商品情報・ストアサイバーショット RX Cyber-shot × SPECIAL CONTENTS RX Talkshow 2017

Speakers 登壇者

富久 浩二:東京カメラ部10選2012/2013

1970年福岡生まれ。2012、2013年「東京カメラ部10選」に選出。日々の通勤風景を主に、いつも見ている変わりばえのない、しかし二度とやって来ない一瞬の情景を大切にし、人が入った物語のある写真をテーマのもとに、人びとの優しく楽しい感情が伝わる事を目標に日々撮影。子供の頃の目線、何と無く懐かしさを感じて貰える様に、ライブビューを使った低い目線、思い切って背伸びをした様な高さからの撮影が特徴的。

2011年 SONYフォトコンテスト最優秀賞/2011年 イギリスのマガジンCamerapixioにて日本人初の掲載 / 2012年 ナッジオのDaily Dozen2回選出/ 2012年 インドのAPF Magazine Street Photographyにて日本人初の掲載/ 2012、2013、2014、2015年イラクでの国際写真展に展示。

橋本 哲也:東京カメラ部コンテスト入賞者

1971年茨城県生まれ。愛知県在住。東京カメラ部2015/2016コンテスト入賞。2012年、ソニーのミラーレス一眼(NEX- 5N)を購入したのをきっかけに、写真を撮ること、人に見せることの楽しさを知る。以後、国内外の審査制写真投稿サイトへ、積極的に投稿を続け、『1x.com』や『National Geographic』といった海外の有名サイトでもpublishedされるようになった。撮影するジャンルに拘りはないが、日常の中から風景をアートに切り取る作風を好んでいる。

『Sony World Photography Awards 2016』 Architecture category of the Open Competition Commended(一般公募部門 アーキテクチャー 最終候補)

report トークショーレポート

2017年3月18日(土)にαプラザ(銀座)ソニーストア銀座 4階カメラコーナーで「RX100 V」トークショーが行われ、「東京カメラ部10選」の富久浩二さん、「東京カメラ部コンテスト入賞者」の橋本哲也さんが登壇されました。

司会「本日は、東京カメラ部で人気のフォトグラファーの2名の方より、作品づくりについて、また実際にRX100シリーズの最新モデルRX100 Vを使っていただいた感想やその撮影術などをお話しいただきます。まずはじめに橋本さんからお話しを伺いたいと思います」

橋本「こちらは岐阜県海津市で毎年開催されている今尾左義長というお祭りです。4〜5年くらい撮っているお祭りなのですが、竹で編んだ大きな神輿を広場に持って行って、火を放って燃やすんです。そしてこういった長襦袢を着た若い衆がロープを持って走り回ってその年の恵方に倒す迫力のあるお祭りです。今回使用したRX100 Vの高速・高性能なAFと連写性能がこの作品にもすごく活きてきたかなと思います。手前にも火が燃えていて陽炎が上がっているので、その奥の走っている人にピントを合わせるのは結構難しいのですが、RX100 Vならシャッター半押しだけでピントを合わせてくれました」

橋本「先ほどの写真は風下で撮ったので全身灰まみれになってしまったのですが、こちらの写真は風上で灰よけをしている場面です。24mmの広角で地面すれすれにカメラを置いて撮影しました。液晶をチルトにしてローアングルから撮影することで、迫力がある構図で撮ることができました」

橋本「作例を撮るために地元の大きな運動公園へ行ったらたまたま出くわした光景です。ここをジョギングしている人や自転車に乗っている人がよく通るのですが、赤いコーンはたまたまあったもので、入れると面白いかなと思い、こういった構図で撮影しました。人が来た!という瞬間で連写するのですが、RX100 Vの高性能な高速連写機能だと短い間隔で何枚も高画質で撮れますので、両方から走って来た人の歩幅が同じ間隔の一枚を選ぶことができました」

橋本「RX100 Vは連写の設定を3段階で切り替えられるので、こちらの歩いている人を撮る場合は間隔の長い連写で撮っています。これも歩幅が絶妙な角度のところを捉えられました」

橋本「名古屋市科学館で開催されていた『チームラボアイランド』というアート展で撮影したものです。時間に余裕があればすごくきれいな写真が撮れるのですが、好評な展示だったのでとにかく連日大混雑、なかなかカメラを構えて撮れない状況でした。そんな条件でも、電飾でできた通路を向こうから歩いてくる子どもをタイミングよく撮ることができました。RX100 Vのコンパクトさがあったので、大勢の人がいてもすぐにカメラを向けることができました。また会場内は暗くフラッシュもたけなかったのですが、この描写を見て高感度に強いカメラだなと感じました」

