
フィールドで確信した、α7 Vという新しいベーシック
フォトグラファー 安彦嘉浩 氏
安彦嘉浩 / フォトグラファー 1989年、山形県生まれ。北海道上富良野町在住。電機メーカーで生産技術エンジニア、上富良野町役場で観光部門担当を経て、2026年よりフリーランスとして独立。雄大な十勝岳連峰の麓を拠点に、この土地の風土が育む風景や野生動物と向き合っている。作品は、大手旅行メディア、政府機関広報資料、教科書など幅広い媒体に採用されている。東京カメラ部10選2019。
α7 Vに対しては、新しい画像処理エンジンや新型CMOSセンサーといったハード面の着実な進化はもちろん、ブラックアウトフリーでの秒間30コマの高速連写やプリ撮影、リアルタイム認識AFなどの動体撮影を劇的に変えてくれそうなソフト面の進化にも注目していました。実際にフィールドで使用した時にどんな写真が撮れるのか。特に明暗差が大きい状況や、被写体が高速に動く状況など、撮影条件の厳しい場面でどこまで力を発揮してくれるのか、撮影前から期待が膨らむばかりでした。実際に手に取ってまず感じたのは、初めて使ったとは思えないほど馴染む操作感です。普段からα7R Vも使用していることもあり、一貫性のあるボディデザインはユーザー目線で助かります。そして、ふと目に入る「V」の文字。α7 IIからαシリーズを使い続けてきたので、ついにここまで来たのかと、感慨深いです。
期待に応えてくれたα7 Vの階調表現
ある一枚の逆光写真に感動し、ソニーのαを使い始めました。僕にとってソニーといえば逆光です。α7 Vもまた、歴代のαシリーズと同様にその期待にしっかりと応えてくれました。ソニーらしい豊かな階調表現のおかげで、シャドウからハイライトまで思い通りに描写できています。自分の求める表現がこのカメラでも形になる、そう確信できた瞬間の喜びは、今でもしっかり覚えています。この写真は、道東の野付半島にて、沈みゆく太陽とエゾシカを撮影したものです。太陽がツノの間に収まるタイミングを狙い、エゾシカがこちらを向き始めた瞬間から連写を開始。最も自分の意図に近いバランスの良い一枚を残すことができました。
閃光のごとく走り回るエゾリスがこんな簡単に
紅葉が最盛期を迎えたタイミングで、雪が降りました。足元に広がる、秋から冬へ移り変わろうとする景色だけでも十分に作品になりそうな美しい日でした。そんな中、エゾリスが冬支度の餌探しで忙しなく走り回っていました。写真ではなかなか伝わりにくいのですが、そのスピードはまさに茶色の閃光。全速力で目の前を横切っていく彼らを捉えるのは、至難の業です。こうしたシーンには、二つの難しさがあります。一つは高速で動く被写体をファインダー内に捉え続けること。もう一つは、その動きにピントを合わせ続けることです。α7 Vのブラックアウトフリーでの連続撮影は、ファインダーが暗転しないため、肉眼で見ている感覚のまま被写体を追い続けることができました。さらに、進化したリアルタイム認識AFがエゾリスの瞳を正確に捉え続けてくれます。もちろん前後のカットもピントが合っていました。「あんなに速い動きが、こんなに簡単に撮れちゃった」。α7 Vの性能の高さに、改めて驚かされました。
一瞬で瞳を捉える、撮り手の願いに応えてくれるα7 V
風景を撮影している最中、キタキツネが道路脇の穴に入っていくのが目に入りました。しばらく待てば、顔を出してくれるかもしれない。そう思い、その時を待つことにしました。数分後、キタキツネが穴の中から顔を覗かせます。ほんの一瞬の出来事でしたが、顔が見え始めた途端に、リアルタイム認識AFが迷うことなく、すっと右目を捉えました。AFの緑の四角形が動物の目を捉える瞬間はある種の芸術を見ているようです。手前には草が生えており、ピント合わせにはシビアな状況です。α7 Vのリアルタイム認識AFは手前の障害物に惑わされることなく、瞳へ合焦しやすいと感じています。この体験に限らず、「こうあって欲しい」という撮り手の願いに応えてくれるα7 V。信頼が、また一つ深まった瞬間でした。
一段上の表現へとつながっていくα7 V×G Master
逆光に縁取られた動物たちの毛並みが、輝く瞬間は、僕が最も好きな光景の一つです。毛並み一本一本が繊細に描き出されることで、動物たちの生命力がさらに強調される気がします。こうした描写において、α7 Vのポテンシャルは計り知れない事はすでにお伝えできたと思います。そして、その力を最大限に引き出すために、ソニーのG Masterは欠かせない存在です。ボディとレンズが互いの性能を高め合い、相乗効果を生む。まさに理想的な関係だと言えます。この時、逆光にうっとりしていると、なんとエゾシカが放尿を始めました。こんなときに「撮ってしまってごめん!」と心の中で謝りました。でも、シャッターを切らずにはいられませんでした。細部まで描き切る解像力はもちろん、こうした微細な変化を気づかせてくれるEVFの見え方の良さを、皆さんにも知ってほしいと思ったからです。
タイムマシンを得たようなプリ撮影機能
こちらは、ギンザンマシコが飛び立つ、その瞬間を狙って捉えたカットです。α7 Vのプリ撮影機能があったからこそ撮影に成功しました。野生動物の動き出しは予測不能です。これまで、自分の反射神経の限界に挑むような撮影もしていましたが連戦連敗でした。かと言って動き出しを想定して連写しておくと、いざという時にバッファが追いつかない可能性があります。さらに、むやみに連写を重ねれば、夏のラベンダー園の駐車場があっという間に満車になるように、カード容量もたちまち底をついてしまうでしょう。そんな課題を解消してくれるのが、プリ撮影です。最大過去へ1秒遡れるので、動きを見てからシャッターを切っても、決定的な瞬間を逃しません。まさにタイムマシンです。何より嬉しいのは、RAW撮影に対応していることです。そして一般的な画像編集ソフトで他の写真と同様に管理・編集することもできます。ワークフローが単純化されているので、積極的に使わない手はありません。
“写真の新たなベーシック”が、ここから始まる
α7 Vは、これまでのベーシック機とは全く別物だと感じました。これまでのモデルは、「ある程度機能が制限された入門機」という印象が拭えませんでした。α7 Vは違います。ブラックアウトフリーや秒間30コマの高速連写、プリ撮影、そして高精度なリアルタイム認識AFといった、これまで上位機にのみ許されてきた機能をこれでもかと搭載し、表現の幅を広げる手助けをしてくれます。この新たなベーシック機を相棒に、皆さんと一緒に「写真の新たなベーシック」を定義していけると思うと、ワクワクが止まりません。
ワンクリックアンケートにご協力ください
αUniverseの公式Facebookページに「いいね!」をすると最新記事の情報を随時お知らせします。





