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Creative Journey
with α
表現者×α  新しい世界をきりとる思考の旅

川島小鳥がソニーα7Cで撮る
「仲野太賀と旅する
ノスタルジックな東京」

photographer川島小鳥

kotori kawashima

profile川島小鳥/Photographer

写真家。1980年生まれ。早稲田大学第一文学部仏文科卒業後、沼田元氣氏に師事。写真集に『BABY BABY』(2007)、『未来ちゃん』(2011)、『明星』(2014)、谷川俊太郎との共著『おやすみ神たち』(2014)、『ファーストアルバム』(2016)、小橋陽介との共著『飛びます』(2019)、最新作は『おはようもしもしあいしてる』(2020)。第42回講談社出版文化賞写真賞、第40回木村伊兵衛写真賞を受賞。

写真家の川島小鳥がソニーα7Cを片手に、
東京の下町を旅するフォトストーリー。
旅の相手に選んだのは、旧知の間柄である
若手実力派俳優 仲野太賀。
『アエラスタイルマガジンウェブ』より

Interview 表現への想いを語る

撮影場所:ジョイフル三の輪(荒川区)α7C, Sonnar T* FE 55mm F1.8 ZA, 55mm, F3.2, 1/800秒, ISO100

写真家の川島小鳥がソニーα7Cを片手に、東京の下町を旅するフォトストーリー。旅の相手に選んだのは、旧知の間柄である若手実力派俳優 仲野太賀。仲野が身にまとう気鋭のドメスティックブランドにも注目したい。

「僕にとってカメラを持って誰かと歩くことは、それだけで目に映るすべてが背景になって、旅しているような感覚になれる行為。たとえ見慣れた景色でも、カメラのファインダーを通すだけで新しい気持ちで世界を見ることができるのです」と、話してくれた写真家の川島小鳥。 彼が今回旅したのは、昔ながらの面影が残る東京東部の三ノ輪〜巣鴨エリア。被写体は、2017年に写真集『道』を出版した経緯もあり、親交が深い俳優の仲野太賀だ。 「このエリアは下町ならではの雰囲気が好きで、個人的にもよく行くスポットです。今回、長いあいだ撮りつづけている太賀くんと一緒に歩くことで、より新鮮な気持ちで楽しむことができました」 撮影場所として選んだのは、商店街や銭湯、喫茶店、居酒屋など、どの町にもひとつはあるような存在。川島にとって、旅に行ったような気持ちを味わうことができる場所なのだという。 撮影は、荒川区の「ジョイフル三の輪商店街」からスタートした。都電の終着駅の周りに広がるのは、ノスタルジックでありながらも活気が感じられる風景だ。アーケードの上に登ってみると、目の前に迫る東京スカイツリー。喫茶店「白鳥」の玄関先には、看板の猫が寝そべっている。北区あたりまで足を延ばして、銭湯「稲荷湯」を遊び、居酒屋「宝泉」でビールを一杯。旅気分は、東京のすぐそこ、ご近所でも存分に味わうことができる。そして、旅情に、時代をさかのぼっていくような気分も加わるのだ。 「行くだけで元気になれたり、気持ちを切り替えることができたり、リラックスできたり……。お店の人との何げない会話など、独特のコミュニケーションがあって、コンビニやチェーン店とは違う感覚で楽しむことができるところも、旅っぽいと思います。時代とともに少なくなりつつありますが、なんらかの形で活性化して残っていってほしい存在です」 そしてもうひとつ、今回ならではの試みが、ノスタルジックなロケーションと旬なブランドの掛け合わせだ。 「今回、太賀くんに着てもらったのは、同じクリエーターとして、モノづくりの姿勢をリスペクトしているブランドばかり。これまでは彼の私服で撮ることが多かったので、さらに新鮮な気持ちで向き合うことができました。 自分もモノを作る人間として、インディペンデント精神やモノづくりの喜びの初期衝動のようなものを感じるブランドには、共感する部分があります。写真とファッションで表現方法こそ違いますが、いつもその姿勢に刺激を受けたり、励まされたりしています」

撮影場所:ジョイフル三の輪(荒川区) α7C, Sonnar T* FE 55mm F1.8 ZA, 55mm, F2.8, 1/160秒, ISO100

撮影場所:ジョイフル三の輪(荒川区) α7C, Sonnar T* FE 55mm F1.8 ZA, 55mm, F2.8, 1/60秒, ISO100
クルーネックスウェット、ジーンズ/リップラップ

