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最高の音質、最良の装着感。
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成熟してきたヘッドホン市場とニーズの高まるインナーイヤー型
太田 松尾 ポータブルオーディオなどの普及により、ヘッドホンの需要はかなり盛り上がってきています。高級ヘッドホンと呼ばれる1万円以上の機種も、最近は新聞や女性誌でも取り上げられ、マニアの方たちだけではなく一般の皆様にも広がっています。そういう中でご提案させていただくのが、この「“EXモニター”MDR-EX90SL」です。

太田 EX90SLは、最近ニーズが高まっている密閉型(※1)のインナーイヤーヘッドホンとして企画しています。密閉型は、装着したときに耳をふさぐ感じになるので外からの音を防ぐことができ、音楽に集中することができます。また小さな音でも聴き取りやすいので、ボリュームをそれほど上げなくても十分音楽を楽しめるんです。 密閉型の音質的な特長として、よりパワー感のあるベースを出しやすいことが挙げられますが、EX90SLではさらに緻密な音の特性管理を行っており、特に中音域がフラットで、ボーカルがとても自然に聴こえるようにしています。もちろん楽器の音色も正確ですし、各楽器の位置関係なんかもビシッと正確に伝わってきます。 また、密閉型のデメリットとして、音の広がりがオープンエア型(※2)と比べるとどうしても狭い印象になりがちですが、EX90SLはそこも欲張って音作りをしており、雰囲気も十分感じられ、ジャンルを問わず音楽の世界に入り込めるヘッドホンに仕上げました。

(※1)「密閉型」・・・ドライバーユニットと耳の間が音響的に密閉されているタイプ。外の音が入ってきにくく、低音域が伸びやすい利点から、モニター用に適している。
(※2)「オープンエア型」・・・ドライバーユニットと耳の間が音響的に開放されているタイプ。 音響的にも装着感的にも開放感があり、一般的な音楽鑑賞に適している。


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ソニーならではの音質を実現させた13.5mmのドライバーユニット
MDR-CD900ST 太田 われわれの強みは、グループ内にソニーミュージックがあることなんです。実はソニー・ミュージックとヘッドホングループは以前から交流があるので、音を提供する側の意見を聞いたり、それを商品に反映させる技術・ノウハウの蓄積があります。EX90SLでは、アーティストの方やレコーディングスタジオの方などからスタジオモニターヘッドホンとしてご好評をいただいている「MDR-CD900ST」(写真参照)をベースに、密閉型インナーイヤーヘッドホンでありながら、プロフェッショナルユースにも十分対応できるレベルの音質を目指しました。

松尾 我々が最初に行ったのが、ヘッドホンの心臓部とも言えるドライバーユニットの検討です。これまでも密閉型インナーイヤーでは「MDR-EX51/EX71/EX81」という商品を発売しているのですが、これらのドライバーユニットは9mm。他社の製品でも8mmから大きくても11mmのドライバーユニットが主流だと思います。基本的にユニットの径が大きいほどダイナミックレンジが広く、音作りに有利なのですが、実際どこまでドライバーユニットが大きくできるのか、そこが最初の課題でした。大きすぎると耳に入れることができなくなってしまいますので、装着感を損わないギリギリの大きさを見出そうと試行錯誤した結果、密閉型としては初めてとなる13.5mmドライバーユニットが最適な大きさであると判断しました。


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密閉型音響構造よる徹底した音響特性コントロール
matsuo 松尾 ドライバーユニットが決定したあとは、音響設計に沿って、小さなボディに苦労して部品を収めるんですが、作業が進み始めたところで音響担当の太田が「いい音にする方法を見つけてしまったよ。申し訳ないんだけど、もうひとつ部品を追加したいんだ」って(笑)。動き出したことを変えるのにはものすごいパワーが必要ですし、部品の追加となると値段にも関係してくる。でもどう変わるんですか? って聴かせてもらうと、確かにいい音なんですよね。それならばやりましょう、と。それが何度も続きました(笑)。

太田 通常、インナーイヤーヘッドホンに組み込まれる音響調整部品は2つ、多くても3つがほとんどなんですよ。実はEX90SLはもともと4つだったんですが、試作機を聴いても納得できなくて、もっといい音にできるはず、と調整を繰り返した結果、さらに2つ増えました。6つも使っている商品は他にはないと思います。

松尾 部品をひとつ追加するごとに、全体のバランスをとらなければいけないのが大変でした。密閉型のヘッドホンは、オープンエアのヘッドホンと比べて空気の流れが非常に重要になってくるんです。オープンエアでは、多少の空気の漏れであってもそんなに音質には影響しないんですが、密閉型だと髪の毛1本の隙間でも音に影響してしまう。そこが設計する上で非常に困難なところでした。多くの部品を限られたスペースに納める難しさに加え、それぞれが完全に気密をとった状態で収まらなければいけない。通常の留め方だと空気が漏れてしまうので、超音波溶着という、超音波で樹脂を溶かして接着する方法を採用しています。これは2つの部品を完全にひとつにしてしまうので、空気が漏れないんです。また、部品の中には、気密を保つだけのために加えたものもあります。

