法人のお客様ラージセンサーカメラ 事例紹介 「Mr.Children[(an imitation) blood orange]Tour ライブ収録

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Mr.Children
[(an imitation) blood orange]Tour ライブ収録2014年2月掲載

株式会社 OORONG-SHA 様/株式会社 権四郎 様/レスパスビジョン株式会社 様/株式会社 イメージ ディバイス 様

メインカメラとして10台のCineAlta 4KカメラPMW-F55を使って、"ミスチル"の迫力・熱狂ライブをHD/4K収録で臨場感豊かに再現

日本を代表するロックバンドMr.Childrenのコンサートツアー「Mr.Children[(an imitation) blood orange]Tour 」のライブ収録に、10台のCineAlta 4KカメラPMW-F55が採用され、ステージ周りのメインカメラとしてHD/4K収録に運用されました。
ディレクターを担当された株式会社 OORONG-SHA 映像ディレクター 袴田晃司様、撮影監督の株式会社 権四郎 取締役 Visual Promote部長 森原裕二様、グレーディングなど仕上げを担当されたレスパスビジョン株式会社 カラリスト 高橋直孝様、撮影技術・機材担当の株式会社 イメージディバイス 代表取締役 秋山泰三様、ビデオエンジニア橋本英司様に、PMW-F55選定の決め手、運用の成果、今後のライブ収録における可能性、本格4K制作への期待などを伺いました。

Mr.Children[(an imitation) blood orange]Tour

2012年11月28日にリリースされたMr.Childrenの最新アルバム「Mr.Children[(an imitation) blood orange]」に合わせて、2012年12月から2013年6月まで全国各地で開催されたライブコンサートツアー。
このライブツアーのビデオパッケージ制作のために2013年5月12日に岩手県盛岡市で開催された公演を30台以上のカメラを使って迫力のライブ映像が収録されました。ビデオパッケージは、DVD/ブルーレイで2013年12月18日発売されました。

http://www.mrchildren.jp

実際に撮影した詳細な比較テストを行い、画のクオリティーが高いPMW-F55に決定

今回のライブ収録は、Mr.Childrenメンバーの意向もあり盛岡公演が選ばれています。以前、震災の影響により公演が中止になった会場という事と他会場に比べコンパクトな会場で、集まってくれたお客さんとの一体感、より近い距離感を表現して欲しいとの思いからです。こうしたメンバーの意向を反映するとともに、クオリティーの高い作品にしたいという制作サイドの狙いもあって、特にステージ周りに配置するカメラにはシネレンズを可能な限り数多く使いたいと考えました。そこで、PLレンズ対応の大判カメラを前提に、撮影監督やビデオエンジニア、カラリストといったスタッフの協力を得ながらPMW-F55を含む2機種を候補として選定しました。

この2機種は、スペックだけでは比較できないので、事前の公演でテスト撮影を行い、その素材をポストプロダクションに持ち込んで詳細に比較検討を行いました。
その結果、F55の持つ圧倒的な画の表現力を確認する事ができました。具体的には、14stopのラチチュードの幅やSN比の良さ、4Kセンサーのもつ解像感、豊富な色情報が、グレーディング作業における自由度をもたらし、作品性の向上に寄与できると確信致しました。
さらには、ステージ周りを中心としたメイン運用のカメラ10台をすべてPMW-F55に統一することも同時に決定しました。
また、大判カメラとしてはNXCAMカムコーダーNEX-FS700Jも今回の収録に採用しました。
前回のビデオパッケージでもエンドロールのスローモーション映像で使用しましたが、最大240コマのハイフレームレート撮影での、美しく滑らかなスローモーション映像は非常に魅力的でした。そこで今回もライブ本編用ではないのですが、エンドロールなどに使用するハイスピード撮影用として採用し、運用しました。
前回同様、非常に魅力的なスローモーション映像を撮影することができました。(※PMW-F55/F5もAXS-R5との使用で、最大240fps収録に対応しました)

