アクティブスピーカー「ARA-ZX1」開発者インタビューアクティブスピーカー「ARA-ZX1」開発者インタビュー

02 新開発のターボシフトで幅の広い音を再現

関   筐体とダクトの部分の完成形がみえてきた。でもそれだけだと目指している音にはならないんです。そこでうちのオーディオ開発部というところで研究した内容をSRS-ZX1に採用しています。
伊藤   メビウスダクトなど新たな機構を取り入れたスピーカーが提案されたので、それに合わせた新たな発想のサウンドエンジンが必要ということになり、私の所に話が来たんです。実はSRS-ZX1に関しては、関がコツコツやっていた部分もあったので、もう寝耳に水でした(笑)。幸運だったのは、SONYには音響・音場を専門とする研究チームがあり、彼らの全面協力の下でサウンドエンジンの構想が一気に具現化したことです。
関   僕からの要求は、まずは豊かな低音であること。それでいてバランスのとれた音質を目指したいと。そこが2.1chシステムとの違いなんですが、低音のみにフォーカスを置いたものではなくて、全体のバランスを取りながら豊かな低音も実現していくことに注力しようと思ったんです。
伊藤   そこで新たに、32ビットの高速演算シグナルプロセッサーを搭載したサウンドエンジンを開発しました。これは社内のオーディオアンプ、それこそ10万円以上の機種に積まれているような高速プロセッサーなんです。なぜそこまでのものが必要になったかというと、サウンドエンジンに採り入れたターボシフトという機能を実現させるためだったからです。
関   ターボシフトというのは新開発のアルゴリズムなんですが、専門的に説明すると、音響心理学にある、ミッシングファンダメンタルという心理効果を使っています。人の耳というのは30ヘルツぐらいの音は、圧力としては感じるものの、音としてあまり感じないんです。これが60ヘルツぐらいになると耳でも聴こえるようになる。実は30ヘルツで鳴っている音にも、60ヘルツの音の成分が入っています。そこを技術的に取り出して加えてやると、本来聴こえなかった部分があたかも聴こえているように錯覚する。それが音の幅の広がりになるんです。

伊藤   SRS-ZX1では下の帯域のほうでそれを使っています。今まで本当は鳴っていたのに聴こえなかった楽器の音なども、SRS-ZX1を通すことで“音”として感じることができるようになります。
関   あとスピーカーユニットにはf0という、最低共振周波数というものがあり、それ以下の音というのは十分に再生できないんです。それがターボシフトの概念を使うことで、最低共振周波数より下の部分を持ってくることができるんです。これもSRS-ZX1が再生できる音の幅を広げています。
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