法人のお客様ラージセンサーカメラ 事例紹介 映画「THE NEXT GENERATION パトレイバー 首都決戦」

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映画「THE NEXT GENERATION パトレイバー 首都決戦」2015年8月掲載

株式会社東北新社 様/株式会社オムニバス・ジャパン 様/株式会社ティーエフシープラス 様

PMW-F55による邦画初の4K劇場公開用長編映画製作。CG合成にはリニアワークフローを採用。

2015年5月1日に全国公開の映画「THE NEXT GENERATION パトレイバー 首都決戦」では、メインのカメラにPMW-F55を採用し、作品を全編4K制作・フィニッシング、4Kによる劇場公開用 の長編映画としては邦画として初めて、4Kによる上映(一部上映館)を実現しました。

この作品における、カメラ選定の経緯からワークフロー構築、実際のポストプロダクションでのワークフローなどについて、プロデューサーの宮下俊様、撮影監督の町田博様、カラリストの伊藤祐二様、テクニカルプロデューサーの侭田日吉様、オンライン編集の岡本泰之様、テクニカルディレクターの山口翔平様、データマネージャーの佐藤英樹様に、お話を伺いました。なお、記事は2015年3月に取材した内容を、編集部にてまとめたものです。

THE NEXT GENERATION パトレイバー 首都決戦

「THE NEXT GENERATION パトレイバー 首都決戦」は、人気のメディアミックス作品「機動警察パトレイバー」実写版プロジェクト「THE NEXT GENERATION パトレイバー」の劇場版長編映画作品。過去作で幾度となく犯罪者集団の攻撃対象となってきた東京に光学迷彩技術を備える戦闘ヘリが襲来、日本の防衛システムをかいくぐり、首都東京で破壊の限りを尽くす。1000 万の東京都民を守るために立ち上がった警察用人型巨大ロボット「パトレイバー」2機と、パトレイバーを運用する三代目「警 視庁警備部特科車両二課第二小隊」のメンバーを描いたストーリー。2015 年5 月1日より全国4K公開 (一部上映館は2K)。
製作:(C)2015 HEAD GEAR /「THE NEXT GENERATION -PATLABOR-」製作委員会
2015年10月10日 『THE NEXT GENERATION パトレイバー 首都決戦 ディレクターズカット』劇場公開予定

『THE NEXT GENERATION パトレイバー 首都決戦』制作チームに聞く4K映画撮影

押井守作品「パトレイバー」の実写版

「THE NEXT GENERATION パトレイバー 首都決戦」は、押井守監督のパトレイバーシリーズの最新劇場版作品になります。すでに、「THE NEXT GENERATION パトレイバー」
というドラマシリーズとして公開していますが、今回はその長編劇場版です。
今まで邦画でも、部分的に4K撮影というものは多くありますし、CMでは4K RAW撮影は標準化してきていますが、作品の仕上げまで全編で4K、公開も4Kという作品は東北新社グループとしても初となり、社内でも誰が携われるのか、という期待感がありました。

フットワークの面を重視し、PMW-F55 を選択

今までの私たちの作品を通じたソニーのカメラの実績と4Kという面から、カメラはF65かPMW-F55(以下、F55)かに絞られました。F65は理想的ですが、今回はフットワークを考慮して、F55 を選びました。コンパクトかつ軽量なF55の特長を生かし、担ぎや手持ちでの撮影も積極的に行うことができました。レンズは、Angenieux のOptimo シリーズとZEISSのUltra Primeシリーズを用いています。

CGとのリニアワークフローを考慮し本線は4K RAW収録

本線用は広色域、広ダイナミックレンジはもちろん、CGとのリニアワークフローの親和性を考慮する必要があったので、AXSメモリーカードに4K RAW(16bit)で収録しています。オフライン素材としては、本体記録側のSxSカードにXAVC HD記録、ハイパーガンマを適用し、現場でのビューイングLUTとしてもハイパーガンマを使っていました。実際の仕上がりとのイメージの違いについては、事前のテストを監督にも見ていただき、仕上がりイメージを把握いただいた上で現場に臨みました。

