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α7S IIは、
国際宇宙ステーション船外*で、
民生機として世界初の
4K撮影に成功。

*日本実験棟「きぼう」に取付

α Universe editorial team

2016年12月9日に種子島宇宙センターから打ち上げられた宇宙ステーション補給機「こうのとり」。その中に、α7S IIも積み込まれていた。国際宇宙ステーション(ISS)にドッキングした日本実験棟「きぼう」の船外実験プラットフォームに、新たな船外プラットフォーム用カメラシステムの内蔵カメラとしてα7S IIが取り付けられ、これから重要な役割を担っていく。そして今、α7S IIで撮影した宇宙のさまざまな映像(4K動画、フルHD動画、1200万画素静止画)を、地上にいながら見ることができる。
国際宇宙ステーションは地上から約400kmの上空で、地球を秒速約8kmの速さで周回している。約90分で地球を1周(1日で16周)するが、その速度は鉄砲の弾丸よりも速い。宇宙という特別な空間で使用するカメラとして、なぜα7S IIを選んだのか、そして、α7S IIでどのような被写体を撮りたいのか。船外カメラを担当するJAXA主任研究開発員の池田俊民さんに話を伺った。

池田俊民
宇宙航空研究開発機構(JAXA)
有人宇宙技術センター 主任研究開発員
大学院修了後、NASDA(宇宙開発事業団、現・宇宙航空研究開発機構/JAXA)入社。日本実験棟「きぼう」の開発業務、利用推進業務などに携わる。2015年から現職。

珍しい自然現象や変わりゆく地球の姿など
地上では見られない映像を届けるために

――まずは、船外カメラの使命や役割、目的について教えていただけますか? 国際宇宙ステーションから地球を鮮明に撮る、臨場感あふれる画像を撮る、ということが船外カメラの使命です。例えば、地上で大規模な災害が起こったとき、宇宙から映像を撮ることで被災状況や影響範囲などがわかります。また、定点観測のイメージで、特定の場所を何回か継続的に撮ることで、その土地の変化を探ることができます。海底火山を撮ることで海の色の変化を見たり、流氷の動きを見たり。その変化を知ることで地球環境問題にも貢献できますし、地上では見られない映像を発信することで宇宙開発への関心を高めることにも繋がると考えています。

――α7S IIを「きぼう」に設置して初めての映像撮影・公開(日本列島の昼と夜)となりましたが、映像の率直な感想をお聞かせください。 以前「きぼう」に搭載していたカメラと比べ、コントラストが高く鮮明度が向上しています。また、4K録画ではHDでは識別しづらい橋が見えるなど、日中や夜間を問わず画質も向上しています。

――今後、宇宙空間から撮影したい被写体はありますか? いろいろありますね。広角側で地球の全体像を撮影すれば、地球と宇宙の境目、オーロラ、雷などを撮れますし、宇宙にレンズを向ければ天体も撮ることができると思います。地上からではピンポイントでしか見えないものが、地球規模で広く見ることができますから、そういう被写体はぜひ撮影したいですね。
さらにズームを使って拡大すれば、都市部の大きな建造物や橋など、地上で人間が活動している姿も撮ることができます。このように、宇宙からしか見ることができない、珍しい光景を多くの方にお伝えしたいと思っています。

――α7S IIでは動画と静止画、どちらも撮影できますが、どのように撮り分けるのでしょうか。 「こうのとり」のような補給機や輸送機が国際宇宙ステーションに近づいてくるシーンや離れていくシーン、日本列島を南から北に縦断する映像などは、臨場感たっぷりの動画でお伝えできればと思っています。静止画は色の再現性がさらに良くなりますので、海や森林の色など、微妙な変化を分析するときに撮影する予定です。

夜の地球も宇宙空間も明るく映し出す
圧倒的な高感度と国際宇宙ステーション船外初*
4K動画に期待
* 民生機(業務用のデジタルビデオカメラ、デジタルスチルカメラを除く)として、国際宇宙ステーションで初めて。日本実験棟「きぼう」に搭載(2017年7月27日現在。JAXA調べ)

ISS船外カメラとして採用されたα7S IIとレンズ「SELP28135G」

――船外カメラとしてα7S IIが選ばれた理由を教えてください。 船外のカメラシステムは、地上からリモートコントロールで制御したり、映像を伝送したりするものになります。ですから、最初からUSBのインターフェイスを持っていて、コマンド操作に対応できるα7S IIは、技術的な扱いやすさも船外カメラに適していたといえます。
そして、オーロラや流星など、宇宙から見る夜の地球の姿は、地上から見るのとは一味違います。高感度撮影に長けたα7S IIは「夜の撮影」にとても魅力的でした。国際宇宙ステーションが90分で地球を1周する中で、これまで約45分に一度訪れる夜間はカメラ撮影が期待できませんでした。これからは、微小な光さえあれば夜でも撮影できるので、その活躍に期待しています。

――宇宙での撮影では4K動画への期待も高いと思うのですが。 もちろん、4Kの内部動画記録ができることも重要なポイントです。国際宇宙ステーション(ISS)の船外に設置した民生用カメラでの4K撮影は、世界初です。今までにない、迫ってくるような臨場感あふれる映像が撮れるのではと期待しています。
実は、α7Sを搭載するということで開発を進めていたんですよ。2016年に入ってからその第二世代となるα7S II、4K動画記録対応のモデルに置き換えるという決定があったんです。搭載するまで本当に時間がギリギリの中、テストのやり直しなどは大変でした。α7Sとα7S IIのコマンドなどは互換性があるし、センサーも同じものを使っているので、引き継げる部分があったのはよかったのですが……。パーツやソフトが少し異なります。例えば電源を投入する時のシーケンスが微妙に異なっているなど、その辺りのチューニングは必要でした。
ファームウエアを一部変更したり、α7Sとα7S IIの違いなどをソニーの技術者の方より説明を受けながら、必要な評価や調整を行い、「きぼう」に運ぶことができました。船外カメラで撮影する4K映像には、それだけ私たち担当者の期待も大きいんです。

