開発者INTERVIEW(開発者インタビュー)

リアルとオンラインを繋ぐ新スタイルヘッドホン『LinkBuds』が広げる、これからの“音”体験

リアルとオンラインを繋ぐ
新スタイルヘッドホン
『LinkBuds』が広げる、
これからの“音”体験

『LinkBuds』製品画像
『LinkBuds』製品画像

音を奏でるドライバーユニット中央にぽっかりと大きな穴が開いた新スタイルが目を惹く、ソニーの新型完全ワイヤレスヘッドホン『LinkBuds(リンクバッズ)』。これは、音楽や動画、ゲームなどといったこれまでの“音”に留まらず、コミュニケーションやARといったこれからの“音”にも対応するための、ヘッドホンの新しいかたちです。その形状、そして新しい体験に込めた想いを、開発を主導した4人のキーパーソンが語ります。

  1. 今、“音”を聴くという体験が多様化しはじめている
  2. ドライバーユニットに穴を開けることで実現した『LinkBuds』の自然でクリアなサウンド
  3. 身につけていることを忘れてしまう耳の中にすっぽりと収まる超小型ボディ
  4. 本体に再生プラスチックを取り入れるなど環境問題への取り組みにも注力
  5. AI技術を駆使した新開発マイクによってユーザーの話し声も自然かつクリアに
  6. 音楽、コミュニケーション、そしてSound ARまで『LinkBuds』がこれからの“音”体験を拡げていく

MEMBER

辻の写真
商品企画担当
ソニー株式会社
辻
鎌田の写真
プロジェクトリーダー
ソニー株式会社
鎌田
井出の写真
音響設計担当
ソニー株式会社
井出
内田の写真
機構設計担当
ソニー株式会社
内田
POINT 01

今、“音”を聴くという体験が
多様化しはじめている

インタビュー風景の写真

まずは『LinkBuds』のコンセプトを聞かせてください。

辻:『LinkBuds』は、音やコンテンツ、聴き方のトレンドを踏まえて開発した新スタイルのヘッドホンです。トレンドとは具体的に言うと、昨今のSpotifyを代表とした音楽ストリーミングサービスの普及や、360 Reality Audioといった立体的な音場体験の登場、音声SNSやボイスアシスタント、そしてゲームや映画など、“音を聴くという体験の多様化”のことを示します。

そうした中、多くの人たち、特に「ジェネレーションZ」と呼ばれる若い人たちの間で、“音”に接する時間がこれまでよりも長くなっていることが確認されています。また、ビジネスパーソンの方々も、昨今、ビデオ会議などで、“音”に接する機会が増えていることが分かっています。『LinkBuds』はそうした時代の変化を踏まえて、音楽以外のさまざまな音を楽しむ新しい世代の「耳」になるようなヒアラブルなデバイス、リアルの音とオンラインの音を繋ぐものを作りたいと考えたところから開発を始めました。

リアルの音とオンラインの音についてもう少し詳しく教えてください。

辻:家族と会話している時の声や、歩いている時に耳に入ってくる周囲の音などが前者、スマートフォンなどを通して、音楽を聴いたり、動画を観たりといったときの音が後者ですね。『LinkBuds』ではヘッドホンを装着した状態でも、この両者の音の世界を行き来しやすいことを目指しました。なお、『LinkBuds』という名称にはそんな、リアルとオンラインをリンクさせるという思いを込めています。

井出:この「コト軸」から発想して商品(モノ)に落とし込んでいったというのが、『LinkBuds』のもの作りにおける大きなポイントの1つになっているんですよ。

なるほど。たしかにこれまでのヘッドホンは装着していることで周囲に対して「話しかけないで」という意思表示をしているように感じさせる面がありましたし、外音をいかに遮断するかがテーマになっていたところもありますよね。

辻:そうなんです。その点『LinkBuds』はドライバーユニット中央に大きな穴を開けることで、クリアな音楽体験を損なうことなく、しっかりと外の音も聞き取れるようにしています。

井出:音楽体験を損なうことなく、というのが重要です。実際に『LinkBuds』の音を聴くと、低域から高域までしっかり再生できていて、ドライバーユニット中央に穴が空いていることを忘れてしまうほど。音量を下げると外の音が自然に耳に入ってきてBGM的に楽しめるのですが、逆に音量を上げていくと外音が遮断されて、音に傾聴するような楽しみ方ができるようになっています。

インタビュー風景の写真

リアルの音とオンラインの音を繋ぐというコンセプトを実現するために、穴を開けるという手法を採用した理由についてもう少し深掘りさせてください。たとえば骨伝導方式など、いろいろなやり方がある中、どうしてこうしたかたちになったのでしょうか?

