αで撮る・素晴らしい日本の自然風景

写真家 福田健太郎 氏

α Universe editorial team

「CP+2025」で写真家の福田健太郎氏にお話しいただいた内容や発表作品を、α Universeでも特別にご紹介。現在愛用している「α7R V」で撮影した、四季折々に姿を変える日本の風景写真を披露。さらにソニーがαを継承した初期から使い続けている福田氏が、ソニーαの歴史と変遷についても語ります。

福田 健太郎/写真家 1973年、埼玉県川口市生まれ。幼少期から自然や風景、その土地に暮らす人々に憧れ、18歳のとき写真家を志す。写真家 竹内敏信氏の助手を経て、1997年より写真家として活動を開始。日本列島を主なフィールドに、生命に溢れる万物の姿を見つめ続けている。写真集に「泉の森」、「春恋し-桜巡る旅-」など著書多数。「平成・桜・福島」、「生々流転」、「泉の森」など、全国各地で写真展を毎年開催している。作家活動のほか、写真は企業カレンダーなど広告物に採用。講演会や写真セミナーなど、各種イベントに登壇。また、カメラメーカー、写真専門誌、省庁、新聞社が主催するフォトコンテストの審査員を務めるなど、写真が生み出す楽しさを届けたく、幅広く活動を続けている。公益社団法人 日本写真家協会 会員(JPS)

性能も操作性も完成の域に到達。高解像で階調豊かに表現する「α7R V」

みなさん、こんにちは。写真家の福田健太郎です。短い時間ですが、αで撮る日本の自然風景をみなさんにたっぷりとお伝えしたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。私が今、メインで使っているカメラが、こちらの「α7R V」になります。

35mmのフルサイズで有効約6100万画素と、αでは最高の高画素機で高い解像性能を実現しているモデルです。細やかな自然風景を高精細に写すところが、私がこのカメラを使う理由のひとつでもあります。そして、高感度・低ノイズ性能、広いダイナミックレンジも有効です。例えば、天気が良い日は明暗差が大きくなるので、我々はその差を豊かな階調再現で写し出してくれる「α7R V」のようなカメラを求めています。さらに、高性能なボディ内光学5軸手ブレ補正が搭載されていて、ファインダーも非常に見やすいです。撮影で必ず使うものは、そこでストレスを感じてしまうと撮影に集中できなくなってしまい、細かいところを見逃してしまいます。そこを見逃さずに意識を集中できるのは高精細な電子ビューファインダーのおかげです。そして、撮影者の意図をダイレクトに反映する操作性もポイント。ダイヤルやボタンも心地良く快適に操作できる、ストレスフリーなカメラに仕上がっています。自然風景の撮影においては、とてもシンプルで使いやすいカメラだと感じます。もう完成の域に達しているのではないかと思うほど素晴らしいカメラです。これ以上の性能、例えば高速連写やAF追従など進化した技術を求めるならば、もう「α1 II」しかありません。高画素機の「α7R V」と「α1 II」を持っていれば無敵といえるでしょう。

緻密な表現と広いダイナミックレンジが自然風景をリアルに描き出す

私は年間の半分は日本を旅して、一期一会を楽しんでいます。下の写真は北海道の十勝岳で、初雪が降った後に出かけた時の1枚です。

α7R V,FE 24-70mm F2.8 GM II 24mm,F11,1/200秒,ISO100

フルフレーミングでトリミングはしていませんが、画面の中央だけでなく端の部分まで像の破綻がまったくなく、しっかりと捉えてくれています。フルサイズの大型センサーと使用しているレンズの性能が如実に表れていますよね。先ほど「ダイナミックレンジが広い」とお話ししましたが、明るい雲のトーンからシャドウ部の雪山まで、像をきっちりと捉えている。きめ細やかだからこそ、リアリティあふれる作品写真が生まれるのです。これは手持ちで撮影したものになります。福寿草や梅、さらには下の写真のようにカタクリも花を咲かせます。

α7R V,FE 70-200mm F2.8 GM OSS II 200mm,F5,1/125秒,ISO100

林床の小さな花なので、そのかわいらしさや存在感を強調するために「FE 70-200mm F2.8 GM OSS II」を使い、這いつくばって撮影しました。ローポジションでも見やすいように液晶モニターを調整して、楽な姿勢で撮影した1枚です。望遠レンズでも開放F値が明るいのでもっと大きくぼかすこともできますが、周囲に咲いているヤマザクラも見せたかったので、背景で見せるために少し絞って撮っています。明るいレンズは開放で撮りたくなりますが、何をどう見せたいかを考えて調整することが大事です。この時は実際よりも明るめに露出をコントロールしています。下の写真は長野県の北八ヶ岳で撮影したものです。