Riprap / リップラップ
デザイナーはスタイリストの本間良二氏に師事、2-tacs(ツータックス)で経験を積んだ西野裕人氏。シンプルなデザインでありながらも、ユニークな素材や生地の質感にこだわり、経年変化を楽しめるファッションアイテムを展開する。

撮影場所:稲荷湯(北区) α7C, Sonnar T* FE 55mm F1.8 ZA, 55mm, F1.8, 1/60秒, ISO200

撮影場所:稲荷湯(北区) α7C, Sonnar T* FE 55mm F1.8 ZA, 55mm, F1.8, 1/200秒, ISO100
首巻き付きTシャツ、パンツ/ムーナイテッド キングドマイ ユウヘイ(ムーナイテッド キングドマイ ユウヘイmukai@yuheimukai.com)、靴はスタイリスト私物

撮影場所:稲荷湯(北区) α7C, Sonnar T* FE 55mm F1.8 ZA, 55mm, F1.8, 1/4000秒, ISO100

撮影場所:稲荷湯(北区) α7C, Sonnar T* FE 55mm F1.8 ZA, 55mm, F1.8, 1/1000秒, ISO100
パーカー、トランクス短パン(ムーナイテッド キングドマイ ユウヘイmukai@yuheimukai.com)、タオルはスタイリスト私物

MUnited Kingdomai YUHEI / ムーナイテッド キングドマイ ユウヘイ
デザイナーの向 祐平は2012年から6年間、オーストリア国立ウィーン応用美術大学モード科に在籍し、4つのコレクションを発表。Lutz Huelle、BLESSのアトリエでインターンを経験後、帰国してブランドを立ち上げる。デザイナーの経験や思い出を糸口に、ファンタジーを膨らませてデザインに反映させながら、「洗練」に憧れる「野暮ったさ」を大切にした服づくりをしている。

コンパクトで軽い、旅の相棒にぴったりなソニーα7C

ソニーα7Cは、コンパクトフルサイズミラーレス一眼カメラ。携帯性に優れた、小型で軽量なボディーが印象的だ。 「シルバーと黒の配色や小さくて軽くいサイズ感が、僕が昔から愛用していたフィルムカメラに似ていて、新しさと同時に懐かしさを感じました。僕にとってカメラはいつも肩から下げて持ち歩くものだから、相棒みたいな存在。だからこそ、フィーリングのよさは大切です」 このコンパクトなボディーの中に、多彩な撮影性能が盛り込まれ、豊かな表現力を併せ持っているのが最大の特徴だ。 「撮ったときの感想は、とにかくキレイで、色彩がみずみずしいということ。加えて、カメラ自体の機能性の高さも印象的でした。 特にすごいと感じたのが『リアルタイム瞳AF(オートフォーカス)』機能。今回撮影したカットは全部この機能を使ったものですが、カメラが自動で瞳にピントを合わせて、さらに追いかけ続けてくれるから、集中が途切れることがありませんでした。その瞬間ごとの被写体を見つめることだけに集中できて、すごく撮りやすかったです。 たとえば、ジョイフル三の輪商店街で食べ歩きをしているときの一瞬の表情や、宝泉での太賀くんの笑顔の瞬間。こういったカットは、この機能があったからこそ捉えることができたものだと思います」 「銭湯で撮影した、太賀くんが水と戯れているカットは、α7Cの高速連写機能を使ったもの。普段、連写機能は使うことはありませんが、水しぶきの光が一粒一粒まできれいに表現できていて、想像していた以上の映りでした。 どう映っているかわからないままに撮っている部分はありましたが、思っていたより精彩な仕上がりで、カメラの技術力に驚かされました。デジカメならではのシャッタースピードの速さは、普段フィルムカメラで撮ることが多い僕にとって新鮮でしたし、気に入っているカットです。光量が少ないところでもきれいに撮れるのも魅力ですね」 なお、今回撮影に使用したレンズは「Sonnar T* FE 55mm F1.8 ZA」で、すべての作品が55mm。「僕にとって、見た目と大きさ、重さ、映りで一番しっくりきたのがこれでした。素直な気持ちで、そのままに撮れると感じたレンズです」 ソニーα7Cとともに、下町のノスタルジックなロケーションを巡った今回の撮影。撮影の狙いと、α7Cの使用感を訪ねてみた。「α7Cの印象は、軽くてコンパクトなのに高機能だということ。みずみずしくて豊かな色彩が印象的でした。その表現力を生かして、その場の空気感を写真にそのまま出せたらいいなと思ってシャッターを切りました。今回は人物を撮影しましたが、次は自然の中や街中でどういった写真が撮れるかも試してみたいです」