辻:まずこだわったのが外の音をいかにクリアに、自然に聞こえるようにするかという部分です。我々は既存製品でも「外音取り込み」機能で外の音を聞き取りやすくしているのですが、それよりもさらに進んだ、まるで耳を塞いでいないように聞こえるようにするにはどうすれば良いのかを開発初期に設計、デザイナーと深く検討しました。結果、行き着いた答えがドライバーユニットに穴を開けて外音を直接耳に届けるという形状だったのです。

その上で、ヘッドホンを着けた状態でも話しかけづらくない、あまり仰々しくならずに周りの人から意識されにくい自然な形状、大きさであることにもこだわっています。

耳を塞がず圧迫感の無い装着性

確かに『LinkBuds』を装着していても、耳を塞いでいるという印象はほとんど受けませんね。それどころか真正面から見ると本体が耳の中にすっぽり収まっていて、ほとんど見えなくなります。

井出:そうなんです。この耳甲介(じこうかい)と呼ばれる、耳のくぼみのところに本体とドライバーユニットがすっぽり収まってしまうサイズで、外の音をどう取り込むかということを考え抜いた結果、ドライバーユニットの中央に穴を開けてリング状にして外耳道(がいじどう)に自然に音が入っていくようにするのがベストだろうという結論に達しました。

POINT 02

ドライバーユニットに
穴を開けることで実現した
『LinkBuds』の
自然でクリアなサウンド

インタビュー風景の写真

前段では『LinkBuds』の、ドライバーユニットの中央に大きな穴の空いた個性的な形状の理由についてお伺いしましたが、初めて見た人はこれでちゃんとした音が鳴るのかと疑問に感じてしまいそうです。実際のところ、そのあたりはどうなっているのでしょうか?

井出:それについてはご安心ください。『LinkBuds』では、しっかりとソニー品質のサウンドを楽しんでいただけます。その上で順を追って説明しますと、まず前提としてヘッドホンは大きく「開放型」と「密閉型」に分けることができます。開放型の良いところは、なんといっても耳を塞がないことによる開放感。響きも自然に感じられ、音楽をBGM的に楽しむにはとても向いた形状です。対して密閉型は密閉されることによって豊かな低音と共に音に没入できるという利点があります。音楽に集中して、傾聴するスタイルで楽しめるのが密閉型の良さです。

『LinkBuds』は開放型のヘッドホンですから自然な音が売りということになりますね。

井出:はい。その上で、ソニーの考える高音質とは低域から高域までバランスの取れた音を楽しめることですから、たとえ開放型であってもそこを妥協せずに密閉型のような没入感も楽しめるようにしたいと考えました。

そのために具体的にどういったことをやっているのかを聴かせてください。

井出:まず、ドライバーユニットの中央に穴を開けることで、電気信号を音に変える振動板(ダイアフラム)の面積と、その駆動力を生み出すマグネットの体積が減ってしまうという問題がありました。これは特に低音と音圧に大きな影響を及ぼします。

しかしだからといって穴を小さくしてしまうと、今度は外音がストレートに耳に届かなくなってしまいます。そこで外音を取り込む事による自然な聞こえと音質の兼ね合いを幅広く検討し、実際に多くのパターンのドライバーユニットを作って聞き比べた上でベストな形状・大きさを導き出しています。この際、我々、製品を開発するチームと、社内の技術・部品を開発するチームが二人三脚で課題に取り組めたことが功を奏しました。中央に穴の空いた挑戦的なドライバーユニットを短い期間でクオリティ高く作りあげることができたのは、こうしたソニーならではの体制があったからだと考えています。

ではその構造について、実際のリング型ドライバーユニットを見ながら説明していただけますか?

