”本気のゲーマー目線”はどこまで進化する? 鈴木ノリアキが体感した、INZONE™の答え ”本気のゲーマー目線”はどこまで進化する? 鈴木ノリアキが体感した、INZONE™の答え ”本気のゲーマー目線”はどこまで進化する? 鈴木ノリアキが体感した、INZONE™の答え

ソニーが展開するゲーミングブランド「INZONE(インゾーン)」は、2022年のデビュー以来、ゲーミングモニターやヘッドセットなど、さまざまなプロダクトを次々と世に送り出してきました。ここでは、その最新モデル『INZONE M10S II』と『INZONE H6 Air』を、人気ストリーマー・鈴木ノリアキさんがいち早く体験し、その進化を解説。開発者たちとの対談を通じ、INZONE開発現場に息づく熱量と、その妥協なきものづくりの裏側に迫ります。

対象商品

ゲーミングモニター INZONE M10S II

背面開放型ゲーミングヘッドセット INZONE H6 Air

インタビュアー

鈴木ノリアキ


プロゲーミングチーム「ZETA DIVISION」クリエイター部門所属クリエイター

Index

“挑戦心”と“ゲーム愛”が生み出す、これまでを大きく超える新体験 ゲーマーを見つめ続けてきたからこそ生み出せた『INZONE M10S II』の“アド” INZONEの音体験を大きく広げる『INZONE H6 Air』の“没入”サウンド
“挑戦心”と“ゲーム愛”が生み出す、これまでを大きく超える新体験

2022年7月に最初のINZONE製品が登場してから、もうすぐ満4年。開発期間も含めると、5年以上に渡ってソニーはゲーマーが真に求めるものと真剣に向き合ってきました。その起点にあるのは「ソニーが持つ技術をゲーミングデバイスに注ぎ込めば、すごいものが作れるのではないか」という“挑戦心”と、「自分たち自身が本気のプレイヤーだからこそ、ゲーマーが何を欲しているのかが分かる」という“ゲーム愛”。これらの融合が生み出す、ゲーマーのための新体験こそがINZONEの本質なのです。

INZONEは、非常に挑戦的なブランド

ノリアキ: 本日はよろしくお願いいたします。まずは西田さんが「INZONE」において、どのような役割を担われているのかを教えていただけますか?

西田: 改めまして、ソニー株式会社の西田です。ソニーでは音響システム技術部門の副部門長として、ソニー全体のオーディオ技術の基盤づくりや、オーディオ製品の開発・設計を統括する立場にあります。その上で、INZONE開発チームでは、ヘッドセットやインプットデバイス(キーボードやマウス)の開発・設計全般を担当しております。

本日は、日頃からINZONEの製品をご愛用いただいているというノリアキさんとじっくりお話しできるのを楽しみにしていました。率直なところ、ノリアキさんはINZONEというブランドにどのようなイメージをお持ちですか?

ノリアキ: INZONE製品をずっと使い続けてきた中で強く感じているのは、INZONEが「非常に挑戦的なブランドである」ということです。ソニーという歴史ある大企業のいちブランドでありながら、次々と新しい領域に挑戦している印象を受けます。

中でも特に素晴らしいのが、製品を出したら終わりではなく、どんどんアップデートを重ねていく姿勢です。少しでも「ここがダメだ」「もっと良くできる」と思ったら、すぐさま改良を加えていく。そうしたチャレンジ精神に溢れるブランドだと思っています。

西田: ありがとうございます。「挑戦的」というお言葉は、開発陣にとって非常に励みになります。ちなみに今、お使いいただいているINZONE製品はありますか?

ノリアキ: 有機ELゲーミングモニター『INZONE M10S』をずっとメインで使っています。そしてなんと言ってもワイヤレスノイズキャンセリングゲーミングヘッドセット『INZONE Buds』ですね。このイヤホンはとにかく長時間の配信との相性が抜群に良く、私に限らず、多くのゲーム配信者が愛用しています。

西田: 『INZONE M10S』も『INZONE Buds』も、私たちが持てる技術を注ぎ込んで作った、本当に自慢の製品たちです。第一線で活躍されているストリーマーであるノリアキさんに高く評価していただけたことは、我々の自信にも繋がっています。

ノリアキ: そもそもなんですが、どうしてソニーはゲーミングギア市場に参入しようと思われたんですか?

