商品情報・ストア Feature Playing Time vol.01 細井美裕

Playing Time | vol.01 |
Chapter 1

細井美裕
サウンドアーティスト

自分にとっての“いい音”とともに、
自由で新しいリスニングスタイルを
探っていく「Playing Time」。
第1回目のゲストは、自らの声を
素材のように駆使して作品をつくりあげる、
サウンドアーティストの細井美裕さん。
まずは、原点にある体験や記憶とともに
音づくりに込める思いを聞きながら、
今回、実際に使用した製品について、
その楽しさも紹介していただきます。

自分の声を多重録音したサウンド作品をつくり続け、これまでに山口情報芸術センター[YCAM]やNTTインターコミュニケーション・センター[ICC]など、さまざまな施設・場所で発表。2020年、文化庁メディア芸術祭にてアート部門新人賞を受賞。近年は、音を再生する平面的な作品など、オブジェクトとして完成させる作品も手がけ、2023年夏に長野県立美術館で新作を発表する予定。

「 高校の3年間は、
ずっと声に向き合っていた 」

― 細井さんは、自分の声を使ったサウンド作品によって、さまざまなプロジェクトに参加したり、インスタレーションを手がけたりされていますが、そもそも「声」に興味を持つようになったきっかけは、どのようなものだったのでしょうか?

「高校生のときに合唱部に所属していて、それが現在に至る原体験になっています。その合唱部はかなり体育会系で、国際大会に出場するくらい、コンクールで強いチームでした。でも、中学生のころまでは全然、合唱が好きではなくて。いまでも、そういうキャラではないところがあるんですけど(笑)。高校の新入生歓迎会で、武満徹(たけみつ とおる)さんが編曲された『さくら』を合唱部の人たちが歌っていて、それが聴いたことのない響きで、めちゃくちゃかっこよくて、自分もやってみたいと思いました。それからの高校の3年間は、ずっと声に向き合っていた感じです」

「 言語としてわからなくても
かっこいい!と驚いた 」

― 合唱部のときに追求していた「声」には、一般的な歌唱とはまるで違った技術が求められたのではないですか?

「そうですね。合唱では、誰かが目立ってはいけないので。匿名性が高いことが求められるという、不思議なところでした。いまでも自分の作品をつくるときには、とくに匿名性の高い声を選んで発することがあります。私には歌詞を歌いたいという気持ちはまったくなくて。高校のときに歌詞解釈のレッスンをさんざんやってきたこともあって、言葉を歌うことはもういいかなという思いです。その一方で、合唱部で国際大会に出場した際に、ほかの国の代表のパフォーマンスを聴いて、言語としてわからなくてもかっこいいんだ!と驚いたことを鮮明に覚えています。歌詞を書きたいという気持ちも一切なかったので、だったら声だけで、声をひとつの楽器のようにとらえてやってみようと。しかも、私は重なった声の音がすごく好きなので、多重録音でやってみようと思いました」

「 自分の声の音だけで
表現を追求してみたい 」

― 歌詞や言葉を使わないで表現する。その背景には、聴いてくれる人にメッセージを押し付けたくない、といった理由もあるでしょうか?

「まず、伝えたいメッセージを文字にできないというか、文字にしたくない、というのがひとつの理由。もうひとつは、視覚的なものや、文字から生じる意味に対して、ちょっと恐怖心があります。たとえば、いま仮に『私』という言葉を発すると、みなさんはその意味で受け止めるけれど、日本語がわからない人には『わたし』という音として聴こえますよね。そういう大きな違いがある。自分の声の音だけでどういう表現ができるかを追求してみたいのに、意味が先行してしまうと、その意味ばかりが強すぎて、負けてしまう気がするんです。だから、はじめから不戦勝を狙って、文字は入ってこさせない、という感じで(笑)。曲のタイトルを『(((lll』(縦曲線)などと、読みにくく、覚えにくくしているのも、そうした理由からです」


ウォークマン「NW-ZX707」
+ ヘッドホン「IER-M7」で感じた
“音に向き合うモードが変わる” ということ。
ウォークマン「NW-ZX707」
+ ヘッドホン「IER-M7」で感じた
“音に向き合うモードが変わる” ということ。

レコーディングスタジオで
チェックしている感覚に

「私はR&Bやヒップホップも好きで、ビヨンセなどもよく聴いているのですが、『CUFF IT』という曲のアカペラとインストゥルメンタルのバージョンを聴く機会があって。このウォークマンとヘッドホンの組み合わせでストリーミング再生してみたら、レコーディングスタジオでチェックしているような感覚になって驚きました。普段、ミックスを終えた曲をチェックするときには、1つの曲の中のいろんな音のパートを分けて聴くことがあるので、ちょうどその感覚に近くて。自分の曲を、スタジオにある専用の機材で聴いてチェックしているような感じというか。くっきりした音によって、私にはスタジオの光景が浮かんできて、その空気感まで蘇ってきた。実際に、自分の曲もいくつか聴いてみると、バイノーラル版の曲の中でそれまで気づかなかった音のぶつかりが聴こえたり、ミックスする際に注意すべきところにも気づきますね。今後もしも、スタジオまで行けない状況でミックスのチェックをするならば、こういう組み合わせで聴かないといけないなと、自分の再生環境について、いい危機感が持てました」

デザイン性や機能性によっても、
音との向き合い方が変わる

「ヘッドホンについては、やっぱりクリアに聴こえるというのが第一印象。このウォークマンと合わせて聴いているので、なおさらなのだと思いますが、バイノーラル版の曲などはとくに、空間の広がりまで見えてくるようでした。それまで聴いていた音が、もこもことして霧がかかっているようだったことにも気づいて。普段、自分が使っているヘッドホンで満足していたけれど、ショックを受けたというか、反省しました(笑)。それに、私は耳の穴がかなり小さくて、たいていのイヤーピースが合わなくて痛くなってしまうのですが、このヘッドホンにはSSサイズまで揃っているので、とても快適に使えてよかった。こうしたウォークマンやヘッドホンがあることによって、聴く環境を整えられるのはもちろん、プロダクトとしてのデザイン性や機能性が高いことで、聴く人の音に向き合うモードも変わってくる。そうしたことも、とても重要な気がしています」

Chapter 2 
細井さんのアイデンティティとなる音とは >

※ Chapter 2では、レコーダー「PCM-D10」
+ ヘッドホン「IER-M7」の
組み合わせも使用していただきます


NEW
ウォークマンZXシリーズ[メモリータイプ]
NW-ZX707
フラッグシップモデルの技術を継承し、さらなる進化を遂げたハイエンドストリーミングWALKMAN
ステレオヘッドホン
IER-M7
これが、ステージ上で求められる音。原音を正確に描き出す高音質

PROFILE

細井美裕(ほそい みゆ) 1993年生まれ。サウンドアーティスト。慶應義塾大学卒業。自身の声を多重録音し、マルチチャンネル音響を用いたサウンドやインスタレーションなどの作品をつくり続ける。2019年に、22.2chの音響フォーマットで制作した「Lenna」を含む、自身初のアルバム『Orb』をリリース。山口情報芸術センター[YCAM]、NTTインターコミュニケーション・センター[ICC]、日本科学未来館、東京芸術劇場コンサートホール、羽田空港、愛知県芸術劇場などで作品を発表してきた。「Lenna」のインスタレーションにより、第23回文化庁メディア芸術祭にてアート部門新人賞を受賞。

細井美裕 オフィシャルサイト
https://miyuhosoi.com/ 別ウィンドウで開きます

Edit by EATer /
Photography by Kiyotaka Hatanaka /
Design by BROWN:DESIGN