

鉄道絶景+α
第8回水郡線(茨城県〜福島県)
鉄道写真家 中井精也 氏
撮影日:4月16日 10時52分
矢祭山の斜面を登り、鉄橋を見渡す。まるで桜の泉を渡る列車のような幻想的な景色に思わず息をのんだ。桜と新緑の美しさを、目で見た以上の臨場感で描写するα7R Vの実力をぜひ体験してほしい
水郡線のほとりで見つけたひそかな絶景
水郡線沿線は桜の名所が多く存在し、その筆頭とも言えるのが矢祭山だ。標高約400mの斜面には、ソメイヨシノが華やかに咲き誇っている。息を切らしながら山の中腹まで登ると、桜に彩られた鉄橋が目に飛び込んできた。線路を飾るように咲き誇る桜は、ヤマツツジのつぼみの色合いと相まって美しさを増していた。細部まで余すことなく描写するため、有効約6,100万画素を誇るα7R Vで撮影した。肉眼よりも鮮やかに魅せる描写力は見事である。水郡線のように運転本数が少ない路線では、どうしても定番の撮影地が撮影の中心になる。今回は次の列車が来るまでの時間を使って、沿線をじっくりとロケハンしてみた。玉川村駅近くの道路で見つけたのは、「玉川桜山 見学自由」と書かれた看板だった。年配の方が手書きで書いたであろうその看板には、「今を逃すと1年後!」と付け加えられており、思わずほほ笑んでしまう。これはぜひ訪れなければならない。桜山は杉林を伐採して作られた展望台で、5分ほどかけて登ると水郡線と里山の風景を一望できる。小さなため池の周囲には瓦屋根の集落が点在し、桜の木がちりばめられている様子はまさに絶品である。まるで歴史ある日本庭園のような趣に、しばし見とれてしまった。その奥には、芽吹いたばかりの新緑の風景が広がっていた。この時期は桜を追いかけることに必死で、あまり意識していなかったが、季節は確実に進んでいたのだ。α7R VとFE 28-70mm F2 GMで撮影したこの風景は、壮大な絶景とは言えないが、穏やかな地形と平和な日常が生み出す、なんとも言えない優しさが写っている気がする。まさに山笑う春である。気づけば桜を追いかけて力んでいた僕も、いつの間にか笑顔になっていた。
撮影日:4月15日 18時40分
夕闇の中を走る列車。ISO 6400、FE 85mm F1.4 GM IIの開放絞りを使い、列車を光の線としてではなく、鮮明に捉えた。高感度性能と優れたレンズによって残せた瞬間だ
撮影日:4月16日 17時15分
ツツジの名所として知られる風呂山公園から、斜面に咲く桜を見下ろした。ピント位置を迷ったが桜に合わせ、列車の存在感が薄れないようにF9まで絞り、適度に列車をぼかしている
撮影日:4月17日 18時55分
桜山から望む景色。この場所は息をのむほど絶景ではないが、心に染み入るような名景だと思う。絞りをF2に設定し、手前の桜をぼかしてアクセントに加えた。輝く風景の美しさと、何事もなく列車が走る日常に感謝しながらシャッターを切った
撮影日:4月16日 12時43分
久慈川の堤防には、鮮やかなナノハナが咲いていた。空の青と花の黄色のコントラストが美しい。F2だからこその柔らかなボケが、ゆるい雰囲気を強調してくれた
<Pickup LENS>FE 28-70mm F2 GM
αレンズ初※となるズーム全域開放値F2を実現した標準ズーム。まるで複数の大口径単焦点レンズをこの1本に集約したかのような、夢のレンズだ。右の写真で注目してほしいのが、画面手前のナノハナのボケ具合。青空に溶けつつ、花の周囲のふちどりが不自然にならない美しいボケは、感動モノだ。
※ 2024年11月広報発表時点 ソニー調べ
<Photo Technique>驚異の解像性能で絶景を余すことなく写し撮る列車部分を拡大。300%アップでもこの緻密さ
有効約6,100万画素を誇るα7R Vの最大の特徴は、αシリーズの中で最高と言われる解像性能だ。右ページの列車を拡大して見ると、その高い描写力には驚かされる。α7R Vの魅力は解像性能だけでない。AIプロセッシングユニットなど新時代のAFシステムが、快適な鉄道撮影を可能にしている。
<絶景EPISODE>桜のカーテンに囲まれて
しだれ桜をFE 85mm F1.4 GM IIのボケ味を生かして撮りたかったが、桜の幅が狭く、画面いっぱいに花を入れるには焦点距離が足りない。そこでα7R Vでクロップ撮影。有効約6,100万画素のα7R Vはクロップしても、約2,600万画素もあるので、気兼ねなくクロップできるのが強みだ。
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