ソニーでは、すべての人が感動を分かち合える未来を実現するため
アクセシビリティを高める取り組みを推進しています。
たとえば、障がいがある社員とチームを組んで取り組むプロジェクト。
ソニーストア 銀座では、障がいのある社員がアクセシビリティアドバイザーとなって
インクルーシブな接客と店舗づくりをめざすワークショップを実施しています。
2025年10月には、視覚や聴覚に障がいのあるアドバイザー4名が
ソニーストア 銀座に来店し、商品を試し、購入し、退店する一連の流れを体験。
そのフィードバックをもとに課題を可視化し、改善案をとりまとめました。
本プロジェクトのプロセスと込められた想い、取り組みの成果をご紹介します。
多様なお客さまに寄り添う
店舗づくりへの想い
サステナビリティの一環としてアクセシビリティの向上に取り組むソニー。
お客さまとの大切な接点であるソニーストア 銀座でも
多様なお客さまが商品体験を楽しめる店舗づくりを実践してきました。
2022年におこなわれた弱視のお客さま対応の検証での
声を反映して、白杖などを立てかけられるフックを設置。
2024年には、車椅子を使用するスタイリスト※の配属をきっかけに、
展示スペースはもちろん、バックヤードも含めてスムーズに移動しやすい
店舗空間へと改修。
他にも、聞こえにくい方向けにホワイトボードを使った筆談や
見えにくい方に配慮した画面拡大での商品説明もおこなっています。
「多様なお客さまに寄り添える、インクルーシブな接客と店舗づくりを」
今回のアクセシビリティ強化のプロジェクトの背景には
これまで一貫して大切にしてきたお客さまへの想いがあります。
(※)ソニーストアのストアスタッフのことを指します
思い込みを手放しお客さまの声を聞くことで
“本当に必要なサポート”が見えてくる
今回のソニーストア 銀座のアクセシビリティ強化プロジェクトでは
準備段階としてアンケートと事前ワークをおこないました。
アンケートの回答者は、ソニーストア5店舗のスタイリスト110名。
アクセシビリティに関するアンケート結果からは
「アクセシビリティを必要とするお客さまをサポートしたい。
でも、実際にどうサポートをしたらいいのかわからず、自信が持てない」
そんなスタイリストたちの切実な想いが伝わってきました。
続く事前ワークでは、弱視、先天性感音性難聴、聴覚過敏の社員が
アドバイザーとして他社店舗での購入体験とその感想を共有。
ソニーストアの本部をはじめとする
社員メンバーが聞き手となって、障がいがある方の視点への理解を深めました。
アンケート結果と事前ワークでのヒアリングから見えてきたのは
スタイリストと障がいのあるお客さまの“認識のギャップ”でした。
スタイリストが考える配慮は、
実際に望まれていることとは異なるケースがあるとわかったのです。
たとえば、障がいに触れる声がけをためらうスタイリストが多かった一方で、
アドバイザーからは『お手伝いできることはありますか?』のように
率直な声がけがあるとうれしいという意見が聞かれました。
これまでの接客やサポートのあり方を見つめ直すとともに
想像するだけでなくお客さまの声に耳を傾けることの重要性を感じた瞬間でした。
ソニーストア 銀座から、すべてのストアへ。
アクセシビリティ強化に向けたアクションを積み重ねていく
続いて、弱視、先天性感音性難聴、聴覚過敏のアドバイザーが
お客さま役としてソニーストア 銀座で入店から退店までを体験。
このシミュレーションにおいてスタイリストたちは
4名の障がいの詳細までは聞かされていません。
それぞれが接客でのコミュニケーションを通して手探りで
お客さまのよりよい商品体験の形を模索していきました。
体験後、アドバイザーからは
「ていねいな説明を受けながら商品体験ができてよかった」
「商品説明や移動の際に、自分のペースに配慮してもらえて安心できた」
と、スタイリストの寄り添う姿勢が高く評価されました。
その一方で、
「弱視なので『あちら』などの指示語での説明はわかりにくい」
「聴覚過敏の場合、ヘッドホンからいきなり音が流れると驚いてしまう。
ゼロから徐々にボリュームを上げていく方が望ましい」
といった具体的な改善点も挙がりました。
スタイリストからは
「自分の思い込みと、障がいのある方が本当に必要とするサポートにズレを感じた。
時には率直に必要なサポートについて聞く大切さを学んだ」という声も。
今回のワークショップを通して、多くの気づきと学びを得られる時間となりました。
後日、アドバイザーからフィードバックをもらいながら
改善案について話し合うワークショップも実施。
その改善案はすでに実装に向けた検討が始まっており、
順次各ストアへ反映していく予定です。
アクセシビリティ強化のプロジェクトは
ソニーストア 銀座から全店舗へと知見を共有し
さらに継続的に取り組みを広げていく予定です。
年齢や国籍、障がいの有無を問わず、多様なお客さまに
安心してソニー製品を体験していただける場所。
そんなお客さまとの大切なコミュニケーションの場であり続けられるよう
ソニーストアでは今後もお客さまに寄り添い、その声に耳を傾けて
インクルーシブな店舗づくりに真摯に取り組んでまいります。