
鉄道絶景+α
第2回羽越本線(新潟県〜秋田県)
鉄道写真家 中井精也 氏
撮影日:10月21日 14時11分羽越本線(今川〜越後寒川)穏やかな海と、荒々しい笹川流れのハーモニーの中、荷物を満載した貨物列車が行く。まさに日本を代表する鉄道絶景の1つだ。この美しい風景をα1は細部まで緻密に捉えてくれた。数カ月後には、厳しい冬を迎える
列車を背景に飛び立つハクチョウを写す

羽越本線は約270kmの長大路線だが、僕が一番好きなのは、奇岩連なる日本海や勇壮な鳥海山と列車を撮影できる村上駅から羽後本荘駅にかけてのエリアだ。秋雨前線が日本列島を覆うこの季節、天気予報では晴れるのはたったの1日半。効率良く撮影しようと綿密な計画を立てて出掛けたのだが、予想していなかった魅力的な被写体に出合った。シベリアなどから越冬のために飛来したハクチョウだ。飛び立つ鳥と列車を絡めて撮りたい! そこで優れたAF性能を誇るα1の力を借りることにした。AF-C+トラッキングに設定。さらに顔/瞳検出対象を「鳥」にすると画面内に鳥が現れると自動的にピントが合って追尾をしていく。難しい操作は一切ない。ハクチョウと列車のドラマチックなシーンを撮影でき、季節の彩りを添えられたのはうれしい誤算だった。結果的に撮影プランは総崩れになったが、予期せぬ被写体との対峙にワクワクした。これだから旅は楽しい。さて、羽越本線随一の絶景ポイントと言えば、桑川駅から越後寒川駅にかけて、約11kmに渡って続く「笹川流れ」だろう。日本屈指の透明度を誇ると言われる澄んだ海に囲まれた笹川流れは、荒々しい日本海の浸食によりできた奇岩、岩礁や洞窟など、ダイナミックな風景が広がり、国の名勝および天然記念物に指定されている。息を切らしながら斜面を登ると、ホーヤ浜の美しい砂浜が眼下に広がっていた。海岸線に沿って走る線路の奥には、笹川流れらしい荒々しさを持つ蓬莱山も見える。並走する道路に車が来ないことを祈りながら待っていると、さっそうと貨物列車が現れた。帰宅後、高精細な描写力を誇るα1で捉えたこの絶景を見たとき、あの崖で感じた爽やかな海風が吹き抜けたような気がした。
撮影日:10月22日 8時47分羽越本線(本楯〜南鳥海)勇壮な鳥海山をゆく鈍行列車。701系電車もベテランの風格だ。α9 IIIの約120コマ/秒の高速連写を使い、列車の顔が草むらにかからず、電柱に重ならない位置で写し取った
撮影日:10月21日 10時10分羽越本線(越後寒川〜勝木)山中に分け入って見つけた撮影ポイント。青い海をバックに、ブルーのいなほ号が来たときには、思わずバンザイ! α1の描写力と、機材の軽さに助けられた1枚だ
撮影日:10月21日 6時58分羽越本線(岩船町〜村上)α1のトラッキング機能で捉えたハクチョウが低空を飛んだことで、背景に貨物列車が入った。一度捉えれば、構図を変えてもピント追従するAF性能が生んだ名作だ
撮影日:10月22日 17時30分羽越本線(村上〜間島)日が暮れると、日本海の水平線にイカ釣り船の灯りが輝いた。列車はハイビームで撮影には厳しい条件だったが、FE 24-70mm F2.8 GM IIの優れたコーティングはもろともしない
<Pickup LENS>FE 24-70mm F2.8 GM II

優れた描写力を誇るのはもちろん、使い勝手の良さで使用頻度の高い標準ズーム。その小型・軽量さにいつも助けられている僕のメインレンズの1つだ。ズーミング流し撮りのときは「ズーム操作感切り換えスイッチ」でトルク感を軽くなど、撮影条件に合わせて使用感を調整できる万能レンズ。
<Photo Technique>リアルタイム瞳AF(鳥)を使う
ハクチョウの撮影では、被写体検出が威力を発揮。[AF時の顔/瞳優先]を[入]にして検出対応を[鳥]に設定する。ハクチョウを捉えれば、ピントを追従し続けるので、列車や月などを背景に選び、柔軟な構図で撮影ができる。
白鳥の瞳にフォーカスが合っている
<絶景EPISODE>
鳥海山の麓にたたずむハクチョウの群れ
予期していなかったハクチョウとの出合い。夕暮れの鳥海山をバックに羽を休めるハクチョウは、息を飲むほどの美しさ。春になるとシベリアに帰っていくというハクチョウたちの生命力に心動かされた。αとともにこんな素晴らしい風景を捉えられたことに、大きな喜びを感じた1枚。
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