株式会社TVQ九州放送 様
PDFダウンロード

『NXL-ME80』の多チャンネル伝送で実践する
野球や花火中継でのリモートプロダクション運用

福岡県福岡市博多区に本社を置き「テレQ」の愛称で親しまれる、株式会社TVQ九州放送様。生中継番組における映像伝送の用途で、2025年春にメディア・エッジプロセッサー『NXL-ME80』を4式導入し、運用を開始されました。導入までの経緯や決め手、運用の状況、評価や今後の展望についてお伺いしました。

株式会社TVQ九州放送
技術局
制作システム部長
又賀 章友 様

株式会社TVQ九州放送
技術局
制作システム部
江川 裕貴 様

看板番組の「野球中継」と「花火大会」をIP伝送で

−全国からの野球中継にIP伝送を活用

江川様:当社では、野球の福岡ソフトバンクホークス戦や、毎年8月13日に開催される関門海峡花火大会の生中継を行っており、当社の看板番組になっています。大阪・千葉・所沢・仙台・札幌など、全国各地で行われる福岡ソフトバンクホークスのビジター戦においては、以前からネットワーク回線を活用したIP伝送による中継を行ってきました。

−「関門海峡花火大会」中継での手ごたえを経て、導入へ

江川様:これまでIP伝送による中継では、IP伝送事業者に伝送業務を委託したり、自社で保有している他社製の伝送装置を使用しての伝送を行ったりしてきました。この伝送装置も導入から年月が経過し、後継機の導入を検討しはじめていたところ、ソニーのメディア・エッジプロセッサー『NXL-ME80』を紹介いただきました。2024年の関門海峡花火大会においてテスト運用を行ってみたところ、その結果が良好だったことを受け、2025年の導入に至りました。

多チャンネル伝送と柔軟な運用を支える『NXL-ME80』

−本線・予備の2対向、4式を導入

江川様:導入したのは4式で、本線と予備の2系統を対向で使用することを想定した台数です。現在のところは、中継のたびに各系統両端の『NXL-ME80』を仮設して使用しています。

局側ラック室における仮設例
実際の中継では本線・予備などの用途で2式が設置される

野球中継での現場仮設例
ラック内の最上段付近に『NXL-ME80』

メディア・エッジプロセッサー
NXL-ME80

商品情報 >

−一方向伝送と双方向伝送のモードを、柔軟に使い分け

江川様:『NXL-ME80』ではHD伝送時、上下各4本の伝送モードと、一方向8本の伝送モードが選べます。野球中継の場合には、主に上下各4本のモードを使っています。現場からは球団公式映像とユニカメ映像に加え、スコアボードカメラ映像などを伝送し、局舎側からはプログラムアウトを返すような使い方をしています。花火大会においては、中継車のスイッチングアウトをFPUで伝送しつつ、1台の『NXL-ME80』では各カメラの映像を1方向伝送モードで送り、もう1台では上下各4本のモードを使い、残るカメラ映像や現場への送り返しを伝送しています。

−伝送チャンネル数の多さと、セットアップの容易さが魅力

又賀様:導入の決め手となったのは、1台で伝送できる映像本数の多さやセットアップの容易さ、そして伝送クオリティーの高さです。これまで使用してきた伝送装置では1台で4本の伝送にとどまっていましたが、『NXL-ME80』では上下を組み合わせて最大で2倍となる8本の伝送が行えます。

1式で最大8チャンネルの伝送に対応しながらも、コンパクトな1Uハーフラックサイズの筐体

−従来より低ビットレートな運用でも、画質に手ごたえ

江川様:『NXL-ME80』は、1対向で伝送できる映像本数が2倍となっただけでなく、比較的低いビットレート設定でも十分な画質が得られていると感じています。以前使用していた伝送装置もHEVCベースのコーデックでしたが、現時点の当社の運用条件下では、従来12〜15Mbps程度で伝送していた際と比べても、画質面で大きな差を感じることはありません。現在はおおむね9Mbps~12Mbps前後で運用していますが、番組制作においても違和感なく使用できています。伝送回線は現場の事情によって異なりますが、本線は帯域確保型の100Mbps、予備はベストエフォートの一般向け1Gbps・10Gbps回線を使うことが多いです。映像に加えて音声なども合わせて伝送していますが、本線については当社の運用条件下では、100Mbps帯域確保型の回線を用いて複数の映像を同時に伝送する運用を、これまで安定して行えています。

−説明書を読まずに使えた、わかりやすいGUI

江川様:『NXL-ME80』は設定も容易です。実際のところ、これまで一度も説明書を読んでいませんが、PC上の設定画面で、迷いなく設定が行えます。とてもわかりやすいGUIだと思います。