西田: 理由はいくつかあるのですが、「ソニーが持つ技術をゲーミングデバイスに注ぎ込めば、すごいものが作れるのではないか」という声が社内から上がっていたことが理由の1つに挙げられます。我々はオーディオ製品をはじめ、テレビなどのディスプレイ技術、さらにはスマートフォンのカメラ技術など、多岐にわたる高度な技術を保有しています。これらを結集させれば、革新的なデバイスが作れるにちがいない、と。そうした現場からの熱量やアイデアがいくつも重なり合った結果、「よし、やってみよう!」という決断に至ったのです。

“本気のゲーマー目線”で作られていることが伝わってくる

ノリアキ: そうして生まれたINZONEの根底に流れる哲学のようなものがあれば、ぜひお伺いしたいです。

西田: 我々はINZONEのブランドビジョンとして、「ゲームを愛するすべての人に最高のゲームライフを」という言葉を掲げています。ゲームにはさまざまなプレイスタイルがあります。勝利を追い求めるプロのプレイヤーもいれば、休日にカジュアルに楽しむ方もいます。ノリアキさんのようにプレイを配信する方、大会を運営したり、その様子を実況したりする方、それを観戦して楽しむファンの方、さらにはゲームそのものを制作するクリエイターの方々もいらっしゃいます。我々は、そうした「ゲームを愛するすべての人たち」が、「このゲーム、本当に楽しいね」と心から言えるような、最高のゲームライフを根底から支えるプロダクトを作りたいという強い思いを持っています。

ノリアキ: 「ゲームを愛するすべての人に最高のゲームライフを」というビジョン、素晴らしいですね。カジュアルな使い心地でありながら、FPSのようなシビアなゲームでも使える『INZONE Buds』から、ゴリゴリの競技用モデルである『INZONE E9』まで、あらゆるゲーマーを満足させる製品が次々と登場していることがそれを証明しています。

西田: そう言っていただけると本当にうれしいです。ヘッドセットやイヤホンといったオーディオ機器だけでなく、モニターも世代を重ねるごとにどんどん性能が向上しています。また、我々開発陣も共に成長してきていると実感しています。

ノリアキ: 本当にその通りですね。私が言うのもおこがましいかもしれませんが、INZONEはものすごいスピードで成長し続けているブランドだと感じます。出だしの頃は、「ソニーが今持っている技術で、できることを全力でやってみた」という印象もありました。しかしそこから世代を重ねるごとに、どんどんゲーマーと心が通じ合っていくのを感じるんです。「ゲーマーが本当に欲しいものはこれだ」「自分たちソニーが出せる技術はこれだ」というすり合わせが見事に行われていて、「ゲーマーに対する解像度」が、初期の頃と比べて段違いに高くなっていると肌で感じています。やっぱりこれは開発者にコアなゲーマーがいるということなんでしょうか?

西田: INZONEというブランドで商品を企画し、設計していくにあたって、やはり「ゲームのことが深く分かっていないと、本当に良いものは作れない」という確固たる思いがあります。そのため、現在のINZONE開発チームは、日々ゲームを熱心にやり込んでいるコアゲーマーの比率が非常に高い組織になっています。さらに面白いことに、そうしたコアなゲーマーのメンバーたちがワイワイと楽しくゲームについて語り合ったり、プレイしたりしている姿を見て、「私もやってみたいです!」と、新たなメンバーがどんどん集まってくるという好循環も生まれているんです。つい最近では、「今までドラクエしかやったことがありません」と言っていた開発メンバーが、ゴリゴリの競技性の高い対戦ゲームである『VALORANT』を始めたりもしました。

ノリアキ: それはものすごい飛躍ですね(笑)。チーム全体でゲームに対する熱量がどんどん上がっているのが伝わってきます。

西田: そうなんです。自分でプレイするゲーマーが増えているだけでなく、プロの世界大会を観戦したり、ストリーマーの方々の配信を熱心に見始めたりするメンバーも急増しています。INZONEの開発者たちは皆ゲームが大好きで、「自分たちがプレイヤーだったら、絶対にこういう機能が欲しい」「こういうデバイスがあれば勝てる」ということを真剣に考えながら、試行錯誤を繰り返してきました。そうした熱量が、この4年間で製品の進化に結びつき、より良いものへと繋がってきたのだと考えています。

ノリアキ: 自分たち自身がゲーマーだからこそ、本当に必要なものが分かるわけですね。

西田: 現在のINZONEの開発現場では、「ゲーマーにはこれが必要なんです!」という現場の切実な意見が、しっかりと上に通る環境が構築されています。これまでのソニーの一般的な製品の理念からすれば、もしかしたら通らなかったようなアイデアであっても、「ゲームで勝つためにはこれが必要だ」というロジックと熱意があれば実現できる。だからこそ、ゲーマーの皆様に向けて、妥協のない本当に良いプロダクトが生み出せているのだと自負しています。

挑戦し続けるINZONEの本気!?

