラッシュなど、カメラからの発光以外にも、車のライト、ハザードランプ、懐中電灯、スマートフォンや携帯電話の液晶画面などの明かりは、ホタルの繁殖行動を邪魔してしまいます。また、他の鑑賞者や撮影者への配慮も必要です。明るいうちにカメラの設定を済ませておき、撮影中にカメラの液晶を確認する場合は黒い布を被るなどして周囲への配慮を忘れないようにしましょう。

カメラの設定をする

ピント

暗いシーンではオートフォーカス(AF)が合わないため、ピントはマニュアルフォーカス(MF)で合わせます。MFアシストやピント拡大を使い、拡大しながらピントを合わせます。

露出

Mモード(マニュアル露出)で設定します。以下の設定は、かなり暗い場所を想定しています。試し撮り用の仮設定と考えてください。月明かりや街灯など、撮影場所によっても暗さが変わりますので、まずは試し撮りをしてから設定を調整していきます。

  • 絞り:開放
  • シャッター速度:10秒前後
  • ISO感度:使用するレンズの開放値がF2.8以下であればISO400、F3.5以上であればISO800からISO1600に設定

その他の設定

  • ホワイトバランス:太陽光もしくはオートホワイトバランス(AWB)
  • [長秒時ノイズ低減]または[長秒時NR(ノイズリダクション)]:入
    シャッター速度が1秒または1秒より遅いときにノイズ軽減処理を行います。この処理には、設定したシャッター速度の長さと同じ時間がかかり、処理中はメッセージが表示され、撮影できません。

明かりへの配慮

  • フラッシュ:発光禁止(内蔵フラッシュ搭載モデルの場合は、フラッシュをポップアップしない)
  • AF補助光:切
  • [ファインダー/モニター選択]または[FINDER/MONITOR]:ファインダー(マニュアル)(搭載されているカメラのみ)
  • モニターミュートまたはモニター消灯を活用して適宜消灯する(搭載されているカメラのみ)

撮影する

ホタルが光り始めたら試し撮りをします。試し撮りの結果から設定を調整します。

風景が明るくてホタルの光跡が見えにくい場合

シャッター速度を速くする、ISO感度を下げる。

ホタルの光跡は写っているが風景が暗すぎる場合

シャッター速度を[BULB]にして1分、2分と長めに露光する。

ヒント

[サイレント撮影]が[入]では[BULB]に設定できませんので[切]にします。その他バルブ撮影について詳しくは以下のページをご覧ください。
バルブ撮影(BULB撮影)をしたい

ホタルの光跡が太く明るすぎる場合

絞りを1〜2段絞る。

ノイズが出る

ISO感度を下げ、シャッター速度を遅くする。開放F値の小さい明るいレンズを使用する。

たくさんの光跡を一枚の写真にする

三脚でカメラを固定し、フレーミング(構図)を変えずに複数枚撮影して画像処理ソフトで合成すると、一枚の写真にたくさんのホタルの光跡を表現できます。明滅を繰り返しながら移動するたくさんのホタルをバランスよく合成すれば、記憶に残る光景に、より近い写真に仕上げることができるでしょう。「比較明合成」ができる画像処理ソフトが必要です。比較明合成は、複数の写真の明るい部分だけを重ねていきます。

  1. 背景となる写真を撮影する。

  2. ホタルの光跡は見えるが、背景は暗く沈む程度の露出で複数枚撮影する。

    複数枚撮影するにはインターバル撮影機能(搭載されているカメラのみ)を利用したり、ロック機構付きのリモートコマンダーを使うと便利です。ドライブモードを[連続撮影]にしてレリーズボタンをロックすれば、自動でシャッターを切り続けます。連続撮影時は、[長秒時ノイズ低減]または[長秒時NR(ノイズリダクション)]は[切]になります。

    使用できるリモートコマンダーは機種により異なります。ご購入の際は、リモートコマンダーの対応機種をよく確認してからお買い求めください。

  3. 画像処理ソフトを使い、撮影した背景用の写真と、ホタルの光跡の写真を重ねる処理を行う。

    サンプル画像(5枚の写真を合成)
    複数のホタルの光跡が暗闇に浮かんでいるイメージ写真

ホタルの撮影におすすめのレンズ

広角レンズでは広い風景の中に乱舞するホタルを表現できます。中望遠や望遠領域をカバーするレンズでは一匹のホタルにクローズアップしたり、レンズの圧縮効果でたくさんのホタルが密集している雰囲気を表現したりできます。撮影場所やホタルの数によって焦点距離が変えられるズームレンズもおすすめです。

  • G Masterならではの高い解像性能を実現。圧倒的進化を遂げた第2世代大口径F2.8広角ズームレンズです。16mmから35mmまでのズーム全域で、F2.8による大きくなめらかなぼけ描写が被写体に立体感を与えます。静止画・動画問わず、風景や夜景、さらにはスナップ、ポートレートまで、幅広いシーンで表現者のこだわりに応えます。

  • 使用頻度が高い広角24mmから中望遠105mmまでをカバーし、レンズ1本でスナップから人物、風景、ウェディングなど多彩な撮影シーンに対応する標準ズームレンズです。ズーム全域で画面周辺までシャープな描写を追求しながら、Gレンズならではの美しいぼけ味が楽しめます。

  • 開放F値1.4からG Masterならではの圧倒的な高解像と美しいぼけ描写、そして高いAF性能を約516gの小型・軽量設計のレンズで実現。静止画・動画問わず、幅広いシーンにて表現者のこだわりに応えます。

  • シャープな描写と息をのむ柔らかなぼけ味を追求した100mm中望遠単焦点STF(Smooth Trans Focus)レンズ。レンズ本体のリングを使ってマクロ域への切り換えが可能な「マクロ域切り換え機能」では、上質なぼけを生かしつつ、最短撮影距離0.57m、最大撮影倍率0.25倍の近接撮影が可能。暗い場所での撮影や近接撮影時の手ブレは、レンズ内蔵の光学式手ブレ補正機構により効果的に補正します。

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