広がるαプロフェッショナルフォトグラファー

α Photographer’s Voice

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Phtographer 林 明輝
Photographer

林 明輝

「α7を使ってしまうと、
もう他のカメラには戻れない」

林 明輝(りん めいき)

1969年、神奈川県生まれ。独自の視点で、自然風景が醸し出す微妙な空気感、透明感を表現した作品の発表を続ける。2011年より、ロンドンに拠点を置くEAST-WEST ART AWARD 2011-2014の写真部門の審査員を担当。また、日印グローバル・パートナーシップ・サミットに「自然首都・只見」の写真を提供する。2012年、国際交流基金主催の写真展「東北 風土、人、くらし」を担当。作品はニューヨーク、北京をはじめ、5ヶ年計画で世界20ヶ国以上を巡回している。現在、α7とともに、列島各地をを撮り続けている。写真教室・輝望フォトグラファーズ主宰、日本写真家協会会員、日本自然科学写真協会理事。

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テクノロジーの進歩を
いかにユーザーに提供するかが大事

α7R + Vario-Tessar T* FE 16-35mm F4 ZA OSS 1/320 F8.0 ISO100

18歳で写真をはじめてからこれまで30年近く撮影をしてきました。長くフィルムカメラで風景撮影を行い、2008年からデジタルカメラで日本列島各地の風景を撮影してきました。フィルム時代は中判カメラを使用し、デジタルカメラになってからはフルサイズの一眼レフ機を使用していました。風景撮影ですので、時には過酷な自然に入っていって撮影することも多くあります。冬でなくてもカメラ、レンズ、三脚などのカメラ用品の他に防寒具などを持って行く必要があるため、荷物は非常に大きくなります。かなり大きなリュックを背負って撮影ポイントまで行き、天候や気温によって刻一刻と変化する風景を何時間もかけて撮影していました。カバンが重いとか、カメラが大きいとかいう思いは当然ありましたが、風景撮影をする上でこれは当たり前だと思っていましたし、仕方がないことと思っていました。

そんな風景撮影の常識を大きく変えるα7が登場したのは2013年でした。ミラーレスカメラが世の中に出てから、いつかはフルサイズのミラーレス機が出ると言われていましたが、そこにソニーが果敢に挑んだことに対して、私はとても個人的に素晴らしいことと思いました。ソニーはカメラメーカーとして先発のメーカーではないと言われることもありますが、先発とか後発とかは問題ではなく、時代に即したテクノロジーの進歩をいかにユーザーに提供するかが大事なわけで、誰もつくらなかったカメラをソニーがつくったことは非常にセンセーショナルに感じました。私は発売とともにサブ機としてではなく、メイン機としてα7Rを購入しました。ソニーは世界でもトップクラスのイメージセンサーを開発しておりますし、個人的にはフィルムカメラの時代から使っていたカールツァイスのレンズを使えることは大きなメリットでした。風景写真を撮る人にとっては、高画質はもちろんですが、できるだけ軽くて小さいカメラが理想的ですし、それを満たすカメラはα7の他にありませんでした。当時は使えるかどうかという迷いや不安よりも、使いこなそうという前向きな想いの方が圧倒的に大きかったです。

撮影に出るたびに
自分の選択は正しかったと思えます

α7R II + FE 70-200mm F4 G OSS 2.5 F20 ISO50

私が普段から撮影で大事にしているのは、「いいな」と思った瞬間できるだけ早くシャッターを切ること。そのためには早くバッグからカメラを出して、素早く手持ちで撮る必要があります。天候が変化しやすい山での撮影では、刻一刻と風景が変化します。そんなシビアな状況では、いかに早く撮影の態勢を整えるかが重要になります。α7は小さくて軽くて持ち運びが楽なだけではなく、そのようなポイントでも非常に助かります。また、EVF(電子ビューファインダー)はボケ具合や露出補正による明るさがリアルタイムにファインダー上で確認できるので、カメラの設定が非常にスムーズに行えますし、マニュアルフォーカスの時もMFアシスト機能によりファインダー上で拡大しながらピント合わせができるので、的確にフォーカスできます。5軸手ブレ補正により、三脚を使うシチュエーションを減らせることもシャッターチャンスを逃さないという意味では大きなメリットです。今はα7R IIを使っているのですが、ミラーレスということに加えて、制振シャッターの搭載などで、ほとんどシャッターの振動がないので、持つ三脚が変わりました。これまではシャッターの振動に耐えられるように2.5〜3kgの三脚を使っていましたが、今は1.4kgの三脚です。ボディ、レンズとともに三脚も小さくなり、すべてが撮影に対してポジティブな効果がありました。

α7 II + FE 28mm F2 + フィッシュアイコンバーター SEL057FEC 3.2 F16 ISO50

あとはなんと言っても高性能なカメラとレンズによって生み出される写りの良さ。森の中の滝の撮影では、明暗差が非常に激しく、緑の階調がうまく出ないことがあるのですが、明部も暗部もしっかり緑の階調が出ていました。明部と暗部の境目に見られるパープルフリンジもほとんど見られず、これはイメージセンサーの性能もさることながら、ツァイス・Gレンズの性能が卓越していることを意味します。山奥の暗所での撮影で絞って撮影するときはISO感度を上げなければなりませんが、α7はノイズにも強いですね。4000万を超える高画素のα7R IIでこれだけ高感度撮影ができるのはたいへん素晴らしいです。昔から慣れ親しんでいたカールツァイスのレンズの魅力は充分理解しておりましたし、FEレンズのツァイスレンズの描写もさすがツァイスと言える圧倒的な解像力と高コントラストを楽しめます。しかし、Gレンズの描写には驚かされました。特に90マクロ(FE 90mm F2.8 Macro G OSS)は素晴らしいですね。マクロレンズですが、無限遠の風景撮影でも素晴らしい描写です。私はズームレンズで撮影をしている際も90mm前後の画角で撮影したい時は、わざわざ90マクロにレンズを交換して撮ります。それくらい90マクロの描写力は卓越していると思います。これらの高性能なレンズが最先端の性能を搭載したカメラと一緒に使える。撮影に出て新たな感動体験をするたびに、改めて自分の選択は正しかったと思えます。これから増えてくるであろう、FEレンズが楽しみです。