法人のお客様ラージセンサーカメラ 事例紹介 [映画「相棒 - 劇場版III -」 ドラマ「相棒 season12」

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映画「相棒 - 劇場版III -」 ドラマ「相棒 season12」2014年3月掲載

撮影監督 会田正裕 様

F65RS/PMW-F55の4K、ハイフレームレート撮影を人気シリーズの映画版やドラマで活用

テレビ朝日開局55周年記念として製作が進められている映画「相棒 - 劇場版III -」( 監督:和泉聖治、撮影監督:会田正裕) は、全編をCineAlta 4K カメラPMW-F55のXAVC 4Kを使って撮影されました。

また、2013年10月スタートのドラマ「相棒 season12」のタイトルバックの撮影では、CineAlta Premium 4K カメラF65による4KハイフレームレートのRAW収録が採用されています。

両作品の撮影監督を務めた会田正裕様に、それぞれのカメラ選定の決め手や、撮影時の状況、運用の成果、今後の可能性を伺いました。(取材実施:2013年9月)

XAVC 4Kで撮る映画に対する大きな期待からチャレンジ

4Kならではのクオリティーの高さと、効率的なデータマネジメントに有効なビデオフォーマットと評価して、全編をPMW-F55のXAVC 4Kを使って撮影

今回の作品は、当初から4K で撮影したいと考えていました。ハリウッドなどでは4K RAW収録を使うのが一般的ですが、私が注目したのは、CineAlta 4KカメラPMW-F55に採用されたXAVC 4Kです。長尺の映画撮影においては、RAWだとデータ量が膨大になり、予算やワークフローの面で難があるということも理由の一つですが、それよりもXAVCを映画の撮影で使うと、果たしてどんなことができるのか、その点に非常に興味がありました。

たとえば、画のクオリティーです。映画は大型スクリーンで上映しますから、一定のクオリティーは必要です。でも、それがRAWだと可能で、XAVCだと支障があるかというと、まったくそういうことはありません。厳密に技術的な精査を行えば違いが出ると思いますが、映像として比較すれば、プロでもその差や違いを簡単には指摘できないと思います。実際、今回の撮影でも検証を兼ねてRAWとXAVCで撮ったシーンもありますが、ブラインドテストで違いを見分けることは誰もできませんでした。

4K/24p、S-Log2を使って撮影

映画というのは、高精細な画質を観客に見てもらうのではなく、"汚し"の芸術とも言われるように、作品性を向上するためにさまざまな画づくりを行い、時に高精細さを打ち消すような表現を行うことも決して少なくありません。

XAVC は、映画の撮影においても十二分に活用でき、しかもHD制作と遜色の無いレベルのコストと、ワークフローで4K 撮影、4K制作を可能にすることを今回の作品で実証することができました。

効率的なデータマネジメントにも貢献するXAVCフォーマット

シーンごとに環境や状況に合わせて、三脚、クレーン、ステディカム、水中ハウジングなどを駆使して撮影を実施

デジタルシネマ制作では、撮影素材の管理、バックアップ、ポストプロダクションへの受け渡しといったデータマネジメントが重要な役割を担います。今回の作品もそうですが、映画では1,000カット近い素材を扱うことも少なくないので、効率的なマネジメントを可能にするビデオフォーマットが必要不可欠となります。

その点でもXAVCは、4Kの超高精細映像でも240Mbps(24p 収録時)という低ビットレートが大きな魅力です。取り回しが軽く、HDとそれほど差のない取り扱いや管理を可能にしてくれます。今回は、この利点をフルに生かして、クランクインして最初のロケ地となった沖縄から東京のラボへ、クラウドコンピューティングを使ってスピーディーに伝送する画期的なワークフローを構築することができました。

しかも、撮影では14Stopという広いダイナミックレンジを有効に活用するためにS-Log2ガンマを使っていますが、そのまま伝送するとラボ側で取捨選択や意図を把握することが難しくなってしまいます。そこで、XAVCの4:2:2 10bitイントラ圧縮コーデックというグレーディングに適した特性を利用して、現地で簡易的にカラーグレーディングを行い、素材とともにCDL(Color Decision List)を送りました。これにより、ラボ側に演出の意図や、撮影の狙いを明確に伝えることができました。

