想いをカタチに

My Sony STORY vol.9「MESHを使って、自ら考え解決する力を応援したい」のキービジュアル
#未来を共創する

MESHを使って、
自ら考え解決する力を応援したい
vol.9

第9回目の“My Sony STORY”は、第3回目に登場した「MESH」(メッシュ・Make、Experience、Shareの略)の新たな可能性に挑戦するメンバーたちのストーリー。IoTデバイスの企画・開発という枠を超え、社会の課題解決や社会起業家育成へと挑む、その志と想いに迫ります。

( “My Sony STORY”vol.3:「MESH」企画・開発を行なった萩原のストーリーはコチラ

社内の新規事業部は、
違うチームでも互いに刺激し合う関係。

生みの親である萩原の新しいモノ・コト・価値を作りたいというクリエイター魂と、日常生活の困りごとを解決したいという自らの経験の掛け合わせからうまれた「MESH」。プログラミングや電子工作の知識がなくても、家にある身近なものとMESHを組み合わせてさまざまなアイデアを形にできることから、開発段階から教育分野の高い関心を集めました。そこに、2020年度から小学校でのプログラミング教育が必修化されたことが後押しになり、一気に教育分野に普及していきました。
教育分野で活用されるMESHの様子
そのプロセスを間近でみていたのが、入社して間もない杉本。MESHと同じソニーの新規事業促進プログラムSony Acceleration Platform(SAP:新規事業促進プログラム)で別のソフトウェア開発に携わっていた杉本にとって、MESHや萩原は常に気になる存在だったそうです。

「SAPに配属されたときは入社2年目で、萩原さんをはじめ、MESHチームのみなさんは親身になって事業づくりの相談に乗ってくれる良きお兄さん的存在でした。いつも諸先輩方にたくさんのアドバイスをいただいていましたし、もともとガジェット好きなこともあり、MESHには親近感を持っていました」
当初はガジェットとしての興味だったそうですが、MESHがプログラミング教育に採択されるようになりはじめたタイミングで、次第にMESHに関わりたいという気持ちが募っていきます。
MESHのソフトウェアエンジニア 杉本さんのポートレート

「MESH」のソフトウェアエンジニアをつとめる 杉本

当初はガジェットとしての興味だったそうですが、MESHがプログラミング教育に採択されるようになりはじめたタイミングで、次第にMESHに関わりたいという気持ちが募っていきます。
「ちょうどその頃は、自分自身が教育に興味を持ち始めた頃だったんです。というのも、私は会社のテニス部に入っていまして、そこで部員の子どもたちにテニスを教える立場にありました。そこではテニスだけでなく、学校や勉強の話を聞く機会も多くあり、学校教育の課題を感じる場面もありました。エンジニアという仕事柄、学校教育の場にもっとテクノロジーの力が必要なのではないかと思うようになっていったのです」

そんな密かな想いが実を結び、杉本は2019年にMESHチームに参加。ソフトウェアのエンジニアとして開発を担いつつ、萩原とともに教育現場にも足を運ぶようになりました。

アイデア出しで満足するのではなく、
実際に作って、使ってもらいたい。

MESHが教育現場のさまざまなシーンで活用される事例を見るにつれ、萩原は誰もがクリエイティビティを発揮できる環境を整える必要性を感じるようになりました。とくに経済合理性という枠組みのなかだけでは測れない、社会課題の解決に向けた環境づくりを目指したい。その想いが膨らみ、2024年に「一般社団法人 Arc & Beyond (アーク アンド ビヨンド)」を立ち上げました。
「Arc & Beyondで取り組んでいるテーマのひとつが、アントレプレナーシップ(*)をもつ人を増やすこと。新しい課題をみつけて、困っている誰かに対して新しい価値を届けることがもっとスムーズに、そして誰もが取り組めるようになると、世の中がもっとよくなるのではないでしょうか」
MESHの企画・開発者 萩原さんのインタビューカット

