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夜空を彩る大輪の花火
〜フォトグラファーが教える魅惑の花火撮影術〜

写真家  Kogame 氏

α Universe editorial team

Kogame Takeshi Kameyama/フォトグラファー 会社員のかたわらフォトグラファーとして活動中。風景からポートレート、アートまで、ジャンルに拘らない幅広い作風が特徴。雑誌・オンラインで撮影・レタッチ方法の解説も行っている。International Photography Awards 2022 にて Nature Photographer of The Year 受賞。ルーシー賞(写真界のアカデミー賞)に招待され、海外からも高い評価を得ている。TIFA2022 Gold、SWPA2022 日本賞、東京カメラ部10選2020。

フォトグラファーとして活躍するKogame氏が今年の夏、長岡花火や酒田花火など各地で撮影した花火作品とともに、撮影設定や手法などをご紹介。

花火の迫力・感動を写真や映像におさめる

今年は7月26日の柏崎花火(新潟)から始まり、長岡花火(新潟)、酒田花火(山形)、赤川花火(山形)、阿賀野川ござれや花火(新潟)で撮影してきました。どの花火大会も花火師さんの特色が色濃く表れており、何度も見ていますが毎回感動しています。 写真撮影は新しく発表されたコンパクト高画素機α7CRをメインで使用しました。今年は花火会場の近くから撮影することが多かったので、レンズは広角のFE 16-35mm F2.8 GMとFE 14mm F1.8 GMを組み合わせて撮影しました。長岡花火はカメラマン席で撮影しましたが、メインのスターマイン系は14mmが画角的にちょうど良いと感じました。フェニックスは幅2kmにもおよぶため、14mmでも足りない場面が多く、12mmだと丁度良いと思います。

α7CR,FE 14mm F1.8 GM 14mm,F16,12秒,ISO100

長岡花火 復興祈願花火 フェニックス 新潟三大花火のひとつであり、「川の長岡」とも呼ばれる長岡花火で撮った1枚です。 今年は二日間ともカメラマン席からの撮影でした。幅2kmにもおよぶフェニックスは視界全てを埋め尽くし、14mmの超広角レンズでも入りきらない大迫力でした。こちらは会場の様子もわかるよう、前景の露出にも配慮し撮影しています。

α7CR,FE 16-35mm F2.8 GM 24mm,F14,20秒,ISO100

長岡花火 正三尺玉 こちらは長岡花火の名物のひとつである正三尺玉を撮った1枚です。 カメラマン席からだと、正三尺玉とナイアガラを一緒に撮影することができ、観客席を構図に入れることで、花火の大きさをわかるように撮ってみました。 それ以外の花火大会ではFE 16-35mm F2.8 GMが活躍しました。レンズ交換することなく、ほぼ1本で画角をカバーできるのでとても便利でしたね。 動画撮影にはα7S IIIにFE 12-24mm GMで撮影しました。横構図の16:9で撮影するので上下が見切れない超広角は便利です。また、打ち上げ場所が微妙にかわったときも、超広角で撮影しておけばあとでトリミング調整できるメリットもあります。あと、もう一台はα1を使って新しい撮影方法にもチャレンジしてみました。これについては後ほど。

α7S III、 FE12-24mm F2.8 GM S-log3,F11,1/60秒,ISO12800

赤川花火 グランドフィナーレ 広角レンズを使って広めに撮影しておき、微妙なずれは編集時にトリミングで対応しました。花火の露出はちょうど良いが、前景の露出はまだ調整が必要です。

花火撮影は設定はもちろん場所選びも重要

花火写真はマニュアルモードにして、絞り:F14〜16、ISO:100、ドライブモード:シングル、シャッター速度:バルブ、フォーカス:MF、手ブレ補正OFFを基本設定にしています。NDフィルターは使っていません。 撮影では花火を白飛びさせないことも重要ですが、前景や背景となるシャドー部の露出を強く意識しています。例えば、打ち上げ前からシャッターを開けたり、打ち上げ後もシャッターを開け続けるなどして、長めに露出することでシャドー部もしっかり写し撮るようにしています。

α7CR,FE 16-35mm F2.8 GM 24mm,F16,18秒,ISO100

酒田の花火 グランドフィナーレ こちらは花火会場ではなく、少し離れた場所から撮影しています。前景に特徴的な建物を取り入れ、水面に花火が写る構図で撮りました。明暗差があるため、花火終了後もシャッターを開け続け、手前の前景がしっかり写るよう露出の調整を行い捉えた1枚です。 動画はα7S IIIのS-log3で撮影しましたが、今回はじめてだったので適正な設定がわからず、かなり悩みました。いろいろ試した結果α7S IIIのデュアルゲインISOの低ノイズと、S-Log3のダイナミックレンジを最大限にいかし、F11、ISO12800、SS1/60に落ち着きました。 ただし、この設定だと花火の白飛びは抑えられますが、背景の露出が若干足りないので一工夫必要となります。最後に撮影した「阿賀野川ござれや花火」で、ようやくこの課題をクリアできたので、来年の花火撮影が楽しみです。

α7S III、 FE12-24mm F2.8 GM

花火を白飛びさせず、背景も写るように調整した撮影。来年はこの撮影方法で長岡花火を撮りたい。 あと、花火撮影は煙に悩まされることが多いです。せっかくの花火大会が「煙で見えなかった・・・」なんて悲しいですよね。会場で観覧する場合は諦めるしかありませんが、当日の風向きによっては撮影場所を変えることもあります。スマートフォンで風向きを確認できるアプリなどを活用して撮影に挑みました。

