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ウインタースポーツの最高峰
フリーライディングを記録し
続ける冒険者

ビデオグラファー/フォトグラファー
田島継二

α Universe editorial team

広大な自然の中、たっぷりの雪を抱えた急峻な山々を滑るプロスノーボーダー、プロスキーヤーたち。雄大な雪山でアクロバティックなライディングにチャレンジしながら自由に自己表現をする彼らを、長年にわたって撮り続けてきたカメラマン、田島継二氏が撮影機材として選んだのはα7S IIだった。

ビデオグラファー/フォトグラファー
田島継二
1978年生まれの38歳。カナダやアラスカなど雄大な自然の中をプロスキーヤー、プロスノーボーダーと共に旅し、映像作品を世に送り出すフィルムプロダクション「HEART FILMS」を主宰。また、スノーボード・スキーブランドをはじめ、数多くの専門誌にも写真を提供し、ウインターアクションスポーツ、雪山の魅力をファンに届け続けている。 http://www.heartfilms.com/

スノーボードやスキー、雪山の魅力をもっと伝えたい。

「HEART FILMS」は、整備されたコースではなく、未開拓の地(バックカントリー)を滑るプロスノーボーダー、プロスキーヤーで結成されたフィルムプロダクション。田島氏は、2005年のチーム結成時からカメラマンとして関わっています。主な活動内容としては、1〜2月は長野や北海道など国内を中心にライディングの撮影を行い、3月から5月にかけてカナダ、アラスカに遠征して撮影。活動の成果として、毎年1本の映像作品を発表し、DVDやデジタル配信すると同時に、日本各地で上映会を開催しています。ウインタースポーツ界のこうしたフィルムプロダクションは、海外においてはポピュラーな存在ですが日本では稀。「HEART FILMS」は日本を代表するプロダクションとなっています。良質な雪を求めてキャンプ生活をしながら移動して、ここぞというロケーションを見つけては、超絶テクニックを駆使して大自然の中で雪煙を巻き上げる。彼らの活動の記録は、圧巻のひと言。雪崩や滑落など、死の危険と隣り合わせの状況下でぎりぎりのラインを攻めるパフォーマンスは、観る者を別世界に運んでくれます。

――田島さんは、10代の頃から競技スノーボードのプロを目指して国内外の大会に出場していたそうですが、映像を撮るようになったきっかけは? 田島:2002年、24歳のときにカナダにあるウィスラーという北米最大スキー場へ行きました。自分の滑りを上達させることが目的だったんですが、日本とはケタ違いのスケールの大きさに圧倒されたんです。ここでずっと滑っていたい、滑らなきゃと思って。さっそく、ワーキング・ホリデー査証(ビザ)を取ってカナダでの生活を始めました。やがて、バックカントリーの素晴らしさに魅せられて、日本とカナダの架け橋になるために立ち上がったプロジェクト「HEART FILMS」のカメラマンとして活動を始めたんです。スノーボードやスキーの魅力を多くの人に伝えたい。それが「HEART FILMS」のコンセプトです。海外トップレベルのフィルミングクルーに遜色がないほどの活動を続け、海外での活躍を夢見る日本人スノーボーダーやスキーヤーの可能性を広げられたらと思っています。一方で、コアなファンだけでなく、スノーボードやスキーをやらない人にも楽しんでもらえる映像作品にしたいと思っています。完成度の高い技の映像だけではなく、失敗して派手に転倒するシーンや、緊張感から開放されたオフショット。そして、僕らが偶然に出合った息を飲むような美しい自然の姿などをバランスよく撮って伝えたいですね。

少数精鋭で機動力あふれる撮影クルー

――1本の作品を作るときに、どのように撮影をされているのですか? 田島:基本的には3人から5人の編成です。今年行う予定のアラスカ遠征では、プロスノーボーダー2人とプロスキーヤー2人、撮影担当として僕がいます。海外のトップフィルムプロダクションに比べるとミニマムな人数ですが、クルー全体として成長してきているので機動力は高いです。撮影・編集を基本一人で行っているので、必然的に僕の仕事量は多く大変なこともありますが、やりがいはありますね。 撮影機材には3台のカメラを使っています。撮影するときは、まず滑り手と綿密に滑るラインを確認して、一番見せたい箇所を撮れるアングルを探したり、起点から終点までの滑りがすべて収まるような位置を決めます。そこからα7S IIや以前から使っているカムコーダーFS700(NEX-FS700J)を三脚に固定して望遠を絞りこんで撮影します。このとき使うレンズは70-200mmです。(FE 70-200mm F4 G OSS)。ライダーにはアクションカムを付けてもらって、ライダー視点からの映像を撮影してもらいます。初めて訪れる場所が多く、時間も限られている中で最良のアングルを探すのは簡単ではないですが、一期一会というか、それが撮影の醍醐味の一つでもあります。

