法人のお客様ラージセンサーカメラ 事例紹介 TBSテレビ2014年7月期金曜ドラマ「家族狩り」

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TBSテレビ2014年7月期金曜ドラマ「家族狩り」2014年7月掲載

株式会社 TBSテレビ 様

デジタルシネマカメラを使ったドラマ制作にCineAlta 4KカメラPMW-F55を導入。幅広いドラマ制作にフル稼働中。

着々と撮影が進む新ドラマでのPMW-F55を使った撮影風景。

株式会社TBSテレビ様は、2013年春にCineAlta 4KカメラPMW-F55を導入され、ドラマ制作やスポーツ中継・収録に本格運用されています。

デジタルシネマカメラを使ったドラマ制作の検討、検証作業やワークフローの構築、機器選定などを主導した同社技術局マネージメントデスク部 兼 制作技術統括部 森 哲郎様に、PMW-F55導入に至る経緯、採用の決め手、活用例と成果とともに、2014年7月期金曜ドラマ「家族狩り」での運用状況を伺いました。

なお記事は、2014年4月中旬に取材した内容を編集部でまとめたものです。

デジタルシネマカメラの可能性を検証する中でPMW-F55を選定

当社では、2010年頃からデジタルシネマカメラを使ったドラマ撮影・収録の可能性を検討、検証するプロジェクトをスタートしました。放送用カメラとは異なるタッチの画づくりをドラマに活用しようというのが基本的なコンセプトでした。ソニー製のカメラでいうと、PMW-F3がドラマなどにも使用され始めた頃で、どういうカメラが理想的で、どんなワークフローを構築できるか、個々の事案ごとに検討を始めました。

まず、国内だけでなく、東南アジア諸国やアメリカにおける活用実態を調査しました。2012年のNABに出かけた際には、ドラマ撮影の現場も見学しました。いろいろ参考になることもあったのですが、同時に課題も見つかりました。たとえば、アメリカでは撮影の際に現場にビデオエンジニア(VE)が立ち会うことはありませんし、編集に6週間をかけるといったケースも珍しくありません。

しかし、日本では撮影現場でVE の方が色を構築したり、ドラマの雰囲気を創るという重要な役割を担っていますし、撮影から編集、完パケのスケジュールもタイトになります。とても編集だけに6週間をかけるといった余裕はありません。そこで、現状のワークフローを可能な限り継承しつつ、あわせてデジタルシネマカメラを運用するメリットを追求することとしました。

カメラ選定もこうした観点から行い、最終的に4K/60p収録という将来的な運用にも対応できる点が決め手となってCineAlta 4KカメラPMW-F55を2台導入することになりました。もちろん、導入しただけでなく、制作サイドに使ってもらわなくては意味がありません。そこで、技術担当として、積極的にPMW-F55のメリットや魅力をアピールすることで運用の機会と幅を広げてきました。

数々のドラマ制作を通して運用ノウハウを蓄積、課題を検証

日本・ベトナム国交樹立40周年スペシャルドラマ「ThePartner〜愛しき百年の友へ〜」での、PMW-F55を使った撮影風景。

PMW-F55を最初に運用したのが、2013年9月にオンエアされた日本・ベトナム国交樹立40周年スペシャルドラマ「The Partner 〜愛しき百年の友へ〜」です。導入後間もない段階で、かつファームウェアも初期のバージョンであるため、機能の制約があり、PL レンズの選定など、いろいろ苦労はしましたが、無事に放送することができました。その後、2013年10月スタートの日曜劇場「安堂ロイド A.I. knows LOVE ?」ではほぼ全編を2台のPMW-F55を使って撮影・収録しました。

この間にファームウェアのバージョンアップが適宜行われ、活用の幅も広がりました。4K RAWについてもドラマ制作の中でCG合成用HDリサイズ運用に活用したり、あるいは国際的なゴルフトーナメントの収録でも使用しました。これらの番組制作を通して、制作サイドでもPMW-F55に対する認知度、評価が高まり、ドラマ制作においても着実にオファーが増えています。そして、この7月から放送される金曜ドラマ「家族狩り」でも本格運用されることとなりました。

この作品は、山本周五郎賞を受賞した作家・天童荒太さんの作品「家族狩り」をドラマ化したもので、女優・松雪泰子さんの主演で全10話で放送の予定です。単なる殺人事件のサスペンスではなく、非行、虐待、介護だけではないそれぞれの登場人物がもつ哀しい家族の問題に対して、必死に生き抜く姿を強烈なリアリティーで表現されているドラマだと思います。現段階では、2話程度の撮影・収録が済んだ段階ですが、これまでのPMW-F55運用の経験とノウハウを生かして、魅力的なドラマとして視聴者の方々に楽しんでもらえる作品に仕上げたいと考えています。

