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写真家 山田芳文氏から見たα7R Vの魅力

写真家 山田芳文 氏

α Universe editorial team

操作性が向上し、AFが次のステージへと進んだα7R V。
このカメラで鳥たちと日本の美しい風景を描きたいと思った。 そう語る写真家の山田芳文氏にα7R Vの魅力について聞いた。

山田芳文/写真家 「100種類の鳥よりも、1種類を100回」をモットーに野鳥を撮り続ける。 野鳥の周囲の風景も大きく取り入れた鳥がいる風景写真をライフワークとする。 『SONY α6600 基本&応用撮影ガイド』(技術評論社)、『写真は構図でよくなる!すぐに上達する厳選のテクニック23』(エムディエヌコーポレーション)、『やまがら ちょこちょこ』(文一総合出版)など著書多数。最新刊は『SONY α7 IV 完全活用マニュアル』(技術評論社)。 https://www.instagram.com/yamadayoshifumi10/ https://twitter.com/yamaday18

――α7R Vを初めて知った際はどのように感じられましたでしょうか。 早く使ってみたいと思い、とてもワクワクしました。α7Rシリーズとのつきあいはα7R IIIからで、その凄まじい解像性能にちょっとビックリしたのがはじまりです。その後、α7R IVになって、背面のボタン類が大きく押しやすくなったり、ファインダーが見やすくなったりして、撮る道具としての進化も実感できました。これ以上何を望むのかと思っていましたが、α7R Vを使うようになって、いろいろな点で、こちらの予想をはるかに超えるカメラになっていました。特にリアルタイム認識AFの性能は衝撃的でした。

――α7R V高解像性能について魅力を感じていただけたエピソードや作品がございましたら教えてください。 近年のカメラやレンズの多くは解像性能に優れていますので、新しい機材を試す時はまず、解像しにくい撮影条件でテストをします。こちらの写真は、オオハクチョウがいる風景として、オオハクチョウだけでなく、周囲の環境も含めてまるごと受け止めて表現したものです。カメラ位置からオオハクチョウまでの距離が遠いので、空気の層の影響を受けやすく、解像しにくい条件と言えますが、ご覧の通り、これ以上ないと思える結果となり、とても満足しています。

α7R V,FE 100-400mm F4.5-5.6 GM OSS 400mm,F11,1/500秒,ISO100

――AIプロセッシングユニット搭載によって向上した被写体認識性能について、お使いになった感想はいかがでしたでしょうか。 AFの精度や追従性能で、αは他社よりも先を進んでいると思っていますので、これまでのαで十分に満足していましたが、α7R Vを使ってみると、さらに進化していて「ちょっとこれは違うカメラだな」と思いました。瞳を認識しにくいと言われている首が長い鳥でも、余裕で瞳を認識してフォーカスを合わせてくれますし、鳥が下を向いて水を飲んでいる状態でも、瞳をロストしたり迷ったりすることなく、当たり前のように認識して、ピントを合わせてくれました。

α7R V,FE 600mm F4 GM OSS 600mm,F5.6,1/1000秒,ISO320
α7R V,FE 400mm F2.8 GM OSS 400mm,F4,1/125秒,ISO800

――今回のα7R V登場により今後の撮影スタイルに変化はありそうでしょうか。 野鳥は基本的に人間を警戒しますので、撮影者が身体丸出しで、鳥を追いかけて撮影しても良好な結果になることはほとんどありません。なので、@ブラインドなどを活用して、自分が隠れて撮る、A鳥の出現場所にカメラを隠して、自分はカメラから遠く離れて遠隔でシャッターをきる、のどちらかの方法で撮影するのですが、どちらの場合でも野鳥の行動パターンをそれなりに把握したうえで初めてできる方法論なので、撮影前に時間をかけて丁寧に観察を繰り返すことが必要になります。Aの方法で撮る場合、撮影対象となる鳥の大きさや止まる(飛ぶ)向き、ポージングなどの詳細を事前に考慮して、かつては置きピンで撮影することが多かったのですが、α7R Vで撮影する場合は、認識AFが確かなので、置きピンせずにAFで撮影しています。こちらのジョウビタキ雄の写真もカメラを隠して遠隔で撮影したのですが、AF時の被写体認識を「入」に、認識対象を「鳥」に設定して、AF-Cで撮影しましたが、ピントはジョウビタキの目にしっかりときています。置きピンの場合、F値を絞れば、被写界深度は深くはなりますが、フォーカスポイントは変わりませんから予測を間違えると残念な結果になります。α7R Vの認識AFは、僕にとって本当に有り難いのです。

