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東京カメラ部10選2015
黒田明臣 氏 〜後編〜
「計算と挑戦のポートレート」

α Universe editorial team

α7R IIを使いポートレートを撮影している黒田明臣氏は、もし小型軽量というアドバンテージがなかったとしてもα7R IIを使うと言い切る。その裏にはどのような理由があるのだろう。α7R IIの機能面に焦点を当て、ポートレート撮影との親和性を探っていく。

黒田 明臣/フォトグラファー 1983年、東京都出身、東京都在住。ポートレート写真を専門としたフォトグラファー。広告・雑誌・企業のビジネス写真を中心に活動する傍ら、セミナー・ワークショップ講師としても活動中。独学で学んだ撮影技法・RAW現像・ライティングに関するテクニックを、カメラ誌・書籍・ウェブメディアにも執筆中。元フリーランスのウェブエンジニアで、大規模ウェブサービスの設計・運用や立ち上げを担当。国内外でのコンテスト入賞やSNSでの評価を経て撮影案件が増えたことで元々フリーランスであったことも活かしフォトグラファーへとキャリアチェンジ。写真とウェブエンジニアリング、両方のスキルを活かしてSNS時代に何か寄与できないかと模索している。 フォトグラファーWEBマガジンであるヒーコのファウンダー http://xico.media/
ホームページ http://artratio.net/
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――前回はレンズをはじめとする「画質」にスポットをあてましたが、今回はポートレート撮影におけるα7シリーズの機能面のメリットについてお伺いしたいです。 ひとつはレンズに依存しないフォーカスのしやすさですね。AFレンズであってもAFでピントを合わせた後、レンズのフォーカスリングを回しピントの微調整を行えるダイレクトマニュアルフォーカス「DMF」を使っています。例えばビューティーの撮影では、顔をかなりアップで撮影するため、F11程度に絞り込んだとしても、瞳にピントを合わせると鼻がボケる可能性が出てきます。ですから瞳の少し手前にDMFでマニュアル操作をしてピントを合わせることで、鼻も被写界深度内に入れるような工夫をし、被写界深度をギリギリまで使い切るようにしているんです。こういった絞った上で全体にピントを合わせるときにDMFは重宝しますね。因みに、F1.4など被写界深度が浅い場合に、瞳にだけピントを合わせたい、というような時はAFだけ使っていますが、しっかり目にピントを合わせることができます。

α7R II,135mm,F8.0,1/125秒,ISO100
α7R II,FE 50mm F1.4 ZA 50mm,F2.8,1/200秒,ISO100
α7R II,FE 50mm F1.4 ZA 50mm,F2.8,1/500秒,ISO160

――ライティングをして撮影をする割合はどのくらいですか? 9割はライティングをしています。実は、屋外で自然光のように見えるものもライティングしていたりします。あからさまなものは好きではないので、嫌な影を消すことや、補助的な役割で使います。主に使用しているのは、バッテリー式のProfoto B2。クリップオンを使うこともあります。ライティング時は、ライブビューでの露出等の設定効果の反映をOFFにできる機能がありがたいです。主に室内の話ですが、ストロボ発光前提でF16ほどまで絞りこみ設定効果をONのままでフレーミングをしようとすると、ストロボ発光前のため、暗くてほとんどなにも見えないか、見えたとしても粗い映像になります。そこで、設定効果反映をOFFにする機能を使います。それにより絞り開放の状態でフォーカシングをすることができますし、ファインダーやモニタ映像も明るく見えるようになりますので、フレーミングもしっかり行えます。したがって、暗所でもDMFを使えるという私にとって理想のスタイルを採ることができるようになったんです。DMFが使える以外にも、一眼レフにはないフォーカスエリアの広さや、ファインダー撮影時にも拡大表示ができるといった点も私の撮影にとって外せません。そのほか、チルト式液晶を使うことで構図のマンネリを避けることができるなど細かい点も気に入っています。素晴らしいセンサー、画像処理エンジン、レンズなどがベースとして高次元で揃っていることに目を奪われがちですが、実際の撮影ではこれらの細かいさまざまな機能に助けられていますね。

α7R II,135mm,F2.0,1/125秒,ISO400
α7R II,FE 90mm F2.8 Macro G OSS 90mm,F4.0,1/160秒,ISO100
α7R II,FE 85mm F1.4 GM 85mm,F8.0,1/2秒,ISO100

――モデルさんとはコミュニケーションを取りながら撮影しているんですか? モデルさんが「撮られるぞ!」とキメきっている表情というよりも、普段会話しているときや一人でいる時のようなリラックスして自然な表情や仕草を撮りたいという気持ちがあります。だから、例えばアシスタントを見ながらモデルさんを見ないでシャッターを切ったり、ピントを合わせてからは一切カメラを見ないで撮影することもあります。ファインダーを覗いていない時間を意識的に増やしているのかもしれません。ムード作りやコミュニケーションに神経をすり減らしていることは多いです。

