
特撮映画を制作する学生たちをサポートし、映画館上映を実現させたソニーのテクノロジー
中央:公野勉教授、左:吉田創さん、右:結城真弦さん
文京学院大学、公野勉教授の研究室で自主制作された特撮映画『ヴァリドマン』が2026年2月14日から池袋シネマ・ロサにて劇場公開される。学生たちの手によってつくられたこの作品の撮影にはソニーのミラーレス一眼αをはじめ、ソニーの複数のカメラが使われた。カメラに不慣れな学生も少なくない映画制作の現場で、ソニーのカメラはどのように貢献したのか、αの誕生により制作現場にどのような変化があったのか、長く映画制作に携わっている公野勉教授と『ヴァリドマン』の制作を担当した学生たちに話を聞いた。
『ヴァリドマン』文京区の街を舞台に、美少女と妖怪たちの日本の運命を巡る青春バトルムービー。大学生のミクは父親の火葬が行われた日、アルバイトで着ぐるみのカッタンと文京区を周るが、実はカッタンの中に入っていたのは古代のムー大陸人。ムー一族を滅ぼした激獣タイフーが封印から目覚める気配を感じたカッタンは、ミクにタイフーと戦うヴァリドマンとなることを懇願する。出演=カッタン:CV杉田智和/オゴメ:神代知衣/ミク:北澤実佳/姑獲鳥:富樫未来/烏帽子童子:紅城帆香ほか公野勉 / 文京学院大学経営学部 教授円谷プロダクション入社後、東北新社、ギャガを経て日活の制作・配給担当取締役を務め、タカラトミーで映画事業、タツノコプロの担当役員も歴任した経歴を持つ。2001年に公開された映画 「infinity 波の上の甲虫」にはプロデューサーとして参画し、撮影にはCineAltaが使われた。現在は文京学院大学で教鞭を執りながら、映画監督や舞台コンテンツの制作でも活躍。日本映画監督協会会員公野研究室「コンテンツ実務研究」のゼミナール。映画、2.5次元、アニメーションなどコンテンツの実制作に従事し、それを運用する実務までを学ぶゼミ。撮影や編集、舞台劇場の運営、配給や興行等の現場を体験、研究の材料を得て卒業論文や卒業制作に活かす。作品は興行や上映会等で内覧し、作品によっては一般興行も行い広く集客する。
ハイスピード撮影ができるαの登場が学生たちの特撮映画撮影を可能にした
――自主制作映画『ヴァリドマン』はどのような経緯でつくられたのですか?公野教授(以下敬称略):当時3年生だったある学生の「特撮をやってみたい」というひと言から始まりました。「僕は公野先生が円谷プロにいたことを知ってこの研究室に入ったので特撮作品をつくりたい」と。特撮は非常に手間がかかるため私自身にも迷いがありましたが、彼がつくりたい思いを熱く語るので「何年もかかっていいのであればやってみよう」と始めたのが『ヴァリドマン』です。実務はほぼ学生たちが担当し、制作に関わった学生はのべ30名ほど。夏休みなどの長期休暇をメインに制作を行い、企画から編集、映画館上映のための営業まで約5年の歳月をかけて完成させた作品です。怪獣デザインやヒーローの造形を含めて、特撮の現場は発案者の学生を中心に進められました。
私は以前、円谷プロダクションで特撮に関わっていましたが、素人が撮れるようなタイプの撮影ではないんです。ただ、ちょうどその頃にソニーからα7シリーズが発売されて、ハイスピード撮影ができる民生機が出てきた。ご存じのように特撮で怪獣を撮る時は、ゆっくり動いて巨大感を出すためにハイスピード撮影が不可欠です。それまでは高級なプロ機材でしか撮れなかったハイスピード撮影が民生機でも可能になり、「これだったら学生たちでも撮れるかも」と思い、彼と一緒に機材の選定や撮り方を研究してαを購入し、撮影に至ったという流れです。――公野教授が映画制作をしていた時代と現在を比べると撮影機材にどのような変化がありますか?公野:私がまだ円谷プロにいた1990年代前半は35ミリフィルムでの撮影が主流で、デジタルはまだ一部のみでした。ですから、どう撮れているのか現場で確認ができないし、ハイスピード撮影もコストがかかって撮影できない。デジタルなら撮影後にある程度のコントロールができますが、フィルムの場合はその場で必ず成功させなければいけないためプレッシャーも大きい。スタッフ1人のミスが全体的なスケジュールや完成のレベルを左右するので、現場は緊張感に包まれて非常に大変でした。その後、ソニーが映画制作のために開発したデジタルシネマカメラ「CineAlta」でも撮影しましたが、高級機材で一部の人しかアクセスできない上、複数人のチームで複雑な撮影に臨まなければなりません。しかし、αなら多少勉強すれば誰でも使いこなすことができ、カメラマン1人でミニマムに撮影ができます。以前と比べると少人数・低予算での撮影ができるようになったため、αが登場しなければ学生たちだけでの映画制作は不可能だったと思います。
カメラ初心者が撮影しても扱いやすく、映画館で上映できるクオリティも担保できる
――αはこの映画にどのように貢献したと考えていますか?公野:プロの現場ではマニュアルでフォーカスを合わせるのが基本ですが、学生らにはプロのような十分な技量がないのでAFで、パンフォーカスで合わせている。そう考えるとαは素人に優しいカメラといえます。しかも、誰が撮っても最低限のクオリティを担保できる。それは映画館で上映できることが証明しています。デジタル撮影はほぼ研究室の学生が参加しましたが、それでも一般客が観に来て、ある程度の興行動員が見込めるから映画館は上映してくれると思うので、そのレベルに達することができたのはソニーの機材のおかげです。
撮影で使用した機材。左から「NEX-VG30」、「α7S II」、「VLOGCAM ZV-E10」