――4K撮影以外に、今までの船外カメラとの違いはありますか? 以前「きぼう」に設置されていた船外カメラは常に地球方向だけを向いている形でした。ですが今後は、2軸の雲台で左右、上下に首を振ることができます。真下の地球に向けて設置しても、宇宙に向けることができるわけです。いろいろな角度から地球や宇宙を撮影できるので、今までと違う映像が見られます。

国際宇宙ステーションに取り付けられている日本実験棟「きぼう」

カメラが設置される位置は日本実験棟「きぼう」の先端部分。ここから地球、宇宙を撮影する。「きぼう」には、宇宙飛行士の船外宇宙活動なしに機器を船内から船外に搬出できるエアロックとロボットアームを備えており、利用ニーズに応じて高頻度に船外実験装置や観測機器などの入れ替えができる。

宇宙という環境下でも安全&正常に
動作するようさまざまなテストを実施

実際に取り付けられた船外カメラ。下段の円の部分がαのレンズ。 (C)JAXA/明星電気

――α7S IIはどのような状態で国際宇宙ステーションへ飛び立ったのでしょうか。 宇宙では真空になるため、空気の対流によって熱を逃がすことができなくなります。そのためアルミで作った箱になるべく接触させて、熱を逃がしています。レンズを着けた状態で、箱の中にすとんと入れた感じですね。
アルミの箱にカメラユニットを搭載してクッション材で保護し、船内の荷物として日本の補給機「こうのとり」に運び込まれて打ち上げられました。

――国際宇宙ステーションでカメラを使うにあたり、いろいろなテストを行ったと思います。どのようなテストを行ったのか教えてください。 宇宙放射線が当たってカメラが誤動作しないか、壊れないか、というテストから始まり、宇宙の熱環境や真空環境で正常に動作するか、打ち上げの振動に耐えられるか、障害になるような電波を出さないか、という試験を行いました。さらに、いろいろな機器が搭載されている国際宇宙ステーションからの電波や電源のノイズに耐えられるかどうかの試験もしましたね。
あとは、地上からのリモートコントロールが正常にできるか、映像がきちんと出せるか、といった機能試験などを行っています。船外実験プラットフォームに取り付ける過程で一時的に船内実験室に持ち込みます。船内実験室は宇宙飛行士が普段着でいる生活空間です。その空間で、人体へ影響をもたらすようなガスを出さないか、など、あらゆるテストをクリアして宇宙に飛び立っているんですよ。

ハード面はほぼそのまま。
耐環境性に優れた信頼の技術力

電動ズームレンズSELP28135Gを装着したα7S IIが、そのまま収められている。 (C)JAXA/明星電気

――宇宙空間という特殊な環境でも操作しやすいよう、工夫やアレンジをした部分はありますか? 環境面でいうと、太陽の側へとカメラを向けると、太陽光が入射してしまってカメラの温度がどんどんあがって高熱になってしまいます。逆に宇宙側を向くともの凄く冷えます。太陽が当たるところと当らないところでは200度以上の温度差があります。そのため、放熱面を使って冷却したり、冷え過ぎる時にはヒーターを焚いて使用環境温度範囲に収まるよう制御しています。
カメラのハード的な部分はほとんどいじっていません。いろいろな試験をしましたが、不具合があって直さなければならないところはほとんどありませんでした。
信頼性だけでなく、商品の耐環境性という意味でも、ソニーの技術をそのまま生かしているという形になります。

――宇宙で使用するために、α7S IIにどのようなチューニングを行ったのか教えてください。 地上からのリモート操作になるので、撮影に必要な設定変更をコマンド操作でできるようにファームウエアを一部変更しています。露出や設定の変更から、レンズ操作まで、ほぼすべてリモートでできます。今回は電動ズームレンズSELP28135Gを装着していますが、これも地上からの操作でズーム倍率が変更できます。 そのほか、4K録画ができるので、「録画してファイルを保存、地上に転送する」という一連の作業ができるように、カメラシステム全体として機能を追加しました。さらに、船外でバッテリー交換は大変なので、外部電源を供給できるようにして、地上からのコマンドで電源のオン・オフ操作もできます。

電源供給方法をバッテリーから変更。バッテリーのスペースからコードが延びている。 (C)JAXA/明星電気

未知なる宇宙への想像や夢が膨らむような
映像を届けたい

――今後、船外カメラで撮った映像をどんな人に見てほしいですか? 本当にいろいろな人に見ていただきたいですね。ふだんの生活ではなかなか実感できない地球環境問題も、宇宙からの視点で見るとぐっと身近に感じることができると思います。映像からインスピレーションを受けて想像を膨らませてもらうというか、興味を喚起できたらと思っています。
さらに、宇宙からの映像を見ることで、宇宙に関わる仕事をしたい、宇宙で使えるカメラを作りたい、と思ってくれる子どもたちが増えてくれるとうれしいですね。こういった将来の日本を支える人材育成にも一役買えれば本望です。

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