橋本「電飾に近づいて撮ったものです。人垣の間からカメラを入れて、とりあえずどこかにピントが合えばいいという気持ちで何枚か撮りました。連写を使いながら一番いいと思うものを選びました」

橋本「土手の堤防を走る人がシルエットになるように撮りました。この日は天気もよくて雲もいい感じで出ていたので、人が通るときに連写をしたのですが、女性が走ったあとを男性が振り返っている感じがお気に入りです。1回しかシャッターを切っていなければ撮れていなかっただろうなという写真も、RX100 Vの連写機能を使えばバッチリのタイミングで撮れました」

司会「ちなみに、EVFは覗いて撮影されますか?」

橋本「普段はあまり覗かないのですが、この日のように天気がよくて明るいときは液晶モニターは反射して見づらくなるので、EVFがあることはとても強みになると思いましたね」

橋本「これは実は自撮りなんです。場所は長良川国際会議場というところで外も中も魅力的なデザインで撮りがいのある場所なんですが、なかなか人が歩いて来てくれなかったので仕方なく自分を撮りました。RX100 Vとカバンの中のミニ三脚を使い、セルフタイマーで撮りました」

橋本「名古屋の駅前なのですが、暗い場所なので手ブレをしないように構えて連写で撮りました。二人のサラリーマンの足がきれいに見えるような一枚を選びました」

橋本「これは被写体となっている人と自分との距離が近く、どちらもシルエットが美しくなる瞬間を狙っています。横構図で撮る場合はチルトを上げて液晶画面を下にして覗き込むようにしてシャッターを切ることが多いのですが、そうすると通行人はあまりカメラの存在を気にしないんですね。でも今回は縦なのでカメラを持ち上げるのですが、そうすると大きいカメラだと被写体が気にしてしまってやりづらいんですね。でもこのコンパクトなサイズであれば素早く連写することができます」

橋本「名古屋駅前にときどき現れる虚無僧です。時代劇に出てくるような雰囲気です。虚無僧は動かないため、遅いシャッタースピードでもぶれません。なので通過する人たちをぶらすことで対比して撮れるんじゃないかと思いました。都会の中にこんな人がいるのが面白いなと思い、シャッターを切りました」

橋本「地下道を歩いてくる人を撮りました。だいぶ暗いですが、RX100 Vのセンサーであれば壁の部分の細かい描写もしてくれますし、遅いシャッタースピードで動きを表現する面白い撮り方ができるんじゃないかと思います」

司会「ありがとうございます。瞬間を撮影する感覚が重要だと思うのですが、その際に重要なことやコツなどありますか?」

橋本「自分はスナップがメインなので、どれだけカメラを持ち歩くかが重要だと思っています。RX100 Vはこのサイズであるということがすごく重要で、外に出るときにも持ち歩こうと思えますし、そうやっていつも持ち歩いていると、色んなシーンに出くわしたときに写真を撮ることができる。もちろん『今日は写真を撮るぞ!』と思って外に出ることもありますので、そういうときはどこに行ったら面白い写真が撮れそうか、光を狙っていくことが多いです。でもそこにこだわりすぎるともっと他に面白いシーンがあるのに逃してしまうこともあるので、柔軟に考えるといい写真が撮れるのかなと思います」

司会「なるほど。スナップを撮るときの設定はどうされていますか?」

橋本「光が十分にあるところではできるだけ絞ろうと思っていて、あとはシャッタースピードで調整しています。暗いところではあまり絞れないですが、せめてF5.6くらいで撮りたいと思っています」

司会「橋本さん、ありがとうございました。続いて、富久さんに伺いたいと思います」

富久「まず時事ネタからです。これは会社の帰り道に田町のバンダイ・ナムコ本社前で撮りました。最初は坂道を必死に上ってくる警察官が乗った7台くらいの自転車がおもしろいなと思い撮ろうとしたのですが、後ろからちょっと変わった車の音が聞こえてきたと思ったら、ちょうど話題のマリカーが来たんです。マリカーがニュースになっている時期だったので警察官を気にして見ている様子がおもしろくて撮りました」

