小澤 忠恭
「銀塩とデジタルの楽しみ」
2008年・沖縄の素顔

この度、「ソニーNEX&Aマウントで撮るフォトコンテスト」が開催されたことに合わせて、2008年に沖縄を旅した時の写真をお見せします。この時の旅は、Sony α700(デジタルAPS-C)とMINOLTA α-7(35mm版フイルム)の両方のシステムでの旅だった。レンズは同じA-マウントなので、 Sony製の新しいレンズと、MINOLTAの使い慣れたレンズを両方のカメラで使った。
沖縄の旅は、できるだけ、やんばる(山原)、つまり森から始めることにしている。那覇空港に着くなりレンタカーを借りて、南北に長い沖縄本島の真ん中あたり、本部半島の山中に素敵な山カフェがある。沖縄と東京では流れる時間がちがう。体を沖縄タイムに慣らすため、まずは濃密なジャングルの直中でコーヒーを一杯。高台にあるカフェのテラスからは、ヤンバルの山々が青々と見渡せる。

Sony α700,Minolta AF 35mm F1.4,ISO100,1/400秒,F4

北のヤンバル。南の町。それから歴史ある農村風景。沖縄本島を北から南まで、ふらりと旅していくと、いろんな沖縄の断片に出会う。それはゆったりとした至福の海の夕暮れであったり、古代の文明の遺産であったり、激烈な戦の爪痕であったり。沖縄風の宴会や、生活。異国風な都会の喧噪。それらが突然目の前に現れては過ぎていく。沖縄の旅はまるで、いくつもの種類の沖縄像が壊れたガラス細工のように散らばっているかのようだ。脈絡なく一つのかけらを拾って感動したり、とまどったり、胸にしみたり、する。

Minolta α-7(FilmCamera) Sony α7R IVでスキャン
Minolta α-7(FilmCamera) Sony α7R IVでスキャン
Sony α700,Minolta AF 50mm F1.4,ISO100,1/50秒,F4
Sony α700,Minolta AF 50mm F1.4,ISO100,1/40秒,F5.6

沖縄を歩くことは、笑顔に会うことだ。沖縄人(ウチナーンチュ)の笑顔は大きい。アルファレンズのシャープだが柔らかさのある描写は昔から変わらず、出会う人々の笑顔を暖かく記録してくれる。
まずは、Sony α700 とMinoltaレンズの組み合わせで、、

Sony α700,Minolta AF 35mm F1.4,ISO100,1/1000秒,F4
Sony α700,Minolta AF 35mm F1.4,ISO100,1/30秒,F1.7
Sony α700,AF ZOOM 17-35mm F2.8-4(D),ISO800,1秒,F5.6
Sony α700,Minolta AF 35mm F1.4,ISO100,1/640秒,F4
Sony α700,50mm F1.4,ISO100,0.3秒,F1.4
Sony α700,50mm F1.4,ISO100,1/60秒,F4

次は、これは銀塩フイルムカメラ、MINOLTA α-7 で撮ったフイルム写真を、Sony α7R IV + FE 90mm F2.8 Macro G OSSで複写スキャンしたもの。これは今回のコンテストとは関係がないが、フイルム時代の名作をデジタライズする時に、高細密な、このα7R IVを使ってスキャンすれば、大変良好なデータが得られる。もう高価なスキャナーは必要ないと思えるほどだ。また機会があれば、そのやり方をお伝えしたいが、ここではおまけとして、そのスキャンしたものを少しお見せしておく。カメラは全て MINOLTA α-7 使っているレンズは、MINOLTA製、Sony製、色々。ポジフイルムを複写スキャンした。いいレンズを使って撮り、ちゃんとスキャンすれば、最新のデジタルに遜色ない。

今回は、2008年という、本格的に、銀塩フイルムからデジタルに移ろうとする時期、ソニーαシステムの革新的進化の時期の写真とともに、沖縄の人たちの笑顔をたくさん紹介できた。こんな笑顔もまた日本の大きな重心の一つである。また、こうしてみると、銀塩かデジタルか、というのは本質的には変わりはない。ただし、銀塩の頃はしっかり時間をかけた撮影が主流だったと思う。進化したデジタルは確かに現場では楽になったかもしれないが、ただ楽をしてしまって、いいかげんな撮影をするのでなければいいのだが。
「ソニーNEX&Aマウントで撮るフォトコンテスト」への皆さんからの沢山の作品のご応募ありがとうございました。

写真家

小澤 忠恭

1951年、岐阜県郡上八幡生まれ。
1972年、日本大学芸術学部映画学科中退。
1981年、小学館月刊写楽「僕のイスタンブル」「ブエノスアイレスの風」でデビュー。
人物写真を、集英社すばる「作家の貌」連載などで、アイドル写真を、学研MOMOCO「MOMOCO写真館」連載などで旅の写真を、JTB 旧「旅」などで発表。
他にも女優写真集、アイドル写真、料理写真と多方面で活躍。
最近では、ライフワークとして4X5で日本の滝を撮り続け、現在200本を超える。
小学館「週刊ポスト」では「日本の重心をめぐる」を連載中。ミノルタ時代からのαファンで、現在はα7R IV、α7R III、α99を愛用している。 フェイスブックで写真の話を書いています。
https://www.facebook.com/chukyo.ozawa また、新しくエッセイ集「写真すること」が発売になっている。
https://chukyo-ozawa.booth.pm

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