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データプロジェクター VPL-FH300L/VPL-FW300L 開発者インタビュー | 空間に調和する円形デザインに、先進の高画質技術を惜しみなく投入したハイエンドモデル「VPL-FH300L/FW300L」の開発エピソードを開発者メンバーにインタビューしました。

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(左から)企画 沼田さん、設計 小林さん、設計 岡野さん、設計 藤田さん、設計 倉本さん、設計 松山さん、デザイナー 久恒さん

01 | VPL-FH300L/VPL-FW300Lはこうして生まれた

円形デザインを採用したデータプロジェクター VPL-FH300LおよびVPL-FW300Lは、機能美と設置空間への調和を追求したハイエンドモデルです。無機配向膜を採用した新開発・液晶パネル“BrightEra”を搭載し、VPL-FH300Lは光出力6,000ルーメン&解像度2K×1K(2048×1080ドット)、VPL-FW300Lは光出力7,000ルーメン&解像度WXGA(1366×800ドット)の高輝度・高精細な映像投影を実現しました。
このVPL-FH300L/VPL-FW300Lの開発エピソードを、開発者チームのメンバーにインタビューしました。第1回目のテーマは「企画コンセプトへのこだわり」です。

HD時代を迎えて高輝度・高解像度にこだわる

― VPL-FH300L/VPL-FW300Lの開発コンセプトを教えてください。

沼田(企画担当): 開発コンセプトは、大きく分けて3項目があげられます。1つは、2灯式システムの採用による高輝度・高解像度の実現。2つめは機能美と設置空間の調和を追求した洗練されたデザイン。3つめは、設置柔軟性を考慮した豊富な機能とアクセサリーです。

― 2灯式システムの採用は、ソニーの現行プロジェクターでは新しい試みです。ランプを2灯搭載することで、6000ルーメン(VPL-FH300L)と7000ルーメン(VPL-FW300L)の高輝度を実現したのですね。

沼田: 2灯式を採用したのは、高輝度・高解像度の実現だけでなく、信頼性の向上という狙いもあります。たとえば1灯式の場合、突然ランプが消えてしまうとその場で会議がストップしてしまいます。重要な会議やイベントではそのような理由で中断することは許されませんよね。2灯式であれば、1灯が切れたことで輝度は落ちるものの、そのまま会議を継続することに何ら問題はありません。市場からも信頼性向上の要望があがっていましたので、企画の段階から2灯式の採用が決定していました。

― VPL-FH300Lでは2K×1K(2048×1080ドット)の解像度を実現し、フルHD映像の投影に対応しました。高画質化にあたり、どのような先進技術が搭載されているのでしょうか。

藤田(設計・光学担当リーダー): フルHDの画面サイズ比率(アスペクト比)は16:9であり、家庭用テレビのハイビジョンサイズでもあります。そのため、VPL-FH300L/VPL-FW300Lが目指す画質として家庭用テレビ映像に近いものを想定しました。一般的に、データプロジェクターは明るさを求められますが、実は映画を鑑賞するような色彩品質と輝度は両立しにくいのです。しかし、ノートPC画面のワイド化や動画コンテンツのHD化に対応するためにも、色鮮やかな映像作りが必要だと考えました。

岡野(設計・プロダクトマネージャー): ソニーのプロジェクターは3LCD方式で、光源から出射された光を特殊な鏡を使って赤、緑、青の三原色に分離し、各色専用のLCDで絵を作った後合成し投影します。実は、緑を強くすると人間の目には映像が明るく見えます。しかし色の美しさを重視すると、赤や青もきちんと出さなければなりません。そこで葛藤が生じます。最終的に、輝度・色の調和と調整バランスを考慮して、画作りをしていきました。

倉本(設計・プロジェクトリーダー): VPL-FH300L/VPL-FW300Lには、高温ポリシリコンTFT透過型液晶デバイス“BrightEra”を搭載しました。ソニーが独自開発した無機配向膜と新液晶材料を搭載したマイクロディスプレイデバイスで、高輝度、高コントラスト、高画質化を実現します。また、開発チームで光学エンジンとして性能を最大限に引き出していることもあり、画質には自信があると胸を張って言えますね。