運用を通じて確認できた、画質と低遅延のバランス

−激しい動き・大きな変化の絵柄でも、違和感や破綻のない映像に高評価

江川様:当初は、カメラを大きく振るようなシーンや、花火が弾けて画面全体が一気に明るくなるようなシーンなど、圧縮に厳しい環境下ではある程度画質の劣化も予想していました。ただ、実際に運用してみると目立った違和感や破綻は見られず、想定以上の品質だと感じました。ディレクターやスイッチャーからも「放送クオリティーに十分耐えうる」という評価をもらっています。

−伝送遅延の小ささも、改めて実感

江川様:遅延の小ささも魅力のひとつです。モードによって異なりますが、当社の運用では、ネットワーク遅延を含めてもおおむね1〜3フレーム程度に収まっています。これまで使ってきた伝送装置を予備機として使うこともあるのですが、同程度の設定にしていても『NXL-ME80』の低遅延モードと比較して目で見て分かるレベルでディレイがありました。改めて『NXL-ME80』の遅延の小ささを実感しました。

リモートプロダクション運用で、中継の省人化を実現

−『NXL-ME80』で実践するリモートプロダクション運用

江川様:FPUやSNGによる中継や伝送では、基本的には1素材しか送れません。そうなると、スイッチングした素材を伝送することになるため、スイッチャーは中継の現地に行く必要があります。『NXL-ME80』のように手軽に複数素材を伝送できると、本社でスイッチング可能となり、スイッチャーが現地に行く必要がなくなります。現状、完全なリモートプロダクションではありませんが、『NXL-ME80』の導入でリモートプロダクションに向けた第一歩を踏み出せたと感じています。

−局側に素材を集約することで、同じカメラ台数のまま中継をコンパクト化

江川様:『NXL-ME80』があれば、当社の花火大会中継では全カメラの映像を本社に伝送可能となるため、局内に設置されたスローサーバーで各カメラを入力しハイライト編集を行えます。もし、なかったら、ハイライト用のスローサーバーを中継車側に設置するか、各素材を本社まで伝送するためFPUの台数を増やす必要があります。『NXL-ME80』があることで、出先の中継機材をコンパクトにできますし、出先のスタッフの人数や設営作業負担を軽減することが可能になりました。

『NXL-ME80』をフル活用し、映像表現や生産性をさらに向上へ

−2026年度には『NXL-ME80』をSMPTE ST 2110のシステムに組み込みへ

又賀様:当社では、2024年のマスタールームや回線系の更新を皮切りに、2025年に制作系の第1スタジオとサブ、ニューススタジオとサブ…と、SMPTE ST 2110による全社IP化を図って参りました。

江川様:現在『NXL-ME80』はベースバンドで運用をしていますが、2026年度にはオプションのST 2110ソフトウェア『NXLL-IP80』を加え、Networked Liveシステムに組み込む予定です。これにより、LSM(IPライブシステムマネージャー)上に統合されたルーティングや監視が可能になり、一層利便性が上がる見込みです。

ソニーのNetworked LiveによるSMPTE ST 2110でのIP化が行われたサブ
『NXL-ME80』を常設することで、どちらのサブでも即座にIP中継ソースを取ることができるようになる

−「ハイフレームレート」映像の伝送も

江川様:今後取り組んでみたいと話しているのは、ハイフレームレート映像の伝送です。『NXL-ME80』で2倍/3倍/4倍速を伝送することで、野球中継において自社でスローを送出できるようにしたら面白いのではないかと考えています。『NXL-ME80』の仕様では実現可能なため、今後実証実験を行っていきたいです。

−「スピードガン」のデータなど、全ての伝送を『NXL-ME80』に集約へ

江川様:これまで野球中継では、スピードガンのデータは、局側にあるスポーツ用テロップ送出システムまで別系統で送っていました。このスピードガンデータについても、HD-SDI信号のVANC領域に重畳し『NXL-ME80』を介して伝送する検証を行い問題なく伝送できることが確認できたので、今後は中継現場と局との伝送において、あらゆる信号を『NXL-ME80』に集約していきたいです。

−4月の開局35周年記念特番でも活用

江川様:当社は今年で開局35周年を迎えます。4月の開局35周年記念イベント・生放送特番でも『NXL-ME80』を使用する予定です。これからもさまざまな番組で積極的に活用していきたいと思っています。

※開局35周年記念イベント・生放送特番で実際に使用いただきました。(2026年4月時点)

※本ページ内の記事・画像は2026年3月に行った取材を基に作成しています

Networked Liveとは

お問い合わせはこちら PDFダウンロード
Networked Live サイトマップ