本作ではCGと実景の合成を多用。リニアワークフローにより、効率的かつ馴染みのよいカラーグレーディングとVFXワークを実現している。

カラーマネジメントやリニアワークフローを意識した制作ワークフローの検討

ワークフローの決定にあたっては、単に技術的な優劣だけでなく、処理時間、各システムの対応状況や互換性もテストしました。その結果、基本的なワークフローとしては、最初にF55の4K RAWファイルをS-log2の10bit DPXファイルに現像します。次に、オフライン編集のEDLに基づいて抜き出した素材をCG/VFXに渡します。その後、The FoundryのNUKE上で合成を行い、QuantelのPablo Rio上で、つなぎとカラーグレーディングを行いました。CG/VFXでは、クオリティーの均質化を目指し、リニアワークフロー(=ガンマ1.0)を用いて処理を行いました。カラースペースは一貫してS-Gamut上で作業を行い、モニタリング用に専用のLUTを内製しました。S-log2の10bit DPXファイルでは1300%までのハイライトの情報を持っていますが、それを単にIRE 100%でカットオフするのでは、作品の仕上がりイメージがつかめないためです。このLUTにより、標準的なカラーグレーディングが当てられているような状態を確認できます。

当初はF55の16bit RAWをフルに生かせる、より理想的なOpenEXRベースのワークフローも検討しましたが、レンダリング速度の関係で今回は10bit DPXに落ち着きました。実写のみのショットもありますが、ワークフローの統一の観点から、全編10bit DPXで扱っています。先のドラマシリーズではすでにPMW-F3でのS-log撮影、NUKEでのリニアワークフローを導入していたものの、カラースペースについては、今作品では新たに広色域でのS-Gamutを扱うため、社内でカラーマネジメントの勉強会も行いました。
F55については、S-GamutやS-Logに関する情報もWeb(詳しくはこちら)で提供されていましたので、環境構築は容易だったと感じています。

4K SXRDデジタルシネマプロジェクターでカラーグレーディング

CG/VFXでは、発色の確認と解像感の確認を分け、カラーマネジメントされたモニターと、民生の4Kテレビ(3840×2160)を併用し、モニタリングを行いました。一方、監督チェックやオンライン編集では4K モニターを使っています。カラーグレーディングでは、4K SXRDデジタルシネマプロジェクターSRX-R515Pを用い、DCI-P3カラースペースでプロジェクションしました。SRX-R515Pは色や階調の再現性が極めて高く、2Kでは見えないような質感でスクリーンに映し出されるため、カラーグレーディング作業はとても取り組み甲斐がありました。今回の作品は2Kで公開される劇場もありますので、どの劇場でも一定のクオリティーが維持できるように気を遣いました。

4K制作を積極的に進めていく良いきっかけに

当然、4Kは製作サイドの要望に基づいて選択されることにはなりますが、「4Kでやりたい」という要望は着実に増えてきています。今回の作品での経験を通じてCG/VFXが多用される作品でも、4Kでの制作に自信を持って対応できる体制が整いました。今回はS-Log2を採用しましたが、S-log3も周辺環境が整いましたので、以後の作品では、すでに活用しています。また、十分なクオリティーを持ち、リーズナブルにワークフローを構築できるXAVC 4Kでの撮影も、すでに多くの実績があります。今後、実写を主体とした作品では、XAVCベースでの4Kフィニッシングも選択肢の一つとして提案していきたいと思っています。さらに、F65をはじめとする、ソニーのオーバー4Kのカメラの充実にも引き続き期待をしています。

  • プロデューサー 株式会社東北新社 宮下俊 様
    プロデューサー
    株式会社東北新社
    宮下俊 様
  • 撮影監督 株式会社 ティーエフシープラス 
 町田博 様
    撮影監督
    株式会社ティーエフシープラス
    町田博 様
  • カラリスト 株式会社オムニバス・ジャパン 伊藤祐二 様
    カラリスト
    株式会社オムニバス・ジャパン
    伊藤祐二 様
  • テクニカルプロデューサー 株式会社オムニバス・ジャパン 侭田日吉 様
    テクニカルプロデューサー
    株式会社オムニバス・ジャパン
    侭田日吉 様
  • オンライン編集 株式会社オムニバス・ジャパン 岡本泰之 様
    オンライン編集
    株式会社オムニバス・ジャパン
    岡本泰之 様
  • テクニカルディレクター 株式会社オムニバス・ジャパン 山口翔平 様
    テクニカルディレクター
    株式会社オムニバス・ジャパン
    山口翔平 様
  • データマネージャー 株式会社ティーエフシープラス 佐藤英樹 様
    データマネージャー
    株式会社ティーエフシープラス
    佐藤英樹 様
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