マルチフォーマット、高解像度、高感度、多彩な映像表現が魅力

制作サイドでPMW-F55が高い評価を受けている理由は、いろいろあります。一つは、マルチフォーマット/パラレルレコーディング対応でさまざまなファイル形式が選べる点です。今回の作品でも、本編用は既存のワークフローを踏襲するためにHDCAMテープに収録していますが、本体のSxSカードに用途に応じたファイル形式で同時記録することができます。バックアップ用途に使えるMPEG HD422、本線として使用可能なXAVC、HDCAM-SRと同じコーデックでクオリティーには実績のあるMPEG-4 SStP を要求に応じて収録しておくことが可能です。特に、CGセクションから4:4:4データが要求されているので、HDCAM-SR相当であるSStPの対応は朗報です。さらに、RAWレコーダーAXS-R5で4K/RAW収録もできます。実際、今回の作品だけでなく、これまでのドラマ制作の中でもポストプロダクションの要望に合わせてさまざまなファイル形式で提供し、運用と検証を行ってきました。本編用のテープが編集作業のために移動しても、バックアップの素材で現場での検討などのコミュニケーションの充実や、時に色などを変更したいといった要望があった時でも柔軟に対応できます。今回の作品でも、天候が期待通りでなかったり、監督や演者から気になる色があるとファイルをパソコンに取り込んで簡易的に操作して提案する、などの対応が出来ました。

今後もドラマをはじめとしたさまざまな番組制作用途で活躍が期待されている2台のPMW-F55。

二つ目は、4K CMOSイメージセンサーによる高解像度で撮像できることで撮影チームの信頼感も高くなります。そして三つ目が、高感度であることです。撮影環境が変化するフィールド収録で威力を発揮するだけでなく、レンズ選択の幅も広がります。こうした特長は、決められたスケジュールの中で効率的に撮影・収録を行わなければなら ない連続ドラマでは心強い材料となります。

多彩な映像表現を可能にする機能も魅力です。スロー&クイックモーション撮影機能は代表的なものです。スローモーションは、人の情感や表情を演出する上で不可欠ですし、撮像フレームレートを自由に変えて独特の動きを表現する際に有効です。「安堂ロイド」など、これまでの作品でも活用してきましたが、今回の作品でも人の喜怒哀楽を表現する時に有効に活用しています。撮影現場でプレビューできる点も、情報の共有化やコミュニケーションの強化に貢献しています。

また、CMOS特有のローリングシャッター歪みや、フラッシュバンドのないクリーンな映像表現が可能なフレームイメージスキャン機能もPMW-F55の魅力の一つです。何より、そうした点を意識することなく撮影・収録に臨めるということだけでもメリットになります。

Dレンジを生かすS-Log2、広色域のS-Gamut の活用への挑戦

PMW-F55を導入し、今回の作品を含め数々のドラマ制作に積極的に運用することで可能性の高さを実感することができました。今後も、1カット1カットを積み上げていくドラマなどを中心に積極的に活用していきたいと考えています。これは個人的な関心とも言えるのですが、S-Log2の活用です。S-Log2はカメラの持つダイナミックレンジを有効に活用して収録できるカーブとして良く知られていますが、最初に使った時から映像表現の上でも有効なのではないかと思っていました。人の表情の陰影を柔らかくする効果があるのではないかと感じたからです。

今回の撮影でも、全部ではありませんがシチュエーションに応じてS-Log2で撮影しています。出力した画に対してVEで明暗部やサチュレーションのコントロールを行い、いわばライブグレーディングの様な作業を行います。その結果の完成イメージに近い映像をディレクターに確認してもらい、収録するスタイルを取りました。VEの方に負担をかける作業で、最終的なトーンなどはオンエアされてみないと効果のほどは分かりませんが、ドラマに合った映像表現の一つとして貢献してくれることを期待しています。

デジタルシネマの規定する広色域にも対応できるS-Gamutなど、これからチャレンジしていかなければならないテーマもあります。PMW-F55のポテンシャルの高さを、魅力的なドラマづくりにフルに発揮できるようにしたいと思っています。

同時に、運用を通して課題も見えてきました。たとえば、CG合成用の素材を4K/RAWの連番ファイルで欲しいとの編集所の要望に対応した際には、ファイル変換に膨大な時間を要し、連続ドラマの制作では現実的ではありません。そこで、編集所で高い評価と実績のあるMPEG-4 SStPを提案していきたいと考えています。RGB 4:4:4でCG合成などにも効果的に活用できます。

ファイルベース化も今後の検討課題となります。現状、連続ドラマではテープを100本ぐらい使用しますが、これをすべてSxSメモリーカードに置き換えることは難しく、またテスト的に小型のファイルレコーダーで素材を編集所に渡したこともありますが、処理や管理の点で不安を感じていました。

ファイルベース化は、効率的な部分も多いですが、このような課題が見えてくるのも運用を進めている成果の一つとも言えます。ソニーには、今後、機器の機能やクオリティーのアップグレードとともに、素材渡しなどを含めたワークフロー全体に対するソリューションの提案を期待しています。

  • 株式会社 TBSテレビ
    技術局マネージメントデスク部 兼 制作技術統括部
    森 哲郎 様

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