FZマウントにアダプターを組み合わせる事でスチルレンズを使用。

エンドロール用にNEX-FS700Jも使用。こちらもアダプターによるスチルレンズの運用。

ローリングシャッター歪みやフラッシュバンドのないクリーンな映像、トータル14stopの広大なラチチュードはライブ収録でも大きな武器となる

撮影・収録におけるPMW-F55の配置は、まずフロントのメンバー3人に対してEFマウントスチルレンズ装着でハンディ運用し、フロントレールのパンサー2台にAngenieux社 OPTIMOのズームレンズ17mm〜80mm/24mm〜290mmを搭載。また下手側のテクノクレーンに17mm〜80mmレンズとリモートヘッド、上手側には24mm〜290mm、リモートカメラとしてスチルレンズと24mm〜290mmのレンズという布陣で、ライブの中心となるステージを、シネレンズならではのボケ味を生かした映像制作ができるようにしました。全部で32台のカメラを運用しており、基本的にフレームレートは共通して1080/23.98PsFでHD収録を行いました。PMW-F55では一部演出用として60p収録してスローモーション映像として活用したり、また1台についてはテスト運用も兼ねて4K RAWで収録しています。

フロントレールのパンサーにAngenieux社OPTIMOのズームレンズを搭載。

下手側のテクノクレーンに17mm〜80mmレンズとリモートヘッド。

ライブ収録の一番の難しさは、長時間に渡って続くイベントをリアルタイムで追い続ける必要がある点です。また、ステージには舞台装置用や照明用のLEDなど、異なる周波数の光源が数多く使われ、さらに曲のイメージや演出に合わせて急な明転/暗転があったり、照明の度合いも刻々変化するなど、撮影には厳しい条件が数多くあります。今回の撮影にPMW-F55を採用した決め手の一つとなったのが、こうした厳しい環境下での撮影をサポートしてくれる優れた性能・機能です。たとえば、フレームイメージスキャン機能です。これにより、これまでのCMOSセンサーに特有のローリングシャッター歪みやフラッシュバンドのない映像収録が可能でした。
実際、様々なLED光源が飛び交うステージも、スミアのないきれいな映像として捉えることができました。

PMW-F55のもう一つの大きな魅力が、初めにも触れたラチチュードの広さや高SN比などによる豊富な情報量にあります。ガンマをS-Log2にしたのも、トータル14stopという広大なラチチュードを活用するためでした。今回の撮影ではシネレンズによるボケ味を生かしたいという演出サイドからの要望もあって、絞りは出来る限り開放で運用しています。基準感度がISO 1250と高く、ラチチュードが広いため、あまり細かいISO調整やシャッター変更を現場では必要とせず、めまぐるしく照明条件が変わるシーンでは、内蔵NDフィルターもワンタッチで適用できました。そのおかげで信頼感を持ってライブを追いかけることができました。

ラチチュードの広さや高SN比はカラーグレーディングなどの仕上げでも威力を発揮
曲のイメージ表現や作品性の向上にも大きく貢献してくれました

今回、PMW-F55の収録は本体に装着したSxS PRO+でHD XAVCで収録しましたが、ワークフローの関係で、ほかの多数のカメラと素材の形式を統一せざるを得なかったため、ProRes 422 HQ(220MB/s)でも収録を行いました。
広いラチチュードを有効に活用するため、S-Log2をスタートポイントとしたグレーディング作業を行いました。

PMW-F55で撮った素材を扱ってみて、感じた一番の魅力は、やはりそのリッチな情報量です。
ラチチュードが狭かったり、SN比が悪いと、思い切ったグレーディングを行うと破綻してしまいますが、PMW-F55の素材ではストレスを感じることなく、攻めのグレーディングが可能でした。たとえば、アンダー気味のシーンをかなり持ち上げたりしているのですが、SN比の良さ、特にLow側のSN比が良いのでイメージ通りに仕上げることができました。

また、PMW-F55のセンサーでキャプチャーできる色域が広いので(S-Gamut)相当に調整しても破綻するといったことがありません。
作品としては、他のカメラの映像も入ってきますが、やはりPMW-F55で撮ったシーンは、クオリティーの高い、魅力的な映像だと感じました。

PMW-F55の画質の良さは、撮影時にモニタリングしている時にも実感していましたが、仕上げの作業を通して、ステージ周りの光源のフレアや、スミアのない、美しい映像などを見ると、クリエイティビティを掻き立てられました。
また、シネレンズを多用したことで、被写界深度の浅い、ボケ味が生きた表情が数多く捉えられており、ライブ感が良く表現されていると思います。メンバーが望んでいたお客さんとの一体感、臨場感を楽しめるビデオパッケージに仕上げることができたのではないかと思っています。

ライブ収録ではまだ課題が多いが4Kの高精細な映像表現にも注目
PMW-F55の4K XAVCやカメラシステムアダプターCA-4000/BPU-4000に強い関心と期待