井出:写真の右側、中央の穴を囲む透明な2つの輪と、黒い輪全体が振動板になります。透明な部分は一般的なスピーカーユニットにおけるいわゆるエッジにあたるところ、黒い部分はサブダイアフラムと呼ばれるボイスコイルが貼り付けられているパーツです。外見からは特殊な構造に見えるかもしれませんが、一般的なドライバーユニットと同様にこのドーナツ状の振動板全体が上下に振幅することで音が発生します。そして、本ドライバーユニットでは、振動板の振幅が極力大きくとれるようなハイコンプライアンス振動板を開発・採用したことで開放型でも十分な低音と音圧を生み出ことに成功しています。また駆動力の源であるマグネットに高磁力ネオジムマグネットを採用することでクリアな中高域の表現を実現できました。

この構造を作り出すことで、従来のドライバーユニットに負けない音を生み出すことができたのですね。

井出:そして中音域以上については、『LinkBuds』特有の耳にすっぽりと挿入するスタイルがとても効いてきます。この装着スタイルにより、ドライバーユニットが耳の穴の直上に配置されるため、振動板の生み出した空気の振動をダイレクトに効率良く鼓膜に届けることができるんです。結果、中高域以上の音が自然かつクリアに再現できるようになりました。

インタビュー風景の写真

ドライバーユニット以外の部分で、高音質化に寄与しているところがありましたら教えてください。

井出:完全ワイヤレスヘッドホンの最上位モデル『WF-1000XM4』にも搭載されているソニー独自開発の統合プロセッサーV1を『LinkBuds』にも採用しています。このプロセッサーの非常に低歪みで高S/N比なところが音質に貢献しており、基本的な性能をボトムアップする上で極めて重要なパーツとなっています。しかも消費電力も極めて小さいため、本機の非常に小さなボディに無理なく収めることができました。

POINT 03

身につけていることを
忘れてしまう
耳の中にすっぽりと
収まる超小型ボディ

インタビュー風景の写真

続いて、装着感の話を聴かせてください。

鎌田:『LinkBuds』の装着性において目指したのは音と同様に自然さです。装着していることを忘れてしまうようなものにできないかを開発初期から意識していました。そこで、先ほど井出が話したように、『LinkBuds』は耳の奥のくぼみ、耳甲介(じこうかい)にすっぽり収まるサイズにすることをまず決めました。そのサイズにすることができれば、重心がかなり内側に行くので着け心地が劇的に向上します。

とは言え、それは簡単なことではありませんよね?

鎌田:そうですね。まず苦心したのがリング型ドライバーユニットの小型・軽量化です。リング部の直径は音質の面では大きいほど良いのですが、あまり大きくし過ぎると耳珠(じじゅ)の裏、リングを収める外耳孔(がいじこう)が圧迫され痛くなってしまうんですね。そこで音質や外音の取り込み性能を損なわない範囲で極力小さくし、重量も軽くすることを目指しました。

どんなことをやったんですか?

鎌田:ひとことで言うと製品を構成する部品を最適化しました。一般的なヘッドホンはドライバーユニットの個々の部品をハウジングと呼ばれるパーツに固定し、振動板保護のためのプロテクターを組みつけたドライバーユニットを、さらに外装部品で囲む構造になっているのですが、『LinkBuds』ではハウジングとプロテクターを一体化することでリング部分のサイズと重量を大幅に削減することに成功しました。また、リング部の隣に配置された統合プロセッサーV1やバッテリーなどが収まった丸い本体ブロックも、通常であれば別個になるBluetoothアンテナとマイクを実装する基板を一体化するなど、さまざまな工夫でサイズと重量の削減を行っています。

内田:また、本体をより耳甲介(じこうかい)にすっきり収めるための工夫として、リング部分と本体ブロックを単純に並べるのではなく、段差を設けた上で少し捻るように角度を付けて配置しています。これによって、より耳の形状にフィットさせることができ、正面から見たときの耳からの飛び出しを抑えることができました。

鎌田:こうした工夫は開発チームがそれぞれの担当区分だけをやっていたのでは実現できません。先ほど井出がリング型ドライバーユニットの開発には製品開発チームと技術開発チームが協力したことが重要だったと話しましたが、製品開発チームの中でもそれぞれの担当者が密に連携しており、それもこの製品の品質を高めることに大きく寄与しています。