「MESH」の企画・開発者 MESH事業室 / 一般社団法人Arc & Beyond 業務執行理事兼Co-Founder 萩原

*アントレプレナーシップとは・・・アントレプレナーシップとは、「起業家性」や「起業家的行動能力」などと訳され、新しい価値を創造し、変化や困難に自ら挑戦していく能力を指します。これは誰もが身につけることができるもので、単に起業家のためだけでなく、ビジネス、学校、地域活動など、あらゆる分野で求められる汎用的な力。近年では、重要な能力の一つとして、アントレプレナーシップを備えた人材育成を強化する動きが高まっています。
その活動に興味を示したのが、一般社団法人 アントレ教員ラボの池田巧さん。池田さんは新たな価値を創造する教員や学生を育成するため、アントレプレナーシップを育む場を創出しています。アントレ教員ラボが関わる東北学院大学での地域創生協働プロジェクト「NEXUS X」の活動にMESHが活用できるのではないかと考えました。
「現状のアントレプレナーシップ教育は何かアイデアを出して、ビジネスプランを提案するところで終わってしまうことが多いのですが、本当に大事なのは、そこから実際に作り、それを使った人からのフィードバックを得て学ぶこと。そうでないと、ただの机上の空論になってしまう可能性もありますから。今回、池田さんから相談された東北学院大学でのプロジェクトは、アイデアを出して、実際にMESHを活用して大学の学園祭に実装するまでがパッケージ。実際に取り組んで、作って、使った人からフィードバックをもらえることは新たな挑戦になると思いました」(萩原)
東北学院大学のプロジェクトに参加した学生や保護者、MESHメンバーの集合写真

東北学院大学のプロジェクトに参加された学生や保護者の方々と、一般社団法人 アントレ教員ラボの池田さん(前列右)、MESHメンバーと一緒に

二日間のワークショップで
学生の気持ちがヒートアップ。

今回のプログラムは、高校生・大学生・保護者がチームを組み、MESHを使って大学の学園祭の課題を見つけ、解決する実践型のプログラム。10月の学園祭本番に向けて7月から準備に取り掛かりました。

プログラム初日は、ワークショップでMESHの基本的なことをレクチャーしつつ、学園祭の課題をディスカッション。課題を分析しながら、それが正しい仮説か確証を得るため、大学のキャンパスに出て学生たちにインタビューを行いました。
「知らない人にインタビューをするのは学生さんにとっては初めてのことで、最初はみんなモジモジしていました。でも、一回勇気を振り絞るとそこからはスムーズにインタビューできるようになって、最終的には3時間近くかけて学生さんたちからたくさんの声を集めました。実践することの意味を、初日から肌で感じてもらえたと思います」(杉本)
ワークショップ1日目、学生が学園祭の課題をインタビューして回る様子

〈ワークショップ1日目〉事前の課題分析でピックアップした“学園祭で困ったこと”をインタビューしてまわり、具体的にどの課題を解決するためのプロトタイプにするかを決めた

インタビューで集まった課題の多くは、混雑や行列、会場のわかりにくさ。とくに、学園祭の目玉ともいえる「わが街マルシェ」の混雑ぶりやオペレーションに関する課題が多く、その解決方法が今回の議題に決まりました。

参加者を3チームに分け、さっそく解決方法のアイデア出しへ。MESHだけでなく、GoogleスプレッドシートやLINEなどウェブサービスと連携させながら、どのチームもユニークなプロトタイプを作成しました。

「学生さんはMESHを初めて使う人ばかりで、最初は不安そうにしていました。でもインタビューやディスカッションを重ねるごとにやる気が満ち溢れてきて、議論もヒートアップ。こちらが驚くほどの熱量で、ワークショップの二日間だけでもすごい現場に立ち会ったなと興奮しました」(杉本)

ワークショップを終えたあとは、学生が主体となってアイデアをブラッシュアップ。萩原と杉本は2週間に一度のオンラインメンタリングでサポートしていきました。
ワークショップ2日目、学生によるプロトタイプ開発と発表の様子

〈ワークショップ2日目〉1日目で得られた情報を元にプロトタイプの開発・発表を行なった

新しいことを始めるときに「正解」はない。
学生たちの成長と導いた答え

「学生たちからの相談には答えを言わないように心がけました。なぜかというと、そもそも何が正解なのかわからないはずだから。新しいことを始めるとき、大人は勝手に正解を決めつけがち。でも実はそれは危険なことで、我々自身も普段から気を付けるようにしているんです。学生に対しても答えを伝えるのではなく、改めてこちらから問いかけたりすることでより深く考えて、自分たちで答えを導いていけるように伴走しました」(萩原)

3か月かけて考え、形にした解決方法は、「わが街マルシェ」の混雑状況を可視化する方法。MESHの人感ブロックを用いてGoogleスプレッドシートに混雑状況を表示するモニターは、なんと学園祭当日、スタートから2時間ほどで3回もアップデートさせたそう。
「一番驚いたのは、その学生たちの対応力。初めのディスプレイはそのときの状況がひとつだけしか表示されず、来場者からは少しわかりにくいという反応でした。それを聞くと、学生たちはどんどん更新していったのです。7月のインタビューでモジモジしていた学生の姿を思うと、その成長と変化に胸が熱くなりました。それとともに、MESHのフレキシブルさに改めて可能性を感じました。これが難しいプログラミングや、作り込んだアプリケーションであったら、当日の現場で簡単にアップデートはできません。アントレプレナーシップにもぴったりハマるツールだと思いました」(萩原)
学生が開発した混雑可視化プロトタイプの展示
学園祭当日のMESHを活用した展示の様子
学園祭で来場者がMESHを使ったデジタルマップを体験する様子