今回、4K収録はテスト運用しかしていませんが、PMW-F55の最大の特長は4Kカメラであることです。実際に4K RAWで撮影した素材を見れば、4Kならではの超高精細な映像が非常に魅力的なものであることは間違いありません。また、すでに映画やCM、あるいはMusic Videoなどのコンテンツでは4K仕上げや、4KからのHD切り出し運用などが広まってきており、4K素材はごく身近な存在となりつつあります。音楽業界でも、シネコンでのODS(Other Digital Stuff)、いわゆる非映画コンテンツへの関心が高まっており、ライブビューイングやライブシネマを4Kで行うことも今後考られます。

しかし、今回のようなライブ収録では4Kでの撮影・収録・制作には課題が多いのも事実です。まず何より、30台、40台のカメラを使用し、4K RAWで撮影した場合、データ量が膨大になること、大判カメラのシビアなフォーカスへの対応、あるいはCCUオペレーションなどの対応、様々なカメラが混在した場合のカラーマネージメントが重要な課題と言えます。映画やCMのように、4K収録するためのライブといったプロジェクトなら可能かもしれませんが、現状の環境でライブの4K収録を行うことは現実的には不可能だと言わざるを得ません。そこで注目しているのが、PMW-F55のXAVCです。データレートが4K RAWに比べて格段に抑えられデータの取扱いが容易になります。さらには、NABで発表したシステムカメラアダプター「CA-4000」、ベースバンドプロセッサーユニット「BPU-4000」との組み合わせで、HDC-2000シリーズと接続した中継システムとして運用が可能になること、また、色管理・色再現方法の業界標準規格として浸透しつつあるACESに準拠している点などです。

今回、ハイスピード撮影用として運用したNXCAMカムコーダーNEX-FS700Jで4K/2K RAW記録を可能にするインターフェースユニットHXR-IFR5にも注目です。こうした機器の登場で4K撮影・収録・制作の環境がどこまで進化するか、非常に強い関心と期待を持っています。

CA-4000を装着したPMW-F55とBPU-4000、HDCU-2000

NEX-FS700と、AXS-R5とドッキングしたHXR-IFR5

  • 株式会社 OORONG-SHA 映像ディレクター 袴田晃司様
    株式会社
    OORONG-SHA
    映像ディレクター
    袴田晃司様
  • 株式会社 権四郎 取締役 Visual Promote部長 森原裕二様
    株式会社 権四郎
    取締役 Visual Promote部長
    森原裕二様
  • レスパスビジョン株式会社 カラリスト 高橋直孝様
    レスパスビジョン株式会社
    カラリスト
    高橋直孝様
  • 株式会社 イメージディバイス 代表取締役 秋山泰三様
    株式会社 イメージディバイス
    代表取締役
    秋山泰三様
  • 株式会社 イメージディバイス ビデオエンジニア 橋本英司様
    株式会社 イメージディバイス
    ビデオエンジニア
    橋本英司様

株式会社 OORONG-SHA

1991年に設立されたアーティストマネジメント並びに音楽・映像制作プロダクション(本社:東京都港区)。
代表取締役は、音楽プロデューサー、ミュージシャンとしても活躍する小林武史氏。
所属アーティストは、Mr.Children、My Little Lover、レミオロメン、Salyu、ナオト・インティライミなど。

http://www.oorong-sha.jp/

株式会社 権四郎

1989年に設立されたコンテンツ制作会社(本社:東京都目黒区)。
TV番組、イベント映像、企業VP、ライブミュージックビデオなどの撮影、音声収録及び映像制作プロデュースで幅広く活躍。

http://www.gonshiro.co.jp/

レスパスビジョン株式会社

1987年設立のポストプロダクション(本社:東京都渋谷区)。
オフライン/オンライン編集スタジオ及びMAスタジオ、フィルムスキャナー、CG設備などを有し、ミュージックビデオ、ライブコンサートビデオ、映画、CM、博覧会映像などの映像編集と音声処理で活躍中。特にファイルワークフローを得意としている。

http://www.lespace.co.jp/

株式会社 イメージ ディバイス

1989年設立の映像制作会社(本社:千葉県浦安市)。撮影機材や中継車、機材車などを保有し、主にコンサートやプロモーションビデオの撮影及び制作で活躍しています。

http://www.imagedevice.co.jp/

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