インタビュー風景の写真
インタビュー風景の写真

そうした取り組みを経て理想のサイズ感を実現でき、誰もがストレスなく利用できる装着感を実現できたのですね。

鎌田:そうなんです。でも実際にはさらにもうひと工夫が必要でした。人間の耳の形は個人差がものすごく大きいので、どんなに本体を小さく、軽くできても、それだけでは安定した装着感にはならないためです。

内田:『LinkBuds』は、耳の中に本体を収めた上で、耳と本体との隙間をサポ―ターで埋める事で安定させています。しかし、その隙間は、人によって大きく異なります。そこで今回はその隙間を吸収するために、長さの異なる5種の「フィッティングサポーター」を同梱しました。

インタビュー風景の写真
インタビュー風景の写真
POINT 04

本体に再生プラスチックを
取り入れるなど
環境問題への取り組みにも注力

インタビュー風景の写真

ここまで『LinkBuds』特有のリング型ドライバーユニットについて音質や装着感の話を中心にお伺いしてきましたが、この形状は見た目の上でもインパクトがありますよね。この形状をいかしたデザインについての取り組みもお話しいただけますか?

内田:まず、象徴的なリング部分については表面を金属調としました。モノとしての品位を高める目的のほか、外音を取り込むこの部分を特に強調するという狙いがあります。これによって、『LinkBuds』の外音がきちんと聞こえているという機能をユーザーだけでなく、周りの人にも伝わるようにしています。

穴の部分に目が行きやすくすることで、周囲の人に私はちゃんと周囲の音が聞こえるよ、遮断してないよと伝えられるというのはいいですね。

内田:また充電ケースについても、本体の小ささを損なわないよう手のひらにすっぽりと収まるコンパクトなサイズを追求しています。柔らかな丸みを帯びた形状とすることで握りこんだ時にも角が当たるということがありません。また、蓋を開いた時のラインが水平ではなく、奥に行くほど斜めに上がっていくようになっており、これによってヘッドホンが取り出しやすくなっているといった細かな工夫も施しています。

インタビュー風景の写真
インタビュー風景の写真
インタビュー風景の写真

『LinkBuds』は本体が小さいので、取り出しやすい工夫がされているのはうれしいです。

内田:その上で、本体全体のカラーリングについては、日々のファッションなど、日常生活に溶け込むようなホワイトとグレーの2色を用意しました。

どちらも単純な白とグレーではないカラーリングになっているんですね。あと、よく見ると表面のテクスチャーが特徴的ですが、これにはどういった意図があるのでしょうか?

内田:『LinkBuds』を選んで下さった皆さんに、環境問題に自然と前向きに触れてもらいたいという思いが込められています。『LinkBuds』では、環境を配慮し、本体および充電ケースなどに再生プラスチックを採用しています。そこで、再生プラスチックの質感を活かせるような自然な模様を作り出しました。

そして本体パッケージが『WF-1000XM4』に続いて、紙製の極めてコンパクトなものになりました。

鎌田:これは脱プラスチックに向けた取り組みの1つですね。パッケージの外装だけでなく、内部の仕切りなども全て紙を立体的に折りたたむかたちで、100%紙製のパッケージを実現しています。もちろん、紙だからと言って強度が足りないということは全くありません。高級感もしっかり確保しながら、パッケージを手にしたお客さまの満足度を損なわないレベルのものに仕上げることができたと思っています。

なお、本体への再生プラスチック採用やパッケージの脱プラスチックといった取り組みは、ソニーがグループ全体の方針として掲げている環境中期目標「Green Management 2025」に基づくもの。この製品だけで終わらず、今後の全てのソニー製品が同様の方針で開発されていきます。

POINT 05

AI技術を駆使した
新開発マイクによって
ユーザーの話し声も
自然かつクリアに

インタビュー風景の写真

『LinkBuds』が対応するさまざまな「音」には、この2年で急激に利用が拡大したビデオ会議など、オンラインコミュニケーションの音声も含まれていますよね。今回、新搭載された「高精度ボイスピックアップテクノロジー」について、その詳細を教えてください。

井出:『LinkBuds』の「高精度ボイスピックアップテクノロジー」とは、AI技術を活用して音声通話時の発話音声をクリアにするというものです。ユーザーの声と周囲の雑音(環境ノイズ)を分離するフィルターアルゴリズムを、5億サンプルを超えるデータをもとに機械学習で作り出し、それをこの製品に入れこんでいます。

これによって、非常に小型な製品ながら、ちょっと騒がしいところで電話をかけている時なども、ユーザーの喋っている声だけを相手に届けることが可能となります。

どんな利用シーンを想定していますか?