撮影場所:ジョイフル三の輪(荒川区) α7C, Sonnar T* FE 55mm F1.8 ZA, 55mm, F4.5, 1/1250秒, ISO100

撮影場所:ジョイフル三の輪(荒川区) α7C, Sonnar T* FE 55mm F1.8 ZA, 55mm, F1.8, 1/4000秒, ISO100
Tシャツ、デニム/クードス(MATT. INFO@THE-MATT.COM)、スカーフ/スドーク(MATT.)靴はスタイリスト私物

撮影場所:白鳥(荒川区) α7C, Sonnar T* FE 55mm F1.8 ZA, 55mm, F1.8, 1/60秒, ISO200

撮影場所:白鳥(荒川区) α7C, Sonnar T* FE 55mm F1.8 ZA, 55mm, F2.8, 1/60秒, ISO500
ジャケット、Tシャツ、ネックレス、パンツ、リュック/クードス(MATT.INFO@THE-MATT.COM)

kudos / クードス
デザイナーは工藤 司。早稲田大学を卒業後、アントワープ王立美術アカデミーに1位の成績で入学。中退後にJACQUEMUS、Y/Project、JW Andersonなどでアシスタントを務める傍ら、コレクション制作を続け、イメージビジュアルも自ら撮り下ろす。2017年kudosとしてデビューし、2018年にはウィメンズラインsodukもスタート。デザイナー業の傍ら、フォトグラファー、スタイリストとしても活躍している。

撮影場所:王子駅周辺(北区) α7C, Sonnar T* FE 55mm F1.8 ZA, 55mm, F1.8, 1/640秒, ISO100

撮影場所:王子駅周辺(北区) α7C, Sonnar T* FE 55mm F1.8 ZA, 55mm, F1.8, 1/2500秒, ISO100
シャツ、イージーパンツ/ヨーコサカモト(ヨーコサカモトinfo@yokosakamoto.jp)

撮影場所:宝泉(北区) α7C, Sonnar T* FE 55mm F1.8 ZA, 55mm, F2.5, 1/60秒, ISO2000

撮影場所:宝泉(北区) α7C, Sonnar T* FE 55mm F1.8 ZA, 55mm, F1.8, 1/60秒, ISO1000
ニットベスト、ワークパンツ/ヨーコサカモト(ヨーコサカモトinfo@yokosakamoto.jp)

YOKO SAKAMOTO / ヨーコサカモト
神戸芸術工科大学ファッションデザイン学科を卒業後、テキスタイル会社に勤務。2016年秋冬よりコレクションを発表。あえてシーズンテーマは設けず、素材やシルエットの性質を邪魔しないデザインにこだわる事で、元々の持ち味を生かした服づくりを展開する。「日常着」として常に身に着けたくなる、長く愛用できるモノづくりが持ち味。

仲野太賀(なかの・たいが)
俳優。1993年2月7日生まれ、東京都出身。2006年、俳優デビュー。翌年の映画『バッテリー』で注目を集める。以降、NHK大河ドラマ『江〜姫たちの戦国〜 』、映画『私の男』などに出演。「第6回TAMA映画賞」では、最優秀新進男優賞を受賞。19年6月、太賀から現名称に改名。映画『今日から俺は!!』、ドラマ『あのコの夢を見たんです。』『この恋あたためますか』など話題作に続々と出演し、いま注目を集める若手実力派俳優のひとり。

【クレジット】
Photograph:Kotori Kawashima
Styling:Momomi Kanda
Hair & Make-up:Masaki Takahashi
Text:Hitomi Miyao
Direction:Yamamoto Company

Wonderful Journey in TOKYO SHITAMACHI 撮影スポット・東京下町