〈文化祭当日〉MESHセンサーなどを用いて「わが街マルシェの混雑状況」の可視化や、回遊性を高める「楽しめるデジタルMAP」を開発・設置。混雑状況のUIは当日分かりやすくブラッシュアップしていった

学生たちの成長を感じたのは杉本も同様です。
「初めの頃のオンラインメンタリングではMESHの機能についての質問が多かったんですが、最終段階になると“この問題は何をしたら解けるのか?”といったように、MESH先行ではなく、課題を解決するためのひとつのツールであるという考え方に変わっていたんです。MESHは課題解決をサポートする脇役だと考えているので、学生たちが自らそういうマインドを獲得していったことは、とてもうれしく思いました。今回改めて、MESHは“できた!”という経験を得やすいツールだとも感じました。アイデアを実際にパッと形にできて、人に使って喜んでもらう。自分で作れる、人の役に立てたという成功体験を簡単に獲得して積み重ねていけるのはなかなかないことだと思います」
ワークショップを振り返る杉本さんのインタビューカット

課題も解決方法も細分化する時代こそ、
アントレプレナーシップが必要になる。

今回のプロジェクトを経験した杉本は、教育以外の場にも応用できるのではないかと話します。
「MESHは教育から広がりましたが、AIの登場でもっと広い領域に広がっていくのではないかと思っています。ものすごいスピードでAIが進化していますが、彼らは物理的なボタンは押せません。でもMESHは物理の世界にあるものだから、三次元の世界でしかできないことを担えればいい。これからはAI×MESHという文脈でもっと面白いことが仕掛けられたらと密かに考えています」

領域の拡大はもちろん、アントレプレナーシップをもつ人を育てることは今後、どんな分野にも必要だとも萩原は感じています。
「アイデアを考えるだけでなく、スピーディーに形にできることがMESHの強み。形にできるからそこから学ぶことができて、しかもそれを早いループで何度も回すことができる。それはまさに、アントレプレナーシップ教育が問いをたて、試して学びを得ることと同じ。これは今後、教育や学校以外でも必要な力になるはず。とくにこれからの時代、多様性が広がり課題も細分化されていくので、万事を解決する万能な方法というものはなくなると思う。そうすると、誰もが解決するための手段を考えないといけなくなるでしょうし、ツールや方法も広がっていく。そんな時代にMESHやアントレプレナーシップはますます求められるのではないでしょうか。実は今回の実践プログラムで興味深いことに気づきました。学生たちが主体的に考えられるように伴走していると、先生方、あるいは近くにいる大人の思考回路が変わっていくのです。大人になると思考が固まりがちですが、MESHを使う教育は大人たちの捉え方までも変える力がある。誰もがクリエイティビティを発揮できる未来は、可能性に満ちていると思います」(萩原)
教育現場でのMESH活用を象徴するビジュアル

この取り組みに関して、
一般社団法人 アントレ教員ラボの
池田巧さんからコメントを頂きました

アイデアを「動く仕掛け」に変えた
MESHとNEXUS X

NEXUS Xが目指すのは、「つくること」を通して行動しながら学ぶアントレプレナーシップ教育です。AIがアイデアや情報をいくらでも生み出し、数秒で“もっともらしい企画書”を整えてくれる時代だからこそ、教室の外に出て現場の声を聞き、自分の違和感を起点に、実際につくってみる一回性の体験を届けたいです。MESHは、その「やってみる・つくってみる」を支え、小さな気づきを動く仕掛けに変え、文化祭という本番の場での実装と即改善を可能にしました。「アイデアを実際に形にする経験ができたので、次からは何でもつくれると思えました」「自分にも社会を変える力があると気がつけました」といった参加者の声は、まさにMESHがなかったら生まれなかったものです。当法人の「誰もがアントレプレナーシップに気づける学び場を創る」という活動理念に共鳴し、ともに挑戦の場を育ててくださった萩原さん、杉本さん、関係者の皆さま、そしてMESHというテクノロジーに心から感謝しています。
一般社団法人 アントレ教員ラボ 池田さんのポートレート
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