α7R V,FE 50mm F1.4 GM 50mm,F4,1/250秒,ISO160

――α7R Vの連写性能はいかがでしたでしょうか。 圧巻の解像度にもかかわらず、さくさくとシャッターがきれ、かつ、AFが間違いないので、生産効率が格段に上がり、非常に満足しています。こちらの写真は、秋の彩りを背景にコハクチョウとカモ類が飛んでいるところをメカシャッターで連写したものですが、連写したカットのほぼ全てにピントがきていました。その結果、4羽のハクチョウと4羽のカモの位置関係や個々の翼の形などのバランスが、いちばん良いこのカットを選ぶことができました。

α7R V,FE 600mm F4 GM OSS 600mm,F5.6,1/1600秒,ISO640

――α7R Vの露出制御と色再現が活躍したシーンや作品がありましたら教えてください。 こちらのシジュウカラの写真をご覧ください。朝の太陽が低い時間帯に撮影したので、背景の満開の桜には直接に光があたり、地面の緑は光があたっているところと陰のところがあり、まだら模様、そしてシジュウカラが止まっている木の幹のほとんどは陰といった条件です。言い換えると、測光モードが何であれ、AEが最適解を出しにくく、色再現が難しい条件と言えますが、結果はご覧の通りです。地面の緑の濃淡やシジュウカラの背中の微妙な色合いなど再現が難しいと思われるはっきりとしない色合いも自分のイメージ通りに再現されていて、大変満足しています。

α7R V,FE 50mm F1.4 GM 50mm,F2.8,1/800秒,ISO500

――α7R Vはカメラ前面に搭載した「可視光+IRセンサー」に加え、AIプロセッシングユニットにより、特に日陰シーンでより正確なホワイトバランスが得られるようAWB性能が進化しました。今回、AWB性能はご体感いただけましたでしょうか。 こちらのジョウビタキの雌は、日陰の光量が乏しい条件で撮影しました。ホワイトバランスはAWBに設定して撮影しましたが、いかがでしょうか。かなり良好な結果だと言えるのではないでしょうか。僕は、α7R Vで撮影する時は、星を撮影する時などを除いて、撮影のほとんどをAWBの設定で撮るようになりました。AWBに設定しての撮影はまだという人には是非お試しいただきたいと思います。

α7R V,FE 100-400mm F4.5-5.6 GM OSS 600mm相当,F11,1/60秒,ISO1000

――今回手持ちでの撮影はお試しされましたでしょうか。
もしありましたら、作品と併せて手ブレ補正の効果のご感想を教えてください。
こちらのタゲリは、CP+でも見ていただいたカットです。高感度&手ブレ補正の作例用として撮影しました。日が沈んだ後、ISOは4000に設定、車をブラインド代わりにし、車内から手持ちで1/40秒で撮影したものです。僕はB0に出力した時に、ピントやブレ、ノイズなどが十分に鑑賞に耐えられる写真でなければ、原則としてボツカットにしているのですが、こちらのタゲリは十分に耐えられるので、OKカットです。α7R Vは高解像モデルのカメラなので、微ブレでさえもくっきり、はっきり写ってくるので、超望遠レンズを使って、手持ちで撮影することは、ちょっと勇気がいるかもしれませんが、手ブレ補正の性能は確かなので、ぜひ手持ちでの撮影も試していただきたいと思います。

α7R V,FE 600mm F4 GM OSS 600mm,F4,1/40秒,ISO4000

――作品作りにおいて、APS-Cモードでの撮影やトリミングは使用されていますでしょうか?もし使用されている場合、具体的な活躍場面を教えてください。 撮った写真をトリミングすることはまずありませんが、APS-Cモードは時々活用しています。こちらのニシオジロビタキの写真はFE 100-400mm F4.5-5.6 GM OSSを400mm域にして、カメラを隠して、遠隔操作で至近距離からAPS-C S35撮影したものです。35mm換算で600mm相当と同様の画角になります。FE 600mm F4 GM OSSをフル画面で撮ることもよくしますが、FE 100-400mm F4.5-5.6 GM OSSはFE 600mm F4 GM OSSよりも最短撮影距離が短いので、APS-C S35に設定して近くから撮ることでマクロに近いような表現が可能になり、異なる意味合いの写真にすることができます。

α7R V,FE 100-400mm F4.5-5.6 GM OSS 600mm相当,F11,1/50秒,ISO400

――今回α7R Vで動画の撮影をいただきましたが、いかがでしたでしょうか? FE 600mm F4 GM OSSなどの超望遠レンズを使って静止画を撮影する時は、ビデオ用の雲台をつけた三脚を使い、パーン棒は左手で持っているのですが、動画を撮影する時も、シャッターボタンでRECを「する」に設定することで、パーン棒は左手のままで静止画を撮影する時とほとんど同じ感覚で動画を撮影できるのが、ありがたいです。また、自動電源OFF温度を「高」に設定して、背面のモニターを少し浮かせれば、カメラの電源が切れずにそれなりに長い時間、動画を撮影できる安心感があります。α7R Vは8Kでも記録できるので、将来のために8Kで撮影してみるのもおすすめです。