ゲーマーを見つめ続けてきたからこそ生み出せた『INZONE M10S II』の“アド”

INZONE初の有機ELゲーミングモニターとして、プロを始めとする多くのゲーマーに支持された『INZONE M10S』に続き、さらなる進化を遂げた新モデルが早くも登場。リフレッシュレートを最大720Hz*にまで高速化させただけでなく、極限状態で競いあうゲーマーに寄り添うさまざまな新機能を追加しています。いたずらなスペックアップや使わない機能追加ではない、本質を突く“アド”がどのようにして生み出されたのか? そこには、ゲーマー自身も気付いていない要求を見つけ出す観察眼がありました。

* Dual-Mode使用時。

『INZONE M10S』をさらに勝利に向けて
進化させた『INZONE M10S II』

ノリアキ: まずはお二人が今回の新製品『INZONE M10S II』の開発において、どのような役割を担われたのかを教えてください。

桐木: 商品企画の桐木です。私は、音楽用のヘッドホンやプロオーディオなどを手掛ける「共創戦略推進部門」という大きな部門の、ゲーミングブランド「INZONE」に特化した商品企画の部署に所属しています。次世代の商品をどのようなものにしていくかというコンセプトの立案から、それを具体的な製品の形へと落とし込んでいくプロセス全体を主導することが主な仕事です。

竹田: 開発部門の竹田です。主にモニターの画質やシステム周りの設計を担当していますが、特定の分野にとどまらず、INZONEプロジェクト全般を俯瞰して見る役割も担っています。桐木ら、企画サイドからの「こういう製品を作りたい」という要望を受け、それが技術的に実現可能かどうかを検討・検証し、製品をどう作り上げていくかの設計議論を行っています。

ノリアキ: ありがとうございます。ではまず、先代モデル『INZONE M10S』の市場からの評価や手応えをどのように感じているのかを聞かせていただけますか? INZONE初の有機ELゲーミングモニターはゲーマーからどのように受け入れられたのでしょうか。

桐木: 『INZONE M10S』は発売からの1年間で実に多くの大型イベントやプロシーンの大会で採用していただきました。イベント主催者様から「このモニターなら大会で使える」とご評価いただけたことが、INZONEが業界から認められた1つの証明になったのではないでしょうか。性能に妥協せず作り込んだ結果、高額な製品となっていますが、ゲーマーの皆さんには「勝利のためなら投資を惜しまない」という熱いマインドがあり、多くの方々に受け入れていただくことができました。私たちが勝利にこだわって作った思いがしっかりと届き、受け入れられたのだと実感し、感謝しています。

竹田: 大会の現場で、選手から直接「このモニターを作ってくれてありがとう」という言葉をかけてもらえた時は本当に嬉しかったですね。スタンド形状までこだわり抜いた『INZONE M10S』が大会の激しいプレイ環境でまったく問題なく使われているのを見て、設計者として大きな安堵と喜びを感じたのをよく覚えています。

ノリアキ: そして今回、更なる性能を追求した『INZONE M10S II』が発表されました。その進化の方向性について教えてください。

桐木: INZONEではブランド全体の方針として「Designed to Win(勝利のために設計された)」というテーマを掲げており、『INZONE M10S II』でも「勝利」に直結する機能を重点的に進化させています。

竹田: 『INZONE M10S』をプロ選手に使っていただく中で、「他社製品にはあるのに、なぜこの機能がないのか」といったご意見をいただくことがありました。そうした声に耳を傾け、『INZONE M10S II』では、さらに高性能を追求し、多くの機能を追加しています。「我々の技術が、ゲーマーの勝利にどう貢献できるか」を常に考え、開発を進めています。

ノリアキ: あくまで「勝利」という芯はブレずに、ひたすらそこを目指して進化させているのですね。

スペックと機能を極限まで強化
しかも組み合わせは自由自在

ノリアキ: 今回、『INZONE M10S II』を体験して非常に面白いと感じたのが、残像感を低減する機能のひとつである「Dual-Mode」です。『INZONE M10S II』は通常でも540Hzという、先代『INZONE M10S』の480Hzを上回るリフレッシュレートを実現していますが、その限界を超えて720Hzという超高リフレッシュレートを実現したことに驚きました。代償として解像度がHD画質(1280×720ドット相当)にまで落ちるのですが、そこまでしてこのモードを実現した狙いを教えてください。

