

鉄道絶景+α
第12回京都丹後鉄道
鉄道写真家 中井精也 氏
撮影日:7月31日 14時56分京都丹後鉄道宮舞線(丹後神崎〜丹後由良)
空と海の間を越えるように由良川橋梁を走る列車。雲が出るまで粘って撮った1枚。FE 24mm F1.4 GMの極めてシャープな描写力にも注目したい
丹後の鉄道絶景に挑む新世代G Master
京都丹後鉄道には、僕が日本有数の鉄道絶景だと断言できる撮影ポイントがある。それは「由良川橋梁」だ。大正12年に完成したこの橋が鉄道絶景と言えるゆえんは、周囲の美しい風景によるものだけではない。この鉄橋の全長は約551mもあるのだが、そのすべてがプレートガーダー桁で作られている。列車を隠してしまうトラスなどの構造物がないため、実にすっきりと撮影できるのだ。今回は僕の晴れ男パワーが効き過ぎたのか、撮影中はずっと雲ひとつない晴天が続き、かえって単調な画になってしまった。そこで粘ること3日目の午後に、ようやくドラマチックな雲が現れた。それが今回の見開きの作品。真っ青な世界に映える赤い鉄橋を渡る京都丹後鉄道は、メルヘンの国に登場する列車のように見えた。もう1つ印象的だったのは、線路脇で見つけたサルスベリの花だ。どうしても緑一色になってしまう夏の風景に、鮮やかな彩りを添えてくれるこの花は貴重な存在。サルスベリの木を際立たせるため、FE 50-150mm F2 GMの開放絞りで撮影した。このレンズが持つ高い解像力と滑らかなボケは、花びら1枚1枚を際立たせるだけでなく、背景からサルスベリの木が浮かび上がっているような存在感をプラスしてくれた。まさにこのレンズでしか撮れない絶景だと言えるだろう。FE 28-70mm F2 GMとFE 50-150mm F2 GMは大口径単焦点レンズをそのままズームレンズにしたような製品。この2本は開放値F2通しの革新的なズームレンズとして、「大三元レンズ」を超えた新たなジャンルを打ち立てた。優れた描写性能を誇るα1 II、α7R Vのボディと組み合わせれば、αとG Masterが、また1つ新たなステージに到達したことを、誰もが実感できるはずだ。
撮影日:7月29日 16時20分京都丹後鉄道宮豊線(天橋立駅付近)
「日本三景」に挙げられる天橋立と列車の絶景を、α7R Vで余すことなく描写した。まさに日本を代表する鉄道絶景の1つと言えよう
撮影日:7月30日 14時55分京都丹後鉄道宮舞線(丹後神崎〜丹後由良)
何の変哲もない木も、G Masterを通せば、キラキラと輝くクリスマスツリーのようだ。開放F2だとボケが大き過ぎたので、絞りながら効果を確認してF2.8で撮影した
撮影日:7月29日 8時57分京都丹後鉄道宮舞線(東雲〜丹後神崎)
サルスベリのピンク色を際立たせるため、FE 50-150mm F2 GMの開放絞りで撮影した。大口径単焦点レンズに引けをとらない描写力に驚愕した。周辺光量落ちもまったくない点も特筆すべきである
撮影日:7月30日 7時56分京都丹後鉄道宮舞線(四所〜東雲)
何の変哲もない田んぼだが、構図に悩まされた1枚。炎天下にどう切りとろうかと悩む、こんな時間が好きだ。あぜ道をアクセントに使い、右の濃い山と左の空色の列車で画面のバランスを取った。FE 28-70mm F2 GMならではの臨場感はさすがである
<Pickup LENS>FE 28-70mm F2 GM
カメラグランプリ2025レンズ賞を受賞したFE 28-70mm F2 GMを再度取り上げたい。このレンズの真価は、ずば抜けた描写性能やボケの滑らかさ、美しさだけでなく、そのサイズにあると考える。開放F2と優れた描写性能をこのサイズに詰め込んだソニーの熱意に感銘を受ける。
<Photo Technique>
空と海を鮮やかに描写するクリエイティブルック
空と海を鮮やかに撮るときは、PLフィルターが必須だが、カメラ側のクリエイティブルックの設定も大切。まずは「VV」を選択し、画面で確認しながら「彩度」と「コントラスト」をプラスしていく。雲の有無で調整幅は変わるので、青空のトーンが破綻しないように確認しながら調整しよう。
<絶景EPISODE>
京都丹後鉄道で第2の人生を歩む特急ひだ撮影日:7月31日 7時3分京都丹後鉄道宮舞線(丹後神崎〜丹後由良)
高台から超望遠で鉄橋を狙うこのポイントは、夏になり気温が上昇すると、陽炎の影響でピントが合いにくい。そこで気温が上がりきらない早朝に撮影した。運良くやってきたのは、JR高山線の特急「ひだ」として活躍していたキハ85系の回送列車。思わぬ被写体との出合いに、心が震える思いだった
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