撮影の基礎知識

シャッター速度とSモード

シャッター速度とは

シャッター速度とは、イメージセンサーの前にあるシャッターが開いている時間のことです。シャッターが開いている間、イメージセンサーに光が当たり、その光をもとに画像が作られます。シャッター速度は、レンズから入る光の大きさを調整する絞りと共に、露出を決定する要素のひとつです。

A シャッターが開いている状態
B シャッターが閉じている状態

上の写真はカメラのシャッター部分です。Aがシャッターが開いている状態で、イメージセンサーに光が入っています。シャッター速度が長ければ長いほど、センサーに入る光は多くなります。例えば、シャッター速度を1/60秒から1/30秒に変化させると、光の量は2倍になります。

Sモード(シャッター速度優先モード)

Sモード(シャッター速度優先モード)とは、シャッター速度を任意に設定できるモードです。シャッター速度を決めると適正な明るさの写真になるように、絞り(F値)とISO感度はカメラで自動的に設定されます。動いている被写体をなるべく止めて写したり、水や光の軌跡を写したいときに適しています。オートモード、Pモード、Aモードでは、シャッター速度はカメラが自動的に決定します。
シャッター速度はSモード、Mモードで自由に調整することができますが、機種ごとに設定できる速さの範囲に限度があります。

シャッター速度による写真の効果

シャッター速度による表現の違い

シャッター速度を変えると、写真の表現をコントロールすることができます。滝に流れる水を、シャッター速度を変えながら撮影しました。

  • A シャッター速度:1/1250秒
  • B シャッター速度:1/20秒
  • C シャッター速度:1/4秒

Aの写真が3枚の中では最もシャッター速度が速く、1/1250秒です。シャッターを開いている時間が短いため、水の一瞬の動きを止めて写すことができました。Bの写真はシャッター速度1/20秒です。シャッターが開いている間に水が流れ、動感のある写真となりました。Cの写真が最もシャッター速度が遅い、1/4秒です。長時間シャッターを開くことで、水の流れを絹のように写すことができました。

このように、シャッター速度を変えることで、動く被写体の見せ方をさまざまに変えることができます。シャッター速度を変えながら撮影して、撮りたいイメージに近づけていきましょう。

早い動きを写し止める

スポーツの撮影や野鳥が飛び立つ瞬間など、動く被写体を止めて写したい場合は、なるべくシャッター速度を速く設定しましょう。被写体の素早い動きによるブレを防ぐことができます。

シャッター速度を1/4000秒に設定することで、ボールを捉えようとする一瞬を止めて撮影することができました。

水や光の軌跡を表現する

水の流れや光の軌跡を写したい時はシャッター速度を遅く設定しましょう。

シャッター速度を5秒にすることで、花火の軌跡を写すことができました。

シャッター速度を遅くすればするほど、手ブレを起こしやすくなります。花火や夜景など、シャッター速度が自然と遅くなってしまう暗いシーンでの手持ち撮影は、ISO感度を上げることでシャッター速度をその分速くすることが可能ですが、画像にノイズが出やすくなります。
ブレ防止のためだけでなく、ISO感度を上げることによるノイズ発生を抑えるためにも三脚を使い、カメラを固定して撮ることをおすすめします。

動いている被写体を撮影する際は、被写体の動きによる「被写体ブレ」にも注意が必要です。カメラを持つ手、被写体のどちらか一方でも動いていると、画像がブレて不鮮明な写真となってしまいます。シャッター速度を速くしながら撮り直してみましょう。
ブレて不鮮明になったネコの作例
シャッター速度:0.5秒