――αだけではなく、「VLOGCAM」も撮影に使われたと聞きましたが、どのような理由で導入を決めたのですか?公野:撮影初年度に特撮を、2年目にドラマパートを撮影するスケジュールでした。特撮はすべてαで撮影したのですが、ドラマパートを撮影する段階で学生たちから「もう1台欲しい」とリクエストがあったんです。学生たちといろいろ調べて、αよりリーズナブルで我々が欲しい性能がカバーされている「VLOGCAM」の購入を決めました。私にとってはαシリーズだけでなく、「VLOGCAM」の登場も革命でした。この価格のカメラでハイスピード撮影ができるのは本当に驚きです。以前はハイスピード撮影ができる35ミリカメラをレンタルするだけで1日数万円かかりましたから。実際に使用してみると「コンパクトで取り回しが楽」と学生たちに好評です。結城さん(以下敬称略):ドラマパートで4K撮影ができる「VLOGCAM」を使えたのはとても大きかったと思います。僕らはプロではないので、ロケ撮影の背景にまで気を配ることがなかなかできず、映ってはいけないものが入り込んでしまう場合もあります。そんな時も4Kで撮れば修正時に拡大しても解像度不足の心配がありませんから。
公野:特撮はスタジオで美術を組んでいるのでカメラは据え置きが基本ですが、ロケーション撮影のときは小さい機材の方が圧倒的に機動力が高いので、その点も良かったようです。――実際にソニーのカメラで撮影してみて、いかがでしたか?結城:僕自身、このゼミで初めて一眼のカメラを触ったのですが、知識がなくても直感的に操作できてとても使いやすかったです。ただ、映画を撮影していく中で、先生や先輩から「こういう風に撮りたい」と言われたときには機材の設定を学ぶ必要がありました。それでもソニーのカメラに関してはネットからいくらでも情報が拾えたので、そういう点でも、使いやすく、学びやすかったです。吉田さん(以下敬称略):僕は出演者のインタビュー撮影でカメラを使いました。日頃の撮影ではスマホを使うので、カメラの基礎知識を覚えるのは大変でしたが、撮影した映像は僕が持っているスマホよりもテレビで見る映像に近い美しさや表現力があり、やはり違うなと感じました。
――自主制作映画が完成した、今の思いを聞かせてください。結城:映画制作を通して、撮影・編集の技術が向上して手に職がついた感じがします。後から入ってきた後輩が撮影しているところを見ると、「ここ甘いんじゃないかな」と思うこともあって。気づかないうちに自分の腕が上がっていたんだと実感しました。吉田:僕は短期間しか作品に関わっていませんが、撮りたいものを撮って映画館上映まで実現した発起人の先輩はすごいと思いますし、このゼミだからこそ成し遂げることができたのだと思います。僕は編集や撮影に興味があって公野先生のゼミに入ったのですが、本当にいろいろな人が関わって一つの作品が完成することが今回の経験でわかったので、その部分では成長できたかな、と思います。
若いクリエイターの映像クオリティを上げるアクセシブルなカメラをつくり続けて欲しい
――ソニーのカメラは学生たちにとってどのような存在だと思いますか?公野:撮りたいもの、つくりたいものを手に入れるための道具だと思います。今の大学生はコロナ禍で通常の学校生活が送れず、人との触れ合いが希薄な時間を過ごしたせいか目標や夢を見失いがちです。実際、映像制作ではトータルで50人以上のスタッフが同じ方向を向いてゴールを目指しているため、人との関わりは不可欠。私のゼミでは「みんなで作品を完成させる」ということも体感できるので、学生たちには自分の世界を実現するための道具として捉えてもらいたいと思います。
そういう意味でも、学生たちにはなるべく新しい機材を触らせたいと考えています。いい機材は撮影者の表現をより明確にしてくれますから。彼らが就活をする時、「このシーン、このコンテンツは僕たちがこんな風に撮りました」と、今ならスマホを使ってその場で見せることもできる。そういった素材をつくるためにも、なるべく学生たちが自己表現しやすい、取り回しが楽な新しい機材を導入したいと思っています。――学生たちをサポートする立場として、公野先生はソニーのカメラにどのような価値があると考えていますか?公野:ソニーのカメラは機材のレベルが高く、必然的に映像のクオリティも上がるので、学生たちはより多彩な映像をつくることができると思っています。実際、「VLOGCAM」のサイズ感で35ミリカメラ並みの画が撮れるなんて、私が特撮の現場にいた頃は想像もできませんでしたから。さらに、扱いやすいカメラが増えれば若いクリエイターの裾野が広がり、撮影レベルが底上げされて、よりクオリティの高い作品が生まれるのではないでしょうか。
――今後ソニーの機材に期待することはありますか?公野:学生たちが言ったように、ソニーのカメラの良さは「入りやすさ」「使いやすさ」であり、インターフェースの良さだと思っています。ラインナップに関してもニーズに合わせて多彩に取り揃えている。本当にαがなければこのゼミでハイスピード撮影は出来ず、特撮も撮れなかったと思います。私が教えているのが経営学ということもありますが、ソニーはプロの画に遜色ないレベルで撮影ができる民生機のαを生み出したことで、未開拓な領域を切り拓いたと思っています。「欲しいもの、かゆいところに手が届く」というところは昔から脈々と続くソニーイズムだと思うので、今後もアクセシブルなところを大事にしていただき、より良いカメラを生み出して欲しいと思います。
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