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ディスクの特性を生かした記録/再生方法の実現。
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AVストリームデータをコピー・移動・変更せずに簡単に編集ができるプレイリスト
ブルーレイディスク規格のさまざまな機能は、映像・音声ストリームの記録と同時に専用のデータベースを作成し、それを再生時に活用することによって実現されています。
このデータベースは、映像・音声データの性質を表す特長点情報や、ストリームの再生順などの情報をブルーレイディスク規格に従って記述したものです。ストリームと同様に、このデータベースもファイルとしてディスクに記録されています。図17は、ブルーレイディスクアプリケーション規格がどのようにストリームを管理しているかを表したものです。ストリーム管理は、プレイリストレイヤーとクリップレイヤーという、大きく二つの階層から構成されています。ユーザーから見えるのは、プレイリストレイヤーです。プレイリストは、タイトルとも呼ばれ、ユーザーがひとまとまりの映像・音声として認識する単位を表します(図18)。プレイリストの最も簡単な例としては、録画開始から録画終了までが一つのプレイリストになり、一つのプレイリストファイルを形成すると考えるとわかりやすいでしょう。プレイリストレイヤーの下にあるものが、ディスク上のファイルを単位として管理を行っているクリップレイヤーです。クリップレイヤーは、実際のMPEGストリームデータを管理する層で、多重化ストリームが記録されたクリップAVストリームファイルと、ストリームに関する情報が格納されたクリップ情報ファイルから構成されています。クリップレイヤーは、プレイリストを介してアクセスされることになります。
プレイリストは、クリップ上のある範囲を表すIN、OUT点の1組であるプレイアイテムの並びから構成されます。プレイリストは、新たな記録を行うことで自動的に生成されますが、編集によっても作ることができます。このとき、既存のプレイリストに対して変更を加える方法と、既存のプレイリストを変更せずに、新たにプレイリストを作成する方法があります。ブルーレイディスクアプリケーション規格では、後者を特にバーチャルプレイリストの作成と呼んでいます。バーチャルプレイリスト以外のプレイリストは、リアルプレイリストと呼びます。「リアル」とは、クリップの記録と同時に、クリップと1対1に作成されるプレイリストという意味です。編集によってクリップとリアルプレイリストは多対多の関係になりますが、どのリアルプレイリストからも参照されていないクリップ、あるいはクリップの一部が存在することはありません。リアルプレイリストを消去することは、クリップがディスク上から消去されることを意味します。
このように、クリップは直接ユーザーには見えませんが、必ずクリップを参照するリアルプレイリストが存在しており、ユーザーにはリアルプレイリストとして見えます。
ブルーレイディスクアプリケーション規格は、クリップ、プレイアイテム、プレイリストという階層化された管理構造をもち、実体ファイルであるクリップを、プレイリストを介してユーザーに見せることで、高速な編集機能を提供しています。編集を実現するため以外にも、プレイリストはユーザーに見える単位であることから、サムネイルやマーク、ライトプロテクトなど、使い勝手を向上させる多彩な機能を有しています。
またディスクに対してはパスワードを設定する機能も用意されています。パスワードが設定されたディスクをレコーダー挿入しても、正しいパスワードが入力されない限りプレイリストメニューが表示されません。そのため、ディスクの内容を確実に保護することができます。

図17.ブルーレイディスクアプリケーション規格のストリーム管理構造

図18.プレイリストとしての「タイトルリスト」画面例(BDZ-S77)


ディスクならではのランダムアクセスを活用するための多彩なポイント機能
ブルーレイディスクアプリケーション規格には、プレイリストやクリップの中の任意のシーンに頭出し点をつける機能があります。頭出し点には、それが表す意味の違いからいくつか種類があり、ブルーレイディスク規格では総称してポイントと呼んでいます。ポイントを活用することで、さまざまな使い勝手の向上を図ることができます(図19)。

図19.さまざまなポイント


例えばプレイリストを代表するサムネイル画像の元となるシーンがある位置を示すポイント、途中で視聴を止めたシーンから再開するための
リジュームポイントなどが用意されています。
その他にも、規格としてはユーザーやレコーダーが独自のポイントを作ることが出来るような拡張性を有しています。(表5)
サムネイルポイント プレイリストを代表するサムネイル画像の元となるシーンの位置を指す

インデックスポイント

プレイリストの内容をさらに分ける
リジュームポイント 前回どこまで見たかを示すポイント
リザーブ領域 将来マークの種類を増やすために用意された空き領域

表5.プレイリストに設定できるポイント



ディスクの特性を生かした編集を実現するプレイリスト
ブルーレイディスクアプリケーション規格では、ディスク上のクリップをプレイリストという単位でユーザーに提示します。クリップが記録されると同時に、クリップを参照するリアルプレイリストと呼ばれるプレイリストが自動的に作成され、ユーザーに提示されます。
クリップとプレイリストの最も簡単な関係は、図21の(1)のように、クリップ一つに対し、リアルプレイリストが一つ対応している場合です。このように、記録直後であれば多くの場合、クリップとリアルプレイリストは1対1に対応する関係にあります。
リアルプレイリストは、プレイアイテムから構成されており、各プレイアイテムは、クリップの全体あるいは一部を参照しています。プレイリストを再生すると、プレイアイテムの並び順に各プレイアイテムが参照しているクリップが再生されることになります。