――2016年秋に発表されたシリーズ第11作目『Breakthru』では、α7S IIで撮影した映像が大々的にフィーチャーされていますね。(TOPで紹介している動画をご覧ください) 田島:今までのセットアップではフルHDでしか撮れませんでしたが、今年のカナダとアラスカではα7S IIで初めての4K撮影ができました。α7S IIのスペックはあらかじめ知っていましたが、実際に使ってみると、やっぱり素晴らしいですね。まずは描写力。フルサイズならではの、これまでと違ったノイズが少なくクリアでシャープな映像が撮れました。フルサイズという大きなフォーマットで撮れることになって、いろいろと驚いたことはありますが、高感度設定でもノイズが少ない高画質撮影ができるのは、大きな強みだと思います。カナダでの満天の星や、アラスカのベースキャンプで撮ったオーロラは、これまでの機材では表現しきれなかった映像です。夜にテント内で、和気あいあいとしているメンバーのオフショットを手持ちで撮るときも、光源が小さいのでおのずと高感度設定になりますが、きれいに撮れたし手ぶれ補正が効くので、今までよりもずいぶん楽に撮影できました。おかげさまで、『Breakthru』では、自然の壮大な風景や和やかなオフショットが多めに入っています。

一人で撮って、形にする。
α7S IIは編集上で作りこむことを前提にしても有効に使える

ソニー様にて画像手配中
背中にレンズやドローンなど、胸元にα7S IIを持ってスノーモービルで移動。
ソニー様にて画像手配中
山の稜線で撮影を行う田島氏。スノーモービルでできるだけ近づき、あとは自力で登る。

――今まで使っていた撮影機材と比べて、α7S IIを使ったことで変化したことはありますか? 田島:APS-Cサイズの一眼レフカメラを使っていたこともあるのですが、フルサイズになったことで、例えばわずかな光をそのまま撮影し、作品にいかせるようになりました。α7S IIで撮った4K映像は、そのまま使うのはもちろん、部分部分を2Kサイズにトリミングしても十分に使えるので、本当に助かります。引きと寄りを別カットとして使えるし、ズームもできる。アクションカムで撮った臨場感あふれる映像を自由に組み合わせられるので、ワンマンオペレーションの撮影環境では表現の幅がぐっと広がったと思っています。
もうひとつ、α7S IIを一度使ったら手放せなくなる大きな理由は、そのサイズ感です。撮影ポイントにはスノーモービルを使って移動するのですが、僕は、背中に交換レンズや機材が詰まった50リットルのリュックを担いで、その上にドローンを載せて、お腹側にはα7S IIのカメラバッグを付けて臨みます。スノーモービルの振動から機材を守るために重い荷物を抱えてなければいけないんです。たまに、ライダーと一緒に山の稜線まで登って、山頂付近から滑走を撮影するケースもあります。スノーモービルを使えない場所には当然、自力で登ることになるので、荷物は軽いに越したことはない。α7S IIをメインにするのと、FS700を持つのでは雲泥の差があります。撮る前に僕が疲弊してしまっていいシーンを撮り逃すようなことがあれば本末転倒ですからね。α7S IIだったらそんな失敗も減るはずです(笑)。

α7S IIだからこそ広がる可能性

――ライディングシーン以外での撮影で変化したことはありますか? 田島:感度が上がったことで夜景がきれいに撮れるようになったので、タイムラプス映像として取り入れています。α7S IIには、カメラにインストールすることで編集まで含めて行えるアプリ(PlayMemories Camera Apps「タイムラプス」)があるのですが、アラスカ撮影ではアプリがDLできない状況でした。そのため、15秒くらいのシャッタースピードでレリーズを使って何百枚と撮りました。こつこつと、撮影できる限界まで夜通し撮り続けるのですが、夜間は氷点下20度くらいまで下がることがあるので、寒さと眠さでめげそうになります(笑)。

――低温下での撮影とのことですが、バッテリーの消耗や環境など、撮影のために工夫していることはありますか? 田島:寒い場所ではバッテリーの持ちが良くないので、星空を撮影する際はバッテリーを2個装着できる縦位置グリップを使っていました。日中は4、5本予備を持って出ていましたが半分以上使うことはなかったですね。昼間、野外で主に撮影するのは滑走のシーンになりますが、連続して撮影する時間は、1本の滑走で長くてもせいぜい2分くらいなので、実はそれほどバッテリーを使わないんです。一応、予備のバッテリーはジップロックに入れて外気に触れないところに保管して持ち歩いていました。もっとシビアな状況だったらダウンジャケットのポケットに入れるとか、身体に近い体温が届く場所に置くといった工夫をします。