富久「こちらは多摩川の土手。2面グラウンドがあり、1面は少年、もう1面は少女が野球をしていて、これは少女です。ボールは最初からここにあったわけじゃなく、転がして良い場所まで持っていきました。太陽をボールに被せるようにし、ボケ具合もモニターで確認しながら撮っています。カメラを下から構えれば構えるほど臨場感が出ますよね。お気に入りの1枚です。寄ったときのボケはキレイで、少女の投球フォームが美しく描写されています。フォーカスもボールの良いところに合いました。コントラストのある被写体であれば、画面の端にあっても大抵はフォーカスが合ってくれます」

富久「これは品川のユリカモメ。最初は奥のビルにピントが合っていたと思うのですが、横からユリカモメが現れたとき、ピントがしっかりと追いかけてくれました。24コマ連写/秒だとこういう写真が撮れる。一眼レフだと、何ヶ月通ってやっと撮れる写真ではないでしょうか。それが1回目で撮れたのはすごいことです。一眼レフではMFばかり使いますが、RX100 Vではちょっとの動きも逃さずに追いかけてくれるので、常に追従フォーカスにしています」

富久「たぶんわたししか撮っていない『水玉シリーズ』。RX100 Vはスマホで露出の操作やシャッターが切れるので、100円ショップで買った買い物カゴの中にカメラを広角側にして入れてサランラップでフタをして、霧吹きでサランラップに水を拭きかけています最初はあまりおもしろい写真が撮れなかったのですが、良い場所に出掛けるほど満足のいく写真が撮れるようになりました。ピントの精度的に、RX100 III〜RX100 Vでしか成功していません。簡単なグッズだけで撮影ができるのでおすすめです。くれぐれも100円ショップのお店のカゴを持って帰らないようにしてください(笑)」

富久「原宿の有名な撮影スポットです。普通に写しても絵になる場所ですが、カーブミラーに写っているものを撮ってみました。ファインダーで撮っていると気付きづらいのですが、ライブビューで撮影をしているとカメラを高く上げて撮ることができるので、おもしろいアングルやモチーフを見つけられます」

富久「マネをされてカメラを落とされると大変なので撮影場所は秘密です。ニューヨークっぽい黄色いタクシーが通ったのでシャッターを切りました。一眼レフだとガラスに近づけてもレンズの重さがあるためあまりガラスに近づけられないのですが、RX100 Vは重心的に楽にガラスに近づけられるという利点があります」

富久「近所の駅で美しい影ができるのでよく撮りにいきます。影の角度とベビーカーとお母さんの角度、小さな足の角度がマッチしていていいなあと思い撮りました。RX100 Vは1シャッターで約4枚は撮れるので、このような瞬間を多くの枚数の中からチョイスできる良さがあります。1枚を瞬間的に撮るのではなくて、連写した中から最高の1枚を残すという感覚です。撮り方が変わりましたね」

富久「これも都内のとあるビル。冬の晴天の日だけにビルの中の地下に現れる虹です。何回か通っていてワンパターンになってきたので、この日は真上からガラスの反射を使って撮ってみました。チルト式液晶だからこそ発見でき、撮ることができる写真ではないでしょうか」

富久「掲示板を覗く女性です。ちょっと前かがみになっている仕草が印象的でした。滅多に撮らない縦構図ですね。大手町付近の大手森にはこのようなスポットがたくさんあるので、ぜひ足を運んでいただきたいです」

富久「週末で車内が空いており、またRX100 Vは小さくてあまり迷惑にならないだろうと思い撮影しました。わたしが乗っていた電車と併走する新幹線のスピードがちょうど同期し、ずっと連写をして100枚以上撮ったと思います。連写のバッファも多く、100枚以上はゆうに撮れますね。いったん撮影を止め、書き込み途中でもまた連写することができるので、撮り逃した、というようなことが少ないカメラだと思います」

富久「ファインダーを覗いて撮ることはほとんどありません。この写真も、ファインダーを覗いていたら自転車が近づいてきていると把握しづらかったと思います。ヘルメットにあたった日射しと影が対照的でお気に入りです」

富久「これも品川のユリカモメです。ただ3羽並んでいるだけではおもしろくないなと思い、カメラを低く構えて人を隙間に配置しています。連写を使っていないかのような写真ですが連写をしています。刻一刻、ユリカモメの向きは変わります。わたしは3つ以上のものが動くと頭の中が追いかけられなくなるので、そういう場合はカメラに任せてしまおうと決めているんです」