プレイリストやポイントを視覚的に表示するサムネイル
ブルーレイディスクでは、プレイリストごとにサムネイルを設定することができます(写真1)。サムネイルとは小さな静止画のことで、ディスクやプレイリストの内容を視覚的に代表する画像をいいます。サムネイルは、サムネイルタイトル表示時にレコーダーが適切な場面を自動的に選択して作成するほか、同タイトル内から好みのシーンを抜き出して作成することが出来ます。サムネイルの仕様は表6のようになっています。

写真1.BDZ-S77のサムネイルタイトルリスト


画像形式 JPEG(JFIF)

カラーフォーマット

Y:Cr:Cb=4:2:2
サンプル
アスペクトレシオ
1:1(正方画素)
サイズ
(水平ピクセルサイズ
×
垂直ピクセルサイズ)
320×240(4:3時)
416×240(16:9時)
1枚当たりの
最大バイトサイズ
16キロバイト

表6.サムネイルの仕様

リアルプレイリストとクリップの関係
図20の(2)のように、ユーザーがプレイリストを二つのプレイリストに分割すると、クリップとプレイリストの関係は、一つのクリップを二つのリアルプレイリストが参照する形になります。このように分割操作は、プレイリストのリンク情報を変更しただけであり、ストリームの実体であるクリップに変更が加えられることが無いため、素早く行われます。
併合操作でも、図20の(3)のように、プレイリストレイヤーでの変更だけで編集が完了することがわかります。
図20の(4)は、リアルプレイリストをA-B消去した場合の例です。この場合、ユーザーはディスクの空き容量を増やす目的で消去を実行したものと想定されますから、プレイリスト中の指定された個所に対応するクリップを削除します。
編集を繰り返すことで、クリップとリアルプレイリストの参照関係は複雑になっていきますが、どのリアルプレイリストからも参照されていないクリップ(クリップの一部も含む)が存在しないように規格ではルールを定めています。
例えば、図20の(2),(3),(4)のような編集を行った後でも、クリップの任意の箇所は必ずいずれかのリアルプレイリストから参照されています。
リアルプレイリストを消すと、それが参照しているクリップの部分も、同時にディスク上から消えます。リアルプレイリストだけが消えて、参照されていたクリップが残ることはありません。
このように、リアルプレイリストの消去を行うことで、必要ではなくなったストリームをディスク上から消してディスクの空き容量を増やすことが出来ます。
クリップに変更を加えずにプレイリストの一部を削除したい場合は、次の章で説明するバーチャルプレイリストを活用します。この場合、ディスクの空き容量は増えませんが、非破壊の編集を行うことが出来ます。

図20.プレイリストに対する編集の例


仮想編集を実現するバーチャルプレイリスト
リアルプレイリストを消去すると対応するクリップも削除されるように、リアルプレイリストはクリップとの結びつきが強いプレイリストです。一方、クリップの状況とは独立して、既にディスク上に存在するプレイリストからさらにプレイリストを作ることも出来ます。この新たに作られるプレイリストをバーチャルプレイリストと呼びます(図21)。バーチャルプレイリストの一番の特長は、既に存在するクリップ・プレイリストを変更することなく、新たなプレイリストを作成できることです(非破壊編集)。例えば、一部のシーンだけが異なる別バージョンのプレイリストをいくつか作成したい場合や、オリジナルのストリームを編集する前の仮編集などが、このバーチャルプレイリストを作成することで簡単に行えます。
バーチャルプレイリストもリアルプレイリスト同様に、クリップの全部あるいは一部をIN、OUT点の組で参照したプレイアイテムの並びから構成されています。バーチャルプレイリストが参照するクリップの範囲は、必ずいずれかのリアルプレイリストによって参照されています。リアルプレイリストを消去すると対応するクリップも消去されますが、バーチャルプレイリストを消去しても、クリップはディスク上から消去されません。そのため、ディスクの空き容量も増加しませんが、クリップのデータベースファイルやサイズの大きいストリームファイルを変更・消去しないので、編集完了まで長時間待たされることがありません。
バーチャルプレイリストは、クリップの同一箇所を重複して参照することが出来るため、バーチャルプレイリストを含めた全プレイリストの再生時間や使用バイトサイズの合計は、ディスクの真の容量を超えた大きな値になる可能性があります。あとどのくらい記録できるのかを知るには、ディスクの実質使用量を知る必要があります。このような場合、レコーダーはリアルプレイリストに注目してクリップのディスク使用量を調べ、真の空き容量を算出します。

図21.バーチャルプレイリスト

 
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