竹田: 一般論として「リフレッシュレートは高ければ高いほど良い」というのがゲーマー共通の認識だと感じています。リフレッシュレートが高い、つまり1フレームあたりの表示時間が短いほど、残像感の低減に直結します。HD画質という代償に疑問を持たれるかもしれませんが、『VALORANT』や『Counter-Strike 2』といった競技性の高いFPSタイトルをプレイするコア層の中には、解像度の低さを問題視せず、「とにかくリフレッシュレートを極限まで高めたい」と考えるユーザーが多くいらっしゃいます。「Dual-Mode」は、そうした超コア層のニーズに完璧に合致する機能として用意しました。

ノリアキ: FPSのコア層に向けて、最大限のパフォーマンスを提供できるモードということですね。

桐木: その通りです。なお、『INZONE M10S II』では、応答速度の点でもさらに進化しました。先代『INZONE M10S』でも0.03msという理論値の上限に近い数字をマークしていたのですが、今回、それを上回る0.02msを実現しており、高リフレッシュレートとの合わせ技で残像感をさらに軽減しています。また、表示エリアを24.5インチ相当まで縮小する「24.5インチモード」についても改善されており、一部タイトルで発生していた入力と出力のアンマッチを解消して映像再現力向上とGPU負荷軽減を実現しています。

竹田: そして今日、ぜひノリアキさんにお見せしたかった、私の推し機能が「Anti-VRR Flicker」です。VRR(可変リフレッシュレート)はティアリング(映像のずれ)や、スタッタリング(カクつき)を抑えられる非常に便利な機能なのですが、有機ELパネルでは、その特性上、VRRを使用すると画面の明るさがパタパタと変化する「フリッカー(チラつき)」が起きてしまう問題がメーカーを問わずありました。

そこで今回、我々は、ソニーのテレビ「ブラビア」で長年培ってきた映像処理のノウハウを注ぎ込み、このフリッカー現象を「完全になくす」ことに成功しています。今までチラつきが気になってVRRを使えなかった方にも、快適にプレイしていただける自信作です。

ノリアキ: 長年解決されなかったチラつき問題を「完全になくす」というのは、有機ELモニターの歴史において相当すごいことですね。テレビ開発のノウハウを持つソニーの強さが、ゲーミングモニターに活かされた象徴的な事例と言えそうです。

ちなみに、これら機能の組み合わせについては、どのように設計されているのでしょうか? よくある話ですが、ある機能を使っている間は、別の機能が使えないなんてことになっていませんか?

桐木: ご安心ください。『INZONE M10S II』の大きな特長として、物理的に不可能でなければ、原則として「全ての機能が併用可能」です。例えば、今お話しした「Dual-Mode」と「24.5インチモード」を組み合わせて使うこともできます。また、いわゆる「黒挿入」で残像感を極限まで減らす「モーションブラーリダクション(MBR)」も、「24.5インチモード」と同時にご利用いただけますし、「24.5インチモード」と「Anti-VRR Flicker」の併用も可能です。

プロゲーマーたちの一挙手一投足を徹底的に「観察」

桐木: 今回、実際に『INZONE M10S II』をノリアキさんに触っていただいたのですが、実機をご覧になって感じられたことはありますか?

ノリアキ: ここまで『INZONE M10S II』の新機能をいろいろご紹介いただき、数値上のスペックアップに留まらない進化ぶりに開発陣の執念を感じました。ただ、これらの価値の多くは使ってもらわないと伝わらないのが悩ましいところです。そうした中、誰もが、一目ですごいと分かる部分が、「Super Anti-Glare Film」による写り込みのなさ。大会はもちろん、普段使いにおいても照明の映り込みに悩まされることは多いので、本当にありがたい機能です。ぜひ、読者の皆さんにも店頭などで確認してみてほしいと思いました。

桐木: 写り込みの低減は、今回特に強くこだわった部分でもあるので、そう言っていただけるのはとてもうれしいです。世の中のトレンド的には発色に優れる光沢パネルが人気で、コスト的に有利なこともあって、『INZONE M10S II』も一度は光沢パネルで作ることを検討しています。しかし、「プロシーンや実際にゲーマーが使う環境において、何が一番大事か」を改めて考え、さらなる発色の良さを追求するよりも映り込みのなさを追求したほうが勝利に直結するという結論に至りました。実際、プロ選手にヒアリングを行う中でも、照明の映り込みによって「あの時もっとうまくプレイできたのに」といった声があり、この課題を絶対に解決したいという思いがあったんです。

