
Adventure TRAIN 第14回 伯備線を巡る旅
鉄道写真家 中井精也 氏
中井精也がαと旅する鉄道冒険記
デジタルカメラマガジンとの連動企画を
毎月コラム形式でお届けします
デジタルカメラマガジンとの連動企画を
毎月コラム形式でお届けします
国鉄色の381系やくもが、初秋の阿哲峡を行く。この日は晴れたり曇ったりと雲の動きが速かった。曇ったと思った瞬間、まるでスポットライトのように太陽が列車を照らした。その一瞬の変化を写し取ったα1の豊かな階調と高精細な描写力に大満足
山あり、谷あり、花畑あり
風光明媚な伯備線を狙う
山陽と山陰を結ぶ陰陽連絡線として重要な役割を担う伯備線は、険しい中国山地を越えて行くだけにその沿線風景は実に変化に富んでいる。さらに国鉄時代から活躍する振り子式特急381系や、今や貴重な存在である定期寝台列車「サンライズ出雲」、EF64が牽引する貨物列車など、車両も魅力的だ。今回はこの伯備線で、風光明媚な絶景と迫力ある編成写真の両方をα1で狙ってみた。

僕が愛用しているα1が発売されたのは、2021年3月。発売前のテスト段階から使用しているので、もう3年の付き合いになる。めまぐるしく新製品が発売されるこの業界で、これだけ長い間フラッグシップの座に座り続けるカメラは稀有な存在だろう。その性能は色褪せることなく、今も後発のカメラの性能を牽引する存在であり続けているのには驚きを隠せない。今回は風景から編成写真までバラエティーに富んだ作品を狙った。有効約5,010万画素の積層型CMOSセンサーが生み出す優れた描写力と獲物を逃さない卓越したAF性能、最高約30コマ/秒を誇るブラックアウトフリー連写は、あいかわらず僕をゾクゾクさせてくれた。 近年のオートフォーカスは目覚ましい進化を遂げているが、僕はα1が搭載する「リアルタイムトラッキング」が一番のお気に入りだ。列車の向きや速度にも影響を受けず、どんな状況でもしっかりとピントを追従するだけでなく、使い方がシンプルなのが良い。ゆる鉄派の僕は、列車をアップで捉える編成写真が得意ではなかったが、この機能のおかげで上手になったと思う(笑)まさに手放せない機能なのだ。
<CAMERA TECHNOLOGY>
リアルタイムトラッキングの使い方
リアルタイムトラッキングの使い方はいたってシンプル。列車の先頭が来るであろう位置にフォーカスポイントを置き、そこに列車が重なった時点で半押しすれば、ピントを追従してくれる。下のようなカーブでの編成写真では、列車の最後尾の位置が予測できないだけに、置きピンの位置に苦労していたが、リアルタイムトラッキングでは全カットピントが合っているので、バランスの良い位置を選び放題。まさに編成写真の撮り方を変える、画期的な機能だ。

α7R V搭載のAIを利用したリアルタイム認識AFでは、カメラが画面内の鉄道の車両を自動的に認識してくれるフルオート撮影が可能。α1のリアルタイムトラッキングはフォーカスポイントの場所を指定するなどセミオートに近い。その分、列車の大きさや向きを気にせず使える
伯備線 伯耆大山〜岸本 雲が湧きやすく、なかなかその全貌を見せてくれない大山。夕方、くっきりと見えた大山の裾野を国鉄色の381系やくもが颯爽と横切って行く。いつまでも残したい愛おしい風景だ
伯備線 黒坂〜根雨 貴重な定期夜行列車「サンライズ出雲」号。リアルタイムトラッキングのおかげで最高の位置でしっかりとピントを合わせることができた。長距離を走り抜けてきた列車はオーラが違う
伯備線 生山〜上石見 絶景、バリ鉄だけでなく、ゆる鉄も忘れずに。381系の活躍もあとわずか。こんな何気ない風景もα1でしっかりと記録したい
伯備線 黒坂〜上菅 国鉄マークを輝かせて力走する381系やくも。リアルタイムトラッキングはこんな真横方向の撮影でも、しっかりと列車の顔を捉えて追従してくれる
伯備線 黒坂〜根雨 振り子車両独特の傾きを見せながら、スーパーやくも色の381系が駆け抜ける。これくらいのサイズでもリアルタイムトラッキングなら余裕で追従可能だ
<ADVENTURE EPISODE>
山をひたすら登って1時間
心拍数が上がりまくり!

最初の阿哲峡の撮影地はまさに崖っぷち。僕は高所恐怖症ではないけど、あまりの高さに心臓がバクバク。こうなると鉄道写真も登山と同じ。十分な下調べと安全装備でアドベンチャーしよう。
記事で紹介された商品はこちら
ワンクリックアンケートにご協力ください

αUniverseの公式Facebookページに「いいね!」をすると最新記事の情報を随時お知らせします。