T30をひと言で表現するなら、トータルバランスが取れたカメラであるということ。
最近のデジタルスチルカメラはいろいろな機能が付いているけれど、やはり基本となるものがしっかりしていなければいけない。
前回、接写やホワイトバランスのよさをお伝えしましたが、それはカメラとしての基本がしっかりしているからこそ成り立つものなんです。
具体的に言うと、まずスライド式のレンズカバー。
レンズカバーが電源のON、OFFに対応していて、撮りたいと思ったときにカメラを出してすぐ撮ることができる。
今までだと電源を入れて、レンズカバーが自動で開いて……と、撮るまでのタイムラグがありましたが、T30は起動がとても早くレスポンスが非常にいい。
そのためシャッターチャンスを逃さず撮れる。これは大きなメリットです。
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次にシャッターの感覚。
半押しのときと全部押したときの違いが分かりやすく、写真を撮っているという感触が指からも伝わってくる。
フィーリングは言うことないですね。シャッターの切れがよすぎると、写すつもりもないのに写真が撮れてしまうことがあります。
でもT30はちょうどいいバランス。ズームスピードもストレスを感じることもなく、まったく問題なかったです。
スタミナがあるのもよかった。一度フル充電してしまえば約420枚撮影できる。これはフィルムカメラの場合で考えると、36枚撮りのフィルム約11本分です。
これだけの枚数を撮れるのだから、2泊3日ぐらいの旅行であれば充電器を持っていかなくてもいいと思います。
もし「心配だから充電器を持っていこう」ということになっても充電器が本当に小さい。これはうれしいですよ。
一眼レフはバッテリーもそうですが、充電器もかなり大きく重いんです。でもT30はバッテリー、
充電器ともにコンパクトで軽い。別売りの充電器(バッテリーチャージャー BC-TR1)は付属の充電器
よりさらに小さく、しかも急速でチャージできますから。もう言うことないでしょう。
付属のケーブル(マルチ端子専用USB・AV・DC INケーブル)にも感心しました。
今までだとUSBケーブル、AVケーブルなどそれぞれ分かれていましたが、
T30は1本にまとまっている。必要なときにいちいち探さなくていいというのは、僕にとっては本当に嬉しかったです(笑)。
T30は撮るということだけではなく、スライド式レンズカバーやケーブル、バッテリーなど細かいところまで本当に気を配って設計されている。
その気配りが、気持ちよくいい写真が撮れる、ということにつながっているんですよね。
ほかにも100枚の連写(VGAサイズ)や動画撮影、スライドショー機能など遊びの要素もいろいろあります。
フィルムカメラは撮るということがメインでしたが、デジタルスチルカメラは撮ることに加えて、デジタルだからこそできる遊びの要素も重要だと思うんです。
T30は撮ること以外にいろんな楽しみ方ができるという、デジタルスチルカメラの発展性を示してくれている機種だと思います。
水深40mまで使用できる「マリンパック」(別売り)を使えば水中カメラにもなりますしね。
そしてT30はオールマイティーに何でも、しかも手軽に撮れることが一番よかったです。
昼間ならまったく問題なく撮れますし、夕暮れや室内など暗い場所でもキレイに写せる。
T30が自動的に設定してくれるホワイトバランス(オート)も、自分が思ったように写真が仕上がり、さらにホワイトバランスを変えることで面白い写真が撮れる。
また“拡大鏡モード”(接写)は1cmという距離の撮影も可能で、ボケ味の演出もでき、被写体の違った魅力を引き出せる。
それはカメラの基本がしっかりしていると同時に、高感度であり手ブレ補正が付いているからだと思います。
ほとんどの一眼レフなどは手ブレ補正機能が付いているレンズを買わないと、その機能は得られませんから。
これからは夕暮れなどの撮影で、手ブレが気になり一眼レフを使うにはちょっと…、と思ったときにT30を使うという選択もできます。
T30の機能や性能によって写真の幅が広がり、今まで以上に撮ることが面白くなる。
これは素晴らしいことです。
やはりいい写真を撮るためには、カメラを持ち歩くことが大切だと思います。
いい写真というのは、撮った自分がいいなと思える写真です。
T30は1日持ち歩いても重くて疲れることもないし、バッテリーの心配もいらない。
いつでも手軽に持ち歩けるからこそ、T30はいろんな場面でいい写真、自分だけの一枚を撮ることを可能にしてくれるんだと思います。