――撮影時のカメラ設定や、よく使っている機能について教えてください。 田島:屋外撮影は、基本的にマニュアルフォーカスです。オフショットは28-135mmレンズ (FE PZ 28-135mm F4 G OSS)で絞りを開放気味にして、できるだけやわらかい雰囲気の映像を撮っていますが、ピントがシビアになるので、ピント面に色を付けることで確認できるピーキング機能も頼りにしています。フォーカスモードも、AFとMFを瞬時に切り替えられるダイレクトマニュアルフォーカス(DMF)にすることが多いですね。あと気をつけているのはやはり露出です。雪に包まれた真っ白な世界ですからオーバーになりがちなので、ゼブラ機能やヒストグラムを活用しています。これらはとても重宝していますね。

――『Breakthru』以外の、2作品についてお聞きします。まずはノースフェイスの作品で、α7S IIなくしては撮影できなかったポイントを具体的に教えてください。 田島:アラスカで撮影した、3分01秒あたりのシーンです。はるか遠くから飛んでくるセスナを撮影するのに、MFからAFに瞬時に変更できるダイレクトマニュアルフォーカス(DMF)がとても役に立ちましたね。フォーカスをMFからAFへ移行するとき、滑らかに被写体にピントが合うので助かりました。使用するレンズによっては被写体に思ったようにピントが合わなかったり、ピントに合う動きがクイックすぎて違和感を感じることもあったのですが、α7S IIとSELP28135G(FE PZ 28-135mm F4 G OSS)の組み合わせではその点がまったく気にならず、的確にピントを合わせる事ができましたね。
このときは、セスナに乗って氷河に降り立ち、そこでキャンプをしながら撮影していたんですが、数日後、ストームが近づいていたために予定より早く下山することになったんです。ところが迎えに来てくれるセスナが予定時刻を数時間過ぎても来ない。夕暮れになって、諦めかけていたところにやっとセスナが到着。飛行できるギリギリの明るさの中、無事に脱出できたことは忘れられない思い出ですね。3分10秒からのテント内のシーンでは、28mm単焦点レンズ(FE 28mm F2)にフィッシュアイコンバーター(SEL057FEC)を装着して撮影したのですが、わずかな光量でもノイズの少ない明るい画像を撮ることができました。それから、3分25秒あたりの、切り立った山々を背景に3人がロープを繋いで歩いているシーンと、5分42秒のレンズに山々が反射し、自然な笑みがこぼれているシーンも印象に残っています。演出はいっさいなしで、ありのままの姿を捉えられたのは嬉しく、とても気に入っています。

――こちらのコロンビアの作品はいかがでしょうか。 3分19秒からのシーンはアラスカで、4Kで撮影しました。編集上でその素材を少しトリミングしつつ滑走しているライダーをフォローしています。α7S II、しかも4Kで撮ったからこそできたダイナミックなシーンだと思います。しかも映像クオリティーが高くなっているのにカメラ本体はとてもコンパクトなので、動力を使わずに雪深い山の中を歩き回って撮影する際には、とても重宝しました。このときは映像と写真を同時に撮影したかったので、映像ははじめから4Kで固定で撮影して、編集上で動きをつけようと考えていました。4Kでの撮影では、解像度が高い分 フォーカスには気を使いましたが、保存されるまでの時間など処理工程などは気になりませんでしたね。それから3分10秒あたり、アクションカムの映像からα7S IIでの映像に繋がっているのですが、移動距離1万kmとなった昨年のアラスカトリップで大斜面を滑走できた最後の日でもあったので忘れられません。
旅全体を振り返って、自分たちの力で見つけることができた斜面で撮影ができたのは思い出深いですね。一度は思い通りの撮影ができず悔しい思いをしたんですが、天候も味方し、数日後にもう一度チャレンジすることができたので印象に残っていますし、こうして映像に残せたのでなおさら嬉しかったです。

――今後、α7S IIでどんな撮影をしてみたいですか? 田島:先にあげたタイムラプスのアプリを使った撮影もしたいし、マクロレンズでピュアな雪の結晶を撮影してみたい。カメラのフォーマットが大きくなると、撮影の可能性も広がることがよくわかったので、自然と欲が出てきます(笑)。それからライフスタイル、夜の食事シーンなど普段の生活の様子を撮影するときは、背景を心地よくボカした、雰囲気のある映像を意識して撮っていますが、滑りのシーンでもそれができたらまた違った表現ができるのではないかと思います。そのためには、自分の撮影スキルも上げないと。フォーマットが大きくなった反面、ほんの少しピントが外れただけですぐにわかってしまいますからね。

田島氏の最新情報はこちら
<Heart Films 最新作 “Breakthru” 予告編>
ソニーのα7S IIだけでなく、NEX-FS700、ActionCam FDR-X1000Vも使用して撮影されています。
https://vimeo.com/ondemand/heartfilmsbreakthru
https://www.facebook.com/heartfilms/

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