ロケ現場で撮影された素材に、演出の意図や撮影の狙いを示すために簡易的にカラーグレーディングを行い、クラウドコンピューティング経由でポストプロダクションに伝送する効率的なワークフローを実現

もちろん、バックアップも容易に行うことができ、信頼性・安定性に優れたデータマネジメントを実現することができました。クオリティーだけでなく、データマネジメントの観点でも、XAVCは極めて優秀なビデオフォーマットであると、実際の映画制作で運用することで改めて確認できました。

今回の撮影でPMW-F55を使用して印象に残っている点は、メインレンズとして使用した6本セットのソニー純正PLレンズセットSCL-PK6です。想像以上に良かった、といったら開発者に叱られるかもしれませんが、実際に使ってみると解像度などの性能面はもちろん、ラインアップや使い勝手も魅力的でした。PMW-F55の特長として、各種PLレンズが使用できる点はありますが、このソニー純正レンズセットの訴求には、さらに力を入れた方が良いと思います。

F65のハイフレームレート撮影をタイトルバック制作に活用

撮影現場でのカラーグレーディングは、CineAlta Premium 4Kカメラ F65を使ったドラマシリーズのタイトルバック撮影の際にも有効に活用されています

映画の「相棒 - 劇場版III -」とは別に、2013年10月から全国テレビ朝日系列で「相棒 season12」がスタートします。この人気シリーズのタイトルバックの撮影には、CineAlta Premium 4Kカメラ F65を使用しました。映画版のような長尺収録ではないのでRAW収録が可能なこと、また4K 120コマ/秒のハイフレームレート記録を活用したスローモーション映像を使用することが、F65選定の理由です。

スタジオでの撮影では、F65のタブレットコントロールアプリケーション「F65 Remote Look Plus」を使用し、ライブグレーディングを行いながら、演出意図に沿った表現を追求しました。超高精細で、しかも滑らかで自然なスローモーション映像により、非常に魅力的で、番組に合ったタイトルバックの撮影ができました。

実際に視聴してくれたプロデューサーや監督、スタッフ、そして出演者の方々の評価も非常に高く、オンエア用とは別に、展示映像やプロモーション用に4K 映像版も1分バージョン、2分バージョンなどいくつか制作しました。

この美しく、滑らかなスローモーション映像は、F65の大きな魅力と言えます。すでにCMやドラマでも活用されていますが、応用の範囲は今後も広がるのではないかと感じています。映画で使用したPMW-F55もバージョンアップで最大240 コマ/秒のハイフレームレート記録が可能になるということなので、今後さらに用途が広がっていくことは間違いないと思います。

4K 制作というと、予算的な面やワークフローなどから敬遠してしまうクリエイターやプロデューサーが少なくないのが現状かもしれません。しかし、4Kという高精細映像は、3Dとは異なり、必然性を持った進化だと、私は考えています。XAVCのように、民生用まで視野に入れたビデオフォーマットの登場は、そうした進化をさらに促進すると思います。映像やコンテンツ制作に携わる人にとっては、4Kはチャレンジしてみるだけの価値と可能性があると思います。

 

撮影監督 会田正裕 様

あいだ・まさひろ●撮影監督、日本撮影監督協会(J.S.C)会員、株式会社アップサイド 常務取締役 映像開発部 部長。人気ドラマシリーズ「相棒」をはじめ数々のドラマ、ドキュメンタリーなどの映像制作に携わる。2007年、「ふみ子の海」で劇場用映画の撮影監督を務め、以後、「相棒 - 劇場版- 絶体絶命!42.195km 東京ビッグシティマラソン」(2008年)、「相棒 - 劇場版II - 警視庁占拠!特命係の一番長い夜」(2010年)、「HOME 愛しの座敷わらし」(2012年)、「少年H」(2013年)など数々のヒット作品の撮影監督を務めています。

 
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