4月13日から毎週木曜日、全3回更新予定です。お楽しみに! プロカメラマン編 ファミリー編
プロカメラマン並木隆による サイバーショットT30徹底検証
プロカメラマン体験レポート
Report2 作品づくりにも使える拡大鏡モード
作品づくりにも使える「拡大鏡モード」
今回、T30を使った撮影の中でも接写はかなり楽しめました。僕自身が作品などを撮る際、花などを被写体にして接写しているということもあるのですが、T30は一眼レフと比べて手軽に接写ができ、しかも画質がいい。特に僕が気に入ったのが、サイバーショットならではの機能「拡大鏡モード」。これは面白いです。
通常、一眼レフで接写をしようとすると、マクロレンズなどを用意しなければならず、重装備になってしまいます。またマクロ撮影は被写体に寄れる限界があり、寄りすぎるとピントが合わなくなってしまう。でも「拡大鏡モード」ならば、通常では寄れない1cmという距離でもピントを合わせて撮影できる。一眼レフではさすがにここまで寄れません。このT30ならば本当に簡単に、「拡大鏡モード」を選択するだけで1cmの距離でも撮影できる。しかも花の繊維や繊毛まで階調豊かに表現できていますから、作品づくりにも使えます。もうスゴイの一言。
また接写は被写体を大きく写すので、少しのブレでも気になってしまうもの。でもT30ならば「拡大鏡モード」にも手ブレ補正機能が付くので、手ブレを気にせず撮影できる。これなら手ブレを起こしそうな接写でも安心して撮れますよ。
操作感も抜群でした。デジタルスチルカメラなどで接写をするときは、一度メニュー画面を呼び出し、モードを選んで……、と操作が面倒なのではと思っていました。が、T30は液晶の横にあるボタンを2回押すだけですからとても簡単でした。撮りたいと思ったときすぐにシャッターを切れるというのは、ココだと思った瞬間を逃さない重要な要素であり、大きなメリットですね。
接写でいい写真を撮るためのテクニック
ただ、通常接写を意識している方は多くないかもしれません。被写体を大きく撮ろうと思ったら、望遠ズームを使って撮影するというイメージが先行しています。でも自分から被写体に近づいて撮ることで、被写体の違った魅力を引き出せるんです。

たとえば花を撮るときなどは、上からではなく目線(カメラ)を花と同じ高さにして撮影するのがポイント。これだと地面も入らずにキレイに撮れますよ。また花がそんなに広く咲いていない場合は、わざと端が切れるようにして咲いている部分だけをフレームに入れます。こうすると写っていない外側にも花が咲いているようにぐっと広がりを感じさせることができるんです。このカメラなら一眼レフと比べて扱いやすいですから、どんどん撮る側が動いて面白い構図を工夫しながら撮ってもらいたいですね。
また接写は距離感を活かした写真も撮れるんです。背景が遠くなればなるほどボケるので、わざと被写体(手前)と背景(後ろ)が離れている場所を選びます。被写体と背景が15メートルぐらい離れていると、後ろがボケて被写体を引き立たせることができるんですよ。

さらにレンズが下になるようにカメラを逆さまにして撮影すると、よりローアングルになり、下からあおるような写真が撮れます。これは液晶が見えるからできるテクニック。一眼レフだとファインダーを覗けないですからね。こうやって撮れば、手前をボカした写真を撮ることもできます。
ホワイトバランスで自分の好きな色合いを出す
T30はサイバーショットならではの「接写」や「アングル」などの面白い構図のみではなく、再現性も素晴らしかったです。実はカメラメーカーさんが気にする部分のひとつに、色の再現性というのがあるんです。サンプル写真を撮るときも、さまざまな色がある場面、たとえばいろいろな色の花が咲いている場所などで撮影すると嫌がられることもある(笑)。それは色の再現性というのがコンパクトカメラの苦手とする部分だからなんです。
今回も紫色や青色の花が一面に咲いている場所など、わざと意地悪っぽく撮ったものもあるんですよ。でもT30はそれぞれの花の微妙な色の違いもちゃんと再現して、自然な色が出ている。花の色(紫色や青色)に引っ張られることもなく、葉っぱの色(緑色)もちゃんと出ていました。これには驚きましたね。また露出に関しても思ったような写真が撮れたので、自動で行なってくれる露出精度はかなりいいなと感じました。
さらに、色の話でいうと、ホワイトバランス機能を使えば雰囲気の違う写真にすることができます。T30ではオート、太陽光、曇天、蛍光灯、電球、フラッシュとそれぞれのシーンに合わせたホワイトバランスが用意されています。もちろんそれぞれのシーンに合わせてホワイトバランスを変えてもいい。でも外で撮る場合(太陽が出ているとき)に、わざとホワイトバランスを電球モードや蛍光灯モードなど本来のホワイトバランスとは違うものにして撮ることで、とてもユニークな色合いを出せます。
今回は白い花を接写するとき電球モードにして撮りました。こうすると全体的に青く幻想的な写真が撮れるんです。本来ホワイトバランスは正しい色を出すためのものです。しかし、作品づくりという観点では、その“正しい”にこだわる必要はない。だからこそ、面白い使い方ができるのです。難しいことを考えず青くしたり赤くしたり、写真の色を変えられる機能だと思って使うと、さらに写真が楽しくなると思います。
簡単に接写が楽しめるのはコンパクトサイズならではの面白さだと思います。特にT30の「拡大鏡モード」は1cmという距離まで被写体に近づける。これは本当に楽しいですよ。しかも色の再現性もよく、想像以上にいい写真、T30ならではの作品を撮ることもできると思います。一眼レフのよう難しいことを考えず、皆さんもぜひいろいろなアングルで撮って楽しんでみてください。
- 次回予告 -
ラストはスタミナや操作感、ケーブルや充電器などについて。細かい部分ではありますが、それらはT30を実際に使ってみないとわからないこと。コンパクトサイズのデジタルスチルカメラとしてのトータルバランスはどうか? をお伝えしようと思います。
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Report1 手ブレ補正機能の性能を実感!
Report2 作品づくりにも使える拡大鏡モード
Report3 いろいろなシーンで使ってみたいT30
プロカメラマン 並木隆
1971年東京生まれ。 1990年東京写真専門学校(現 東京ビジュアルアーツ)中退と同時にフリー。 カメラ専門誌などへの写真の掲載、執筆のほかに、各種写真教室の講師なども行う。 花などの自然写真をテーマに活躍中。
サイバーショットT30 ライターまりによる体験記
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