富久「女性それぞれの向きがおもしろく、良い瞬間を収められたと思っています。昔ならば何日もかけて撮れるか撮れないかという写真。わずか1シャッターで3枚ほどはこのレベルの写真が撮れるようになり、今までは何をやっていたんだろうと(笑)。RX100 Vを持つと撮れ高が大きく変わります」

富久「電車の隙間の写真ですが、連写をしている中にこれが混ざっていました。昔、電車の隙間から歯医者さんの治療中のシーンが写っていたことがあり、それを狙うため先頭車両から最後尾まで連写しました。まさか、こういう写真が撮れるとは思っていませんでしたが、ハプニングが起こるのもシャッターを切っているからこそですから」

富久「本物の飛行機ではありません。発泡スチロールをグライダーの形にして吊って、スマホのシャッターで撮っています。片手でグライダーを吊り、片手でスマホを操作していますが、スマホ操作は安定感があり途切れたことがないので便利です」

司会「ありがとうございます。次にお二人がRX100 Vをどのようにお使いになるのか、そしてメイン機との使い分けについてお聞きしたいと思います。橋本さんいかがですか?」

橋本「メイン機として使っているのはα7Sです。RX100 Vの焦点距離である24〜70mmより短い、あるいは長い焦点距離を一眼レフが担っているのですが、実際自分の撮影スタイルだとそこまでの広角や望遠を使わないので、RX100 Vをほぼメイン機として使っていましたね」

司会「なるほど。富久さんいかがでしょうか?」

富久「私もα7がメインでしたが、RX100 Vを持っているとどうしてもそればかり使ってしまいますね。超広角と望遠を使うときだけα7で、普段会社に持っていくときはRX100 V。スナップには欠かせませんね」

司会「こういうシーンでおすすめですとか、この機能をぜひ使って欲しいといった一押しのポイントがあれば教えてください」

橋本「何と言っても連写性能だと思います。AFも速いので動く被写体を撮りたいというときは最適なカメラだと思います」

司会「やはり大きいカメラですと、通行人の方もカメラが向いていると気にされたりするのではないでしょうか」

橋本「そうですね。一眼レフを構えていると通行人が止まってシャッターを切るのを待っていたり、避けて通ったりするんです。RX100 Vならカメラの設定をしているような感じで、ファインダーを覗くというより視野の端っこで見ながら撮るというときに使いやすいですね」

富久「RX100 Vは1/32000のシャッターが切れるんですね。ずっとシャッタースピードを最速にして、傘をさしながら雨を撮るんですが、手前の雨って今までなかなか止まらなかったのですが、1/32000だと目の前の雨粒が丸になるんです。それの中に風景を閉じ込めたり、面白い写真が撮れるかなと思いました。新しいカメラが出たときはその尖った性能を使って自分は何が撮れるだろうと考えると面白そうですね」

司会「最後にお二人の今後の写真についてお伺いしたいと思います。今後、どのような写真を撮りたいのか、よければ今後写真を始めたいと思っている方へのアドバイスなどいただけると幸いです。では、橋本さんからお願いします」

橋本「わたしは写真を始めて5年くらいなので、まだまだ写真のことはよくわかってないなぁとよく思います。たまたま今はスナップが多いのですが、まだ撮ったことのない被写体に色々挑戦してみたいなと思います。お金と時間さえあれば、世界の絶景とか、美人モデルを使ったポートレートを撮りたいと思っていますが、まだしばらくは今の作風で突き詰めてみたいかなと思います」

司会「ありがとうございます。では、富久さんお願いします」

富久「今回これだけ集中してスナップを撮って、やっぱり面白いなと思いました。撮れる写真も面白いし撮れ高もいい。常にカメラを持っているとチャンスが何倍にも広がります。一眼レフを使えばいい写真はたくさん撮れるんですが、いい瞬間を切り取れる確率はカメラを持っていれば断然上がります。一つ持ち歩けるカメラを持っていただいて、常に普段から目を光らせれば必ずいい写真が撮れると思います」

司会「富久さんの作品は日常の中の一瞬を捉えていて『どうやって撮っているかわからない』という方もたくさんいらっしゃると思うのですが、どのようなこと考えて撮影されているんですか?」

富久「基本的に人と歩いていても話半分しか聞いてなくて、いい石が転がっていたりとか、いい隙間があるとか、そういったことを考えながら話しています。常にシャッターチャンスを探しています」

司会「ありがとうございました」