α7R V,FE 16-35mm F2.8 GM II 20mm,F11,1.6秒,ISO200

撮影時に意識したのは現実感です。この細やかな苔の一つ一つを解像させて、みなさんにも森へ入り込んだような雰囲気を感じていただきたかったので、手前から奥までピントが合っているように見せるために少し絞り込んで撮影しました。

α7R V,FE 16-35mm F2.8 GM II 35mm,F11,1/50秒,ISO100

こちらは春、青森県の八甲田山の湧水地で撮影した、刻々と移りゆく朝のドラマです。太陽とともに川霧もどんどん移動していくので、それに呼応するように手持ちで撮影しました。もちろん三脚でどっしり構えて撮ることもありますが、こういった動きが激しいときには瞬時に手持ち撮影に切り替えます。ギラギラとしたまばゆい輝きから澄んだ青空、シャドウ部のトーンまでしっかりと描き出した、ダイナミックレンジの広さを感じる1枚です。

足元にも視線を向けて季節の移ろいを表現。天候を予測できればより良い写真が撮れる

夏には、派手な黄色と爽やかな青のコントラストが眩しいヒマワリを撮影しました。JPEGの撮って出しですが、とても色鮮やかですよね。

α7R V,FE 16-35mm F2.8 GM II 23mm,F11,1/125秒,ISO200

超広角の16mmでグッと被写体に迫って撮影することで手前のひまわりを大きく写し、奥のひまわり畑は画面下に広がるように誘い出しています。ポジショニングとアングルはしっかり吟味することが大切です。この時は順光で色がきれいに出るように撮影しています。

α7R V,FE 24-70mm F2.8 GM II 59mm,F11,1/25秒,ISO100

上の写真は、1枚目に見ていただいた写真から少し標高の下がったところで撮影した1枚です。「初雪が降った後」とお話ししましたが、少し山を下るとまだまだ彩り鮮やかな紅葉の森が広がっていました。こういった千載一遇のチャンスはなかなかないので、天気予報から予測することが大切です。雪が降るかも、雲海が出るかも、と予測して行動すれば、その時にしか出会えない風景を撮ることができます。この写真、実はホテルのベランダから腕をグッと伸ばして4軸マルチアングル液晶モニターを見やすい位置に調整して手持ちで撮影しています。

こんなにきめ細やかなフルサイズの写真を手持ちで撮れてしまうのがαの強みです。この解像性能だからこそ、クライアントにも堂々と自信を持って見せることができる。クライアントからの信頼を得るためにも、私はプロのこだわりを表現できる良いカメラとレンズで撮ることを徹底しています。

α7R V,Sonnar T* FE 55mm F1.8 ZA 55mm,F6.3,1/60秒,ISO320

次は足元の景色にも注目してみました。上の写真は晩秋、静岡県の伊豆半島にある天城の森で見つけた風景です。紅葉がハラハラと地面に落ちて、土へと還っていくドラマを写し出しました。このように視点を変えて撮影することも、ぜひ実践してみてください。

α7R V,FE 16-35mm F2.8 GM II 18mm,F16,13秒,ISO100

上の写真は栃木県の奥日光で出会った、渦巻く水流です。NDフィルターを装着して16秒という露光時間で、肉眼では見えない世界を表現しました。白い渦を目立たせるために、あえて色の要素を排除してモノトーンで見せています。このシーンは最後に見ていただく動画作品にも入っていますので、動画と静止画ではどのように表現や仕上げを変えているのかも、ぜひ楽しんでいただきたいと思います。

ソニーが継承した初期からαを使用。その歴史と変遷を写真で振り返る

私が写真を撮り始めてから、早いもので30年ほど経ちます。長い間自然と向き合ってきましたが、経験を重ねるにつれて「生々流転」、生きているものは絶えず生まれ変わり巡るもので、我々もその中に存在している、ということを意識するようになりました。変わっていくことが当たり前で、変わらなければいけない、ということです。私はその世界をαで撮影し、写真で届けていきたいと思い活動しています。ソニーがαを継承して19年が経ち、今ではソニーが一番長くαを育てているメーカーになりました。私は2006年に登場した「α100」という初号機から使っています。ソニーさんから「一度使ってみて」とお話をいただき、そのカメラを持って北海道へ出かけて最初に撮った中の1枚が下の写真です。