太田 そこまでする理由は、やはり音質にこだわるからなんです。今回は密閉型の音響構造を徹底的に突き詰めることで、全帯域の特性を完全にコントロールしています。またアルミ削り出しの筐体を採用することで、クリアな中高音も再現できました。そこにたどり着くまでには、0.01mmの世界でのせめぎ合いがありました。 そういう苦労を経て、ある程度完成まで近づくと、基本的な音質は十分なものになるんです。そこから先は感性の世界で、料理の味付けのようなもので、朝と夜とでも感覚が違う(笑)。その段階までいくと、とにかくいろいろな音楽をたくさん聴いて判断します。最終的な音の判断というのは、機械ではなく人間の耳で判断するんです。数値やグラフは目安にしかならない。だから設計者の耳は非常に重要な役割を担っています。
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300個以上の耳型と耳型職人が生み出した装着感
headphone 太田 ヘッドホンの設計過程では耳型というものを使用しています(写真参照)。歯医者さんで歯型をとるのと同じ手法で、耳の形をとったもの。実はヘッドホンチームには代々、耳型をとる担当がいて耳型職人と呼ばれているんです。僕が4代目の耳型職人なんですよ(笑)。うちの部署に新しく配属された人には、儀式のように耳型をとらせてもらっていますし、変わった耳をした人がいたら、他の部署の方でもお願いして耳の形をとらせてもらっています。耳は、形から大きさや穴の形状まで千差万別、十人十色で、僕が就任してからもう40〜50個、歴代と合わせると300個以上の耳型をとらせてもらっていますね。

松尾 13.5mmのドライバーユニットを使い、さらに内部に音に関する部品を6つも入れるとなると、どうしても本体が大きくなってしまうんです。そうすると耳に入らない人も出てくるので、なるべくたくさんの人にフィットする形を見出さなければならない。そこで、耳型が役に立つんです。さまざまな形状の耳型を観察し、どうやったら耳にフィットするのかいろいろ検討を重ねるうちに、イヤーピースの位置をずらせば13.5mmのドライバーユニットが入るのではないかということになりました。まず検討結果を元に、数種類の試作モデルを制作しました。何百人もの人にテストするわけにはいかないので、ここでまた耳型に活躍してもらいます。実際に試作モデルを耳型にはめてみるとよくわかるんですよ、どういう形で人の耳に入るのかが。もちろん最終段階では、実際にいろいろな人たちにつけてもらい、微調整を繰り返しながら完成に近づけていきました。13.5mmのドライバーユニットを採用しつつ、万人に受ける装着感。その両立に一番苦労しました。

太田 今回、ドライバーユニットから耳の中に入る部分(イヤーピース)に角度をつけています。今までにない形なので、ちょっと不思議な印象を受けますよね。実はこれがソニーならではの工夫で、特許出願中なんですよ。さらに言うと、ヘッドホンの先端にシリコンゴムを使ったインナーイヤー型を発売したのは、ソニーが一番最初だったんです。そのときも、イヤーピースの形を決定するのに耳型が役立ちました。お客様からの反応もいいですし、イヤーピース自体もかなり完成された形なんだなと思っています。ヘッドホンは耳にどうフィットするかが非常に大事です。装着感と音の良さの重要度は、ヘッドホンにおいては50対50だと思っています。音質と装着感がすべて、と言っても過言ではないですね。

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見た目にも美しくスマートに装着できるデザイン
pushing 松尾 ドライバーユニットを13.5mmにして、イヤーピースも斜めにすることに決めたわけですが、独特のデザインをしているので、初めて見た方は付け方がわからないんじゃないかなと思ったんです。せっかくいいものをつくっても、間違ったつけ方で聴かれると全然よくない音になってしまうかもしれないので、スピーカーユニットから下向きにブッシング(写真参照)が出て、そこからコードが延びている、いわゆるインナーイヤーのスタンダードなデザインにしました。お客様に直感でつけていただけるように、この形になりました。

太田 装着方法については、最初はいろいろな意見があったんです。アウトドアユースを想定すると、カバンから取り出して、耳につけるまでの手順も考慮しなければなりません。例えば、家を出たあとでヘッドホンをつけようと思ったとき、つけ方が複雑だとストレスを感じてしまいますよね。やっぱりできるだけ簡単に装着できるほうがいい。

松尾 実際に人前でつけるしぐさが変だと美しくない。やっぱりスマートにつけられる形状にしたかったんです。そして装着した後の見た目も美しくありたい、と。アルミの削り出した面が、横から見たとき綺麗に見えるよう配置していますが、装着性の裏付けがあった上でのデザインのこだわりです。

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確かな技術に裏付けられた自信と妥協なき向上心がもたらした究極のヘッドホン
pushing 太田 EX90SLの開発は、スタジオで使うようなヘッドホンのクオリティーをインナーイヤーで実現しようとスタートしました。音質・装着感共に、プロフェッショナルユースでも耐えうるものになったと自負しています。さらにソニーのこだわりで、出荷前に1台1台手作業による音質調整をしています。ふつう、このタイミングでわざわざ人の手が入ることはほとんどないんです。でも、今回の音を完成させるためには、必要不可欠な工程だと思っています。


pushing 松尾 まず聴いてみてください。「音のいいヘッドホンはどれ?」って聞かれたときに、世界中の人に「これです」と言っていただけるヘッドホンを目指しましたし、実際にそうなったと思っています。試聴していただける機会があまりないので(※3)、それを伝えるのが非常に難しいのですが、買っていただいたお客様にはきっと満足してもらえると思っています。ポータブルオーディオでも妥協しない音質を、ぜひ体験してください。


(※3)ソニーショールームにてMDR-EX90SLをご試聴いただけます。
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