井出:ハンズフリー通話はもちろん、オンライン会議やゲームの音声チャットなどあらゆるコミュニケーションで役立つ機能だと考えています。また、外音を自然に取り込む『LinkBuds』は音の籠もりや体内での反響がほとんど感じられないため、密閉型ヘッドホンで音声通話をしている時にありがちな、不必要に声が大きくなるということがありません。まるで対面で喋っているかのような自然なやりとりを行えます。

そうして日常のさまざまなシーンで『LinkBuds』を使うようになると、バッテリー駆動時間が気になりますね。どれくらい使えるのでしょうか?

鎌田:統合プロセッサーV1の低消費電力などもあって、通常の音楽再生時で約5.5時間、音声通話した場合で約2.5時間となっています。また、充電ケースにバッテリーが内蔵されており、こちらも含めると合計約17.5時間(音楽再生時)の利用が可能です。10分の充電で90分の再生が可能になる急速充電にも対応していますので、午前中はビデオ会議などで使って、ランチしている間にちょっと充電、午後は音楽を聴きながら集中して仕事をする……といった使い方で、本機ならではのずっと着けっぱなしにしておくスタイルを実現できます。

朝から晩までずっと装着し続けるとなると耐候性も気になります。

内田:はい、その点も対応しています。さまざまなシチュエーションで使う事を考えた際、ランニング、エクササイズ中の汗や、突然の雨で濡れてしまったという場合においても安心してご利用いただけるようにする必要がありました。そのため、JIS防水保護等級IPX4*相当の防滴仕様の対応を行っています。

* ドライバーユニット部分とケースを除く。

『LinkBuds』製品画像

操作性に関してはいかがですか? 何か『LinkBuds』ならではの部分がありましたら教えてください。

鎌田:『WF-1000XM4』など、従来のソニーの完全ワイヤレスヘッドホンは、耳から飛び出た部分にタッチセンサーを内蔵し、指でタップすることで再生・一時停止、曲送り、曲戻しなどといった操作を行えるようにしていました。ただ、『LinkBuds』は耳甲介にすっぽり収まっているため、タッチセンサーを内蔵してもタッチできる場所がものすごく小さくなってしまいます。

そこで今回はタッチセンサーでなく、耳の周辺をポンポンと叩くことで内蔵モーションセンサーが検知してタッチ操作の代わりとする「ワイドエリアタップ」という機能を新搭載しました。

『LinkBuds』製品画像

それは便利そうですね!

鎌田:ただ、どういった振動がタップ操作なのかを判断するアルゴリズムを作るのにとても苦労しました。そこで、先ほどお話しした「高精度ボイスピックアップテクノロジー」同様、機械学習を使ってアルゴリズムを精製。耳元をタップしたときの振動と、歩いている時に伝わってくる振動などを正しく識別できるようにしています。もちろん、従来製品同様、タップで行える操作はカスタマイズ可能です。

インタビュー風景の写真

小さくなっても使い勝手が損なわれていないのはうれしいです。

鎌田:使い勝手という点では、その他、従来モデルでも好評な「スピーク・トゥ・チャット」も搭載しています。こちらは『LinkBuds』の特性に合わせて、ユーザーが声を発すると自動で再生中の音楽を停止、消音するかたちに変更。従来モデルでは外音取り込みモードに切り替わっていましたが、この製品では必要ないですからね。

また、『LinkBuds』向けに「アダプティブ・ボリューム・コントロール」を搭載。周囲の環境音が大きい時にはボリュームを上げ、収まった時にはボリュームを戻すといった、環境に合わせたボリューム操作を自動で行うようにできます。

POINT 06

音楽、コミュニケーション、
そしてSound AR™まで
『LinkBuds』がこれからの
“音”体験を拡げていく

インタビュー風景の写真

『LinkBuds』は、音楽や映画、ゲーム、コミュニケーションなど、さまざまな“音”が生活空間にあふれていることを受けて企画された製品ですが、ソニーが開発した新感覚の音響体験Sound AR™を楽しむためのエンタテインメントアプリ「Locatone(ロケトーン)(https://www.locatone.sony.net/ 別ウィンドウで開きます)」との相性も良さそうです。