ノリアキ: 大会のステージに立つ我々だからこその悩みですが、そこにまでしっかりとヒアリングと対応がなされていることに感動します。

竹田: 正直に申し上げると、Anti-Glare処理を施していた先代『INZONE M10S』にユーザーから「反射が気になる」という直接的な不満の声があったわけではありません。しかし、我々が大会の現場に足を運び、選手たちの様子を観察している中で、照明を気にしてモニターの位置や角度をものすごく細かく調整している姿を何度も目にしたのです。これはライトの映り込みを気にしているんだなと気づき、なんとか改善できないかと考えたのが「Super Anti-Glare Film」開発の始まりです。マニアックな話になりますが、光を拡散させるフィルムの凸凹が強すぎると、画面全体が白っぽく見えてしまいます。そこで、この製品では白っぽくならずに照明を拡散し、かつ選手が画面を触って調整した際についた指紋も拭き取れるようなフィルムを厳選するところから始めました。さらにフィルムを貼るための接着剤にまでこだわり、画質を損なわずに映り込みを軽減するという矛盾を解決しています。

ノリアキ: 素材一つひとつ、さらには接着剤にまで工夫を凝らしてあの圧倒的な反射のなさが生まれているのですね。こうした「観察」の末に生まれた機能は、他にどのようなものがありますか?

竹田: スタンドのチルト角(上下の傾き角度)を、先代『INZONE M10S』の25度から35度へ拡大したのも「観察」の成果と言えるでしょう。これは、世界大会の現場で、数名の選手がスタンドの下にタオルを敷いて、さらに角度をつけて覗き込むようにプレイしているのを発見したことで思いついた進化です。この際、安定性を確保するために、モニター本体を柱の部分から手前に2センチだけ出したのですが、これにより、パネルと柱の重心バランスがさらに良くなり、安定性が向上するというメリットも生まれています。

ノリアキ: ここまでお話を伺って、すでに完璧だと思われていた製品を、現場の観察とソニーの技術力でさらに極限まで磨き上げる、そのすさまじいまでの情熱に圧倒されました。最後に、この情熱の結晶とも言える『INZONE M10S II』を、どのようなユーザーに届けていきたいか、お二人の思いをお聞かせください。

桐木: 私としては、とにかく「勝利を求めるユーザー、勝利にこだわるユーザー」にぜひ使っていただきたいです。昨今は有機ELのゲーミングモニターが多数登場していますが、『INZONE M10S II』は、こだわり抜いた機能が多数搭載されていることに加え、それらを自由に併用できるようにしている点がポイントです。そうした細かな違いと積み重ねが、勝利に繋がると信じて作り込んできたので、妥協なしに勝利を追求するゲーマーの皆さんに手に取っていただきたいですね。

竹田: 私は、勝利を追求するゲーマーの皆さんに加え、深いこだわりを持った「ディスプレイのマニア」と呼べるような方々にもぜひ使っていただきたいと思っています。先ほどお話ししたように、このモニターは機能の自由な組み合わせを存分に楽しめます。その中から、自分にベストな設定を見つけ出す楽しみを知っている方にもぜひ、この製品を試していただきたいと思っています。

INZONE M10S IIが辿り着いた妥協なき勝利の追求とは?

INZONEの音体験を大きく広げる『INZONE H6 Air』の“没入”サウンド

ゲーマーなら誰もが知っている音の重要性。だからこそINZONEは、ヘッドバンド型のヘッドセットから有線イヤホン、完全ワイヤレスまで、さまざまな選択肢を提供してきました。そして今回、そのラインアップにシリーズ初の背面開放型有線ヘッドセット『INZONE H6 Air』が加わります。ゲームをもっと楽しくプレイするために、ゲーム世界に浸れる「没入」感も重視したことが、その特長。まるでゲーム世界に入り込んだかのような空間表現と、装着していることを忘れてしまうほどのAirな装着感が、これまでにないゲーム体験をもたらします。

INZONEブランドからまさかの背面開放型有線ヘッドセットが登場

ノリアキ: INZONEがこのタイミングで、まさかの「背面開放型有線ヘッドセット」を発売するということで、とても驚いています。これまで競技向けデバイスに注力していたINZONEブランドから、どういった経緯でこの『INZONE H6 Air』というプロダクトが出てきたのでしょうか?

