その瞬間を逃さない ― 野鳥写真家が語るα1 IIの真価

野鳥写真家 山田芳文 氏

α Universe editorial team

山田芳文 / 写真家 「100種類の鳥よりも1種類を100回」をモットーに野鳥を撮り続ける。野鳥の周囲の風景も大きく取り入れた鳥がいる風景写真をライフワークとする。『SONY α7 IV 完全活用マニュアル』(技術評論社)、『SONY α6600 基本&応用 撮影ガイド』(技術評論社)、『写真は構図でよくなる!すぐに上達する厳選のテクニ ック23』(エムディエヌコーポレーション)、『やまがら ちょこちょこ』(文一総合出版)など著書多数。最新刊は『SONY α7C II 完全撮影マニュアル』(技術評論社)。

初代のα1を愛用していたので、操作性などが近しいα1 IIはすぐに手になじみました。自分の手になじむかどうかや撮る道具としての使いやすさはカメラの大切なところだと思っていますので、初代と似た感覚で使えるのはとても気に入っています。個人的にはマルチアングル液晶モニターが搭載されたことも嬉しいですね。

向上したAF性能で“難条件”も確実にとらえる

こちらはツバメが巣材をくわえているシーンを撮影したものですが、AF時の被写体認識を[入]にして、認識対象を[鳥]に、認識部位を[瞳]に設定して撮影しました。初代のα1だと、大きめの巣材をくわえた場合は瞳をロストすることがあったので、このようなシーンではAF時の被写体認識を一時的に[切]にして撮影していましたが、α1 IIでは瞳をロストすることがないので、よほどのことがない限りAF時の被写体認識は[入]のままにしています。α1 IIになって、初代よりもAFの認識性能が向上したことが実感できた1枚です。

α1 II,FE 600mm F4 GM OSS 600mm,F4,1/1000秒,ISO250

スズメの幼鳥の小ささを伝えるために、少し小さめにとらえて、正面を向いて口をあけている瞬間に撮影しました。カメラの被写体認識は、画面の中の鳥の面積配分が小さくなればなるほど難しくなり、横向きよりも正面向きの方が難しく、口を閉じているときよりも口を開けている時の方が難しいです。なので、この写真のような条件はカメラの認識性能をテストするためにはうってつけなのですが、何の問題もなく、スズメの瞳を認識、合焦してくれました。撮った後、この条件でいけるならば、AF時の被写体認識は常に[入]のままで問題ないと確信するようになりました。

α1 II,FE 100-400mm F4.5-5.6 GM OSS 400mm,F8,1/250秒,ISO320

限られたチャンスを逃さない、軽快な撮影スタイル

このカットは春の移動途中の中継地で撮影したタカブシギです。一時的な中継地なので、ここにいる時間は長くなく、撮影前の観察に十分な時間はとれません。こんな時は車で最適な位置まで慎重に寄せて、エンジンを切って、車をブラインド代わりにして、車内から息をひそめて撮影します。フラッグシップ機としては小型軽量のα1 IIにFE 300mm F2.8 GM OSSと2倍のテレコンバーターをつけて機動力のある600mm相当で撮影しましたが、軽量なので、狭い車内でも取り回しやすく、迅速に対応することができました。

α1 II,FE 300mm F2.8 GM OSS + 2X Teleconverter 600mm相当,F8,1/1600秒,ISO640

暗めの背景で白いユリカモメを横からの硬い光で撮りたかったので、天気予報とにらめっこしながら、晴れの予報の日の早朝、通い続けました(写真は光画だと思っているので、@光の硬軟とA撮影ポジションと太陽の位置の関係の2つはとても大切にしています)。早朝にユリカモメが飛んでくる時間は一定していて、飛ぶコースもだいたい同じなのですが、毎回微妙にずれるので、手持ちで対応しました。手持ちで鳥の飛翔を撮る時にいちばんお気に入りのセットが軽量で取り回しやすく、AFが早くて確かなα1 II+FE 300mm F2.8 GM OSSです。α1 IIはAFの精度、被写体認識性能、追従性能が確かなので、フレーミングに集中するだけで狙い通り撮れました。天気や鳥の向きは自分のコントロールの外なので、イメージ通りのライティングで撮影できるまで時間はかかりますが、撮れた時の達成感は何物にも変えられません。

α1 II,FE 300mm F2.8 GM OSS 300mm,F4,1/3200秒,ISO500

撮りたいを叶えてくれるα1 II

このモズの写真のような鳥がいる風景をライフワークにしています。鳥の周囲も大きく取り入れるために、短めのレンズで鳥を小さめに写すのですが、このような撮り方をすると、カメラやレンズの本当のポテンシャルがよくわかります。有効約5010万画素のα1 IIにレンズの解像力が相まって、凄まじく高解像で撮影することができ、B0ぐらいのサイズでも余裕をもって出力することができるのが有り難いです。

α1 II,FE 24-70mm F2.8 GM II 44mm,F5.6,1/250秒,ISO200

バンの幼鳥が目に瞬膜をはっているところを狙ったのですが、成鳥と違って幼鳥は動きが読みにくく、ことが起こってからの対応になりがちです。瞬膜をはってからシャッターをきっても、時すでに遅しとなってしまうのですが、プリ撮影を[入]に、記録時間を1.0秒に設定して撮影したことで、瞬膜をはった状態の目を難なく撮ることができました。正直に告白すると、はじめはプリ撮影の機能を使うのは何か反則をしているような気がして、抵抗があったのですが、使ってみると便利でした。皆さんも活用されることをおすすめします。

α1 II,FE 300mm F2.8 GM OSS 300mm,F4,1/1000秒,ISO1000

生態の瞬間をとらえたい人、鳥の姿や形を克明に描写したい人、1枚の絵として鳥の写真を追求している人、など野鳥をどう撮りたいかは人それぞれだとは思いますが、どのような人にもおすすめできる万能なカメラがα1 IIです。高解像とスピードを兼ね備え、AFの精度と被写体認識性能、追従性能が確かなα1 IIをぜひお試しください。「普通の鳥を普通にちゃんと撮る」ことが実はいちばん難しく、それは僕の永遠のテーマでもあるのですが、これからも最高の相棒であるα1 IIとともに作品創作をしていきたいと思っています。

※すべての写真は、野鳥への負荷を最小限に抑えるよう最大限の配慮をもって撮影しています

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