α7CR,FE 16-35mm F2.8 GM 19mm,F16,6秒,ISO100

赤川花火 グランドフィナーレ この1枚は当日の風向きを確認し、花火会場ではない場所から撮影しています。季節感を出すために稲穂を前景に入れる構図とし、ここでも打ち上げ終了後もシャッターを開け続け、前景の稲穂がしっかり写るよう露出を調整しました。

α1の連写性能を生かして大輪の花火を撮影

花火撮影はバルブを使って長秒露光が一般的ですが、スターマインなど途切れなく打ちあがる花火は、バルブを切るタイミングが難しいです。 そこで、思いついたのが連写した複数枚の写真を比較明合成し、1枚の写真にする方法です。α1はCF express Type A使うと連写し続けられるので、打ち上げ中ずっと連写してみました。 撮影した写真をすべて編集ソフトにレイヤーとして取り込み、レイヤー効果で「比較(名)」にすると複数枚を重ねた状態の写真にできます。 これは長岡花火の名物「天地人花火」ですが、絶え間なく連続で打ち上がるため、シャッターを離すタイミングが難しい花火です。α1の連写で撮影した写真と、α7CRのバルブで撮影した写真を比較してみました。

α7CR:バルブ撮影

α7CR,FE 14mm F1.8 GM 14mm,F14,3秒,ISO100

α1:連写撮影(絞り:F11 ISO:1600 SS:1/10 ×25枚)

α1,FE 14mm F1.8 GM 14mm,F11,1/10秒,ISO1600

α7CRが発売前なので編集ソフトに対応しておらず、ホワイトバランスなどの差はありますが、α1の連写で撮影した写真も遜色ないと思います。

編集アプリで比較明合成している様子

もう一枚は長岡花火フェニックスです。ラストに不死鳥が羽ばたくのですが、シャッタータイミングが難しい撮影です。これもα1の連写で撮影してみました。

α1:連写撮影(絞り:F11 ISO:1600 SS:1/10 ×36枚)

α1,FE 14mm F1.8 GM 14mm,F11,1/10秒,ISO1600

編集アプリで比較明合成している様子

不死鳥が羽ばたくタイミングを任意で切り出せることがわかります。 今回はシャッター速度1/10で撮影しましたが、ちょっと露出が足りなかったので1/5でもよかったかもしれません。花火の種類や距離でも適切な露出は変わるので、調整は必要です。 この撮影方法のメリットは、任意のタイミング(範囲)で花火を1枚の写真にできることです。バルブ撮影のように、ちょっとシャッターを離すタイミングが速かった!遅かった!ということがなく、後で自由に調整できます。撮影はずっとシャッターを押しておくだけ。花火をゆっくり鑑賞することもできます(これが嬉しい)。 デメリットは膨大なファイル数とファイルサイズが大きくなること。処理のためにPCのスペックもそれなりに必要となります。(使用PCメモリ16GBで問題ありませんでした)。あとは背景が暗く写ること。これは背景画像を別撮りしておくことで対応できます。 α7R Vやα7 IVなどCFexpress Type Aを使える機種であれば同じ方法で撮影できます。カメラの性能が上がることで、今までできなかった撮影ができるので、写真表現の幅を広げていきたいです。

ストーリーを込めて花火を撮影する楽しさ

花火撮影は長年経験しており、これまでもいろんな撮影にチャレンジしてきました。初期の頃は花火だけ撮影していましたが、前景を入れたり、遠くから望遠で撮影したり、ポートレートにしてみたり、それぞれに楽しさがあります。

α7 III,FE 16-35mm F2.8 GM 25mm,F3.2,1/100秒,ISO1250

長岡花火 カメラの性能や現像ソフトウェアの進化により、花火撮影はかなり変化してきました。従来の撮影や表現方法にとどまらず、新しい撮影にもどんどんチャレンジしたいです。 また、花火は動画との相性も良いと感じます。今年は実験で終わってしまったのですが、新しい撮影方法を確率できたので来年が楽しみです。 最近の花火写真は、前景や背景も取り入れた写真が多くなってきました。花火を白飛びさせずに、前景や背景もしっかり写し出すことは、明暗差があるため結構難しいです。

α7CR,FE 16-35mm F2.8 GM 35mm,F14,7秒,ISO100

柏崎花火 新潟三大花火大会の一つで「海の柏崎」とも呼ばれる「柏崎花火」を撮影しました。 花火会場からは海が見えないため、「海の柏崎」であることがわかるように海面が写る場所から撮影しています。前景に花火を見ている人をシルエットとして取り入れことで、のどかな雰囲気を表現してみました。 このような撮影では、フルサイズセンサーを使用し、RAWで撮影することをお勧めします。フルサイズセンサーの幅広いダイナミックレンジを最大限に活かすことで、ハイライトからシャドーまで快調豊かに写し出すことができます。 組み合わせるレンズは画角に自由度があるズームレンズがおすすめです。花火会場など近距離で撮影するなら超広角の12-24mm、14-24mm、16-35mmあたりがあると、気持ちに余裕が生まれます。 打ち上げ場所が変わるような花火大会では、α1、α7R V、α7CRなどの高画素機がおすすめです。広く撮影しておいて後でトリミングすることで、花火を画角内に収めることができます。また、Instagram向けの縦構図も、横構図からトリミングしても十分な解像度を得られます。高画素機ならではのメリットと言えるでしょう。 写真だけでなく、動画も同時に撮影したいニーズも高まっています。S-log3 4:2:2 10bit撮影ができるコンパクトなVLOGCAM ZV-E1、α7C II、α7CRは、サブ機として魅力的な組み合わせとなっています。

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