西田: 改めてになりますが、INZONEは「ゲームを愛するすべての人に最高のゲームライフを」届けるために存在しているブランドです。これまで我々が出してきたヘッドセットは、例えばプロのプレイヤーが大会会場やスクリム(プロチーム同士の練習試合)で使ったり、ストリーマーの方々が対戦型のゲームをしながら長時間配信したりするためのものをメインに展開してきました。ただ、ゲームの目的は「勝利を追求する」ことだけではありません。「純粋に楽しむ」ことも立派なプレイスタイルだと考えています。

ノリアキ: 間違いないですね。FPSやTPSなどの対戦ゲームだけでなく、RPGやアドベンチャーなど、世の中にはさまざまなジャンルのタイトルが存在しています。

西田: キャラクターを操作して「勝つ」だけではなく、そこを一段飛び越えて、自分がゲームのキャラクターになりきり、その世界に飛び込んでゲームを楽しむ。我々はそれを「没入」や「イマーシブ」という言葉で呼んでいるのですが、そういった体験をINZONEで届けたいと思ったのが、『INZONE H6 Air』を開発した一番のきっかけです。

では、没入感を高め、ゲームの世界に飛び込むような体験を作るために我々の技術で何ができるのかを考えた際、プロのクリエイターが空間音響などのサウンドコンテンツを作る際に使用する『MDR-MV1』(2023年5月発売)という開放型のモニターヘッドホンに行き着きました。「空間」を美しく再現することに定評のある製品で、この製品で培った技術をゲームへの没入体験に活かせるのではないかと考えたのです。

ノリアキ: なるほど。プロのクリエイターが使う機材の技術を、ゲームの没入感に応用しようという発想ですね。

西田: はい。実はちょっと面白いデータがありまして、その『MDR-MV1』の利用者アンケートを確認したところ、約25%の方がゲームにも使っていることが分かったのです。それを見て「これはいけるな」と確信しました。さらに、社内で開発メンバーが自身のアイデアを披露する場があるのですが、そこでも「オープン型(開放型)をゲームに使ったら、すごく良い世界観が出せる」という発表があったのです。そうしたデータと現場からの熱意を受けて、開放型で新しいヘッドセットを作ろうと決断しました。

ノリアキ: 僕も個人的に開放型ヘッドホンがすごく好きなんですよ。どうしても長時間配信時には軽さ重視でイヤホンをつけることも多いのですが、開放型ヘッドホンじゃないと出せない「音場の広さ」みたいなものがあると思っています。特に没入系のゲームだと、ゲームの作り手側が「こういう風に臨場感を楽しんでほしい」と意図した音作りを、しっかり表現してくれる。クリエイター側が届けたいゲームの世界観をそのまま伝えてくれるのは、やっぱり開放型ヘッドホンの強みですよね。

西田: 空間の再現において特に重要なのは、音の広がりや音場を再現すること、実際にその音が空間のどこに配置されているかという音源の定位を正確に再現できること、そして、それぞれの音源が混ざらずに個別で分離して聞こえること。その点、『INZONE H6 Air』はそれらすべてが高いレベルに達しており、プレイヤーをゲーム世界に没頭させてくれます。

「Air」の名は伊達じゃない
長時間プレイが苦にならない心地よさ

西田: 実際に『INZONE H6 Air』を手に取ってみてどのように感じられましたか?

ノリアキ: 製品名にある「Air」という言葉の通り、とんでもなく軽いことに驚かされました。そしてデザインもすごい。ハウジング部分に細かな孔がびっしりと開けられていて、これを作るには相当な技術がいるぞと素人目にもはっきりとわかりました。ここから空気を逃がす構造になっているんですよね。

西田: はい、孔はドライバーユニット背面まで繋がっていて、空気が自由に通り抜けられる背面開放(オープンバック)の構造になっています。

その孔の見え方にも、実はかなり気を配っているので、気づいていただけてうれしいです(笑)。我々はこれを「グラデーショナルホールデザイン」と呼んでいます。よく見ていただくと分かるのですが、側面の孔が周辺部に進むにつれて、少しずつ小さくなっているんです。

これ、単に変化を付けたと言うより、曲面上でも孔の並びを綺麗に感じてもらうための工夫なんです。孔の位置を同じルールで配置したまま、径を固定してしまうと、場所によって見え方の密度が偏ってしまいます。そこで、孔の並びはそのままに、周辺に向かって孔径を少しずつ調整して、どこを見ても密度の印象が均一になるよう整えています。

ノリアキ: これはハウジングをこのかたちに作ってから空けていったんですか?