――α7R Vではα7R IVと比べて液晶モニターはサイズが大きく、広色域に。ファインダーも高精細になっています。また4軸マルチアングル液晶モニターは、バリアングル・チルト両方の動きが可能となりました。ファインダーやモニターの変化については、いかがでしたでしょうか。 α7R IVのファインダーも十分に高精細で満足していたのですが、α7R Vはより高精細になっていて、ファインダーをのぞいた瞬間にそれがはっきりと体感できるほどですので、たくさんの人にぜひ体感していただきたいです。また、4軸マルチアングルの液晶モニターは、バリアングルとチルトの両方のいいところを兼ね備えたモニターで、「バリアングルとチルトのどちらがいいのか」という問いへのファイナルアンサーではないかと思います。こちらのジョウビタキの写真は、自分はカメラから離れて遠隔で撮影したカットですが、カメラ位置を低くして、画面構成を決める時はチルトで活躍してくれました。撮影時はカメラを隠す都合上、モニターを少し動かして固定する必要があったのですが、その時はバリアングルとして活躍してくれました。

α7R V,FE 50mm F1.4 GM 50mm,F4,1/250秒,ISO800

――今回ピクセルシフトマルチ撮影はお試しいただきましたでしょうか。 アオサギの足をクローズアップで撮影した時に、「4枚撮影:間隔最短」に設定して、ピクセルシフトマルチ撮影したのが、こちらの写真です。α7R Vは通常の撮影でも十分に高解像ですが、ピクセルシフトマルチ撮影することで、さらに高解像のちょっと考えられないような写真になることがよくわかりました。このカットも、大きな画面で見ていただけないのが本当に残念なぐらい凄まじく解像しています。無風時に、地面が振動していないところに三脚を設置して、カメラをしっかりと固定、カメラ内の振動をゼロに近づけるために、シャッターは電子シャッターに設定、カメラの外からの振動をゼロに近づけるために、シャッターは手押しせずに撮影しました。鳥は止まっていても実は動いているので(変な日本語ですが)、ピクセルシフトマルチ撮影はなかなかに難しいですが、興味のある方は是非試してみてください。

α7R V,FE 100-400mm F4.5-5.6 GM OSS 400mm,F11,1/500秒,ISO500

――α7R Vの電池の持ちの良さに対する満足度はいかがでしたでしょうか。 大変満足しています。バッテリーNP-FZ100のスタミナについては、ご存じの方が多いかもしれませんが、サイズが小さいにもかかわらず、もちが非常にいいところが特徴です。朝から夕方の撮影で、動画を撮らないのに予備のバッテリーを5個持って行くという(他社のカメラを使っている)知人がいますが、α7R Vであれば、そんなにたくさんの予備が必要となることはありませんので、カメラバックの中が予備のバッテリーだらけで、パニックになることはありません。

――α7R Vと併せて使用したいソニー純正のレンズやアクセサリーがあれば教えてください。 FE 50mm F1.4 GMをお借りして試用させていただきましたが、解像よし、ぼけよし、そして、コンパクトで軽い、と言うことなしのいいレンズだと思いました。FE 50mm F1.4 GMα Universe記事ではご紹介できなかったカットがこちらのジョウビタキ雄ですが、ピント位置の目は、きりりとシャープに描写されています。背景ですが、近くの木と遠くの木を見比べることで、ぼけがナチュラルで滑らかなことが、おわかりいただけるのではないでしょうか。僕は機材を隠してリモートで撮影するスタイルを多用するので、十分な光量がないフィールドでも使える明るいレンズ、隠しやすいコンパクトなレンズは非常に重宝します。これからもFE 50mm F1.4 GMのようなレンズを、ソニーさんが出してくれることを楽しみにしています。

α7R V,FE 50mm F1.4 GM 50mm,F4,1/125秒,ISO250

――最後に、α7R Vに関して総括コメントをいただけますと幸いです。 α7R Vは、凄まじい解像、高精細で見やすいファインダー、使いやすい4軸マルチアングル液晶モニター、8Kでも記録できる動画、そして、驚愕のリアルタイム認識AFと、言い出すとキリがないほど、たくさんの魅力がコンパクトなボディにつまっています。今の時代に使える未来のカメラ、α7R Vを多くの方に、是非とも体感していただきたいです。

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