辻:そうなんです。「Locatone」は、ヘッドホンとスマートフォンを使って、現実世界と仮想世界の音が混じり合うような新感覚の音響体験「Sound AR」を楽しむためのエンタテインメントアプリ。ユーザーの位置情報と連動して、特定の場所に行くと音楽や音声ガイダンスを楽しめます。この体験が、外音を自然に取り込みながら音を楽しめる『LinkBuds』との相性が抜群なんです。コンパス/モーションセンサーが内蔵されていますから、ユーザーが顔の向きを変えるのに合わせて音の向きも動かすヘッドトラッキングが可能になります。すでに実際のテーマパークやアーティストとコラボしたイベントも行っていますが、今後は『LinkBuds』も組み合わせて、さらに活性化させていきたいですね。

それは楽しみです!

辻:こうしたオンラインサービスとの連携による新しいライフスタイルの提案は今後も積極的にやっていきたいと考えております。たとえば、マイクロソフトが視覚障害者の方々を含むあらゆる方向けに提供する3Dオーディオマップ™アプリ「Soundscape」に対応しています。このサービスは音声情報で周囲の建物や施設、道路などの位置を教えてくれながら目的地までナビゲーションしてくれるというものなのですが、「Locatone」同様、『LinkBuds』のヘッドトラッキングに対応しているので、耳を塞がず周囲の音が自然に聞こえるという特長も合わせ、非常に相性が良い、安心して使っていただける選択肢だと考えています。

また、ARゲームで有名なNianticにもリアルとオンラインを繋ぐコンセプトに共感いただき、彼らのARゲームとの協業も今後検討しています。『LinkBuds』と組み合わせる事で、より作品に没入でき、街歩きが楽しくなるようになるのではないでしょうか。

Spotify Tap

AR分野以外でなにか、外部のサービスとの連携は検討していらっしゃいますか?

辻:音楽配信サービスSpotifyの提供する「Spotify Tap」機能に対応しています。これによって、本体をタップするだけで、Spotifyの再生を始めたり、プレイリストを切り換えたりといったことが可能になりました。

こうしたサービスと『LinkBuds』のシナジーで、日常生活の「音」がもっと楽しく、快適になっていきそうですね。

辻:今後、『LinkBuds』でさまざまな音の体験が広がっていくことにもご期待ください。

それでは記事の最後に、読者に向けてメッセージをお願いします。

鎌田:ここまででたくさんお話させていただいたよう、コンセプトからサイズ感、重量感など、あらゆる所にこだわりが詰まっています。まず装着した時に驚きがあって、実際に使い始めることで『LinkBuds』が提案する新しい世界観に驚いて……というかたちで、驚きと共に体験が広がっていくところを楽しんでいただけるととてもうれしいです。

井出:この製品はとても小さくアイコニックな形状をしているため、初めて見たお客様には少し“キワモノ”な印象を与える部分があるかもしれません。ただ、実際にその音を聴いてもらえれば、その自然でクリアな音によって、ネガティブなイメージは全て吹き飛ぶはず。開放型ならではの外音も聞き取りながらBGM的に音楽を楽しむ使い方から、しっかり音楽に没入する楽しみ方まで、2つの楽しみ方ができる製品にしあがっていますので、ぜひ手に取って、さまざまな楽しみ方をしていただければと思います。

内田:『LinkBuds』は小型・軽量であることに加え、IPX4相当の防滴対応で、さまざまなシチュエーションで使える商品になっています。何か作業しながら、音楽などのエンタテインメントを楽しむこともできるので、日常生活をより豊かなものにすることができると思います。ぜひ、この新体験を楽しんでいただきたいです。

辻:今回、リアルとオンラインの世界を行き来するということを何度も申し上げていますが、そのための「リアルとオンラインを繋ぐ」、そして「常時装着」という概念は、やはり体感してみないことには分かりにくい部分なんですよね……。ですので、まずはソニーストアなどの店頭で一度体験してみてほしいです。よろしくお願いいたします!


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