――瞳AFや顔認識も使いますか? 多用はしないです。どのような撮影でも基本的な流れは同じで、会話をしながら横目でAF。そこからDMFで拡大表示です。でも、作品撮りをする場合は普段とは異なることもやりたいんですね。一緒にぶらぶらと歩きながら瞬間を撮るようなときにDMFは厳しいので、瞳AFを使って自分自身も驚くことができる写真を目指した撮影もしています。ピントさえ合っていればカメラとレンズ性能で良い画は撮れるので、そこは性能に頼りつつ一瞬を捉えるために全力を尽くす場合もあります。例えば、コーヒーを飲んでいる瞬間を撮りたいと思ったときに、飲んだふりをして止まってもらうのと、実際に飲んでいる瞬間を撮るのかではまったく違うんですよね。それと同じように歩いている瞬間を撮るにしても、実際歩いているところと、歩いたふりをして止まってもらったところを撮るのは違うんです。瞳AFや顔認識機能によってそれができるようになったのは大きいです。

α7R II,FE 50mm F1.4 ZA 50mm,F1.4,1/500秒,ISO100
α7R II,FE 50mm F1.4 ZA 50mm,F2.8,1/8000秒,ISO160
α7R II,FE 50mm F1.4 ZA 50mm,F2.0,1/6400秒,ISO160

――他に自然体の表情を捉えるための工夫はありますか? サイレントシャッターを使うことがあります。ただ、α7R IIの場合はRAWが14bitではなく12bitになってしまうので、データのクオリティーを求められるときは使いません。ただ、光が整っており、安定した画質を確保できるときには使うようにしています。僕はRAW現像の質はデジタル写真において重要な要素を占めていると捉えていますが、それ以上に、表情や仕草が自然かどうか、モデルにマッチしているかどうかといった写真として残る一瞬の大切さを考えています。だから、できるだけ自分が撮った瞬間ってモデルに知られたくないんです。モデルがポーズや仕草をキメきっていたら崩したくなるし、自然でいてほしい。素晴らしい表情は普段の振る舞いの中に隠れていますが、それを見つけたときにもう一回やってほしいと頼んでも二度と同じ表情はできませんよね。だから気付かれずに撮ることも大切だと思っています。シャッター音のたびにポーズを変えるというような撮影はしたくありません。僕はカタログを撮っているのではなく、人間性が出ている作品を撮りたいので。

――現在はα7RIIがメイン機です。手ブレ補正の効果をどう捉えていますか? もの凄い機能だと痛感しています。例えばシャッタースピードを稼ぐことができない日中シンクロの撮影をするとき、ハイスピードシンクロ(HSS)を利用しない限りはどうしても低速のシャッタースピードになります。そういった時にも効果を発揮しますし、例えば脚立の上からの不安定な状況でも手ブレ補正機能があることで手持ち撮影できるんです。よく焦点距離が50mmだと手ブレしないシャッタースピードは1/50秒までと言いますが、1/5秒くらいまではいける感覚があります。スタジオ撮影なんかでは三脚を使用して構図を決めるため、ワンパターンな写真になりがちですが、数枚良いのが押さえられたらあとは手持ちで撮影したりすることでバリエーションを増やしています。しかし最初は勇気が必要でしたね。一眼レフを使っていたときは、いい作品が撮れたと満足して帰宅したものの、帰宅後にパソコンの大きな画面で見たら手ブレで使えないというような失敗がありました。α7RIIを使うようになってからはそういう写真は減りましたし、構図、ISO、撮影時間などの選択の幅が拡がったと思います。一眼レフを使っていると、この明るさで135mmは使えないなどというように自ずと限界値を決めるじゃないですか。それを簡単に覆してくれました。

α7R II,135mm,F9.0,1/125秒,ISO100

――ISOの上限などは決めていますか? 画一的な決め方ではなくて、インタビューであればISO3200でもやりますし、ライティングをする場合は最低感度でできるだけやります。αシリーズは暗部の情報量の多さが素晴らしく、現像時に持ち上げたときの色の再現がしっかりしているため、僕の感覚では3段くらいまでの露出は、RAW現像でなんとかなると思っています。ですから、ISOはリカバリー可能な範囲であればよくて、ISO100か200に設定することがほとんどです。

――小型軽量であることは強みだと考えますか? 今よりも大きく重たくても私はαの機能や高画質性能にほれ込んでいるので使いますけど、さらに小型軽量というのは、無敵だと思います。正直なところ、テザー撮影など一部機能がまだ満足できるレベルではありませんが、そういった諸々は撮影時に工夫することでカバーできる範囲なので、αがもたらす小型軽量をはじめとする多くのメリットと比べたら些細なことです。特に仕事の場合、現場の状況によって予定していたライティングを変えたりしなければいけないケースが多いので多めに機材を持っていくんですね。スタンド、背景紙、アンブレラ、モノブロック。長もののバッグやケースが3〜4つになるんです。この時点でアシスタントは必要になり、さらに一眼レフのシステムを持とうとすると、アシスタントがいても代理店の方に手伝っていただくようなことも起こってしまいます。これがずっと辛かったんですがαですっかり解消されました

――今後、トライしたい撮影は? 人を撮り始めて3年経ちました。3年間いろいろと模索し、趣味から仕事の世界に入ってきた人間なので、とにかく勉強あるのみと考えてさまざまなイメージの撮影に挑戦してきましたが、最近はそろそろシリーズを持ちたいと思っています。今後、α9を手にするかは検討中ですが、カメラやライティングなどの条件・環境を制限した作品をシリーズとして撮りたいですね。やはり人を撮るので、そういった同一環境下でも際立つ個性の違いというものを表現したいと思っています。いまα7RIIと85mmレンズで撮るという連載をやっているのですが、そういう制約のもとでシリーズを撮っていきたいんです。

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