西田: いえ、そうではありません。型で押してハウジングのかたちに成形する前の、平らな金属の板に孔を開けています。金属を立体に曲げると当然ながら穴も一緒に伸びて歪んでしまいますよね。しかし、この製品ではその伸びる分を見越して設計し、最終的に綺麗な孔形状になるようにしているのです。ここがまさに、メカエンジニアの腕の見せ所。綺麗に出来すぎているせいで、逆に誰も凄さに気づいてくれないかもしれないと心配していたくらい、ものすごく頑張って作られた部分です。

ノリアキ: ここで語ってもらわなかったら、絶対に伝わらないすごさですね(笑)。パッと見ただけでは「なんか綺麗なデザインだな」と思うくらいですが、機能だけでなくデザインひとつとっても、すさまじい工夫と技術が注ぎ込まれていることが伝わりました。

そして、これは副次的な効果だと思うのですが、孔の向こうにチラリと内部が見えるメカニカルなかっこよさもありますね。よく見ると、基板や配線の色がINZONEブランドの象徴である紫色になっていたり、本当に細かいなと感心しました。さらに、これだけ軽いのに質感が全くチープじゃない。それどころか非常に高級感がある。ヘッドバンドの部分に使われているファブリック素材なども、すごく肌触りが良くて素晴らしいです。

西田: このデザインは、プロeスポーツチームのFnaticさんと一緒に作り上げた『INZONE H9 II』のものを受け継いでいます。おっしゃる通り、製品を軽くしようとすると、どうしてもプラスチック感が強くなり、チープに見えてしまいがちです。『INZONE H6 Air』ではハウジングに金属を使うことで、剛性を持たせつつ、軽く、薄くすることに成功しています。そして、本体が軽くなった恩恵として、頭や耳を挟み込む力(側圧)を弱く設定することができ、長時間の使用でもより快適に過ごせるようになっています。

ノリアキ: それは長時間プレイするゲーマーにとって本当にありがたいですね。とにかく軽いので物理的な疲れがないですし、開放型特有の音がこもらずに外へ抜けていく気持ちよさがある。だから「聞き疲れ」みたいなものも極端に少ないんです。長時間の配信と非常に相性が良さそうです。

西田: 快適な装着感はこだわり抜いた部分でもありますので、ヘッドホンが苦手という方にもぜひお試しいただきたいですね。

ノリアキ: ところで開放型といえば、心配なのが「音漏れ」です。開放型は自分の声が聞き取りやすく、配信中に喋りやすいという大きなメリットがある反面、ヘッドホンから漏れたゲーム音をマイクが拾ってしまうのではないかという不安があります。

西田: その点もしっかりとケアしています。この製品には、大会場で何千人もの歓声がある中でもクリアに声を拾うと高く評価された『INZONE H9 II』のDNAを引き継いだマイクを搭載しています。マイクブームが口元までしっかりと伸びる構造になっており、口元の音だけをピンポイントで拾うように設計されています。ですので、開放型で音が漏れていたとしても、それがマイクに乗ってしまう心配はありません。そのほか、ボタンの配置や使いやすいミュート機能なども『INZONE H9 II』から受け継いでいます。

ノリアキ: 以前、オフラインイベントでスピーカーから大きな音が鳴り響く中、『INZONE H9 II』のマイクを使って話した内容がYouTubeに上がったのですが、そんな過酷な環境で録ったとは思えないほどクリアでした。先日も配信で使った際、「家で据え置きの高級マイクを使っている時と遜色ない」と視聴者に言われて、逆に少しショックを受けたくらいです(笑)。ヘッドセットのマイクって「おまけ要素」になりがちですが、INZONEはマイクへの妥協も一切ないのが気に入っています。

ゲームの世界に浸る
『INZONE H6 Air』ならではの音体験

西田: さて今回、ノリアキさんには発売前の『INZONE H6 Air』を、いくつかのタイトルで試聴していただいたのですが、その感想を聞かせていただけますか?

ノリアキ: 音の「定位感」と「遠近感」に感動しました。例えば通信のボイスのような耳の付近で鳴っている音と、遠くで起こっている環境音、それぞれの距離感や場所がはっきりと掴めるんです。しかも、それらの音が全部きれいに分離して聞こえる。まさに没入という点で、最高の体験ができるヘッドホンだと感じました。

西田: まさにそこを狙って作りました。「クリエイターが作った音を再現する」というお話をしましたが、この商品はSIE(ソニー・インタラクティブエンタテインメント)にあるゲームの音を作る専門のスタジオに所属するサウンドデザイナーの方々と共創するかたちで、音質を作り上げています。具体的には彼らが「プレイヤーに届けたい」と意図して作った音をそのまま再現できるように、専用のPCアプリ「INZONE Hub」から設定できるEQ(イコライザー)を共同でチューニングしました。

ノリアキ: ハードウェアの力だけでなく、ソフトウェアやチューニングの面でも強力なバックアップがあるんですね。

西田: 先ほどの試聴では、「INZONE Hub」の「RPG/Adventure」というプリセットのEQを使用していただきました。このEQでは、RPGやアドベンチャーなどのゲームに最適な音響処理を施すことで、サウンドスタジオの音響体験を再現しており、圧倒的な没入感でゲームをお楽しみいただけます。