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機能美と設置空間へ調和する洗練されたデザインにこだわる

― 2つめのコンセプトである、機能美と設置空間の調和について教えてください。

沼田: VPL-FH300L/VPL-FW300Lは、プロジェクターとしてはユニークな円形デザインを採用しています。円形デザインに決定した経緯は次回に説明しますが、機能美と設置環境への調和を考慮した結果であることはお伝えしておきます。機能美としましては、前面から言いますと、道具を使わずに簡単に交換できるレンズ、目障りなケーブルを見えなくするコネクターカバー、側面には持ち運び便利な深い掘り込んだ取っ手、天吊したままで交換可能なフィルター、そして背面は天吊状態で容易に交換可能なランプというように、円形に沿って、前から後ろへと流れるように機能美を表現しているのです。
大きさに関してですが、直径で699mmというのは、ドアを通り抜けやすい大きさを想定して決定しました。企画の初期段階ではもっと大きかったのですが、プロジェクター設置のため製品を台車に乗せて運んだ場合を想定して、一般的な扉を通れるようにと700mm以下を厳守して欲しいと設計チームに依頼しました。この点は、設計チームが苦労した点の一つだと思います。

倉本: 最初にフルHDというコンセプトがあったため、設計チームで最初に動き出したのは光学エンジンブロックでした。このエンジンブロックが入るサイズでデザインしてもらうと、どうしてもサイズが800mm近くになります。しかも光学性能を落とさないようにすると、なかなかボリュームダウンできません。最初のハードルは、いかに700mm以下に納めるかでした。
やがてデザインが円形に決定し、光学エンジンのランプの角を削ったり、電源の形状を変更するなどして、レイアウトをパズルのように組み合わせ、なんとか700mm以下を実現しました。

― 目障りなケーブルが見えないような構造になっていますが、それも機能美と設置空間との調和に関係しているのですか。

久恒(デザイン担当): プロジェクターには、電源ケーブルやデータ画像入力用のケーブルが必要ですが、その数は意外に多く、通常の設置ではケーブルがむき出し状態になっています。これが空間の美しさを乱す要因となるのです。そこで、本体前面のスペースに、コネクタとケーブルをすべて収容することにしました。コネクタカバーによって、ケーブル類は見えないようにしています。

岡野: VPL-FH300L/VPL-FW300Lのようなプロジェクターの多くは、床置きではなく天井吊り下げ設置で使用されます。天吊設置のプロジェクターは使用が想定される機器類のケーブルをあらかじめ接続し、操作卓やリモコンから操作しますので、ケーブル類を本体に収容しても支障はありません。さらに専用のサスペンションサポート(天吊金具)の内部にもケーブル類を収められる構造とし、機能美と空間への調和を追求しました。

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豊富な機能とアクセサリーによる設置柔軟性にこだわる

― 3つめのコンセプトは設置柔軟性を意識した豊富な機能とアクセサリーですが、本体の円形デザインを活かした様々な工夫が行われています。2つめのコンセプトである機能美と空間との調和とも、共通する部分がありますね。

沼田: VPL-FH300L/VPL-FW300Lは、投影方法やスクリーンサイズ、投影距離に応じて柔軟に対応できるよう、5種類のオプションレンズを用意しています。このレンズは本体前面に設置しますが、ドライバーなどの工具を使わずに、簡単にレンズ交換できるようにバヨネットマウント方式を採用しました。
また、本体を天井吊り下げ設置したまま簡単にメンテナンスが行えるよう、フィルター交換は側面から、ランプ交換は背面から交換できるよう設計しています。ランプ交換とフィルター交換を同じ推奨時間として、両方一度にできるようにするなど、メンテナンス性も考慮しました。
さらには、電動でのレンズシフトを可能とし、設置環境にあわせてレンズを動かすことによって、設置柔軟性の向上を図っています。従来のモデルは、レンズシフトがスクリーンの上端までしか対応していませんでしたが、今回はレンズシフトの幅を広げ、VPL-FH300L/VPL-FW300Lがスクリーンより上に設置された場合でも対応可能としました。

― 本体下面に持ち運びのための取っ手が彫り込んであるなど、細やかな配慮が数多く見られます。

沼田:取っ手は、本体の円形にそって彫りを入れた形状です。円形がデザインによって、腕を自然に曲げた体勢となって力を込めやすくなっています。 また、天吊時に吸気口への埃の堆積を防ぐダストカバーを付属しています。 主に天吊状態で使われるこのモデルでは、一度設置してしまうと、基本的には天井から外したりしませんので、埃の堆積を防ぐダストカバーによって、メンテナンス性が向上します。 このような細やかな配慮をした多くの工夫が、VPL-FH300L/VPL-FW300Lには数多く搭載されています。

― 次回は、「円形デザインへのこだわり」をテーマにインタビューします。
 
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