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2018年度 ロンドン表彰式レポート

世界最大規模の写真コンクール
ソニーワールドフォトグラフィーアワード。
4月19日にロンドンで行われた2018年度表彰式の模様
をレポートします。

α Universe editorial team

2008年度の初回よりソニーが支援を続けるソニーワールドフォトグラフィーアワード(SWPA)。 第11回の今年度は4月19日にロンドンで表彰式が行われました。その様子を「横浜御苗場2018」でソニー賞を受賞したヤン・ケビンさんにレポートしていただきます。
SWPAはプロフェッショナル部門、オープン部門、ユース部門、学生部門の4つの部門で構成され、このうちプロフェッショナル部門、オープン部門についてはそれぞれ10のカテゴリー(ジャンル)に分かれており、写真家個々のキャリアステージやジャンルに合わせた応募が可能なのが大きな特徴です。また、今年度32万点にも上った応募点数は世界最大規模で、受賞すると国内外のメディアを通じた大規模な広報活動により世界的に知名度が上がります。さらに、既に大きな業績を残した写真家に対しては「特別功労賞」が用意されており、偉大な功績を讃えます。SWPAはこれらのプログラムを通じて写真文化の継続的な発展に寄与して行くことを目的としています。 写真・文=ヤン・ケビン

横浜御苗場とは
“自分の未来に苗を植える場所”というコンセプトのもと、2006年にはじまった日本最大級の写真展です。これまでにのべ3500組以上が参加。御苗場をきっかけに世界で活躍する写真家も多数生まれています。ソニーイメージングプロダクツ&ソリューションズ株式会社は本イベントの趣旨に賛同し、ソニー賞として優れた写真家1名を選出、奨励金として10万円を授与するほか、SWPA取材のための渡航費、滞在費を提供しています。横浜御苗場2018ではヤン・ケビンさんが受賞しました。

ロンドンの高級ホテルに600人以上の写真関係者が集結

もし、写真愛好家が趣味程度に、またはプロが普段の仕事だけにとどまっていたとしたら、本当にもったいない。 それが、SWPAの授賞式を経験した、私の今の素直な気持ちです。 「写真を貪欲に追求したければ世界に出よう」。そう、この記事を読んでいる全ての方に伝えたいと思います。 ロンドンの高級ホテル「ヒルトン・オン・パークレーン」にて行われた表彰式。まず驚いたのは、その規模。会場にはメディアや評論家など、写真関係者が世界中から集まり、その数は600人を超えます。 ガラ・ディナーと呼ばれる晩餐を兼ねた式に、タキシードやイブニングドレスに身をつつみ、レッドカーペットを歩き入場するその光景は、さながらフランスのカンヌ映画祭のようでした。 ステージの後ろに設置された3つの巨大なディスプレイ。そこでは各部門のファイナリスト(最終候補作品)の紹介映像が流れ、それぞれの部門の優勝者の名前をプレゼンテーターが読み上げます。

10人いるプロフェッショナル部門カテゴリー優勝者の中から年間最優秀賞が一人選ばれます。それが誰なのかは名前が呼ばれる瞬間まで本人も知りません。
© Alys Tomlinson, United Kingdom, Photographer of the Year, Professional, Discovery, 2018 Sony World Photography Awards

年間最優秀賞Alys Tomlinsonの受賞作品 “Ex voto”。ヨーロッパ各地から巡礼に向かうキリスト教信者の心情を描いた作品。今年度新設された、従来のジャンル分けに分類しきれない作品のためのカテゴリー“Discovery”からいきなり最高の賞が出ました。非凡な才能が埋もれないよう間口を広く用意しているのもSWPAの特徴の一つ。 受賞者にはトロフィーが手渡され、会場からは割れんばかりの拍手でその功績が称えられます。写真の賞をこれほど盛大に祝うなんて、今までの常識が覆され驚くばかりです。 実は、このセレモニーの少し前、国ごとの参加者に贈られるNational Awardの授賞式がホテル内別会場で行われ、そこでも世界数十か国から受賞者たちが集まりお互いの功績を祝いあう姿があったのですが、まるで写真のオリンピック開幕式に参加したような体験をした1日でした。

National Awardで日本部門賞を受賞した鈴木悠介さん(写真中)

サマセット・ハウスでの受賞展示

翌日、大勢の一般来場者で混雑する前に、私はSWPAの受賞作品が展示されているロンドンの歴史的建造物サマセット・ハウスのギャラリーに足を運びました。 ギャラリーと言っても、私たちが想像するような写真ギャラリーではありません。国立美術館のような立派な公共施設で、会期中には受賞作品を見るために、約3万人の来場者が毎年訪れています。 1位の作品のみでなく、Shortlist(入選)作品も含まれており、絵画などのアート作品と同じように丁寧に額装、展示されています。

ギャラリーの中の空間も広々としており、余裕のあるレイアウトはゆっくりと、ひとつひとつの作品に目が行くように設計されています。写真をやっている人間であれば、誰でも憧れてしまうような展示空間です。

写真家カンディダ・ヘーファーの展示も

また、本年度の特別功労賞として表彰されたドイツの写真家カンディダ・ヘーファーの作品も展示されており、それらはさらに大きなスケールで壁一面を飾っていました。 人の身長よりも大きいプリントの前に立って作品を眺めていると、写真集などでは感じ取れないものまで見えてくる気がして、いつの間にか時間だけが流れていました。 今回、ロンドンで行われている一連のSWPAのイベントをすべて取材して感じたのは、受賞者やスタッフだけが知る特別な体験。それは賞金や商品以上に、「未来につながるチャンス」を手にしたという幸せな気分です。 開館する前のギャラリーで、SWPAを主催するWPOの創設者スコット・グレイ氏の説明を聞きながら作品をゆっくりと観られるという贅沢な待遇。世界的な写真家カンディダ・ヘーファーへの取材。そして最後に、学生部門ファイナリストたちのポートフォリオレビューも間近で見ることができました。 学生部門は他の部門と違って写真教育が目的です。世界中から一次選考を通過した10校がロンドンに招待されますが、そこではジャッジと他の通過校による厳しいポートフォリオレビューが待っています。さらに優勝すると所属する学校には30000ユーロ相当のソニー製カメラ機材が贈呈され、「写真文化の継続的発展」というSWPAの目的どおり学校機材の充実に役立てていただきます。 2日間の取材スケジュールを終えた後、プライベートでいくつかの美術館を巡りました。ロンドンでは、ほとんどの美術館・博物館の常設展は無料です。

ヴィクトリア&アルバート博物館のプリント&ドローイング・スタディルーム 江戸・明治の日本を撮影したフェリーチェ・ベアト。 なんと「横浜写真」として知られるその代表作「Views of Japan」を見せてくれた!

中でも装飾芸術やデザイン展示で世界最大と称されるヴィクトリア&アルバート博物館では図書館的な機能も設けており、アポイントを取れば一般人でも収蔵されている写真集やプリント作品を閲覧することができます。アート好きにとってなんとも寛容な環境です。 今日、インターネットの発展によって世界がフラットになり、世界のどこにいてもSWPAのような世界的な賞に応募ができます。 来年、より多くの写真家がチャレンジし世界に評価されることを楽しみにしています。そのときは是非、現地に行き、アートが溢れる世界を自分の肌で感じることをお勧めします。

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