ノリアキ: ソフトウェアでの管理とハードウェアのパワーが組み合わさって、ゲームが表現したい世界を最大限に引き出しているわけですね。音が広いからこそ分離感もはっきり出ていて、BGMのような音楽もきれいに聴ける。かといって、対戦ゲームで使った時に敵の足音や銃声といった「出し音」が分からないかというと、全然そんなことはありません。臨場感を味わうゲームにも、対戦ゲームにも使える、非常にオールマイティな製品になっていると感じました。

西田: 対戦ゲームで「勝つための音」を追求する場合、右か左かをくっきりと区別させることが最も重要だという考え方もあります。しかし今回の『INZONE H6 Air』は、それよりも「空間の再現」、つまり自分がそのフィールドに実際に立ち、ゲームの中に入り込んだような体験ができる音作りを最優先に目指しています。ユーザーご自身でEQの設定をカスタマイズして、機能のON/OFFを切り替えながら「このシーンにはこの設定が向いているな」と違いを楽しんでいただきたいですね。

ノリアキ: 自分でいじりながら最適な音を探す楽しみもあるわけですね。あと、驚いたのが低音の力強さです。開放型ヘッドホンって、音が抜けていく分、低音が弱くなってチープな音になりがちじゃないですか。でも『INZONE H6 Air』は、爆発音などを大迫力でしっかりと再現してくれる。そのあたりはどのように実現しているのでしょうか?

西田: そこもとてもこだわったポイントです。完全な開放型にしてしまうと、音の抜けが良すぎる反面、低音が出なくなり、スカスカな音になってしまいます。そこで、『INZONE H6 Air』では、背面は開放しつつ、耳に当たるイヤーパッド側の内部は完全な開放にはしていません。内部ドライバーユニットの周りにダクトを開け、空気の流れをコントロールすることで、低音をしっかり出すために必要な、ある程度の密閉を保つように作り込んでいます。

ノリアキ: なるほど! だから戦場での弾が飛んでくる音や爆発音のケレン味(あからさまな派手さ)みたいなものが失われず、広さと迫力の美味しいところ取りができているんですね。この体験は、開放型ヘッドホンを使ったことがない人はもちろん、愛用している人にとっても驚くべきもの。ゲームの世界に没入して楽しみたい人や、長時間ゲームを遊ぶ人に強くおすすめしたいです。手に取った時の驚くべき軽さ、それでいてチープさのない高級感、そして圧倒的な音の広がり。本当に夢のようなプロダクトになっているので、ぜひ実際に手に取って確かめてみてほしいですね。

INZONE H6 Airをゲーム好きにこそ勧めたい理由とは?

「ソニーのプライド」よりも
「ゲーマーの勝利」を大切にする姿勢に感銘を受けた

ノリアキ:ソニーは誰もが知る大企業であり、その技術力が凄まじいことはもはや言うまでもありません。しかし僕が一番驚いたのは、そんな巨大な組織でありながら、「ゲームで勝つため」の柔軟なものづくりを実現していること。

例えばゲーミングモニターには、あえて画質を落として敵の視認性を高めたり、画面の周りにプロ枠を作って集中しやすくしたりといった機能が必須です。しかし、ソニーといえば、テレビの世界で「どこまでも美麗な映像」を追求してきた歴史とプライドがあるはず。普通に考えれば「ソニーの製品で画質をわざと落とすなんて許されない」という社内の反発があってもおかしくありません。それでも、「これはゲームで勝つためのモニターだから、あえて美麗さを捨ててでも、敵を見やすくすることに全振りするんだ」という決断を下したわけです。これは並大抵のことではありません。

今回、その背景にゲーム愛にあふれた開発者たちがいることを確認できました。今後も、我々ゲーマーが想像もしなかったような、限界を超える「未だかつて見たことのないゲーミングギア」を生み出し続けてほしいと期待しています。

インタビュアー

鈴木ノリアキ

プロゲーミングチーム「ZETA DIVISION」クリエイター部門所属クリエイター

2012年ごろからeスポーツに触れ始め、『Call of Duty』でのプロシーンを作り出した第一人者。2022年にプロゲーミングチーム「ZETA DIVISION」加入。解説者としても名を馳せ、数々の名シーンを彩る存在として人気を博した。ガジェット愛好家としても知られており、特にオーディオ製品には一家言持つ。


お話を聞いた開発者

INZONE開発チーム

音響システム技術部門 副部門長

西田

商品企画担当

桐木

画質設計担当

竹田

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