α100,450mm相当,F5.6,1/50秒,ISO200

撮影場所は道東、根室方面にある春国岱です。誰もが使えるエントリークラスのモデルでしたが、1号機から手ブレ補正は内蔵されていました。シカと目が合った瞬間を捉えた1枚ですが、その瞬間を永遠に残せるのが写真や映像です。私はその時の感動を何となく撮るのではなく、きっちりと撮り切るために常に新しいカメラ、時代を背負うカメラで撮り続けてきました。そして、2007年にはミドルクラスのカメラ「α700」が登場。「α700」の良さは現在のモデルにも継承されていて、親指で簡単に操作できるマルチセレクターはこのカメラから搭載されました。続いて、2008年に登場したのが「α350」という私が好きだったカメラです。当時、これを持ってカナダに行ったので、その時に撮影した作品もお見せしたいと思います。

α350,DT 18-250mm F3.5-6.3 60mm相当,F14,1.3秒,ISO200

日本と同じ湿潤な環境なので、苔むした森がとてもきれいです。このしっとりとした渋い色合いを再現してくれたのが「α350」です。

フルサイズ機やミラーレスが登場。今の礎を築いた過渡期のモデルたち

そして2009年、ようやく念願の35mmフルサイズのカメラ「α900」が登場しました。次に紹介する「NEX-5」はAPS-Cサイズのセンサーを搭載した本当に小さいカメラで、ソニーさんから「今度こういうカメラを出すから作例写真を撮ってきてほしい」と言われて撮影したのが奈良県の吉野山です。

NEX-5,E 18-55mm F3.5-5.6 OSS 55mm,F11,1/10秒,ISO200

いよいよ今の流れに繋がるα7シリーズが登場。レンズも続々登場して幅広い表現が可能に

そして、2013年秋。ここからみなさんもご存知のα7シリーズが登場します。下の写真は発売から半年後くらいに撮影した川湯温泉の水蒸気です。

α7R,Sonnar T* FE 55mm F1.8 ZA 55mm,F11,1/1000秒,ISO250

地球の鼓動を画面いっぱいに映し出しました。高画素モデルのα7Rシリーズも、第二世代、第三世代と進化を続けます。同時にレンズラインナップもどんどん充実し、表現の幅が広がっていきました。

α7R III,FE 70-200mm F2.8 GM OSS,F2.8,1/250秒,ISO200

本当に自然は不思議でたくましいですよね。上の写真はガッと岩を掴んだまま成長し続けている木のたくましさを写し取りました。

考えさせる写真を届けるのも写真家の仕事。今後も時代を象徴するαの展望に注目

α7R IV,FE 16-35mm F2.8 GM 32mm,F9,1/500秒,ISO200

こちらは何だかわからない謎の像ですが、見えないものを写すのも写真家の仕事です。見えるものをきれいに写すことはもちろん、写真家であれば見えない世界をみなさんにお届けして考えてもらう、といったこともやらなければなりません。では、何かは謎のまま次に進みましょう。

α7R III,FE 16-35mm F2.8 GM 21mm, F8,1/160秒,ISO200

上の写真も「なんだろう」と思うような1枚ですよね。海岸線で見た砂浜の風景です。

α7R IV,FE 70-200mm F2.8 GM OSS,F11,1/30秒,ISO100

こちらはユスリカという蚊の1種です。名称通り、体を揺すりながらふわふわと揺れ動いている。雄とメスが混じり合っている風景を、シャッター速度を調整しながら写しました。

α7R V,FE 24-70mm F2.8 GM II 56mm,F8,1/125秒,ISO200

私は、上の写真のように、淡々とした何気ない、でも心地が良い風景が好きでよく見つめています。

α7R V,FE 24-70mm F2.8 GM II 70mm,F8,8秒,ISO400

ここからは動画作品を見ていただきたいと思います。上のカットも登場しますので、写真と動画ではどのように変えているのか注目してご覧ください。

こんなに美しい映像もこの1台で撮れてしまう、ということです。私も「動画で撮影したらもっと自然の魅力をお伝えできるな」と思ったら、動画も積極的に撮るようにしています。静止画も動画も、最高のクオリティで届けてくれるα7シリーズ。みなさんも共に写真の楽しみ、映像の楽しみを享受していきましょう。本日はご清聴、ご視聴ありがとうございました。

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